押しかけ嫁はオレ様!?

波奈海月

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【電子書籍配信記念】ある夏の夜、星に誓うは

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初めて手がけた乙女TL小説「押しかけ嫁はオレ様!?」、めでたくも電子書籍化!!
ありがとうございます!!

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「これは?」

 私、立原郁美たちはらいくみは、恋人で婚約者で今一緒に暮らしている城之内彰伸じょうのうちあきのぶが、用意してくれた夕食をペロリとたいらげた後、出されたデザートに目を落とした。
 白いなんでもない皿にチョコレートでいくすじも流線を描き、アザランだっけ? 銀色の粒状でお菓子の飾り付けに使うやつが散らしてあって、その真ん中にプルンと乗せられたゼリー。中にはフルーツを1センチ大に角切りにしたのが入ってて。よく見ればハート型にくり抜いたのもあったり。それが涼しげでオシャレでこの季節にぴったりな感じで。

「ちょっと作ってみた」

 偉そうに彰伸が言う。
 でもそんな言い方をしながらも、少し自信なさげに目線を揺らしているのに気付く。オレ様彰伸にしては珍しい。
 そしてこれも珍しい。

「作ってみたって……、これ彰伸が作ったの? お店で出しているのを持ってきたんじゃなくて?」

 彰伸は外食産業の大手『きたみ』の御曹司。けれど本社勤務をせず、『きたみ』が展開しているファミリーレストラン『喜多美』の中の一店舗、このマンションからすぐ近くにある店で店長として働いている。
 おかげで勤務先が近いということもあって、その『喜多美』で出しているメニューを夕飯用にテイクアウトしてくることもあれば、料理が好きで調理師免許も持っている彰伸は、それを活かすべくその腕を振るってくれる。
 言ってみれば食事担当。でもやっているのは料理だけでなく、家事全般が苦手な私に代わって――というよりぶっちゃけいろいろひっくるめて請け負っていた。つまり私にとって至れり尽くせり。

「まあな。こういう菓子はあまり作らないんだが、たまには良いかと思って」
「――だよね。珍しいよね?」

 私は改めて頷く。免許は持っているものの本人も言う通りどちらかっていうと彰伸は、スイーツを作るよりもメインとなる料理にこそその力量を発揮する。だから手作りスイーツがデザートとして出ることはあまりというか、ほとんど? ない。
 というより、何しろ『きたみ』が扱うスイーツはそれだけで専門店を出せるほど美味しいので、作るよりもプリンやケーキなどお店で扱っているものを出したほうが手間要らずで確実。前に食べさせてもらった豆乳を使ったあのプリンは本当に美味しかったし。

「……何かあった?」

 それだからこそ作ることが珍しくて、ちょっと気になって私は、訊ねてみたのだ。
 とはいえ一抹の不安もなくはなく。
 だってもしかして私が忘れているだけで、何かの記念日だった、とか。そんな特別な日(?)なら、作らなくもないかも、とか。

 まあ今朝もこれといって変わったことはなく、仕事に行く私を見送ってくれたし、帰宅後も気にするようなことは別になかったと思うんだけど。
 そうはいっても、出会ってから何日目、付き合いだして何日目、などの記念日的なことに頓着するたちではないので、私にその手の日付けを事細かく記憶するような女子力を求めないでほしいというか。
 いや、こればかりは本当に自信がない。よほど大きなイベント――初めて二人が結ばれた日などはこっそり心のカレンダーに刻んであるけど、それを記念日としてお祝いするなんてのは無理。それが二人っきりでも恥ずかしすぎるでしょうが。もちろん、今日はでない!!
 で、今日は何だったっけ?

