33 / 48
淫欲八姫
第33話 オレがソレを認めてあげる。
しおりを挟む
アスモちゃんは俺の指をじっと見つめたまま動かない。
サキュバスに咥えられた俺の指をじっと見つめているのだが、どうしてその指だという事がわかったのか謎だった。見ただけではわからないと思うのだけど、アスモちゃんには俺に見えない何かが見えているという事なのだろうか?
「何だか、雌の匂いがするなって思ってたんだけど、それってやっぱり“まーくん”が原因だったんだね。“まーくん”のその指からとってもいやらしい雌の匂いがしてるんだけど、何とも思ってないって事なのかな?」
「何ともというと、どういう意味なのかな?」
「自分では雌の匂いを感じていないって事なんだけど、“まーくん”はやっぱり気付いてなかったって事なんだよね?」
「正直に言って、さっき思い出すまですっかり忘れてたよ。覚えてたらすぐに手を洗ってたと思うんだけど、鍵が開いていたこの部屋にあのサキュバス以外にも侵入者がいたんじゃないかと思うと、怖くてベッドから出ることが出来なかったんだよ。あのサキュバスはベッドの上にいる間は何もしないって言ってたから、怖くておりられなかったんだ」
「オレもずっと寝ちゃってたから“まーくん”に怖い思いをさせてしまったんだ。それは申し訳ないと思うけど、何もしないって言いつつも“まーくん”の指を舐められちゃってるよね。それって、二度とそんな事が起きないように何とかしないといけないって事じゃないかな。今から“まーくん”にそんな臭い雌の匂いを付けたサキュバスを探しに行ってもいいよ。なんだったら、その辺にいるサキュバスを皆殺しにしたっていいんじゃないかって思ってるし、オレだけじゃ無理そうだったら帝国の威信にかけて全勢力を注ぎ込んだっていいんじゃないかな。それだけでも足りないんだとしたら、サキュバスを討伐する部隊を呼んでもいいと思うよ。その時だけは、帝国も名も無き神の軍勢も同じ目的になるから争う事も無いと思うしね」
「そこまで大事にしなくてもいいんじゃないかな。俺に出来ることは何も無かったかもしれないけど、ベッドの上にいる間は何もされないって言われたから」
「何もされないって、実際に“まーくん”は指を舐められてるでしょ。それって、他のサキュバスに対する牽制になるんだよ。犬が散歩中に行うマーキングみたいなものなんだけど、それは他のサキュバス達が上書きしてしまう可能性もあるみたいだよ」
「よくわからないけど、次からはしっかりと戸締りをしておこうね」
俺は何とか強引に話を切り上げ、今日の予定をしっかりと確認しておくことにした。
砂嵐がおさまっていれば今すぐにでもイザーちゃんに会いに行ってオレがここに来た理由を確かめたいところではあるのだが、どう見積もってもあの砂嵐が今日中におさまる様子は見られなかった。それどころか、昨日よりも発生している竜巻の数が多いように感じている。
あの砂嵐の中を進む勇敢な商人は何人かいたのだが、全員が酸素ボンベのようなものを身につけているのが目に入っていた。
車で行っても無数の竜巻が発生している砂嵐の中を真っすぐに進むのは難しそうだ。それなのに、あの悪天候としか言いようのない世界を歩いて渡ろうとしている彼らに対して俺は心の中で敬礼をしていた。真似をしたいかと言われると、イザーちゃんに会いたい気持ちは誰よりも強いのだけど、生身である俺とアスモちゃんではあの中を無事にわたりきることは難しいだろう。その結果、俺はどうしたらいいのか思い悩んだのだ。
「天気予報の話になるけど、あの砂嵐は来年の春まで続くかもしれないんだって。“まーくん”が探しているイザーちゃんが天候を操っているって話だし、何かあの砂嵐を起こさないといけない理由とかあったりするのかもしれないよ」
「それって良くないことだよね。それなら、今すぐにでも装備を整えてあの砂嵐の中を進まないとまずいんじゃない?」
「今すぐに行く必要は無いと思うよ。イザーちゃんは仮にも八姫の一人であるし、その辺にいる争いごとを好むような輩に対しても負けたりなんかはしないんじゃないかな。例えば、不意打ちをくらって体に物凄い深刻なダメージがあったとしても、オレと一緒で、寝てしまえばどうとでもなるみたいだよ。この辺に住んでいる怪物も大した種類はいないんだけど、今の“まーくん”だったら負ける可能性もあるんじゃないかな。でも、負けそうだからって自爆攻撃なんてしちゃダメだからね。たった一度しか使えないその力を発揮するのはそんなタイミングじゃないって事だけは覚えておいてね」
覚えるも何も、俺に備わっている特別な力が自分の命を賭して行うギャンブルだとしか思えない。
たった一度しか勝負をすることが出来ない俺の自爆攻撃がどれくらいの威力なのか見て見たい。見ておきたい気持ちはあるのだけれど、きっとそれを確認する事も出来ないのだろうな。
俺が自爆した時の映像を俺が確認する方法なんて無いだろう。そう思うと、何だか少し悲しくなってしまったが、本当に俺の特別な能力が自爆攻撃だなんて信じていいのだろうか?
「俺の攻撃方法って自爆攻撃しかないってことになるのかな?」
「攻撃方法って意味だったら、その辺にある物を投げつけたり、何も使わずに素手で攻撃するのはありなんじゃないかな。オレがソレを認めてあげる。それだけの話だよ」
「なるべくなら自爆攻撃をしないようにしたいんだけど、もしもの時は許してね」
「許すも許さないもないよ。“まーくん”が決めたことは誰一人として異論を唱えたりなんてしないさ。オレたちは“まーくん”の味方なんだからね」
サキュバスに咥えられた俺の指をじっと見つめているのだが、どうしてその指だという事がわかったのか謎だった。見ただけではわからないと思うのだけど、アスモちゃんには俺に見えない何かが見えているという事なのだろうか?
