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勇者の試練
勇者の試練 第二十九話
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宝探しをしたいところではあったが、うまなちゃんをすぐにでも助けに行きたいと言ってしまった手前そんな事を言い出すことは出来なかった。
柘榴ちゃんは俺の気持ちを見透かしているかのように怪しげな箱が置いてある場所に次々と向かっていった。どこに何があるのかわかっているとしか思えないのだが、ここは入るたびに変化するそうなので俺の思い過ごしなのだろう。
それにしても、どうしてこうも宝箱の中身が空になっているのだろうか。
「期待させたところ申し訳ないんだけど、私のせいで宝箱の中身も消えちゃったんだと思う。ここまで空箱が続くなんておかしいと思うんだけど、それには理由があるんじゃないかな。お兄ちゃんはどうしてだと思う?」
「どうしてって言われてもな。毒で宝物が消えてしまったとか?」
「宝物だけ消える毒なんて無いよ。毒で宝物が消えるんだったらこの箱だって壁だって何もかも消えちゃうんじゃないかしら。私の毒は生き物にしか効かないのよ」
それってどういう事だろう。宝物は生き物だったという事なのだろうか。
どんな生物だったとしても宝箱に入れておくなんて異常だと思う。
「お兄ちゃんは知らないのかもしれないけど、世の中には宝箱に擬態する魔物もいるのよ。ここまで言えばお兄ちゃんならわかるわよね?」
「つまり、今まで開けてきたたくさんの宝箱は全部魔物が化けていた罠だったって事?」
「その可能性は高いと思うわ。だって、ここは入るたびに毎回構造が変わるのよ。そんな場所に宝物を置くと思うかな?」
「置かないだろうね。そんなモノのために試練を受けてるってわけでもないと思うし、宝物を探す余裕なんて無いんじゃないかな」
「勇者の試練を受けられる人なんてお兄ちゃん以外にはいないんだけどね。みんな魔王を倒すことが出来ないから勇者として認められることも無いだろうし」
「そもそもなんだけど、なんで俺だけが魔王を倒すことが出来るんだろう?」
「さあ、その辺はイザーちゃんに聞いてみたらわかるんじゃないかな。聞いても教えて貰えないと思うけど」
「だろうね」
その後も俺と柘榴ちゃんは宝箱を見つけ次第開けているのだが、どの箱にも何も入ってはいなかった。仮に宝物が入っていたとしても持っていく事は無いんじゃないかと思うのだが、宝石くらいだったら持っていくかもしれないな。
広く何もない部屋の中央にとても怪しい感じで宝箱がたくさん並んでいるのだが、どう見ても罠としか思えないような配置で開けるのはためらわれた。それでも、柘榴ちゃんはゆっくりと宝箱に近付いてそれらを開けるように俺に指示を出していた。
正直に言うと、今までもずっと空だった箱を見てきたので開けたくない気持ちでいっぱいだったのだけど、柘榴ちゃんが開ける順番を指定してきたので開けないわけにはいかない状況になってしまっていた。
凄く凄く開けたくない気持ちでいっぱいだったのだが、一つずつ順番に開けていっても宝箱の中身は空であった。
どの宝箱もずっと空で何も入っていない。少しずつ開けるのも面倒な感じを出していたのだけど、柘榴ちゃんはそんな俺の気持ちを全く理解していない。俺が箱を開けようとしている時には次の箱の前に立って俺を待っているのだ。
私の選んだ箱を早く開けなさい。とでも言いたげな感じの柘榴ちゃんに逆らうことが出来ずに最後の箱の前までやってきたのだが、次の箱が無いからなのか柘榴ちゃんは俺が開けるのをすぐ隣で待っているのだ。
中には何も入っていないという事なんてわかりきっているので今までと同じく作業的に箱を持ち上げて開けようとしたのだが、箱を持ち上げた時に中で何かが動いたような音が聞こえた。