「何もない」

 だよね? 何もないよね? じゃあ何!?
 何もないと答える彰伸の様子はいつも通りだと思いたい。多少目が泳いでいるにしても……
 私は彰伸に気付かれないよう、小さく肩を竦めると目の前のゼリーに再び目を落とした。
 ゼリーだ。涼果だ。せっかく冷えてプルプルしている食べ頃のうちにいただかないなんてことはない。それはゼリーに失礼だ。それほど魅力満載だった。だって彰伸が作ったんだよ。
 私は添えられていたデザートスプーンを手に取ると、ゼリーを掬って口に入れた。

「あっ」

 パチパチと口の中ではぜる感触。もちろん強くはなくほんのりだけど。そうだな、パチパチというよりプチプチかな。

「どうだ?」

 彰伸に顔を覗き込まれる。

「うん、美味しいよ。口当たり良いし」

 まずは感想を言ってみる。

「そうか」
「この時期、夏だし、良いんじゃない? シャーベットでさっぱりデザートもありだけど、ゼリーも。あ、でも?」
「なんだ?」
「うーん」

 ちょっとした違和感。ゼリーが透明で涼しげなのに、チョコレートが……

「……チョコレートか」

 なんだ、わかってるじゃない。

「アザランでいいのかな? キラキラ感は悪くないんだけど、チョコじゃないって感じがね。これがゼリーじゃなくてムースならどうだろ。見た目の涼しさはなくなるけど。で、でも美味しいよ! 味はバッチリ」

 私は少し彰伸の顔色を窺いながら、頭に浮かんだことを言ってみる。まずは美味しいのだ。これは間違いない。

「ムースか」

 けれど彰伸はそう口にすると黙ってしまった。
 私、やっちゃった!? 彰伸が求めてたのってこういう答えじゃなかった?

「いや、さすが郁美だ。チョコは俺も思ってたんだよな。スイーツは難しいな。味は当然だが見た目も重要だ」
「もしかして、スイーツ店の新作……とか?」

 私は、ふと思いついて訊ねる。
 オフィス街に出店した『きたみ』のカフェ専門店。「美味しいケーキとお茶の店」だ。
 そのオープン時、彰伸はファミレス『喜多美』の店長業の傍ら、『きたみ』次期社長として関わっていて、忙しい身だった。しかも同じく関わっているカフェ部門の部長さんとあまり宜しくなかったらしく――
 正直、忙しさに加えて対人のストレスで体を壊さなければ良いけれど、と心配したものだ。

「スイーツ店の新作ではないよ。悪いな、郁美。こんな未完成のものを食べさせて」

 彰伸はすまなそうに言う。未完成って――
 さすが郁美だ、と言われたのは嬉しい。でもそれって味見しか役に立ってないってことよね。同じように仕事していているのに、食事を始めとした家事はほとんど彰伸担当。これってけっこう負担だよねえ。
 私が今やすっかり任せてしまっている家事をやれば良い、と思わなくはないけれど、こればっかりは自信がなく。却って不安材料にしかならないだろうな、と思う。
 自分だけなら食事は外食で、コンビニ弁当でもスーパーのお惣菜でもいけるんだけどな。彰伸の美味しい手料理に慣らされた舌がどう反応するか気になるところではあるけど。
 というか『喜多美』に食べに行けば良いし。部屋は少々掃除しなくたって――
 いやいや、そうじゃなくて。

 多分だが、私はだと思う。

 そう、彰伸ができすぎるのだ。この御曹司のハイスペック持ちが、さらに家事まで優秀なんて!!
 と内心で叫んでも虚しいので、私はアドバイスなんて烏滸がましいが、何かないかと記憶を探る。そういえば最近見たファッション誌の特集記事に――

「でも美味しいよ? チョコを取れば良いんじゃないかな? ていうか、お皿に出さずにカップのまま出すとか? あ、そうだ! この季節だもん、スイカとかメロンとか、そうだなグレープフルーツとかオレンジ、中身くり抜いてゼリーの器にするとか」

 私は、どこか気落ちして見える彰伸に、にわか知識を返す。

「いや、そうすると前提が崩れてしまうんだ」
「へ?」

 前提? あれ? どういうこと?

