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序章
第3話 今夜は帰さないけど、大丈夫だよね?
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パラレルワールドにある零楼館高校からやってきた栗宮院うまな。
彼女のいう事を全面的に信じるわけではないのだが、イザーちゃんが俺と付き合う理由がずっとわからなかった俺は彼女の言葉を信じることで疑問が解消したのだ。
イザーちゃんみたいに綺麗な女の子が俺みたいな男と付き合おうなんて普通に考えて思うはずがない。何か特別な理由が無ければ俺みたいな男と付き合ったりなんてしないだろう。
例えば、彼女たちが住んでいる世界が崩壊する寸前で、それを止めるには俺の力が必要だ。そんな事でもない限り俺みたいな男とイザーちゃんみたいな綺麗な女の子が付き合ったりなんてしないだろう。
そうか、ある意味、イザーちゃんは世界を救うために生贄になったという事なのだな。
そう考えると申し訳ない気持ちになってしまうが、幸か不幸かわからないけれど、俺はまだイザーちゃんと手を繋いだことすらないのだ。彼女の純潔は守られていると言えるだろう。
「それで、俺は君たちの世界で何をすればいいのかな?」
「そこまで信じてもらえると逆に不安になるんだけど。何が一体どういう理由で信じてくれてるんだろう。逆に不安になってきたんだけど」
俺は目の前にいる栗宮院うまなに自分が今考えていたことを伝えていた。
ところどころ躓く箇所はあったものの、七割くらいは伝えられた自信がある。
ツッコミどころは色々とあったのだろうが、反論せずに最後まで聞いてくれていたのは嬉しかった。もしかしたら、イザーちゃんたちの世界では人の話は最後まで聞くことが常識なのかもしれないな。
「そんな理由で納得してくれるなんて“まーくん”は卑屈すぎるよ。もっと自分に自信を持って良いと思うよ。確かに、そんな考えの人と付き合いたいって思う人はいないかもしれないけど、“まーくん”にだっていいところはあるんじゃないかな。私はまだであったばかりでイザーちゃんから話を聞いてるだけだからわからないけど、“まーくん”の良いところを知っている人はたくさんいると思うよ。それだけ素直に自分の考えを言えるのも素敵なことだと思うから」
なぜか興奮気味な栗宮院うまなに説教されている俺。
人から怒られることは時々あるのだけれど、こうして可愛い女の子に怒られるのは少し嬉しいかもしれない。俺のためを思って可愛い女の子が怒ってくれるというのは、なんだかいつもと違って嫌な気持ちにならない。
「ちょっとちょっと、私の彼氏をそうやって口説こうとするのはやめてよ。うまなには彼氏なんて必要ないじゃない」
「そういうのじゃなくて、“まーくん”がちょっと卑屈すぎるって思ったから」
「確かに“まーくん”はそういうところあるよね。でも、それも“まーくん”の良いところだからさ。はい、カフェモカだよ。これ飲んで落ち着きなよ」
「ありがとう。ちょっと、頭を冷やします」
「こっちは“まーくん”のアイスココアだよ。そっちのコップからになってるんじゃないかって思って買ってきたんだけど、まだ少し残ってたんだね。だいぶ薄くなってそうだし、それは私が飲むから“まーくん”は新しいのを飲んでいいから」
イザーちゃんは俺の分まで一緒に買ってきてくれていた。何も頼んでいないのにもかかわらず気を利かせてくれていたのだ。
もしかしたら、本当に俺の事を好きでいてくれるのかもしれない。
別の世界の危機とは関係なく、救世主として必要としているのではなく、俺の事を一人の男として必要としてくれているのかもしれない。
なぜなら、俺の飲みかけのココアを同じストローを使って飲んでくれたのだから。
ても繋いだことが無い関係なのに、間接キスを躊躇なくしてくれている。
つまり、これは誘ってもいいというサインなのだ。
「それで、随分と仲良くなったみたいだけど、どこまで見せたの?」
「何も見せてないよ。話をしただけで信じてくれた」
「え、何も見せてないのに信じてくれたの?」
「うん、最初は疑ってたみたいだったけど、イザーちゃんも私と同じ世界からやってきたって言ったら信じてくれた。どういうわけかわからないけど、イザーちゃんが別の世界からやってきたって言ったら信じてくれたよ」
「じゃあ、向こうの世界から持ってきた道具も映像も何も見せてないって事なんだよね?」
「そういう事。イザーちゃんって“まーくん”と何か特別なことでもしたの?」
「何もしてないけど、俺はイザーちゃんのことを信じているから。イザーちゃんみたいな綺麗な女の子が俺と付き合うなんて、何か深い理由があったのかもしれないって思ってたし、その疑問もうまなちゃんから教えて貰って納得できたからね。それ以上何も説明なんていらないって思ったよ」
「確かに、うまなちゃんが怒りたくなるのも納得だわ。“まーくん”はもっと自分に自信を持っていいと思うよ。そういった純粋なところが私達には必要だからね」
「そうだね。ここまでこっちの思い通りに行くと逆に怖く感じちゃうけど。じゃあ、コレを飲んだら場所を移動しようか。さすがにココじゃこれからの事を説明するわけにもいかないしね」
「今夜は帰さないけど、大丈夫だよね?」
初めて聞いたセリフにドキドキした。
俺は少し間をあけてしまったが、その言葉に素直に答えることが出来たと思う。
