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第5章
57話 回り違えた2つの歯車
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「...はぁ?あんたの兄さんを殺したのは魔龍だろ?」
「あぁ...皆そう言ってる。だが、俺はそうではないと確信してる。」
椿は未だマリスに襟を掴まれたままだ。
「...へぇ。んでなんで俺なんだ。」
「...5年前、ヴァンナ・マルク、私の兄さんは戦死した。さっきも言ったように皆はそれが魔龍の仕業だと言う。だけど、そんなことは絶対無い。...ヤツは殺した相手の遺体を残さないからだ。」
「遺体を残さない...?」
「ヤツと戦って死んだ者はいままで1人として遺体が残っていないと伝えられ、一部では滅殺の魔龍と呼ばれたあの魔龍が...私の兄さんに限って遺体を残して殺すとは思えない。」
「...それは分かった。だがそれがなんで俺に繋がるんだっつーの。」
「...黒の刻印。」
「...?」
「兄さんの遺体には黒の刻印...初代滅龍の遣い、アグリ・ローザンの家紋と言われていたものが付けられていた。」
「...なんだそれ...俺は先代の滅龍の遣いなんてのは知らないし、ましてや黒の刻印だかなんだかも全く知らねェよ。」
「...とぼけるな...!!この場所の結界というものは貴様をここに呼び出すためだけの策略に過ぎなかったんだ...!!私は...貴様を殺す。」
壊れた歯車のように2人は噛みあわない意見を主張し合う。
「...へぇ。大変なことに巻き込まれた...ねぇ!!」
椿は襟を掴まれている右手を掴み、それを一気に捻る。
「ぐっ...あぁ!!」
「俺は何も知らない、何もしてない。それだけだ。」
「ふざけるな...滅龍...!!」
すると椿のすぐ後ろの壁に電流が走る。
「おま...その力...」
「あぁ...ここに雷龍の力はない。」
「...!!」
「それも貴様を釣るためだけの罠。そう、今日この日のために作り上げた策略さ。」
「...椿が危ない。」
ミルヘス邸でメルト達と2人の帰りを待っていた宙が突然言った。
「宙?どうしたのかしら。」
「椿の身に危険が迫ってる。そんな気がする。」
「あぁん?なんでそんなことわかんだぁ?」
「親友の勘って感じかな...とにかく、行かなきゃ。」
「あ、待ちなさい!宙!宙!!」
「行っちゃったねー。まぁ、あの子の言うことなら信じてみてもいいんじゃないかな?」
「結界に認識されなければ...いけるかも...ステリア!!」
途端に宙の体は色を失い、最終的に完全に透明と化した。
宙は無事に結界を抜け、
「.........椿!!」
雷龍の力は既に眠っていないヴァンナ・マルクの墓に着いたとき、
距離を置き、椿とマリスは睨み合っていた。
「あぁ...皆そう言ってる。だが、俺はそうではないと確信してる。」
椿は未だマリスに襟を掴まれたままだ。
「...へぇ。んでなんで俺なんだ。」
「...5年前、ヴァンナ・マルク、私の兄さんは戦死した。さっきも言ったように皆はそれが魔龍の仕業だと言う。だけど、そんなことは絶対無い。...ヤツは殺した相手の遺体を残さないからだ。」
「遺体を残さない...?」
「ヤツと戦って死んだ者はいままで1人として遺体が残っていないと伝えられ、一部では滅殺の魔龍と呼ばれたあの魔龍が...私の兄さんに限って遺体を残して殺すとは思えない。」
「...それは分かった。だがそれがなんで俺に繋がるんだっつーの。」
「...黒の刻印。」
「...?」
「兄さんの遺体には黒の刻印...初代滅龍の遣い、アグリ・ローザンの家紋と言われていたものが付けられていた。」
「...なんだそれ...俺は先代の滅龍の遣いなんてのは知らないし、ましてや黒の刻印だかなんだかも全く知らねェよ。」
「...とぼけるな...!!この場所の結界というものは貴様をここに呼び出すためだけの策略に過ぎなかったんだ...!!私は...貴様を殺す。」
壊れた歯車のように2人は噛みあわない意見を主張し合う。
「...へぇ。大変なことに巻き込まれた...ねぇ!!」
椿は襟を掴まれている右手を掴み、それを一気に捻る。
「ぐっ...あぁ!!」
「俺は何も知らない、何もしてない。それだけだ。」
「ふざけるな...滅龍...!!」
すると椿のすぐ後ろの壁に電流が走る。
「おま...その力...」
「あぁ...ここに雷龍の力はない。」
「...!!」
「それも貴様を釣るためだけの罠。そう、今日この日のために作り上げた策略さ。」
「...椿が危ない。」
ミルヘス邸でメルト達と2人の帰りを待っていた宙が突然言った。
「宙?どうしたのかしら。」
「椿の身に危険が迫ってる。そんな気がする。」
「あぁん?なんでそんなことわかんだぁ?」
「親友の勘って感じかな...とにかく、行かなきゃ。」
「あ、待ちなさい!宙!宙!!」
「行っちゃったねー。まぁ、あの子の言うことなら信じてみてもいいんじゃないかな?」
「結界に認識されなければ...いけるかも...ステリア!!」
途端に宙の体は色を失い、最終的に完全に透明と化した。
宙は無事に結界を抜け、
「.........椿!!」
雷龍の力は既に眠っていないヴァンナ・マルクの墓に着いたとき、
距離を置き、椿とマリスは睨み合っていた。
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