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淫欲八姫
第9話 今夜はこの辺で一泊して天候の回復を待つことにしようね。
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美少女メイドのアスモちゃんと一緒に始まった旅は最初から波乱に満ちた驚きの多いものになってしまった。
魔法だけではなくそれなりに科学技術も発展しているこの世界なのだが、俺もアスモちゃんも乗り物を操縦するための資格を持っていないという事で移動が徒歩になってしまった。
神聖サキュバス帝国の首都から八姫がそれぞれ暮らしている場所までの直行便というものは存在していないらしく、値段の高いチャーター便を利用するしかないという。
アスモちゃん以外に運転出来る人を一人付けてほしいとお願いしたのだが、なぜかアスモちゃんが一緒にいるとわかると全員謎の病気にかかって首都から出ることが出来なくなってしまったのだ。(これは仮病ではなく本当に病気になってしまっているのを実際に確認した)
「“まーくん”と一緒に旅をするのはオレ一人で十分ですよね。他のみんなは皇帝を守る必要がありますからね。俺一人が残って皇帝を守るか、みんなが残って皇帝を守るかって考えたら、オレを除いた全員に残ってもらった方が良いって事ですもんね」
名も無き神の軍勢を倒すために八姫にお話をしなくてはいけないという事なのだが、その八姫の一人が俺の彼女であるイザーちゃんなのだ。
そこまでは一旦置いておいてもいいのだけれど、八姫は仲良しグループというわけではなく大きく分けて三つのグループに分かれているそうだ。
まず最初に紹介するのは、俺の愛する彼女であるイザーちゃんなのだが、イザーちゃんは神聖サキュバス帝国の首都から見て北東にある艮の街にいるようだ。
そこがどんな場所かアスモちゃんに聞いてみたのだけれど、彼女は一度もそこに行ったことが無いらしくどんな場所かも聞いたことが無いらしい。
そもそも、首都からどれくらい離れているのかすらもわからないという事なのだ。
「このまま歩いていくのもいいんだけど、“まーくん”は歩きっぱなしじゃ疲れちゃうよね?」
「どれくらい距離があるかわからないから何とも言えないけど、この天気の中を歩き続けるのは結構厳しいかもしれないな。アスモちゃんも厳しいでしょ?」
「オレは全然平気だよ。こう見えても鍛えてるからね」
俺を和ませてくれるような冗談を言ってくれるアスモちゃんは右手で力こぶを作って見せてくれた。
華奢と言っていいようなその細い腕には力こぶなど出来る事は無く、俺を励ましてくれているのが一目で見てとれた。
こんな小さな子が頑張ろうとしているのだから、俺も頑張ろう。そう思ったのだ。
しかし、首都から一歩外へ出ようと思っても、そこには全く先が見えない砂嵐が巻き起こっていたのだ。
濃霧の世界に迷い込んだのではないかと思ってしまうくらい先が見えず、このまま砂嵐の中を進んでも戻ってくることすら出来なさそうだ。
「今日はこのまま進んでもいい事なさそうだね。あの天候じゃ、途中で疲れても一休みする事も出来ないんじゃないかな。すぐに八姫に会いに行かないといけないってわけじゃないんだし、今夜はこの辺で一泊して天候の回復を待つことにしようね」
「アスモちゃんの言う通りこのまま進んでも危険だね。泊まるにしても、俺はこの辺の事がまったく分からないんだけど、どこかいい宿知ってたりするの?」
「全然知らないよ。だって、オレはずっと皇帝の家に住んでるからね。この辺に遊びに来るのも初めてだし、街の中に行ってもわざわざ泊まったりなんてしないでしょ。なので、その辺にいる人におススメの宿があるか聞いてみるよ。“まーくん”はそこで座って待ってていいからね」
皇帝カムショットが住んでいるお城は外装も内装もどことなく和と洋の複合施設と言った感じだったのだが、この辺の建物はわりと日本の建築物に似ているような気がしていた。
区画整理もしっかりとされている感じだし、家の作りも近所を散歩している時に見かけるようなものばかりであった。
このままこの辺で暮らしていく事も出来そうだなと思いつつも、さすがにコンビニやスーパーなどは無いので買い物には困りそうだと感じていた。
「おーい、“まーくん”こっちこっち」
少し離れた場所からアスモちゃんが呼んでいるので俺は立ち上がってそちらへ向かって行った。
どこにでもありそうな建物が続くこの道を歩いていると、俺はずっと住んでいた地球ではないどこか別の場所に来ているという事を忘れてしまいそうだ。
別に思い入れがあったりするわけじゃないので今すぐに帰りたいとは思っていないのだけど、イザーちゃんの返事次第では何もしないで帰ることもやぶさかではないのだ。
「ご飯は別のところで食べないといけないんだけど、ゆっくり休める広いベッドのある場所を教えて貰ったよ。そこの予約はしてあるので先にご飯を食べてから泊りに来てねって言ってたから、“まーくん”が食べたいものを探して食べてから行こうね。オレは好き嫌いないんで何でもいいけど、“まーくん”はこっちの世界の食べ物とか平気かな?」
「平気なんじゃないかな。皇帝と話している時に食べたお菓子も俺が普段食べてるような感じだったし、この世界は俺のいた世界とそんなに食文化が違わないのかもしれないし。でも、こっちのご飯の事は全然わからないから、今日はアスモちゃんに任せるよ」
「OKOK。オレが“まーくん”に喜んでもらえそうなモノを探しちゃうね。魚と肉だったらどっちが好きかな?」
魚も肉もどっちも好きなのだが、今日は気分的に魚を食べたいかもしれない。
昨日の夜に何を食べたのかはもう覚えていないし、最後にちゃんとご飯を食べたのがいつだったかも思い出せない。
