春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎

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高校生編1

吉川雪さんはピンクで今井雅美さんは黄色だった

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 入学式からはや一週間。僕は全くクラスに溶け込めずにいた。
 隣のクラスの陽香も馴染めてはいないようなのだけれど、僕とは違ってクラスメイトは積極的に距離を詰めようとはしてくれているようだ。僕の場合は完全にクラスの男子から敵認定されているようで友達が出来る予感は全くなかった。もともと友達はいないのでそんな事はどうでもいいと言えばどうでもいいのだけれど、環境が変われば僕にも友達が出来るのではないかと思っていたことは事実なのであるが。

 僕は昼休みに自分の席でお弁当を食べていた。僕に友達が出来なかったことを憐れんだ陽香が休み時間の度に僕に会いに来てくれていたのだけれど、それは完全に僕の状況を悪くするだけだったのだが、それに気が付いたのは昨日の夜だった。
 つまり、僕はこの一週間の間にクラス中のヘイトを集めてしまっていたのだ。男子からは憎悪にも近い嫉妬の眼差しを向けられ、女子からは羨望にも似た嫉妬の眼差しを向けられていたらしい。吉川さんがそう教えてくれたのだけれど、他人にあまり興味を持たない僕はそれに全く気が付いていなかったという事なのだ。
 そして、今日から僕は一人でお弁当を食べることにしたというわけだ。
 陽香は少し寂しがっていたのだけれど、お互いのためにも別々に教室でお弁当を食べた方が良いと思ったのだから仕方ない。

「今日は前田さんと一緒じゃないの?」
「うん、陽香と一緒に食べてたらみんなに注目されちゃうからね」
「前田さんがいなくても注目されてると思うよ。だって、勉強もみんなより出来るし、運動もそれなりに出来るもんね。勉強に関しては素直にすごいと思うけど、運動に関してはここの人達が出来なすぎるってのもあるんだけどさ」
「そうだよね。雪の言う通りここのみんなって体を動かすの苦手だもんね」
「雅美だって運動苦手でしょ。私も人のこと言えないけどさ。齋藤君って何かスポーツやってたの?」
「僕はほとんどやってないよ。それこそ、体育で体を動かすくらいで、後は家でゲームやったりしてるくらいかな」
「あ、なんか最近は体を動かすゲームとかがあるって聞いたことがあるよ。なんでも、指定された色に手足を置いて倒れないようにするゲームがあるって聞いたことある」
「そのゲームはたぶん僕の言ってるゲームと全然違うと思うよ」
「ゲームの事はよくわからないけどさ、今日は前田さんが来ないって言うんだったら私達と一緒に食べようよ」
「そうだよ。齋藤君の事もっと知りたいからさ、どう?」
「僕は別にかまわないけど二人は僕と一緒に居て嫌じゃないの?」
「え、なんで嫌だと思うの?」
「なんでって、僕はクラスの人から嫌われてるでしょ?」
「別に嫌われてはいないと思うよ」
「そうだよね。齋藤君の場合は嫌われてるっていうよりも、羨ましがられてるって感じじゃないかな」
「羨ましがられる?」
「だってさ、毎日一緒に前田さんと登下校してるし、休憩時間も一緒に居るからね。もしかしたら、隣のクラスの子たちも齋藤君の事を羨ましがってるかもしれないよ」
「それってさ、陽香が人気者って事?」
「そうだね。学校には他にも綺麗な子はいっぱいいるけどさ、なんとなく他の人とは違う魅力があるんだよね。ウチの学校の綺麗な子ってさ、決まった人と一緒に固まっては罰みたいのを作ってたりするんだけどさ、前田さんってまだそういうの無いでしょ。だからさ、みんな前田さんと仲良くなっておきたいんじゃないかな」
「じゃあ、二人もその派閥を作ってるの?」
「え、私達が?」
「齋藤君って変なこと言うよね。そんなわけないじゃん」
「でもさ、二人も美人だと思うけど」
「はは、そう言ってくれるのは嬉しいけどさ、この学校には綺麗な人がいっぱいるからね。私達は身の程ってものをわきまえてるんだよ」
「前から気になってたんだけどさ、そのお弁当って齋藤君のお母さんが作ってるの?」
「大体はそうだと思うけど、陽香とか陽香の妹も手伝ったりしてるみたいだよ」
「ちなみになんだけどさ、前田さんたちが手伝って作ってるのって今日もあったりする?」
「僕は作ってるとこを見たわけじゃないけど、たまご焼きとハンバーグがそうだと思うよ」
「へえ、じゃあ私はハンバーグを貰おうかな」
「ええ、それなら私はたまご焼きにしようっと」
「いやいや、僕のおかず無くなっちゃうでしょ」
「そんなこと言わなくてもちゃんとおかずあげるわよ。これで良いでしょ」