「あ……」
「あ?」

 彰伸は左右に目を揺らした後、おもむろに口を開いた。

「あ、天の川……を模したかったんだ」
「天の川?」

 突然何を? チョコレートと天の川が結び付かない。

七夕たなばた……だからな。まあ? そんな感じで」
「はい? 七夕?」
「ああ、くそっ。やっぱり俺にはその手のセンスがないんだ」

 いつものオレ様な態度は鳴りを潜め彰伸は、悔しそうに軽く握った手を口元に当てて「料理が作れても、盛り付けのセンスがない」と嘆く。

「はい? え?」

 ええー!? センスがない? これまでの料理、充分なんですけど!?
 じゃなくて、ちょっと待ってね? つまり?
 チョコレートとアザランで夜空の星々、天の川に見立て、その真ん中に季節のフルーツの入ったゼリーを置いたという。
 夏のものだから涼しげなゼリーが良いと考えたが、要は夜空を演出する方法が上手くいかなかった。
 私に言わせれば、それなら白い皿じゃなくて、それこそ紺色くらいの皿を使えば良いのにと思う。……いや今は追い打ちをかけそうで口にしないけど。

 でも? 

「七夕か――。何でまた?」

 そもそもはどうして七夕。ああ、そういえば今日は七夕だった――!!

「まあな、星に願いをっていうか。笹に短冊吊るすかとも考えたんだが、料理の方が俺に合ってる気がしてな」
「えっと――? 彰伸ってそんなに七夕好きだっけ?」

 彦星に織姫、年に一回の逢瀬、星に願いを? ちょっと意外な気がした。
 ロマンチスト? でも彰伸ってどちらかというとリアリストな感じよね?

「……お袋がことあるたび言うんだ」

 私が意外性がすぎて理解できず目を瞬かせていると、彰伸がボソリと口にした。

「侑子さん?」

 彰伸のお母さんの侑子さん。そう遠くない未来の義母が一体何を?
 それこそ理解できず私はきょとんと彰伸を見た。

「お袋、七夕にプロポーズされたんだとさ。それを自慢げにね」

 聞くと、それまで曇りで一雨きそうな天気だったとか。それが父親の省吾さんが指輪を取り出し、侑子さんに向けて差し出しプロポーズすると、たちまち雲は消えて空は晴れ、星は瞬き月の光が差し込んだという。
 おそらく話は盛られているのだろうが、七夕の夜に結婚を誓い、そのまま手に手を取って駆け落ちしたという。
 いや、彰伸の両親が駆け落ち婚なのはうちの母親から聞いていたけど! 『きたみ』の創始者である彰伸の祖父、北見氏の一人娘だった侑子さんは省吾さんとの結婚を北見氏に反対され、無理矢理お見合いさせられそうになって駆け落ちを決行。

(今は最初からそうだったように、和解して省吾さんは『きたみグループ』の社長になっているけど)

 それで乗せられたとは?
 私が小首を傾げると、彰伸はわかっているとばかり話し出す。

「自分たちにあやかって幸せになれってさ。とっくにプロポーズしてあるって言っても、聞きやしない。プロポーズの言葉は何回言っても良いし、心に残る演出で大いに盛り上げて特別感をだな――」
「そ、そう……何回言っても……盛り上げて特別感……」

 それはそれで、嬉しいような? 恥ずかしいような?

「だからそういうことならって、郁美好みのスイーツを作って食べさせてやろうと思ったんだが……郁美、チョコ好きだろ?」

 うん、チョコ好き。甘いモノ何でもオッケー、スイーツ大好き。
 なんだけど――!!

「それで七夕にちなんだ創作スイーツなのね――じゃあ、チョコで正解かな」
「え、郁美?」

 今度は彰伸がきょとんとする番だった。

「だって私の好きなもので作ったんでしょ? ゼリーの中のフルーツ、パイナップルもマンゴーも好きよ。桃も」

 使われていたフルーツはどれも好きなものだった。フルーツはたいてい好きだから、何が入っていても喜ぶのだけど。

「葡萄はダイスカットできなかったからな、別で用意した」
「あら」

 そして彰伸は冷蔵庫からチョコがけした黄緑と黒色の葡萄を取り出し、ゼリーの周囲に交互に並べおく。

「皮ごと食べられるやつだ」
「うわっ、うわっ」

 フルーツの宝石箱って叫んでもいい?

