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序章
第5話 ここはいったいどこなんだ?
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ちょっと気になってゴールデンレトリバーのお姉さんを見ていたのだが、お姉さんは俺が見ていることに気付くと気まずそうに視線を逸らしていた。
先ほどの高圧的な態度とは違いオドオドしたような様子が少し気になった。
でも、あまりジロジロ見て何か言われるのも嫌なので俺はなるべくゴールデンレトリバーのお姉さんの事を見ないようにした。
他に見るモノも蝋燭しかないので結局はバレないようにゴールデンレトリバーのお姉さんを見てしまっていたのだが、お姉さんに気付かれないように時々盗み見る感じですませていた。
「そんなに見ないでください。あんまり私の事を見てると、また布をかぶせますよ」
「ごめんなさい。気を付けます」
本気で怒っている感じには見えなかったが、万が一という事もあるので俺は素直に謝っていた。
その時も周りからは誰かがヒソヒソと話をしているのが聞こえていたけれど、蝋燭の明かりが照らす範囲が狭いためかその誰かの姿を見ることは出来なかった。
相変わらず俺の手は縛られたままなのだが、俺を縛っているロープの先がどこにも結ばれていない。
このまま逃げ出すことも出来そうだなと考えていると、少し離れた位置から重い金属を引きずっているような嫌な音が聞こえてきた。
当然俺はこの場から逃げるようなことはせず、大人しく待つことにしたのだ。
どうせ殺されるのだとしたら、逃げて無様な姿をさらして殺されるよりも、大人しくここで死を受け入れようと思ったのだ。
本当は、怖くて腰が抜けてしまって逃げ出せなかっただけなのだが。
さっきまでいたゴールデンレトリバーのお姉さんがいなくなっており、その代わりなのか全身を甲冑で覆っている大きな人達が荒い息遣いをして立っていた。一番小さい人でも俺より頭一つ分くらい大きいので、俺は当然そんな人達に対して反抗的な態度をとることもなく大人しく待っていた。
右を見ても前を見ても左を見ても後ろを見ても、全員が俺を真っすぐに見下ろしていた。
俺よりも背の高い集団なので自然と見下ろすことになっているんだろうが、俺の事を見下しているというのもあるのではないか。手を縛られている状態の男を見下さない方がおかしいんだろうな。そんな事を考えてしまっていたが、俺は肝心なことを思い出していた。
ただ、それを今ここで誰かに聞くことなんて出来やしない。そんな勝手なことをして殺されたくなんて無いのだ。
でも、イザーちゃんとうまなちゃんはどこに居るんだろう?
イザーちゃんのベッドで寝ていた俺はどうしてこんな場所にいるのだろう?
イザーちゃんは本当に俺じゃなくうまなちゃんと付き合っていく事にしたのだろうか?
ここはいったいどこなんだ?
俺を見ていた甲冑の人達が一斉に俺と同じ向きに体を向けると、それまで暗闇に包まれていた場所が徐々に照らされている。
蝋燭ではない光源だと思うのだけど、俺が良く知っているLEDとも違う不思議な淡い光が少しずつ辺りを照らしているのだ。
ぼんやりと何かが浮かび上がっているのだが、それがいったい何なのか見当もつかない。
何か大きなものがあるのはわかっているのに、俺はそれが何か全く分からない。今まで見たことも無い不思議な形をしたよくわからない物体であった。
それと同時に、俺の周囲も少しずつ明るくなって周囲の様子がわかり始めたのだ。
俺を取り囲んでいる甲冑の人達の後ろに大きな穴があいていた。
さっきのタイミングで俺が逃げ出していたとしても、きっとあの穴に落ちて大変なことになっていただろう。
この位置からではどれくらい深い穴なのかわからないが、その奥にある壁を見てもとても深い穴だという事だけは理解出来た。
そして、その壁の奥には観客席のようなものが設けられており、なぜかそこにはビキニ姿の女性が数えきれないくらい俺の事を見ていたのだ。
女性の年齢層はバラバラで、中学生くらいの女の子から俺の母親くらいの年齢の女性までいる感じだった。
ただ、観客席にいる女性が全てビキニ姿だったというのは全く意味が分からなかった。
何人かと目が合ったのだけれど、俺と目が合った女性はどういうわけかウインクをしてくれたのだ。俺は反応に困って会釈をしていたのだけれど、それに対して手を振ってくれたり投げキスをしてくれたりとリアクションに困る反応をされてしまった。
淡い光がこの部屋を完全に照らすと、俺が思っていたよりも何倍もこの部屋が広いという事がわかった。
学校の体育館よりも広いのは確実で、観客も何人いるのかわからないくらい奥までびっしりと立っているのだ。
ライブを見に行った時に観客席の後ろまでちゃんと見えていると言われたことがあったのだけど、それが本当なのだという事が実感できたのは喜んでいい事なのだろうか。今の俺には判断がつかなかった。
どこからともなく鈴の音が聞こえてきたのだが、その音が聞こえてくると同時に観客たちはしんと静まり返っていた。
甲冑の人達もまっすぐ立っていて物音ひとつ立てていなかった。
俺も思わず物音を立てないようにして、呼吸も最小限にいていた。
その結果、俺に聞こえてくるのは、自分の心臓の鼓動と蝋燭が燃えるチリチリという音だけである。
少しずつ鈴の音が近付いてくる。