 吉川さんはたまご焼きの代わりにミートボールをくれて、今井さんはハンバーグの代わりにたまご焼きをくれた。あんまり変わっていないような気もするのだけれど、そのどちらも真弓が作ったモノとは味が違って美味しかった。というよりも、ちゃんと味が付いていてご飯に合うおかずだった。

「意外とさっぱりした味のハンバーグなんだね」
「たまご焼きも卵の味がしっかりしてるね」
「二人がくれたのはとても美味しいよ。二人は手伝ったりするの?」
「手伝うって言うか、自分で作ってるからね」
「だよね。小学校から自分で作る習慣ついてるもんね」
「へえ、二人とも料理上手なんだね。羨ましいな」
「別にこれくらいは誰でも作れるでしょ」
「そうだよ。調理実習で作ったり家でやったりもするでしょ」
「普通はそうだよね。でもさ、陽香の家って料理が基本的に味しないみたいなんだよね。そのハンバーグもたまご焼きも素材の味しかしなかったでしょ?」
「うん、ちょっと醤油欲しいなって思ったよ」
「私も何かソース付けたいなって思った」
「陽香はさ、ウチに着て母さんから色々教えてもらって出来るようになってるんだけど、妹の真弓はまだ味付けがわかってないみたいで今日もそんな感じになってるんだよ」
「じゃあ、これを作ったのって前田さんじゃなくて妹の方なの?」
「多分ね。僕は見てないからわからなけど、味的にそうだと思うよ」
「そうなのか。次は前田さんが作ったやつを食べさせてね」
「交換ならいいよ。二人の作ったおかず美味しかったからね」
「もう、あんまりからかうなよ」
「そうだよ。そんな風に言われたら照れちゃうじゃん」

 僕は真弓の料理と比べて美味しかったと思うので褒めたのだけれど、二人が喜んでくれて嬉しい気持ちになった。きっと、僕も吉川さんも今井さんもみんな嬉しい気持ちになっているのだろう。
 僕は何だか友達が出来たみたいで嬉しい気持ちになってしまった。そう言えば、家族や親せき以外の人と一緒に食事をしたのはいつ以来だったのだろうか。全く覚えていないけれど、少なくとも幼稚園の遠足の時は誰かと食べていたような記憶はある。小学校でもそうだったような気はするのだけれど、小学校以降の記憶はほぼ勉強の事しか残っていなかったりするのだ。

「次の授業って視聴覚室だっけ?」
「そうだったと思うよ。四階まで上がるの面倒だよね」
「雅美って本当に動くの嫌がるよね。運動嫌いなのに何で太らないの?」
「なんでって、あんまり間食しないからじゃないかな。雪って割と間食する派だからお肉つくんじゃない?」
「ちょっと、そんな事ないって」
「でも、そのお胸は少し暴力的過ぎませんかね。ほらほら」
「やめてって、齋藤君も見てるでしょ」
「別に見られるくらいいいじゃない。触らせてあげるわけじゃないんだからさ」

 僕の目の前で今井さんが吉川さんの胸を揉みしだいていた。時々真弓が沙緒莉姉さんの胸を揉んでいる時があるのだけれど、これもそれと同じようなスキンシップの取り方なのだろうか?
 さっぱりわからなかったけれど、二人とも大げさに暴れているせいか時々スカートが捲れていたりしていたのだ。
 今時の高校生はパンツの上から何か一枚履いていたりすると聞いたことがあったのだけれど、この二人はそうではないみたいだった。

 視聴覚室で何を見るのかわからないが、それは頭に入ってこないような予感はしていた。
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