 皿が白いから透明なゼリーと中のフルーツの色が映え、室内灯で銀色のアザランがキラキラする。ますます天の川っていう感じではなくなってしまったけど、これはこれでいい。いやむしろこれが良い。

「ね、ね、食べて良い? 良い? 彰伸」
「あ、ああ」

 私は、同じように添えられていたフォークを手にすると迷わずチョコがけの葡萄に刺し、口に運ぶ。

「ふにゃあ、美味しいよ、彰伸」
「あれこれ難しく考えなくても、お前には好きなものを出せば良かったのか」

 そう言ってふっと口もとを緩めた彰伸は、目を細めた。

「美味しいは正義よ」
「そ、そうか。まあ良かったよ。お姫様に満足いただけて」
「ひゃい?」

 お姫様!? 私そんなキャラじゃないんですが? こっぱずかしいからヤメロ。

「じゃあ、最後にこれを」

 食べ終え、スプーンとフォークを並べて置いた私を見て、彰伸が立ち上がった。そのまま空いた皿を片付ける。
 デザートの後はコーヒーかな? と思っていたら違った。

「え? これ?」

 置かれたのはコーヒーカップではなく、掌に収まるほどの水色の小箱。

「ちゃんとエンゲージリングもマリッジリングも用意するが、気軽に普段着けられるものがあっても良いだろう?」
「彰伸」

 これは参った。今日は何の日? 七夕だ。
 私の誕生日でもなく、何かの記念日でもない。
 私はおそるおそる置かれた小箱を手に取り、蓋を開ける。
 出てくるのはもちろん指輪リング。銀色だからプラチナ台。そして天の川のようにメレダイヤが並んだエタニティリングだ。こんなのいつの間に用意したんだろう。
 私はそっとリングを手に取る。そして嵌めようかと思ったら、邪魔が入った。リングを取り上げられたのだ。

「何? 嵌めちゃダメなの?」
「こういうことは俺にさせろ」
「はい?」

 彰伸に左手を掴まえられた私は、中指にリングが嵌っていくのを見ていた。

「さすがに片膝ついて、というのは無理だが」

 訊くと彰伸の友人が、そうやってプロポーズを決行したそうだ。そういうのも経験してみたいと一瞬思ったが、お姫様呼び同様恥ずかしさがきてしまい、私には無理そうだ。

「サイズは大丈夫なようだな。どの指に嵌めても良いらしいんだが、一先ず薬指は空けておく。こっちには二人で選んだ指輪を嵌めたい」
「う、うん」
「来週、知人が言ってたんだが、レイトンホテルでブライダルフェアがあるそうだ」
「ブライダルフェア……」

 知人て、誰? と訊いたら前に女性誌の特集でインタビューを受けたとき知り合ったIT会社の社長らしい。業種が違っても、いやだからこそなのか刺激があって面白いとかで交流を続けているそうだ。

「行くからな。予定しておいてほしい」
「わかった。来週ね」

 そうして目線が交差すると、彰伸の顔が近づいてくる。
 私はふわりと笑むと応えるべく目を閉じた。

 そっか、今日は七夕。
 あとでベランダに出てみようと思った。もちろん彰伸と一緒にだ。
 そんな星が瞬く下で、普段恥ずかしくてなかなか言えないけれど、たまには私から想いを口にしてもいいかもしれない。
 幸せになろうね、彰伸。




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 読んでいただきありがとうございました。
 久しぶりに「郁美&彰伸」の話を届けることができて嬉しいです。
 この「押しかけ嫁はオレ様!?」は、BLを書いてきた私が初めて挑戦したTLもの。いろいろ思い出も深く、担当くださった編集様には、足を向けて寝られませんというか。
(本当にその節はありがとうございました)


※本編その他番外編と時間的齟齬があるかと思いますが、ゆるんゆるんとお見逃しくださいませ。
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