(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

文字の大きさ
109 / 111
勇者の試練

勇者の試練 第三十一話

しおりを挟む
 使い慣れたいつものカフェとは少し趣が異なるものの、美味しいコーヒーを入れるのには十分に感じられた。
 柘榴ちゃんは俺の入れたコーヒーを飲み終えるとそのまま部屋を出ていったのだが、代わりに戻ってきたのはうまなちゃんだった。

「私もコーヒーをいただいていいかな?」
「もちろん、何か飲みたいものでもあるのかな?」
「甘いやつがいいかも。ちょっと疲れちゃったんでうんと甘くしてもらえると嬉しいです」

 うまなちゃんのリクエストに応えて甘めのコーヒーを出してみた。一応砂糖も一緒に出したのだけど、うまなちゃんは一口飲んで甘さに満足できたのか砂糖は入れずにそのまま飲み続けてくれた。

「私を助けに来てくれたのは嬉しいんだけど、私だけみんなに迷惑をかけているみたいでちょっと嫌なんだよね。私は一人でも平気なんだけど、ダメな子だって思われちゃってるのかな?」
「誰もそんな風には思ってないよ。うまなちゃんだけ広い地域をまわらないといけなかったから仕方ないんじゃないかな」

「広いって言っても、この世界の半分だけだからそんなに大変じゃないと思うんだけどな」
「世界の半分でも大変なことだとは思うけど。それに、魔王と同じくらい強い魔物がたくさんいるって聞いてたんだけどな」
「そんなに強い相手はいなかったような気もするけど。私の使ってる斧が殺した相手の力をそのまま奪って強くなるから段々手ごたえも無くなってきてるんだよね。それが原因だったりして」

 うまなちゃんが持っている斧は前に見た時は体よりも大きく見えていたと思うんだけど、今は俺でも持てそうなくらいの大きさに縮んでいる。小さくなって強くなるという事なんてあるのかと思ったが、うまなちゃんがわざわざそんな嘘をつくことも無いと思うので信じることにしよう。
 仲間を疑うなんて良くないことだし。

「そう言えば、瑠璃先生も愛華もこっちに来てるんだよね。まだ私は会ってないんだけど、お兄ちゃんは二人がどこに居るか知ってるかな?」
「俺もどこに居るかは知らないな。でも、うまなちゃんを助けるって言ってたから別の地域に行ってるんじゃないかな。ここがどの辺にあるのかわからないけど、たぶんうまなちゃんがいないところで頑張ってるんだと思うよ」

「そうなんだ。それなら良かった。私ももう少し頑張ってみようかなって思ってるんだ。お兄ちゃんは私と一緒に来てくれるよね?」
「もちろん。でも、さっき出ていった柘榴ちゃんが戻ってくるのを待ってからにしないとね」

「柘榴ちゃんも来てたんだ。皆来てくれて嬉しいな。って事は、お兄ちゃんは勇者の試練もほとんど終わらせたって事なのかな?」
「うん、あとはうまなちゃんと一緒に試練を乗り越えれば終わりだよ」
「そっか、私が最後になっちゃったんだね。それだったら、協会の人達に話を付けて勇者の試練を受けに行かないとね」

「話をつけるってのは、ここを平和にしてからって事だよね?」
「ここが平和にならなくても問題ないでしょ。お兄ちゃんは知らないかもしれないけど、この世界の北半球って魔物の領土なんだよ。今は協会が頑張って前線を維持してるってだけだし。資源をとりに来るだけだったら魔物と戦う必要もないんだけどね。それでも、協会の人達はみんな頭がおかしいから魔物は全部倒しちゃうんだろうね。魔王はお兄ちゃんに任せるとして、それ以外はみんな私が倒してあげるからね。魔物じゃなくても邪魔する奴がいれば私が何とかしてあげるよ。協会とか連合とか連盟とか評議会とかそう言うのは関係なしに、私がお兄ちゃんの事を勇者だってちゃんと認めてあげるから」

 いつものうまなちゃんと何かが違うと思うんだけど、この世界に来たばっかりの時に魔王と戦った時もこんな感じだったような気がする。今まで見たことが無かったうまなちゃんの姿に驚いていたのを覚えているが、この世界で戦いが日常になったうまなちゃんは今の状態が当たり前になっているようにも思えた。

「うまなちゃんはこの世界をどうしたいのかな?」
「さあ、どうしたいんだろうね。最初はみんなで仲良く平和に暮らせるようになったらいいなって思ってたんだけど、協会の人と関わりを持って色々と見ていたらその考えはどうなんだろうなって思ってきたんだよ。だって、みんなこの世界を平和にすることなんて考えてないんだよ。この世界が平和になってしまったら自分たちの仕事がなくなるって思ってるみたいなんだ。それってさ、どうなんだろうって思っちゃうよね。お兄ちゃんは自分が倒す魔王がいなくなることはイヤだって思うかな?」

 俺が倒すべき魔王ってのはいまだによくわかっていないのだけど、俺にしか出来ないことがあるのならそれをやるべきだと思う。
 ただ、本音を言えば魔王を倒しつくして俺が戦うべき魔王がいなくなればいいと思っている。

 俺は別に戦闘狂ではないし平和に暮らせれば一番だと思っているのだ。

「出来ることなら、俺が倒さないといけない魔王がいなくなって平和になってくれたらいいなって思ってるよ。正直に言うと、俺はみんながいるからどんな敵がいても安心できてるんだけど、みんなには魔物と戦うなんて危険なことはやめてほしいって思ってる。みんなの力を信じていないとかそういう事じゃなくて、女の子にばっかりそんな危険なことをやらせるのはどうかと思ってるってだけの話なんだけどね」

「お兄ちゃんってやっぱり優しいんだね。私たちを倒せるのなんてワタシタチしかいないから平気だよ。魔物なんて相手にもならないって事なんだよ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

処理中です...