それでも、最後に食べたのは魚じゃなかったような気がしているので、魚を食べたいと思ったのだ。
魔法だけではなくそれなりに科学技術も発展しているこの世界なのだが、俺もアスモちゃんも乗り物を操縦するための資格を持っていないという事で移動が徒歩になってしまった。
神聖サキュバス帝国の首都から八姫がそれぞれ暮らしている場所までの直行便というものは存在していないらしく、値段の高いチャーター便を利用するしかないという。
アスモちゃん以外に運転出来る人を一人付けてほしいとお願いしたのだが、なぜかアスモちゃんが一緒にいるとわかると全員謎の病気にかかって首都から出ることが出来なくなってしまったのだ。(これは仮病ではなく本当に病気になってしまっているのを実際に確認した)
「“まーくん”と一緒に旅をするのはオレ一人で十分ですよね。他のみんなは皇帝を守る必要がありますからね。俺一人が残って皇帝を守るか、みんなが残って皇帝を守るかって考えたら、オレを除いた全員に残ってもらった方が良いって事ですもんね」
名も無き神の軍勢を倒すために八姫にお話をしなくてはいけないという事なのだが、その八姫の一人が俺の彼女であるイザーちゃんなのだ。
そこまでは一旦置いておいてもいいのだけれど、八姫は仲良しグループというわけではなく大きく分けて三つのグループに分かれているそうだ。
まず最初に紹介するのは、俺の愛する彼女であるイザーちゃんなのだが、イザーちゃんは神聖サキュバス帝国の首都から見て北東にある艮の街にいるようだ。
そこがどんな場所かアスモちゃんに聞いてみたのだけれど、彼女は一度もそこに行ったことが無いらしくどんな場所かも聞いたことが無いらしい。
そもそも、首都からどれくらい離れているのかすらもわからないという事なのだ。
「このまま歩いていくのもいいんだけど、“まーくん”は歩きっぱなしじゃ疲れちゃうよね?」
「どれくらい距離があるかわからないから何とも言えないけど、この天気の中を歩き続けるのは結構厳しいかもしれないな。アスモちゃんも厳しいでしょ?」
「オレは全然平気だよ。こう見えても鍛えてるからね」
俺を和ませてくれるような冗談を言ってくれるアスモちゃんは右手で力こぶを作って見せてくれた。
華奢と言っていいようなその細い腕には力こぶなど出来る事は無く、俺を励ましてくれているのが一目で見てとれた。
こんな小さな子が頑張ろうとしているのだから、俺も頑張ろう。そう思ったのだ。
しかし、首都から一歩外へ出ようと思っても、そこには全く先が見えない砂嵐が巻き起こっていたのだ。
濃霧の世界に迷い込んだのではないかと思ってしまうくらい先が見えず、このまま砂嵐の中を進んでも戻ってくることすら出来なさそうだ。
「今日はこのまま進んでもいい事なさそうだね。あの天候じゃ、途中で疲れても一休みする事も出来ないんじゃないかな。すぐに八姫に会いに行かないといけないってわけじゃないんだし、今夜はこの辺で一泊して天候の回復を待つことにしようね」
「アスモちゃんの言う通りこのまま進んでも危険だね。泊まるにしても、俺はこの辺の事がまったく分からないんだけど、どこかいい宿知ってたりするの?」
「全然知らないよ。だって、オレはずっと皇帝の家に住んでるからね。この辺に遊びに来るのも初めてだし、街の中に行ってもわざわざ泊まったりなんてしないでしょ。なので、その辺にいる人におススメの宿があるか聞いてみるよ。“まーくん”はそこで座って待ってていいからね」
皇帝カムショットが住んでいるお城は外装も内装もどことなく和と洋の複合施設と言った感じだったのだが、この辺の建物はわりと日本の建築物に似ているような気がしていた。
区画整理もしっかりとされている感じだし、家の作りも近所を散歩している時に見かけるようなものばかりであった。
このままこの辺で暮らしていく事も出来そうだなと思いつつも、さすがにコンビニやスーパーなどは無いので買い物には困りそうだと感じていた。
「おーい、“まーくん”こっちこっち」
少し離れた場所からアスモちゃんが呼んでいるので俺は立ち上がってそちらへ向かって行った。
どこにでもありそうな建物が続くこの道を歩いていると、俺はずっと住んでいた地球ではないどこか別の場所に来ているという事を忘れてしまいそうだ。
別に思い入れがあったりするわけじゃないので今すぐに帰りたいとは思っていないのだけど、イザーちゃんの返事次第では何もしないで帰ることもやぶさかではないのだ。
「ご飯は別のところで食べないといけないんだけど、ゆっくり休める広いベッドのある場所を教えて貰ったよ。そこの予約はしてあるので先にご飯を食べてから泊りに来てねって言ってたから、“まーくん”が食べたいものを探して食べてから行こうね。オレは好き嫌いないんで何でもいいけど、“まーくん”はこっちの世界の食べ物とか平気かな?」
「平気なんじゃないかな。皇帝と話している時に食べたお菓子も俺が普段食べてるような感じだったし、この世界は俺のいた世界とそんなに食文化が違わないのかもしれないし。でも、こっちのご飯の事は全然わからないから、今日はアスモちゃんに任せるよ」
「OKOK。オレが“まーくん”に喜んでもらえそうなモノを探しちゃうね。魚と肉だったらどっちが好きかな?」
魚も肉もどっちも好きなのだが、今日は気分的に魚を食べたいかもしれない。
昨日の夜に何を食べたのかはもう覚えていないし、最後にちゃんとご飯を食べたのがいつだったかも思い出せない。
それでも、最後に食べたのは魚じゃなかったような気がしているので、魚を食べたいと思ったのだ。
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