(超)自然科学部にようこそ!

稲葉海三

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6.水瀬の告白

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「これがわたしの能力。ほとんど使い道がないけど、防犯には役に立つかな」
「なるほど、なにかあれば『テレパシー』で助けを呼べばいいしな」

 水瀬は首からペンダントを外して、手に持つ。

「フツーの超能力者は、能力を自由に使うには、この『サイキックストーン』が必要なの。わたしはこれがなければ、すごく近づかないと、言葉を伝えられないよ」
「へー、すごい石だなぁ」

 オレは感心したように、水瀬が手にしている青い石を見つめる。
 そこで、思いついた。

「あのさ、ひょっとして、オレの超能力がすっげー弱いのって、その石がないせい?」

 水瀬はうなずく。

「そうだと思う。ただ、弱いとはいえ、『サイキックストーン』がないのに、複数の能力が使える朝丘くんは、実はすっごく強い超能力者なのかもしれないの」

 水瀬の言葉に、オレは足もとの小石を拾って笑った。 

「オレの能力が強い? がんばっても、こんな小石も持ち上げられないんだぞ」
「うん、今の状態ではそうだよ。ためしに、この『サイキックストーン』を身につけて、『サイコキネシス』を使ってみて」
 そう言うと、水瀬がペンダントを手わたしてきた。

「……わかった。やってみる」

 半信半疑だったが、ひょっとしたらという気持ちもある。
 水瀬から受け取ったペンダントを首にかけて、うしろでつけようとしたが、チェーンがうまくかからない。
 首のうしろで、カチャカチャとやっていると、

「あ、わたしがやるね」
「……頼む」

 ペンダントというのは意外とつけるのってむずかしい。
 大人しく水瀬につけてもらうことにした。

「まずは、あの岩を持ち上げてみて」

 水瀬は河原に転がっていた、サッカーボールより大きな岩を指さす。
 とても重そうである。
 いつものオレのサイコキネシスでは、ピクリとも動かないだろう。

「あんなの……ムリだ」
「たぶん、できるんじゃないかな。まずは、やってみて」
「……わかったよ」

 水瀬が自信満々に言うので、岩に向かってサイコキネシスを使ってみる。

「えええええええっ!」

 思わず大きな声が出た。
 なんと、岩がフワフワと浮いているのだ。
 サイコキネシスの使い方も、いつもみたいに力いっぱい動かそうとするのではない。
 ほとんど力を入れず、それこそ、手で小石を持ち上げるような軽さである。
 その状態で、岩を空中で上下左右とオレの思い通りに動かせた。

(ひょっとして、この岩って見た目よりも軽いのか?)

 そう思って、空中に浮いた状態でサイコキネシスをやめてみる。
 すると、岩が地面に勢いよく落ちて、ドスンとものすごい音をたてる。
 やっぱり、かなり重いようであった。

「……あの、気をつけてよ。わたしたちの頭の上から落としてたら、大ケガじゃすまないから」
「ごめん。気をつける」

 オレはいつも、超能力を使うと穴の空いたバケツで水をくむような感覚であった。
 バケツにまんぱいの水をくもうとしても、穴から水がドボドボともれてしまう。
 いくら水をくもうとしても、バケツの中にはほんのちょっとしか水が残っていないのだ。
 
 でも、今は穴のないバケツで水をくんでいる感じだ。
 持ち上げても、バケツの中には、まんぱいの水が入っている。
 このまんぱいの水を使えば、どんな超能力も使える気がした。
 しかも、いくら超能力を使っても、つかれもしないしお腹がへることはない。

「すげーな、この『サイキックストーン』ってやつは……」

 まだ信じられない気持ちであった。
 五百円玉を持ち上げるのも、サイコロを転がすのにも苦労していたサイコキネシスが、重い岩を持ち上げて自由自在に動かせたのだから。

(これさえあれば……)

 そう思ったところで、オレはブルブルと首をふる。
 あわててペンダントを外して、水瀬に返した。

「なるほど、よくわかった。いろいろ教えてくれてありがとな」
「もういいの? もっといろんな能力をためしてもいいよ」

 水瀬にそう言われても、オレは手をふって断った。

「いや、もういい。十分だ。これ以上、超能力を好き放題使うと、ペンダントを返したくなくなっちまう。それに、タマキとの約束もあるしな」
「やっぱり、朝丘くんに超能力のことを話してよかったよ」

 ペンダントを首につけながら、水瀬はニッコリと笑った。

「今日のデートってのは、このことを話したかったからか?」

 オレの言葉に、水瀬は大きくうなずいた。

「うん、そうだよ。今日一日いっしょにいて、朝丘くんがどういう人か見てたんだ。悪い人に『サイキックストーン』のことを教えたら、大変なことになるからね。でも、小さな子を一生懸命助けようとしていた朝丘くんを見て、この人は絶対に、超能力を悪いことに使わないって確信したんだ」

 水瀬のまっすぐな視線に落ちつかなくて、オレは顔をそらした。

「オレ、そんなにいいやつじゃねえって。あいつらのこと、クソガキって思ってたぞ。すげえ口悪くて、むかついたし」
「だけど、ケガしないように助けてあげたし、ボールも取ってあげたよね。朝丘くんは、お人よしだなー、って思ったよ」

 水瀬はクスクスと笑う。

「普段は、超能力に頼るべきではないって考え方は、わたしも賛成かな。でも、本当に困ったことがあれば『サイキックストーン』を貸すから、相談してね」
「ああ。そのときは頼む」

 水瀬のおかげで、超能力について新しいことが、いろいろとわかった。
 明日、長谷川先生に教えてあげよう。

「……また、遊びに誘っていいか? もっと超能力のことも聞きたいし、水瀬とも遊びたい。今度はタマキも呼んでさ」

 オレがそう言うと、水瀬は少し驚いた顔をした。
 そして、うれしそうにうなずいた。

「うん、もちろん!」

(よっしゃぁああ!)

 水瀬の返答に、オレが内心でガッツポーズをとっていると、  

「タクヤぁああああああああ! 大変だよぉおおおおおおおお!」

 タマキの大きな声が、とびこんできた。
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