アイスココアの味は、何も感じなかった。
彼女のいう事を全面的に信じるわけではないのだが、イザーちゃんが俺と付き合う理由がずっとわからなかった俺は彼女の言葉を信じることで疑問が解消したのだ。
イザーちゃんみたいに綺麗な女の子が俺みたいな男と付き合おうなんて普通に考えて思うはずがない。何か特別な理由が無ければ俺みたいな男と付き合ったりなんてしないだろう。
例えば、彼女たちが住んでいる世界が崩壊する寸前で、それを止めるには俺の力が必要だ。そんな事でもない限り俺みたいな男とイザーちゃんみたいな綺麗な女の子が付き合ったりなんてしないだろう。
そうか、ある意味、イザーちゃんは世界を救うために生贄になったという事なのだな。
そう考えると申し訳ない気持ちになってしまうが、幸か不幸かわからないけれど、俺はまだイザーちゃんと手を繋いだことすらないのだ。彼女の純潔は守られていると言えるだろう。
「それで、俺は君たちの世界で何をすればいいのかな?」
「そこまで信じてもらえると逆に不安になるんだけど。何が一体どういう理由で信じてくれてるんだろう。逆に不安になってきたんだけど」
俺は目の前にいる栗宮院うまなに自分が今考えていたことを伝えていた。
ところどころ躓く箇所はあったものの、七割くらいは伝えられた自信がある。
ツッコミどころは色々とあったのだろうが、反論せずに最後まで聞いてくれていたのは嬉しかった。もしかしたら、イザーちゃんたちの世界では人の話は最後まで聞くことが常識なのかもしれないな。
「そんな理由で納得してくれるなんて“まーくん”は卑屈すぎるよ。もっと自分に自信を持って良いと思うよ。確かに、そんな考えの人と付き合いたいって思う人はいないかもしれないけど、“まーくん”にだっていいところはあるんじゃないかな。私はまだであったばかりでイザーちゃんから話を聞いてるだけだからわからないけど、“まーくん”の良いところを知っている人はたくさんいると思うよ。それだけ素直に自分の考えを言えるのも素敵なことだと思うから」
なぜか興奮気味な栗宮院うまなに説教されている俺。
人から怒られることは時々あるのだけれど、こうして可愛い女の子に怒られるのは少し嬉しいかもしれない。俺のためを思って可愛い女の子が怒ってくれるというのは、なんだかいつもと違って嫌な気持ちにならない。
「ちょっとちょっと、私の彼氏をそうやって口説こうとするのはやめてよ。うまなには彼氏なんて必要ないじゃない」
「そういうのじゃなくて、“まーくん”がちょっと卑屈すぎるって思ったから」
「確かに“まーくん”はそういうところあるよね。でも、それも“まーくん”の良いところだからさ。はい、カフェモカだよ。これ飲んで落ち着きなよ」
「ありがとう。ちょっと、頭を冷やします」
「こっちは“まーくん”のアイスココアだよ。そっちのコップからになってるんじゃないかって思って買ってきたんだけど、まだ少し残ってたんだね。だいぶ薄くなってそうだし、それは私が飲むから“まーくん”は新しいのを飲んでいいから」
イザーちゃんは俺の分まで一緒に買ってきてくれていた。何も頼んでいないのにもかかわらず気を利かせてくれていたのだ。
もしかしたら、本当に俺の事を好きでいてくれるのかもしれない。
別の世界の危機とは関係なく、救世主として必要としているのではなく、俺の事を一人の男として必要としてくれているのかもしれない。
なぜなら、俺の飲みかけのココアを同じストローを使って飲んでくれたのだから。
ても繋いだことが無い関係なのに、間接キスを躊躇なくしてくれている。
つまり、これは誘ってもいいというサインなのだ。
「それで、随分と仲良くなったみたいだけど、どこまで見せたの?」
「何も見せてないよ。話をしただけで信じてくれた」
「え、何も見せてないのに信じてくれたの?」
「うん、最初は疑ってたみたいだったけど、イザーちゃんも私と同じ世界からやってきたって言ったら信じてくれた。どういうわけかわからないけど、イザーちゃんが別の世界からやってきたって言ったら信じてくれたよ」
「じゃあ、向こうの世界から持ってきた道具も映像も何も見せてないって事なんだよね?」
「そういう事。イザーちゃんって“まーくん”と何か特別なことでもしたの?」
「何もしてないけど、俺はイザーちゃんのことを信じているから。イザーちゃんみたいな綺麗な女の子が俺と付き合うなんて、何か深い理由があったのかもしれないって思ってたし、その疑問もうまなちゃんから教えて貰って納得できたからね。それ以上何も説明なんていらないって思ったよ」
「確かに、うまなちゃんが怒りたくなるのも納得だわ。“まーくん”はもっと自分に自信を持っていいと思うよ。そういった純粋なところが私達には必要だからね」
「そうだね。ここまでこっちの思い通りに行くと逆に怖く感じちゃうけど。じゃあ、コレを飲んだら場所を移動しようか。さすがにココじゃこれからの事を説明するわけにもいかないしね」
「今夜は帰さないけど、大丈夫だよね?」
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俺は少し間をあけてしまったが、その言葉に素直に答えることが出来たと思う。
アイスココアの味は、何も感じなかった。
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