本当の聖女は私です〜偽物聖女の結婚式のどさくさに紛れて逃げようと思います〜

日常

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帳簿をつけるのにも段々慣れてきた。

ゆっくり伸びをしていると「キャッ」という甲高い声が聞こえてきた。

リーナが手を押さえてうずくまっている。

「どうしたのっ！」

私は慌てて辺りを見た。

床には紅茶が溢れており、リーナの服にも掛かっていた。

「手を見せて！」

「はい……」

幸い軽い火傷だった。

私はすぐに聖力を使って直した。

「良かったわ。後が残らずに済んで。どうしたの紅茶を溢して。」

「すみません。前を見ていなくて、壁にぶつかってしまったのです。ご心配をおかけしました。メイドとしてあるまじき失態です。」

「大きな怪我にならなくて良かったわ。それだけで、良いから。着替えて来なさい。」

「すみません。すぐに代わりの者を派遣しますので。では、失礼します。」

最後までぺこぺこしながら部屋から出て行った。

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「あ、旦那さま。」

私が廊下を歩いている時にルフト様が珍しくこちらへ歩いていらしゃった。

「リーナか。アイシャの様子はどうだ？」

「はい。アイシャ様はあのお部屋で帳簿をつけています。」

「そうか。」

ここの所アイシャ様が城へいらっしゃってからずっとフラフラ出かける癖がなくなったので嬉しい限りだと皆が喜んでいます。

「して、エプロンにシミが出来ているがどうしたんだ？　」

「これは、先ほど私の不注意で紅茶を溢してしまい手に火傷を負ったのをアイシャ様が治してくれました。」

ルフト様の表情が変わりました。

「彼女は本当にお人好しだな……」

小さな声で言われたので私は何も聞こえなかったのでスルーしておくことにします。

「リーナこれから代わりにを呼びにいく途中だろ、俺が彼女のそばにいてるから気にしなくて良い。」

「はい、わかりました。旦那様。」

アイシャ様と旦那様の関係を知りたいですけど下っ端の私が知れるわけではないので知れる日を楽しみにするしかありません。

ですので、私はゆっくり着替えようと思います。