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勇者の試練
勇者の試練 第二十二話
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酔いつぶれた妹を見て思ったのだが、瑠璃に酒を飲ませるのは一切禁止にした方がいいのかもしれない。その辺をうまなちゃん達にもしっかりと伝えておく必要がある。
お腹を出して寝ている我が妹を見てそう心に誓ったのだ。
「確かに、こんな風になっちゃうんだったらお姉ちゃんにお酒は飲ませない方がいいかもね。こんなお姉ちゃんの姿を見たらうまなちゃんが悲しい気持ちになっちゃうかもしれないもんね」
「そうだよな。家族である俺が見てもドン引きしちゃうくらいだし、みんなが見たらそれ以上にひいちゃうかもしれないよね」
当たり前のように部屋にいるイザーちゃんに少しだけ驚いたけれど、お酒を飲んだ後の瑠璃の様子を実際に見てもらうのは意味があるかもしれないと思った。
お腹を出して寝ているだけなら可愛いものなのだが、その前には俺の事を恋人か何かと勘違いして良くないことをしようとしていたのは流石に見られていなくてよかったとは思う。
「一瞬だけだけど、お兄さんとお姉ちゃんが本当は兄妹なのに付き合っているのかと思っちゃったよ。お兄さんがお姉ちゃんを受けれてチューとかしてたら私はどうしようかなって思って冷や冷やしながら見てたんだよ。でも、お兄さんは何のためらいもなくお姉ちゃんのブラジャーを外していたのには驚いちゃったな」
「外したのだって服の上からだし、そんなところを見てたんだったらさっさと助けてくれても良かったんじゃないかな」
「まあ、私もお兄さんを助けようとは思ったけどね、もしもそういう関係だったら邪魔するのも申し訳ないなって思ってたんだよ。世の中にはそういう事をしている兄妹もいるらしいって噂は聞いてるから、お兄さんとお姉ちゃんがそうだったら大変だなって思いながら見ていたよ」
「俺も瑠璃もそういう事は考えてないからな」
「お兄さんはそうかもしれないけど、お姉ちゃんはどうだろうね。お姉ちゃんって今まで一度も恋人を作ったことが無いって言ってたし、お兄さんの事を本気で思ってるのかもしれないよね」
「それは無いって。瑠璃にも中学と高校の時に彼氏いたって言ってたよ。大学の時は遊ぶ時間も無いって言ってずっと家にいたけどさ、彼氏がいないってのは嘘だね」
「どっちが嘘かなんてどうでもいいことだよ。本当の事はお姉ちゃんしか知らないしね。もしかしたら、お兄さんを安心させるためにそういう嘘をついていたのかもしれないよ」
「俺を安心させる嘘って意味が分からないでしょ」
「それが乙女心ってやつだよ」
乙女心なんて全く理解出来ない俺ではあるが、その辺を上手く説明してもらいたい。きっと、イザーちゃんもわからずに適当なことを言っているのだと思う。俺を安心させる事と瑠璃に恋人がいることがイコールになるとは思えない。
仮に、瑠璃に彼氏がいたとしても俺は良かったなとしか思わないし、今まで恋人が出来たことが無いと言われても心配することはないと思う。
ずっと引きこもっていた俺に彼女がいないのとは違って、何においても優秀な瑠璃に恋人がいるのは普通の事だと思う。むしろ、あれだけ出来た妹の瑠璃に恋人が出来ない方がおかしいとすら思ってしまう。
「お姉ちゃんもお兄ちゃんもうまなちゃんも恋愛には奥手なのかもね。三人とも素材は良いのにそれを活かす方法を知らないって事なのかもしれないけど、お姉ちゃんはあえて活かしていないだけなのかもしれないよ。お兄さんの事が一番素敵な男性だって思ってるのかもしれないからね。お兄さんだって本当は気付いているんじゃないかな?」
俺はイザーちゃんの言葉にすぐに否定することは出来なかった。
気のせいかもしれないと思ってはいたけれど、時々そうなのかもしれないと思う事はあったのだ。俺がイジメに遭って引きこもってしまった時も瑠璃は俺の事を自分の事以上に気にかけてくれたし、どんな時だって俺を一番に思ってくれていたと思う。
正直に言って、兄妹に対する情だけでは説明できないことも多々あったとは思うのだが、それを認めることは怖かった。否定される方がマシだと思うくらいに、俺の事を大切に思っている意味を聞くのが怖かったのだ。
「まあ、お兄さんとお姉ちゃんの思ってることなんて私には全然わからないけど、仲の良い兄妹だなってのは思ってるよ。どこに居たってお兄さんとお姉ちゃんは仲が良いからね。それが兄妹という関係じゃない時でも、お兄さんとお姉ちゃんはいつも仲良しなんだよ。誰が見ても二人は仲が良いってわかるんだけど、どの世界でも二人が望む幸せは訪れたことなかったような気がするな」
「それって、俺と瑠璃が他の世界でも仲が良いって事でいいんだよね?」
「そういう事になるね。でも、私が見てきた限りではお兄さんとお姉ちゃんが恋人関係になったことは一度も無かったような気がするよ。それに限りなく近い関係だったことは何度もあるし、今だって兄妹って言う恋人よりも深い関係にはなってるよね。ただ、兄妹って時点で恋人同士にはなれないもんなのかもしれないよ。お姉ちゃんがお兄さんと一緒に居たいって望んだ結果が兄妹って事なのかもしれないけど、それって幸せなはずなのに恋人にはなれない不幸なコトなのかもしれないね」
何となく握った瑠璃の手は俺よりも小さく冷たかった。
俺の手を握り返すその力は、今まで感じたことがないくらい優しい感触であった。
お腹を出して寝ている我が妹を見てそう心に誓ったのだ。
「確かに、こんな風になっちゃうんだったらお姉ちゃんにお酒は飲ませない方がいいかもね。こんなお姉ちゃんの姿を見たらうまなちゃんが悲しい気持ちになっちゃうかもしれないもんね」
「そうだよな。家族である俺が見てもドン引きしちゃうくらいだし、みんなが見たらそれ以上にひいちゃうかもしれないよね」
当たり前のように部屋にいるイザーちゃんに少しだけ驚いたけれど、お酒を飲んだ後の瑠璃の様子を実際に見てもらうのは意味があるかもしれないと思った。
お腹を出して寝ているだけなら可愛いものなのだが、その前には俺の事を恋人か何かと勘違いして良くないことをしようとしていたのは流石に見られていなくてよかったとは思う。
「一瞬だけだけど、お兄さんとお姉ちゃんが本当は兄妹なのに付き合っているのかと思っちゃったよ。お兄さんがお姉ちゃんを受けれてチューとかしてたら私はどうしようかなって思って冷や冷やしながら見てたんだよ。でも、お兄さんは何のためらいもなくお姉ちゃんのブラジャーを外していたのには驚いちゃったな」
「外したのだって服の上からだし、そんなところを見てたんだったらさっさと助けてくれても良かったんじゃないかな」
「まあ、私もお兄さんを助けようとは思ったけどね、もしもそういう関係だったら邪魔するのも申し訳ないなって思ってたんだよ。世の中にはそういう事をしている兄妹もいるらしいって噂は聞いてるから、お兄さんとお姉ちゃんがそうだったら大変だなって思いながら見ていたよ」
「俺も瑠璃もそういう事は考えてないからな」
「お兄さんはそうかもしれないけど、お姉ちゃんはどうだろうね。お姉ちゃんって今まで一度も恋人を作ったことが無いって言ってたし、お兄さんの事を本気で思ってるのかもしれないよね」
「それは無いって。瑠璃にも中学と高校の時に彼氏いたって言ってたよ。大学の時は遊ぶ時間も無いって言ってずっと家にいたけどさ、彼氏がいないってのは嘘だね」
「どっちが嘘かなんてどうでもいいことだよ。本当の事はお姉ちゃんしか知らないしね。もしかしたら、お兄さんを安心させるためにそういう嘘をついていたのかもしれないよ」
「俺を安心させる嘘って意味が分からないでしょ」
「それが乙女心ってやつだよ」
乙女心なんて全く理解出来ない俺ではあるが、その辺を上手く説明してもらいたい。きっと、イザーちゃんもわからずに適当なことを言っているのだと思う。俺を安心させる事と瑠璃に恋人がいることがイコールになるとは思えない。
仮に、瑠璃に彼氏がいたとしても俺は良かったなとしか思わないし、今まで恋人が出来たことが無いと言われても心配することはないと思う。
ずっと引きこもっていた俺に彼女がいないのとは違って、何においても優秀な瑠璃に恋人がいるのは普通の事だと思う。むしろ、あれだけ出来た妹の瑠璃に恋人が出来ない方がおかしいとすら思ってしまう。
「お姉ちゃんもお兄ちゃんもうまなちゃんも恋愛には奥手なのかもね。三人とも素材は良いのにそれを活かす方法を知らないって事なのかもしれないけど、お姉ちゃんはあえて活かしていないだけなのかもしれないよ。お兄さんの事が一番素敵な男性だって思ってるのかもしれないからね。お兄さんだって本当は気付いているんじゃないかな?」
俺はイザーちゃんの言葉にすぐに否定することは出来なかった。
気のせいかもしれないと思ってはいたけれど、時々そうなのかもしれないと思う事はあったのだ。俺がイジメに遭って引きこもってしまった時も瑠璃は俺の事を自分の事以上に気にかけてくれたし、どんな時だって俺を一番に思ってくれていたと思う。
正直に言って、兄妹に対する情だけでは説明できないことも多々あったとは思うのだが、それを認めることは怖かった。否定される方がマシだと思うくらいに、俺の事を大切に思っている意味を聞くのが怖かったのだ。
「まあ、お兄さんとお姉ちゃんの思ってることなんて私には全然わからないけど、仲の良い兄妹だなってのは思ってるよ。どこに居たってお兄さんとお姉ちゃんは仲が良いからね。それが兄妹という関係じゃない時でも、お兄さんとお姉ちゃんはいつも仲良しなんだよ。誰が見ても二人は仲が良いってわかるんだけど、どの世界でも二人が望む幸せは訪れたことなかったような気がするな」
「それって、俺と瑠璃が他の世界でも仲が良いって事でいいんだよね?」
「そういう事になるね。でも、私が見てきた限りではお兄さんとお姉ちゃんが恋人関係になったことは一度も無かったような気がするよ。それに限りなく近い関係だったことは何度もあるし、今だって兄妹って言う恋人よりも深い関係にはなってるよね。ただ、兄妹って時点で恋人同士にはなれないもんなのかもしれないよ。お姉ちゃんがお兄さんと一緒に居たいって望んだ結果が兄妹って事なのかもしれないけど、それって幸せなはずなのに恋人にはなれない不幸なコトなのかもしれないね」
何となく握った瑠璃の手は俺よりも小さく冷たかった。
俺の手を握り返すその力は、今まで感じたことがないくらい優しい感触であった。
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