DRAGONS

ぜろせろり

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第4章

42話 不器用でも

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「恐らく、加齢で神龍の圧力に耐えられなくなったんだと思う。...いつか来るとは知っていたけど...やっぱり辛いよね。」

遅れて部屋に入ってきたメルトはそう告げた。

ゴウガとの一件が終わって一安心していた矢先の出来事だった。

サユリはなおも涙を流し、亡き祖母、ココ・レイストンに寄り添う。

「神龍の遣いがいなくなった、ということはその引き継ぎをしなければならない。必然的にそれはサユリちゃんになるんだけど...いまは無理そうだね。」

メルトは椿と宙にそう話しかける。

「...」

椿は黙ってサユリのもとに歩き出す。

それに気づいたサユリは顔を上げ椿を見る。

「いつまで泣いてんだ。ココさんが死んだ以上やらなきゃいけないことは沢山あるだろ。」

椿は言う。

「え、ちょっと椿!!」

宙は椿を止めようとする。
だが、

「...あなたに何が分かるの。」

サユリは再びココの方を向き、怒りと悲しみが混じり合い、掠れてしまった声で告げる。

「あなたに!!婆様をなくしたこの私の悲しみが!!怒りが!!あなたには分かるの!?」

先程とは違い、声を荒らげて叫ぶサユリに対し、

「...分かんねぇよ。」

冷静にそう答えた。

「けどな、時間ってのは止まりも、巻き戻りもしない。どんだけ泣いたって、悔やんだって、『今』は何にも変わんねぇよ。」

それだけ言い放って、椿は部屋から出ていった。

「...」

「あ、あの...」

気まずい空気の中、宙が話し始めた。

「...何かしら。」

「俺が言うのもなんだけど...椿、あれでも励ましてるつもりなんだよね。」

「...」

「ほら、椿。不器用だから、さ。」

「...」

「不器用でも不器用なりに伝えたいんだよ。きっと。」

「...じゃあ、椿は私に何を伝えたいっていうの。」

「分からない。」





「...そう。」







「ああああああ...」

「さっきからなんなんだよぉ、こっちまでため息が出んだろぉ?」

椿はココの部屋を出た後、偶然ガイアに会った。
そして、話を聞いてもらうために屋敷のテラスに向かい、今に至る。

「...すまん。多分、俺の不器用さのせいで誤解させてそうでさ...。」

「サユリかぁ?」

「あぁ...。それはそうと、ガイアは正直今どんな心境なんだ?」

「んまぁ、どうもないってこたぁねぇよ。」

ガイアは声の調子を落として言う。

「でもよぉ、不思議だよなぁ。」

言葉を続ける。

「少し前までは対立してた人間だろうが、いなくなっちまうとよぉ...こんなに...寂しくなっちまうんだから...。」

ガイアはその太い腕で顔を拭う。

「...へへっ...なんてな。俺にはこんなの似合わねぇよな。」

「...いいと思う。」

「あ?」

「大切な人を失うのは、誰でも悲しいことだと思う。...それに、いまは俺とお前の2人だけだ。自分に素直になったほうがいいと思う。」

柔らかく、落ち着いた声で告げる椿。

「...なんだぁ。やればできっじゃねぇか。それだよ、それ。」






「サユリのとこ、もっかい行ってきやがれ...!」
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