ゆったりとした間隔で鈴の音は聞こえているのだが、自然と鈴の音に合わせて心臓が鼓動してた。どうしてそうなったのかわからないが、俺の心臓の鼓動が他の音に紛れて聞こえないように努力していたのかもしれない。
我ながら、器用な体だなと思っていた。
先ほどの高圧的な態度とは違いオドオドしたような様子が少し気になった。
でも、あまりジロジロ見て何か言われるのも嫌なので俺はなるべくゴールデンレトリバーのお姉さんの事を見ないようにした。
他に見るモノも蝋燭しかないので結局はバレないようにゴールデンレトリバーのお姉さんを見てしまっていたのだが、お姉さんに気付かれないように時々盗み見る感じですませていた。
「そんなに見ないでください。あんまり私の事を見てると、また布をかぶせますよ」
「ごめんなさい。気を付けます」
本気で怒っている感じには見えなかったが、万が一という事もあるので俺は素直に謝っていた。
その時も周りからは誰かがヒソヒソと話をしているのが聞こえていたけれど、蝋燭の明かりが照らす範囲が狭いためかその誰かの姿を見ることは出来なかった。
相変わらず俺の手は縛られたままなのだが、俺を縛っているロープの先がどこにも結ばれていない。
このまま逃げ出すことも出来そうだなと考えていると、少し離れた位置から重い金属を引きずっているような嫌な音が聞こえてきた。
当然俺はこの場から逃げるようなことはせず、大人しく待つことにしたのだ。
どうせ殺されるのだとしたら、逃げて無様な姿をさらして殺されるよりも、大人しくここで死を受け入れようと思ったのだ。
本当は、怖くて腰が抜けてしまって逃げ出せなかっただけなのだが。
さっきまでいたゴールデンレトリバーのお姉さんがいなくなっており、その代わりなのか全身を甲冑で覆っている大きな人達が荒い息遣いをして立っていた。一番小さい人でも俺より頭一つ分くらい大きいので、俺は当然そんな人達に対して反抗的な態度をとることもなく大人しく待っていた。
右を見ても前を見ても左を見ても後ろを見ても、全員が俺を真っすぐに見下ろしていた。
俺よりも背の高い集団なので自然と見下ろすことになっているんだろうが、俺の事を見下しているというのもあるのではないか。手を縛られている状態の男を見下さない方がおかしいんだろうな。そんな事を考えてしまっていたが、俺は肝心なことを思い出していた。
ただ、それを今ここで誰かに聞くことなんて出来やしない。そんな勝手なことをして殺されたくなんて無いのだ。
でも、イザーちゃんとうまなちゃんはどこに居るんだろう?
イザーちゃんのベッドで寝ていた俺はどうしてこんな場所にいるのだろう?
イザーちゃんは本当に俺じゃなくうまなちゃんと付き合っていく事にしたのだろうか?
ここはいったいどこなんだ?
俺を見ていた甲冑の人達が一斉に俺と同じ向きに体を向けると、それまで暗闇に包まれていた場所が徐々に照らされている。
蝋燭ではない光源だと思うのだけど、俺が良く知っているLEDとも違う不思議な淡い光が少しずつ辺りを照らしているのだ。
ぼんやりと何かが浮かび上がっているのだが、それがいったい何なのか見当もつかない。
何か大きなものがあるのはわかっているのに、俺はそれが何か全く分からない。今まで見たことも無い不思議な形をしたよくわからない物体であった。
それと同時に、俺の周囲も少しずつ明るくなって周囲の様子がわかり始めたのだ。
俺を取り囲んでいる甲冑の人達の後ろに大きな穴があいていた。
さっきのタイミングで俺が逃げ出していたとしても、きっとあの穴に落ちて大変なことになっていただろう。
この位置からではどれくらい深い穴なのかわからないが、その奥にある壁を見てもとても深い穴だという事だけは理解出来た。
そして、その壁の奥には観客席のようなものが設けられており、なぜかそこにはビキニ姿の女性が数えきれないくらい俺の事を見ていたのだ。
女性の年齢層はバラバラで、中学生くらいの女の子から俺の母親くらいの年齢の女性までいる感じだった。
ただ、観客席にいる女性が全てビキニ姿だったというのは全く意味が分からなかった。
何人かと目が合ったのだけれど、俺と目が合った女性はどういうわけかウインクをしてくれたのだ。俺は反応に困って会釈をしていたのだけれど、それに対して手を振ってくれたり投げキスをしてくれたりとリアクションに困る反応をされてしまった。
淡い光がこの部屋を完全に照らすと、俺が思っていたよりも何倍もこの部屋が広いという事がわかった。
学校の体育館よりも広いのは確実で、観客も何人いるのかわからないくらい奥までびっしりと立っているのだ。
ライブを見に行った時に観客席の後ろまでちゃんと見えていると言われたことがあったのだけど、それが本当なのだという事が実感できたのは喜んでいい事なのだろうか。今の俺には判断がつかなかった。
どこからともなく鈴の音が聞こえてきたのだが、その音が聞こえてくると同時に観客たちはしんと静まり返っていた。
甲冑の人達もまっすぐ立っていて物音ひとつ立てていなかった。
俺も思わず物音を立てないようにして、呼吸も最小限にいていた。
その結果、俺に聞こえてくるのは、自分の心臓の鼓動と蝋燭が燃えるチリチリという音だけである。
少しずつ鈴の音が近付いてくる。
ゆったりとした間隔で鈴の音は聞こえているのだが、自然と鈴の音に合わせて心臓が鼓動してた。どうしてそうなったのかわからないが、俺の心臓の鼓動が他の音に紛れて聞こえないように努力していたのかもしれない。
我ながら、器用な体だなと思っていた。
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