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白ギャル黒ギャル戦争
怪しい男と幽霊の行列
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野外スタジオに設置されている椅子に座っている人を一心不乱に撮影している愛華ちゃんを見て私は一瞬で固まってしまった。千秋も固まってしまって言葉が出ないようだ。
「あのおじさんって大丈夫なのかな。瞬きもしないし口も半開きで時々痙攣して要るっぽいんだけど、あんなのを撮って愛華ちゃんは大丈夫なのかな?」
「大丈夫じゃないかな。あの人は愛華ちゃんが守ってるから気にしなくても良いと思うよ」
「そういう事なんだ。よくわからないけど、あんたがそう言うんだったら大丈夫なんだろうね。何が起きているのか私にもわかるように教えてもらってもいいかな?」
どう説明するのが一番わかってもらえるんだろう。幽霊が行列を作って一人ずつこのおじさんの事を噛んでいると言っても理解してもらえるのだろうか。おじさんを噛むための幽霊の行列が学校まで延々と続いているといったところで信じてもらえるのだろうか。千秋はきっと私の言ったことを全部信じてくれるとは思うけど、私の方が見えているものが本当なのか信じられなかった。
私が見ていることをそのまま千秋に伝えてみた。千秋は何の疑いもなく私の説明を受け入れてくれたのだけど、見ただけではわからないことがあるのだ。あの男の人がいったい誰なんだろうという疑問が私たちの間に浮かんでいた。
「あの座っている人が誰なのか気になってるみたいだね。うすうす感づいてはいると思うけど、彼が土山久雄。中田博臣側の霊能力者だね。まあ、霊能力者と言っても正式に誰かのもとで修業したわけでもないし、他の人よりも幽霊の事がハッキリ見えて意思の疎通もそれなりに出来るってだけの人さ。ごく稀に存在する何もしてなくても幽霊の姿が見えてコミュニケーションをとることが出来るタイプの人間なんだよ。多分、茜ちゃんも彼と同じでいつからか幽霊が見えるようになってたんじゃないかな。そのままでも大半の人は問題なく暮らしていくことが出来ると思うんだけど、栗宮院午彪と奈緒美夫妻のように職業としてやっていくんだとしたらそれなりに修行もしないといけないんだ。今みたいに彼の事を多くの幽霊が一噛みしているのだってちゃんと修業していれば避けられる事態ではあるんだけど、彼はその方法を知らないんだよ。その点が先天的に能力を持っている人の弱みだったりするんだよね。茜ちゃんもどうやったらあの状況を抜け出すのか知らないでしょ?」
「全然わからないです。何の見当もつきません」
「だろうね。あの状況までいっちゃったら抜け出すのは容易ではないんだよ。そんな時はどうすればいいと思うかな?」
清澄さんの質問に対する答えは出てこなかった。私があの人と同じ状況になったとして、どんなに頑張っても抜け出せる方法が見つからない。多くの幽霊があの人の事を強い力で押さえて付けている事もあって一切身動きが取れなくなっているのだ。噛まれる瞬間だけ動けるようになってはいるようなのだけど、それはそれで辛い状態だと思う。
「たぶん答えとして間違ってると思うんですけど、幽霊に襲われるのがわかっているんだったとしたらここには来ないと思います。なんだかんだ理由をつけて関わらないように遠くへ逃げちゃうと思います」
「なるほど。確かにそれは良い選択かもしれないね。でも、いつまでも逃げられ続けるとは限らないよね。相手に自分の事がバレている状況だとすると、何らかの手段を使ってどこにいるのか探したりも出来るんだよ。その辺にいる幽霊の視界を繋いでどこに隠れているか調べることが出来る力を持ってる人もいるんだからね。ちなみに、うちの愛華は隊長にもよるんだけど、この辺にいる幽霊を集めて簡単な命令をすることが出来るんだよ。今みたいに一口噛んで行けって命令も出来たりするんだよ。ちょっと怖いよね」
「幽霊に噛まれると何か良くないことが起こったりするんですか?」
「どうなんだろうね。噛んだ幽霊にもよると思うんだけど、今回の場合は何か力を持った特殊な幽霊がいるわけでもないんで、噛まれたところがただただ不愉快という事になるんじゃないかな。ただ、これだけの数の幽霊に噛まれるというのは相当なストレスだと思うけどね。僕だったら発狂して叫び続けてしまってるかもしれないよ。彼みたいに自分の心を殺すってのはとてもじゃないけど真似できないね」
「それで、どうやったらあの状況にならないように出来るんですか?」
「彼がここに来た時点ではまだあの状況になることは確定していなかったんだ。その理由として、彼はここに来るまでの間に幽霊の行列を見ているのでそれに対して自分の身を守る手段をとることが出来たんだ。例えば、幽霊が入れない結界を自分の周りに作っちゃうとか、幽霊に自分の姿を見えないようにするとかね。これは霊能力者としてとても初歩的な行動で幽霊と対峙する際には誰もが行う事なんだよ。でも、彼みたいな天然能力者はそう言ったことを誰からも教えて貰っていないんで対策が出来ていないのかもね。それに、彼みたいにある程度の幽霊とは普通にコミュニケーションが取れている感じだと余計に自分が襲われる立場になるなんて思ってもみなかったんじゃないかな。ただ、あの車に憑いている幽霊を見てどうすることも出来ないと思って焦ってここに来たってのもあるんだろうけど、どうすることも出来ない状況になった時こそ自分の立ち位置を冷静に見つめなおして誰かに相談するべきだったんだよね。この街には幸いなことに栗宮院夫妻がいるんだからあの車の幽霊くらいどうにでも出来たと思うんだけど、彼自身が関わっていることがかなり後ろめたい気持ちになるようなことだったんで助けを求めに行けなかったんじゃないかな。それに、彼が直接関わっている事ではないにしても、栗宮院うまなをどうにかしようって思ってる仲間がいることがバレたら大変なことになるとでも思ったのかもね」
「そんなことが出来るんだったらあんたもやり方教えて貰った方が良いんじゃない?」
千秋の言ってる通り私もちゃんとした人に色々と教えて貰った方が良いんだろうな。今まではたまたま運が良かっただけで命にかかわるような出来事が無かっただけかもしれないし、今後もそうそう運が良いことが続くはずもないというのはわかっている。だからこそ詳しく教えて貰いたいことがあるんだけど、今は時間も無いことだし愛華ちゃんや清澄さんに助けてもらう事にしよう。
「あのおじさんって大丈夫なのかな。瞬きもしないし口も半開きで時々痙攣して要るっぽいんだけど、あんなのを撮って愛華ちゃんは大丈夫なのかな?」
「大丈夫じゃないかな。あの人は愛華ちゃんが守ってるから気にしなくても良いと思うよ」
「そういう事なんだ。よくわからないけど、あんたがそう言うんだったら大丈夫なんだろうね。何が起きているのか私にもわかるように教えてもらってもいいかな?」
どう説明するのが一番わかってもらえるんだろう。幽霊が行列を作って一人ずつこのおじさんの事を噛んでいると言っても理解してもらえるのだろうか。おじさんを噛むための幽霊の行列が学校まで延々と続いているといったところで信じてもらえるのだろうか。千秋はきっと私の言ったことを全部信じてくれるとは思うけど、私の方が見えているものが本当なのか信じられなかった。
私が見ていることをそのまま千秋に伝えてみた。千秋は何の疑いもなく私の説明を受け入れてくれたのだけど、見ただけではわからないことがあるのだ。あの男の人がいったい誰なんだろうという疑問が私たちの間に浮かんでいた。
「あの座っている人が誰なのか気になってるみたいだね。うすうす感づいてはいると思うけど、彼が土山久雄。中田博臣側の霊能力者だね。まあ、霊能力者と言っても正式に誰かのもとで修業したわけでもないし、他の人よりも幽霊の事がハッキリ見えて意思の疎通もそれなりに出来るってだけの人さ。ごく稀に存在する何もしてなくても幽霊の姿が見えてコミュニケーションをとることが出来るタイプの人間なんだよ。多分、茜ちゃんも彼と同じでいつからか幽霊が見えるようになってたんじゃないかな。そのままでも大半の人は問題なく暮らしていくことが出来ると思うんだけど、栗宮院午彪と奈緒美夫妻のように職業としてやっていくんだとしたらそれなりに修行もしないといけないんだ。今みたいに彼の事を多くの幽霊が一噛みしているのだってちゃんと修業していれば避けられる事態ではあるんだけど、彼はその方法を知らないんだよ。その点が先天的に能力を持っている人の弱みだったりするんだよね。茜ちゃんもどうやったらあの状況を抜け出すのか知らないでしょ?」
「全然わからないです。何の見当もつきません」
「だろうね。あの状況までいっちゃったら抜け出すのは容易ではないんだよ。そんな時はどうすればいいと思うかな?」
清澄さんの質問に対する答えは出てこなかった。私があの人と同じ状況になったとして、どんなに頑張っても抜け出せる方法が見つからない。多くの幽霊があの人の事を強い力で押さえて付けている事もあって一切身動きが取れなくなっているのだ。噛まれる瞬間だけ動けるようになってはいるようなのだけど、それはそれで辛い状態だと思う。
「たぶん答えとして間違ってると思うんですけど、幽霊に襲われるのがわかっているんだったとしたらここには来ないと思います。なんだかんだ理由をつけて関わらないように遠くへ逃げちゃうと思います」
「なるほど。確かにそれは良い選択かもしれないね。でも、いつまでも逃げられ続けるとは限らないよね。相手に自分の事がバレている状況だとすると、何らかの手段を使ってどこにいるのか探したりも出来るんだよ。その辺にいる幽霊の視界を繋いでどこに隠れているか調べることが出来る力を持ってる人もいるんだからね。ちなみに、うちの愛華は隊長にもよるんだけど、この辺にいる幽霊を集めて簡単な命令をすることが出来るんだよ。今みたいに一口噛んで行けって命令も出来たりするんだよ。ちょっと怖いよね」
「幽霊に噛まれると何か良くないことが起こったりするんですか?」
「どうなんだろうね。噛んだ幽霊にもよると思うんだけど、今回の場合は何か力を持った特殊な幽霊がいるわけでもないんで、噛まれたところがただただ不愉快という事になるんじゃないかな。ただ、これだけの数の幽霊に噛まれるというのは相当なストレスだと思うけどね。僕だったら発狂して叫び続けてしまってるかもしれないよ。彼みたいに自分の心を殺すってのはとてもじゃないけど真似できないね」
「それで、どうやったらあの状況にならないように出来るんですか?」
「彼がここに来た時点ではまだあの状況になることは確定していなかったんだ。その理由として、彼はここに来るまでの間に幽霊の行列を見ているのでそれに対して自分の身を守る手段をとることが出来たんだ。例えば、幽霊が入れない結界を自分の周りに作っちゃうとか、幽霊に自分の姿を見えないようにするとかね。これは霊能力者としてとても初歩的な行動で幽霊と対峙する際には誰もが行う事なんだよ。でも、彼みたいな天然能力者はそう言ったことを誰からも教えて貰っていないんで対策が出来ていないのかもね。それに、彼みたいにある程度の幽霊とは普通にコミュニケーションが取れている感じだと余計に自分が襲われる立場になるなんて思ってもみなかったんじゃないかな。ただ、あの車に憑いている幽霊を見てどうすることも出来ないと思って焦ってここに来たってのもあるんだろうけど、どうすることも出来ない状況になった時こそ自分の立ち位置を冷静に見つめなおして誰かに相談するべきだったんだよね。この街には幸いなことに栗宮院夫妻がいるんだからあの車の幽霊くらいどうにでも出来たと思うんだけど、彼自身が関わっていることがかなり後ろめたい気持ちになるようなことだったんで助けを求めに行けなかったんじゃないかな。それに、彼が直接関わっている事ではないにしても、栗宮院うまなをどうにかしようって思ってる仲間がいることがバレたら大変なことになるとでも思ったのかもね」
「そんなことが出来るんだったらあんたもやり方教えて貰った方が良いんじゃない?」
千秋の言ってる通り私もちゃんとした人に色々と教えて貰った方が良いんだろうな。今まではたまたま運が良かっただけで命にかかわるような出来事が無かっただけかもしれないし、今後もそうそう運が良いことが続くはずもないというのはわかっている。だからこそ詳しく教えて貰いたいことがあるんだけど、今は時間も無いことだし愛華ちゃんや清澄さんに助けてもらう事にしよう。
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