本当の聖女は私です〜偽物聖女の結婚式のどさくさに紛れて逃げようと思います〜

桜町琴音

文字の大きさ
7 / 16

初仕事

しおりを挟む
♦︎♦︎♦︎
ルフト様が帰って来て数日が経った。
私はまだ至れり尽くせりの生活を送っていた。

そろそろ、太って来ちゃうと思いつつ持って来てくれたケーキを食べた。

「私は本当に無いとしないで良いんですか?」

「そうですね。まだ、ルフト様から何も聞いてませんからね。」
とシュテルンが仕事をしながら返事をしてくれた。

「でも……」

「はいはい。アイシャ様は、健康に暮らすことが今の仕事です。」

リーナはおかわりの紅茶を淹れてくれた。

「でも、仕事をしたいんでしたらルフト様がくれるかもですね。」

ララがあっけらかんに言った。

「私も賛成です。今のアイシャ様ならもらえると思えます。」
ディルも珍しくララの意見に賛成した。

ルフト様の暇を狙って部屋へお邪魔をした。
書類に目を通して仕事をなさっていた。

「どうした?」

「何か私でもできる仕事をあったら手伝わせてください。私だけ至れり尽くせりなので……」

「誰かにそんなことを言われたのか? 」

「いえいえ、違います! ただ、ちょっとでも、私のできることをしたいんです。」

「そうだな……」
と言い顎を触り考え込んでしまった。

迷惑だったかなと反省をしてると

「ヴォールぺ彼女に帳簿の付け方を教えてやってくれ」

「かしこまりました。旦那様」

前の老紳士がやって来た。

「では、アイシャ様こちらへ来てもらえますか?」

私達はルフト様の部屋を出て小さな可愛らしい部屋についた。

「ここは、旦那様のお母様がお使われになった部屋です。」

「可愛らしいお部屋ですね。」

「では、アイシャ様帳簿を書いたことはありますか? 」

「一応実家で書いていました。2個書いて数字を変えていくやつですよね。」

私は実家の書きかたであっていたかわからないから聞くとヴォールペさんは固まった。

「アイシャ様、こちらの書き方をお教えしますので前の書き方は忘れてください。」

「あ、はい。」

何か違っていたのだろう。

丁寧に教えてもらいなんとかかけた。

「アイシャ様お疲れ様でした。今日は終わりです。私は旦那様のところへ行きますのでお前達しっかりお部屋に連れて行ってくださいね。」

メイド3人組は返事をした後に私達は部屋を後にした。

♦︎♦︎♦︎
彼女は出来ているだろうか。
様子は見に行った方がいいかと迷っているうちにヴォールペが帰ってきた。

「彼女はどうだった?」

「大変飲み込みが早くすぐに終わっていましたよ。」

「なら、よかった。」

「しかし、実家の方で裏帳簿の付けていたそうで、アイシャ様は知らなかったみたいです。」

「彼女の実家一体どんなクズばかりなんだ。」

「旦那様お言葉がよろしくないとおもいます。」

「ああ、分かっている。」

「我が国の貴族ではないのでなんともいえませんね。」

「そうだな。でも、彼女を取り戻そうとして来た時の交渉材料にできるかもしれない。少し弱いがな。」

彼女を守らなくては……

そろそろ、向こうも気づき始め動き出している頃だろう。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

私を裁いたその口で、今さら赦しを乞うのですか?

榛乃
恋愛
「貴様には、王都からの追放を命ずる」 “偽物の聖女”と断じられ、神の声を騙った“魔女”として断罪されたリディア。 地位も居場所も、婚約者さえも奪われ、更には信じていた神にすら見放された彼女に、人々は罵声と憎悪を浴びせる。 終わりのない逃避の果て、彼女は廃墟同然と化した礼拝堂へ辿り着く。 そこにいたのは、嘗て病から自分を救ってくれた、主神・ルシエルだった。 けれど再会した彼は、リディアを冷たく突き放す。 「“本物の聖女”なら、神に無条件で溺愛されるとでも思っていたのか」 全てを失った聖女と、過去に傷を抱えた神。 すれ違い、衝突しながらも、やがて少しずつ心を通わせていく―― これは、哀しみの果てに辿り着いたふたりが、やさしい愛に救われるまでの物語。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

義妹が聖女を引き継ぎましたが無理だと思います

成行任世
恋愛
稀少な聖属性を持つ義妹が聖女の役も婚約者も引き継ぐ(奪う)というので聖女の祈りを義妹に託したら王都が壊滅の危機だそうですが、私はもう聖女ではないので知りません。

【完結】何でも奪っていく妹が、どこまで奪っていくのか実験してみた

東堂大稀(旧:To-do)
恋愛
 「リシェンヌとの婚約は破棄だ!」  その言葉が響いた瞬間、公爵令嬢リシェンヌと第三王子ヴィクトルとの十年続いた婚約が終わりを告げた。    「新たな婚約者は貴様の妹のロレッタだ!良いな!」  リシェンヌがめまいを覚える中、第三王子はさらに宣言する。  宣言する彼の横には、リシェンヌの二歳下の妹であるロレッタの嬉しそうな姿があった。  「お姉さま。私、ヴィクトル様のことが好きになってしまったの。ごめんなさいね」  まったく悪びれもしないロレッタの声がリシェンヌには呪いのように聞こえた。実の姉の婚約者を奪ったにもかかわらず、歪んだ喜びの表情を隠そうとしない。  その醜い笑みを、リシェンヌは呆然と見つめていた。  まただ……。  リシェンヌは絶望の中で思う。  彼女は妹が生まれた瞬間から、妹に奪われ続けてきたのだった……。 ※全八話 一週間ほどで完結します。

婚約破棄が私を笑顔にした

夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」 学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。 そこに聖女であるアメリアがやってくる。 フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。 彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。 短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。

嘘を信じ私を切り落とした者とその国の末路は……。

四季
恋愛
「レミリア・レモネード! 君との婚約を今ここで破棄する!」 第一王子ブランジズ・ブブロ・ブロロブアは晩餐会の最中突然宣言した。

処理中です...