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第9話 転送ゲートは簡単には使えない
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工藤太郎がいる世界に行くための転送ゲートはサキュバスサイドの了承を得てから出ないと使用することが出来ない。
異世界に行くことが出来るゲートを自由に使う事は向こう側からの侵略を容認するという事にもなりかねない。そんな理由があって使用には教員職員の過半数から利用許可を得る必要があるのだ。
イザーが工藤太郎を助けに行くために転送ゲートを使用するという事に対して教員職員の過半数が利用許可を出すとは考えられないし、仮に過半数が利用許可を出したとしても最終的な判断を下す立場の理事長が許可を出すことはあり得ないのだ。工藤太郎が早い段階で戻ってくるという事はサキュバスにとって良いことが一つもなく、デメリットの方が大きいからそれも仕方ないと言えよう。
「だから、イザーちゃんがどれだけ頑張ったところで転送ゲートは使えません。過半数の許可を得たとしても、お父さんに頼んで不許可にしてもらうもんね。イザーちゃんが呪いに困っていてソレを助けてもらった恩があるとはいえ、私たちもはいそうですね頑張ってきてくださいね。なんて言えるわけないよね。だって、太郎ちゃんが戻ってきたら私たちが珠希ちゃんとデートする邪魔をされちゃいそうだし」
「珠希ちゃんとのデートの邪魔なんてさせないよ。私も珠希ちゃんとデートしたいけど、今回はうまなちゃんに譲ることにするよ。それに、私たちが魔王を倒しても三日間くらいは向こうの世界を観光してくると思うし。そもそもさ、魔王を倒すような人を向こうの人だってすぐには返そうとしないでしょ。うまなちゃんだって自分が倒せないような魔王を倒してくれた人がいたら感謝とか伝えて宴会とかするんじゃない?」
「それはそうだけど、イザーちゃんが太郎ちゃんの手伝いをしたら二時間以内に魔王を倒して宴会になってそうだもん」
「まあ、その可能性はあるかもしれないけどさ、私は今回に限っては本当にうまなちゃんを応援してるんだからね。珠希ちゃんと海でデートするってのを私もしてみたかったけど」
「でも、すぐに魔王を倒して帰ってきたら珠希ちゃんとデートしようとするでしょ?」
「そんなことしないよ。すぐに帰ってきたとしても、今回は私が珠希ちゃんとのデート相手に立候補しないし。次回からはちゃんと本気で挑むけどね」
「そうは言うけどさ、向こうの世界に行けないんだったら珠希ちゃんとのデートにイザーちゃんも立候補しちゃうんじゃないの?」
「だから、今回に限っては立候補しないって。私は太郎ちゃんを助けに行ってるからデートすること自体が無理なんだよ」
「でもでも、イザーちゃんは異世界に行くための転送ゲートを使うことが出来ないんだからこっちの世界に残るって事だし、そうなると珠希ちゃんとのデートに参加表明しちゃうって事になるんじゃないの?」
何度も続くその問答はお互いに考えていることが異なっているという事もあって意見がすりあわされることはなかった。
栗宮院うまなはイザーが転送ゲートを使って異世界に行くことは出来ないと思っているし、イザーは転送ゲートを使って工藤太郎を助けに行くと思い込んでしまっている。
「イザーちゃんがサキュバスの歴史が始まって以来最高のサキュバスで何でも出来るのは知ってるけど、そんなイザーちゃんだったとしても、異世界に行くためには転送ゲートを使わないと太郎ちゃんを助けに行けないのになんでそんなに自信を持って言えるの?」
「うまなちゃんの言う通りで、私は“転送しちゃう門”を使わないと他の世界に行くことは出来ないよ。だから、私は“転送しちゃう門”を使うってだけの話なんだけど」
「転送ゲートを使うって言ってるけどさ、それを使うための手続きは出来ないって話なんだよ。イザーちゃんがいくら強くて凄いサキュバスでも、許可なんて出すはずがないんだって。みんなサキュバスなんだし、レジスタンスの助けになるようなことはしてほしくないって思ってるんだよ」
「うまなちゃんの気持ちはわかるよ。私だってサキュバスの一員だしみんなと同じ考えなんだよ。でもね、私はちょっと前までわけのわからない呪いに怯えて何も出来ないような状態だったんだ。それを助けてくれたのはレジスタンスの人達なんだし、そのレジスタンスの人達が一番叶えて欲しい願いを叶えるお手伝いを出来るのにしないなんて、私にはとても出来ないよ。うまなちゃんだってさ、自分を助けてくれた人が困っていて、それを自分なら解決出来るって思ったら手伝おうって思うよね。そこにサキュバスとかレジスタンスとかは関係ないんじゃないかな。うまなちゃんだったら、この気持ちを理解してもらえると思うんだけど、わかってもらえないかな?」
「イザーちゃんの言ってることは理解出来るよ。あんなに弱ってるイザーちゃんを見たのは初めてだったし、本当に困ってるってのはわかってたよ。それに、私たちじゃあの時のイザーちゃんを救うことは出来ないってのも理解はしているよ。だけど、それを救ってくれたからってサキュバス全体の損失になるようなことはしてほしくないな。転送ゲートをイザーちゃんが使うための審理だってしてほしくない」
「大丈夫。うまなちゃんにも他のサキュバスにも迷惑なんてかけないよ。私が“転送しちゃう門”を使う事に許可なんて出してもらう必要ないし」
「それって、どういう意味?」
「だって、あの“転送しちゃう門”をココに持ってきたのは私だからね。と言うか、この世界に私が時からずっと私に使用の優先権があるんだけどな。うまなちゃんってそのあたりは何も聞いてなかったのかな?」
異世界に行くことが出来るゲートを自由に使う事は向こう側からの侵略を容認するという事にもなりかねない。そんな理由があって使用には教員職員の過半数から利用許可を得る必要があるのだ。
イザーが工藤太郎を助けに行くために転送ゲートを使用するという事に対して教員職員の過半数が利用許可を出すとは考えられないし、仮に過半数が利用許可を出したとしても最終的な判断を下す立場の理事長が許可を出すことはあり得ないのだ。工藤太郎が早い段階で戻ってくるという事はサキュバスにとって良いことが一つもなく、デメリットの方が大きいからそれも仕方ないと言えよう。
「だから、イザーちゃんがどれだけ頑張ったところで転送ゲートは使えません。過半数の許可を得たとしても、お父さんに頼んで不許可にしてもらうもんね。イザーちゃんが呪いに困っていてソレを助けてもらった恩があるとはいえ、私たちもはいそうですね頑張ってきてくださいね。なんて言えるわけないよね。だって、太郎ちゃんが戻ってきたら私たちが珠希ちゃんとデートする邪魔をされちゃいそうだし」
「珠希ちゃんとのデートの邪魔なんてさせないよ。私も珠希ちゃんとデートしたいけど、今回はうまなちゃんに譲ることにするよ。それに、私たちが魔王を倒しても三日間くらいは向こうの世界を観光してくると思うし。そもそもさ、魔王を倒すような人を向こうの人だってすぐには返そうとしないでしょ。うまなちゃんだって自分が倒せないような魔王を倒してくれた人がいたら感謝とか伝えて宴会とかするんじゃない?」
「それはそうだけど、イザーちゃんが太郎ちゃんの手伝いをしたら二時間以内に魔王を倒して宴会になってそうだもん」
「まあ、その可能性はあるかもしれないけどさ、私は今回に限っては本当にうまなちゃんを応援してるんだからね。珠希ちゃんと海でデートするってのを私もしてみたかったけど」
「でも、すぐに魔王を倒して帰ってきたら珠希ちゃんとデートしようとするでしょ?」
「そんなことしないよ。すぐに帰ってきたとしても、今回は私が珠希ちゃんとのデート相手に立候補しないし。次回からはちゃんと本気で挑むけどね」
「そうは言うけどさ、向こうの世界に行けないんだったら珠希ちゃんとのデートにイザーちゃんも立候補しちゃうんじゃないの?」
「だから、今回に限っては立候補しないって。私は太郎ちゃんを助けに行ってるからデートすること自体が無理なんだよ」
「でもでも、イザーちゃんは異世界に行くための転送ゲートを使うことが出来ないんだからこっちの世界に残るって事だし、そうなると珠希ちゃんとのデートに参加表明しちゃうって事になるんじゃないの?」
何度も続くその問答はお互いに考えていることが異なっているという事もあって意見がすりあわされることはなかった。
栗宮院うまなはイザーが転送ゲートを使って異世界に行くことは出来ないと思っているし、イザーは転送ゲートを使って工藤太郎を助けに行くと思い込んでしまっている。
「イザーちゃんがサキュバスの歴史が始まって以来最高のサキュバスで何でも出来るのは知ってるけど、そんなイザーちゃんだったとしても、異世界に行くためには転送ゲートを使わないと太郎ちゃんを助けに行けないのになんでそんなに自信を持って言えるの?」
「うまなちゃんの言う通りで、私は“転送しちゃう門”を使わないと他の世界に行くことは出来ないよ。だから、私は“転送しちゃう門”を使うってだけの話なんだけど」
「転送ゲートを使うって言ってるけどさ、それを使うための手続きは出来ないって話なんだよ。イザーちゃんがいくら強くて凄いサキュバスでも、許可なんて出すはずがないんだって。みんなサキュバスなんだし、レジスタンスの助けになるようなことはしてほしくないって思ってるんだよ」
「うまなちゃんの気持ちはわかるよ。私だってサキュバスの一員だしみんなと同じ考えなんだよ。でもね、私はちょっと前までわけのわからない呪いに怯えて何も出来ないような状態だったんだ。それを助けてくれたのはレジスタンスの人達なんだし、そのレジスタンスの人達が一番叶えて欲しい願いを叶えるお手伝いを出来るのにしないなんて、私にはとても出来ないよ。うまなちゃんだってさ、自分を助けてくれた人が困っていて、それを自分なら解決出来るって思ったら手伝おうって思うよね。そこにサキュバスとかレジスタンスとかは関係ないんじゃないかな。うまなちゃんだったら、この気持ちを理解してもらえると思うんだけど、わかってもらえないかな?」
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「大丈夫。うまなちゃんにも他のサキュバスにも迷惑なんてかけないよ。私が“転送しちゃう門”を使う事に許可なんて出してもらう必要ないし」
「それって、どういう意味?」
「だって、あの“転送しちゃう門”をココに持ってきたのは私だからね。と言うか、この世界に私が時からずっと私に使用の優先権があるんだけどな。うまなちゃんってそのあたりは何も聞いてなかったのかな?」
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