俺はその音が聞こえた瞬間に柘榴ちゃんの顔を見ていたのだ。
柘榴ちゃんはそれをわかっていたかのように俺の顔を見て頷くと、俺は箱の中に何が入っているのだろうと思いながらもゆっくりと箱を開けていった。
少し開けただけでは中に何が入っているのかわからない。思い切って一気に開けてしまおうかとも思ったのだが、柘榴ちゃんはゆっくりと開けてから確認した方がいいと俺の気持ちを落ち着かせてきた。
ゆっくり開けた方がいい。そんな事を言われた俺は良くないことを考えてしまったのだ。
もしかしたら、この箱の中には柘榴ちゃんの毒でも死ななかった恐ろしい魔物がいるのではないか。そんな考えが俺の頭の中に浮かんでしまった。
一度考えてしまうとそうとしか思えなくなってしまい、これ以上箱を開けるのが怖くなってしまっていた。
今なら開けるのを止めることが出来る。
さっきまでウキウキで開けようとしていた俺ではあるが、ここに来て急に怖気づいてしまった。
柘榴ちゃんを見てみると、先ほどとは変わらない笑顔を浮かべているのだが、その笑顔がどういう意味なのか考えてしまうとますます開けるのが怖くなってしまった。
「どうしたのかしら。急に開けるのが怖くなってしまったの?」
「そういうわけではないだけど、今までずっと空だったからこの箱だけ何か入っているというのが気になっちゃってるんだよ。柘榴ちゃんは何が入ってると思うかな?」
「さあ、何が入っているのかしらね。私には全く想像もつかないわ」
いつもと変わらないように見える柘榴ちゃんの笑顔だが、何となく裏があるように見えてしまうのは俺の不安な気持ちの表れだろうか。
それとも、本当に良くないものが入っているという事がわかっているからなのだろうか。
ここまで真っすぐに迷わずに案内してくれたこともそうだし、最後の一つだけ何か入っているというのも柘榴ちゃんが何かを仕込んでいるという事ではないのだろうか。
俺の考えすぎだとは思うのだが、考えれば考えるほど怖くなってしまっていた。
柘榴ちゃんは俺の気持ちを見透かしているかのように怪しげな箱が置いてある場所に次々と向かっていった。どこに何があるのかわかっているとしか思えないのだが、ここは入るたびに変化するそうなので俺の思い過ごしなのだろう。
それにしても、どうしてこうも宝箱の中身が空になっているのだろうか。
「期待させたところ申し訳ないんだけど、私のせいで宝箱の中身も消えちゃったんだと思う。ここまで空箱が続くなんておかしいと思うんだけど、それには理由があるんじゃないかな。お兄ちゃんはどうしてだと思う?」
「どうしてって言われてもな。毒で宝物が消えてしまったとか?」
「宝物だけ消える毒なんて無いよ。毒で宝物が消えるんだったらこの箱だって壁だって何もかも消えちゃうんじゃないかしら。私の毒は生き物にしか効かないのよ」
それってどういう事だろう。宝物は生き物だったという事なのだろうか。
どんな生物だったとしても宝箱に入れておくなんて異常だと思う。
「お兄ちゃんは知らないのかもしれないけど、世の中には宝箱に擬態する魔物もいるのよ。ここまで言えばお兄ちゃんならわかるわよね?」
「つまり、今まで開けてきたたくさんの宝箱は全部魔物が化けていた罠だったって事?」
「その可能性は高いと思うわ。だって、ここは入るたびに毎回構造が変わるのよ。そんな場所に宝物を置くと思うかな?」
「置かないだろうね。そんなモノのために試練を受けてるってわけでもないと思うし、宝物を探す余裕なんて無いんじゃないかな」
「勇者の試練を受けられる人なんてお兄ちゃん以外にはいないんだけどね。みんな魔王を倒すことが出来ないから勇者として認められることも無いだろうし」
「そもそもなんだけど、なんで俺だけが魔王を倒すことが出来るんだろう?」