「何だか、雌の匂いがするなって思ってたんだけど、それってやっぱり“まーくん”が原因だったんだね。“まーくん”のその指からとってもいやらしい雌の匂いがしてるんだけど、何とも思ってないって事なのかな?」
「何ともというと、どういう意味なのかな?」
「自分では雌の匂いを感じていないって事なんだけど、“まーくん”はやっぱり気付いてなかったって事なんだよね?」
「正直に言って、さっき思い出すまですっかり忘れてたよ。覚えてたらすぐに手を洗ってたと思うんだけど、鍵が開いていたこの部屋にあのサキュバス以外にも侵入者がいたんじゃないかと思うと、怖くてベッドから出ることが出来なかったんだよ。あのサキュバスはベッドの上にいる間は何もしないって言ってたから、怖くておりられなかったんだ」
「オレもずっと寝ちゃってたから“まーくん”に怖い思いをさせてしまったんだ。それは申し訳ないと思うけど、何もしないって言いつつも“まーくん”の指を舐められちゃってるよね。それって、二度とそんな事が起きないように何とかしないといけないって事じゃないかな。今から“まーくん”にそんな臭い雌の匂いを付けたサキュバスを探しに行ってもいいよ。なんだったら、その辺にいるサキュバスを皆殺しにしたっていいんじゃないかって思ってるし、オレだけじゃ無理そうだったら帝国の威信にかけて全勢力を注ぎ込んだっていいんじゃないかな。それだけでも足りないんだとしたら、サキュバスを討伐する部隊を呼んでもいいと思うよ。その時だけは、帝国も名も無き神の軍勢も同じ目的になるから争う事も無いと思うしね」
「そこまで大事にしなくてもいいんじゃないかな。俺に出来ることは何も無かったかもしれないけど、ベッドの上にいる間は何もされないって言われたから」
「何もされないって、実際に“まーくん”は指を舐められてるでしょ。それって、他のサキュバスに対する牽制になるんだよ。犬が散歩中に行うマーキングみたいなものなんだけど、それは他のサキュバス達が上書きしてしまう可能性もあるみたいだよ」
「よくわからないけど、次からはしっかりと戸締りをしておこうね」
俺は何とか強引に話を切り上げ、今日の予定をしっかりと確認しておくことにした。
砂嵐がおさまっていれば今すぐにでもイザーちゃんに会いに行ってオレがここに来た理由を確かめたいところではあるのだが、どう見積もってもあの砂嵐が今日中におさまる様子は見られなかった。それどころか、昨日よりも発生している竜巻の数が多いように感じている。
あの砂嵐の中を進む勇敢な商人は何人かいたのだが、全員が酸素ボンベのようなものを身につけているのが目に入っていた。
車で行っても無数の竜巻が発生している砂嵐の中を真っすぐに進むのは難しそうだ。それなのに、あの悪天候としか言いようのない世界を歩いて渡ろうとしている彼らに対して俺は心の中で敬礼をしていた。真似をしたいかと言われると、イザーちゃんに会いたい気持ちは誰よりも強いのだけど、生身である俺とアスモちゃんではあの中を無事にわたりきることは難しいだろう。その結果、俺はどうしたらいいのか思い悩んだのだ。
「天気予報の話になるけど、あの砂嵐は来年の春まで続くかもしれないんだって。“まーくん”が探しているイザーちゃんが天候を操っているって話だし、何かあの砂嵐を起こさないといけない理由とかあったりするのかもしれないよ」
「それって良くないことだよね。それなら、今すぐにでも装備を整えてあの砂嵐の中を進まないとまずいんじゃない?」
「今すぐに行く必要は無いと思うよ。イザーちゃんは仮にも八姫の一人であるし、その辺にいる争いごとを好むような輩に対しても負けたりなんかはしないんじゃないかな。例えば、不意打ちをくらって体に物凄い深刻なダメージがあったとしても、オレと一緒で、寝てしまえばどうとでもなるみたいだよ。この辺に住んでいる怪物も大した種類はいないんだけど、今の“まーくん”だったら負ける可能性もあるんじゃないかな。でも、負けそうだからって自爆攻撃なんてしちゃダメだからね。たった一度しか使えないその力を発揮するのはそんなタイミングじゃないって事だけは覚えておいてね」
覚えるも何も、俺に備わっている特別な力が自分の命を賭して行うギャンブルだとしか思えない。
たった一度しか勝負をすることが出来ない俺の自爆攻撃がどれくらいの威力なのか見て見たい。見ておきたい気持ちはあるのだけれど、きっとそれを確認する事も出来ないのだろうな。
俺が自爆した時の映像を俺が確認する方法なんて無いだろう。そう思うと、何だか少し悲しくなってしまったが、本当に俺の特別な能力が自爆攻撃だなんて信じていいのだろうか?
「俺の攻撃方法って自爆攻撃しかないってことになるのかな?」
「攻撃方法って意味だったら、その辺にある物を投げつけたり、何も使わずに素手で攻撃するのはありなんじゃないかな。オレがソレを認めてあげる。それだけの話だよ」
「なるべくなら自爆攻撃をしないようにしたいんだけど、もしもの時は許してね」
「許すも許さないもないよ。“まーくん”が決めたことは誰一人として異論を唱えたりなんてしないさ。オレたちは“まーくん”の味方なんだからね」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる