百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎

文字の大きさ
125 / 127
おパンツ戦争

第125話 その結果になるのは仕方ないよ

しおりを挟む
 放送室には無数のカメラが設置されており、学校内限定ではあるもののリアルタイムで配信されていた。
 生徒たちは放送室でのやり取りを投票で使用したタブレット端末で見ることが出来るのだ。
 覆面を被った怪しい女性が入ってきた四人を指定の場所に案内していた。それぞれの正面にカメラがあって視聴している側は好きなカメラを選ぶことが出来るのだが、ほとんどの人が工藤珠希を選択していて工藤太郎を選んでいる者は誰もいなかった。

「うまなちゃんとイザーちゃんはそれぞれの派閥の代表として、珠希ちゃんはこのアンケートの結果を受けてどう思うのかの答えを聞かせてもらうために来てもらったよ。太郎ちゃんは、珠希ちゃんが一人だと不安かもしれないと思っておまけとしてついてきてもらったって感じかな。さっそく、アンケートの結果なんだけど、みんなが本音で答えてくれたおかげで想像していたものと違った結果になったわ。心の準備が出来たらタブレット端末にある投票結果のボタンを押してね」

 栗宮院うまなとイザーは緊張しているのか画面が消灯した状態のままでタブレット端末を見つめていた。投票結果のボタンを押せば全てが決まる。そう思うと、最後の一歩を踏み出せないでいたのかもしれない。

 工藤太郎は特に気にする様子もなく、タブレット端末を操作して結果を見ているようなのだが、何のリアクションも無い栗宮院うまなとイザーの様子を見守っていた。

 工藤珠希はどんな結果になろうと気にしないつもりではいたのだが、多くの人が自分のために投票したという事の重さを実感してしまい、投票結果のボタンを押すことが出来ずにいた。
 結果を見たところで何も感じるものはないはずなのに、あまりにも多くの期待と不安を感じていたのだ。
 どうでもいいと思ってはいるのに、多くの人の気持ちを感じて固まってしまっていたのだ。

「今までうまなちゃんとイザーちゃんが頑張っていたのは知っているよ。結果を見るのは怖いのかもしれないけど、この結果で全てが決まるわけじゃないからね。あくまでも、このアンケートは珠希ちゃんに穿いてほしいおパンツをみんなで決めるってだけのものだから。自分の思いに反した結果だったとしても、珠希ちゃんに対して説得をするなっていう事じゃないって言うのはわかって欲しいな。だから、今までみんなと頑張ってきたという証なんだからね、そんなに気負って考えなくてもいいんじゃないかな」
「俺が言うような事じゃないけど、そこまで重く受け止めなくてもいいと思うよ。うまなちゃんもイザーちゃんもこのアンケートの結果くらいで意見は変わったりしないでしょ?」

 栗宮院うまなとイザーは見つめあった後に小さく頷くと、同じタイミングで投票結果のボタンを押していた。
 すぐに表示される結果を見て二人は表情を崩して困惑しているのが見て取れたのだが、工藤珠希は二人に続いて投票結果を見たのでその理由をすぐに知ることとなった。


 投票結果

 水色の可愛らしいおパンツ     十四票

 ピンクのセクシーなおパンツ    十七票

 その他          四千三百十四票

 無効票               一票


「ちょっと待って、その他っていったいどういう事なの?」
「水色よりもピンクの方が多いってのは嬉しいんだけど、その他って何?」

 覆面の女性が設置されているスクリーンに投票結果を表示していた。
 みんなが見ているものと同じものなのだが、その他の項目についての詳細が記載されているようだ。
 工藤珠希はそれを見ようと目を凝らしたのだが、あまりにも小さい文字で書かれているため読み取ることは出来なかった。

「なるほど。そういう事なんだね。でも、その結果になるのは仕方ないよ。うまなちゃんもイザーちゃんも色々と頑張ってはいたみたいだけれど、ここ数日の珠希ちゃんの行動を見ていたら、こんな結果になるのも仕方ないよね」
「どういう事? 太郎はあの文字が読めるの?」
「読めるよ。ドクターポンピーノがやってるみたいにその他をクリックすれば表示されるでしょ。それを拡大すればいいだけだよ」

 言われたことを実践した工藤珠希はその他の詳細を見て自分の愚かさを思い知った。
 油断していたという事は無いのだけれど、自分が軽い気持ちで行ったことがこんなに結果に反映されるという恐ろしさを痛感していた。

「でも、私はその他に投票した人の気持ちがわかるな。実は、私もその他にしようか悩んでたんだよね。いっしょに戦ってくれた愛華ちゃんをはじめとするみんなの顔が浮かんでそうは出来なかったけど」
「イザーちゃんと一緒で私もその他にしようかなって思ってたよ。でも、何となくこんな結果になるんじゃないかなとは感じてたんだよね。とはいってもさ、ここまで圧倒的な投票になるとは思わなかったよ。零楼館高校以外で珠希ちゃんがブルマを穿いて何かしてたことってないよね?」
「無い無い、ボクはブルマを穿くようになってから学校と家の往復をしただけだよ。どこかに買い物や遊びに行くときも私服だったし、野生のサキュバスと会った時も私服だったよ。口コミだけでこんなに人がるはずが無いと思うんだけど」

「それなんだけど、みんなのために俺が撮影した動画が中学校で流行っちゃったみたい。珠希ちゃんが嬉しそうにブルマを見せてるのと、恥ずかしそうに見せてるのを編集したのがあったんだ。ドクターポンピーノにこんなのが出来たよって見せたんだけど」

 全員の視線が覆面の女性に注がれていたのだが、その女性は全く気にする様子もなくアンケート結果の説明をしようとしていたのだ。

「ちょっと待って、ポンピーノ先生がこのアンケートの結果を操作したって事なんですか?」
「さあ、どうだろうね。ちなみに、私はドクターポンピーノではなく、ただの覆面司会者さ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...