「さあ、その辺はイザーちゃんに聞いてみたらわかるんじゃないかな。聞いても教えて貰えないと思うけど」
「だろうね」
その後も俺と柘榴ちゃんは宝箱を見つけ次第開けているのだが、どの箱にも何も入ってはいなかった。仮に宝物が入っていたとしても持っていく事は無いんじゃないかと思うのだが、宝石くらいだったら持っていくかもしれないな。
広く何もない部屋の中央にとても怪しい感じで宝箱がたくさん並んでいるのだが、どう見ても罠としか思えないような配置で開けるのはためらわれた。それでも、柘榴ちゃんはゆっくりと宝箱に近付いてそれらを開けるように俺に指示を出していた。
正直に言うと、今までもずっと空だった箱を見てきたので開けたくない気持ちでいっぱいだったのだけど、柘榴ちゃんが開ける順番を指定してきたので開けないわけにはいかない状況になってしまっていた。
凄く凄く開けたくない気持ちでいっぱいだったのだが、一つずつ順番に開けていっても宝箱の中身は空であった。
どの宝箱もずっと空で何も入っていない。少しずつ開けるのも面倒な感じを出していたのだけど、柘榴ちゃんはそんな俺の気持ちを全く理解していない。俺が箱を開けようとしている時には次の箱の前に立って俺を待っているのだ。
私の選んだ箱を早く開けなさい。とでも言いたげな感じの柘榴ちゃんに逆らうことが出来ずに最後の箱の前までやってきたのだが、次の箱が無いからなのか柘榴ちゃんは俺が開けるのをすぐ隣で待っているのだ。
中には何も入っていないという事なんてわかりきっているので今までと同じく作業的に箱を持ち上げて開けようとしたのだが、箱を持ち上げた時に中で何かが動いたような音が聞こえた。
俺はその音が聞こえた瞬間に柘榴ちゃんの顔を見ていたのだ。
柘榴ちゃんはそれをわかっていたかのように俺の顔を見て頷くと、俺は箱の中に何が入っているのだろうと思いながらもゆっくりと箱を開けていった。
少し開けただけでは中に何が入っているのかわからない。思い切って一気に開けてしまおうかとも思ったのだが、柘榴ちゃんはゆっくりと開けてから確認した方がいいと俺の気持ちを落ち着かせてきた。
ゆっくり開けた方がいい。そんな事を言われた俺は良くないことを考えてしまったのだ。
もしかしたら、この箱の中には柘榴ちゃんの毒でも死ななかった恐ろしい魔物がいるのではないか。そんな考えが俺の頭の中に浮かんでしまった。
一度考えてしまうとそうとしか思えなくなってしまい、これ以上箱を開けるのが怖くなってしまっていた。
今なら開けるのを止めることが出来る。
さっきまでウキウキで開けようとしていた俺ではあるが、ここに来て急に怖気づいてしまった。
柘榴ちゃんを見てみると、先ほどとは変わらない笑顔を浮かべているのだが、その笑顔がどういう意味なのか考えてしまうとますます開けるのが怖くなってしまった。
「どうしたのかしら。急に開けるのが怖くなってしまったの?」
「そういうわけではないだけど、今までずっと空だったからこの箱だけ何か入っているというのが気になっちゃってるんだよ。柘榴ちゃんは何が入ってると思うかな?」
「さあ、何が入っているのかしらね。私には全く想像もつかないわ」
いつもと変わらないように見える柘榴ちゃんの笑顔だが、何となく裏があるように見えてしまうのは俺の不安な気持ちの表れだろうか。
それとも、本当に良くないものが入っているという事がわかっているからなのだろうか。
ここまで真っすぐに迷わずに案内してくれたこともそうだし、最後の一つだけ何か入っているというのも柘榴ちゃんが何かを仕込んでいるという事ではないのだろうか。
俺の考えすぎだとは思うのだが、考えれば考えるほど怖くなってしまっていた。
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