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第二部
第一話 今日はよく頼みごとをされる日だ
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女から頼みごとをされることはよくある事ではあるのだけれど、サキュバスを何体か貸して欲しいと言われたのは初めての経験だった。俺に相手をして欲しいのではなくサキュバスを貸してくれというのは理解出来なかったのだが、男性恐怖症の百合というやつなのだと思ったので快くサキュバスを貸し出すことにしたのだけれど、それは俺の勘違いというやつであった。
「魔王君のところにサキュバスがたくさん集まっているという噂を信じてよかったよ。私達の世界にはサキュバスなんて伝説上の存在としか思えないんだけど、こんなにたくさんいるなんて驚いてしまったな。持つべきものは親しき友人というやつだね」
どう見てもあなたもサキュバスだろうと思うような恰好をしている女が俺の親しい友人を名乗って玉座の間までやってきたのだ。もともと警備兵なんて配置してないので誰でも気軽にやってくることは出来るのだけど、ここまで殺気を放っている女を素通りさせてしまうのは良くないんじゃないかな。
「サキュバスを貸し出すことはやぶさかではないのだが、俺とあなたはいつから友人なのかな?」
「変な事を良い出さないでくれよ。私と君はともに命がけで神どもと戦ったじゃないか。あの時は君の助けが無ければ私もイザーちゃんもどうなってたかわからなかったな」
「ちょっと待ってくれ。俺はお前と一緒に戦った記憶どころか初対面だと思うんだが。それに、神と戦ったことなんてないぞ」
「うまなちゃんうまなちゃん。今の時間軸ではまだ神と戦う前だよ。神を殺したら人間に仇なす存在がほとんど消えちゃってサキュバスたちもいなくなったからここに来たんだよ。しっかりしないと魔王アスモ君も混乱しちゃうって」
「そうだったっけ。まあ、それはいったん置いておいて、魔王君もサキュバスをただで貸してくれるというわけではないんだよね?」
「別にタダで良いよ。そいつらがあんた達の役に立つって言うんだったらそれで済む話だしな。連れて行くのはやっぱり人間タイプのサキュバスが良いのか?」
この町にいるサキュバスが全部で何体いるのか俺も把握はしていないのだけど、小さな町を形成するくらいの数はいると思われる。どれだけサキュバスを連れて行っても影響なんて無いとは思うけど、こいつらの目的がいったい何なのか見当もつかないままだ。
それよりも、俺に馴れ馴れしく話しかけてきているうまなちゃんと呼ばれている女は本当にサキュバスではないのだろうか。月を背負って立っているように見えるその姿は俺が初めて見たサキュバスと瓜二つとしか思えない。俺を脱がそうとしないところを見るとサキュバスではないんだろう。
「人間タイプじゃないサキュバスもいるの?」
「ああ、性欲を持っているのは人間だけじゃないからな。動物にだって植物にだって性欲はあるみたいだよ。俺は植物タイプのサキュバスは見た事ないんで本当にいるのか知らないけど、必要なんだったら探してきてやるよ」
「随分と優しいんだね。魔王アスモってもっと危ない人かと思ってたよ」
「私も魔王アスモ君って傍若無人でどんな女でも相手をしちゃうヤバい人だと思ってたかも。性欲絶倫危険人物って聞いてたんだけど、意外と紳士な人なのかもしれないね」
こいつらは好き勝手に俺の事を想像していたみたいなんだけど、俺だって相手くらいは選ぶに決まっている。この二人を相手にするのは余裕だと思うのだけど、何となく向こうが満足してくれる前に俺の方が死んでしまうのではないかという思いが頭の中を駆け巡っているのだ。なぜかわからないけれど、この二人は何度でも何度でも俺が嫌になったとしても求め続けてくるような気がしているのだ。うまなちゃんとは一対一で戦っても勝てるとは思うけれど、イザーちゃんの方は何をやっても勝てる道筋が見いだせない。俺が今まで出会ってきた生き物の中で一番強いのではないかとさえ思えたのだ。
「そんなにサキュバスを集めてどうするんだ。国営の風俗店でも経営するつもりなのか?」
「風俗店なんてやらないよ。私達の世界はそういうの必要ない世界だし」
「風俗店が必要無いって事は、みんな性生活が充実してるって事なのか。それは素晴らしいな」
「そう言うわけでもないんだけど、説明するのも面倒だからそれでいいや。あとはここで何かやっておくことってあったっけ?」
「ここではもう何もないかも。せっかくだし何か美味しいものでも食べていったらいいんじゃないかな。うまなちゃんが美味しいものを見付けたらみんなも喜ぶと思うし」
「それは良い考えね。魔王君も一緒に何か食べに行きましょうよ。あなたの世界なんだから美味しいものとか一杯知ってると思うし、私達を満足させてちょうだいよ」
女性を満足させることばかりしてきた俺ではあるが、食事で満足させろと言われたのは初めての経験かもしれない。いや、これはこの二人が直接言うのは恥ずかしいので食事で満足させろとぼかしていっているだけかもしれない。
きっとそうだと思って食事を終えてから秘密の地下室に案内しようと思っていたのだけど、ご飯を食べた二人はさっさと自分たちの世界へと返っていってしまった。
来月の終わりくらいにもう一度ここにきてサキュバスを借りていくという言葉を残していたのだが、俺の行き場のないこの欲求はいったいどうしたらいいのだろうか。
仕方ないので、適当に町を歩いてどうにか発散できるような相手を探すことにしないとな。
「あの、アスモさん。狐みたいな女の子がうちの神社に居ついてしまってるんですよ。助けてもらっても良いですか?」
断る理由もないので引き受けることにしたのだが、狐みたいな女の子という言葉に俺は胸を躍らせてしまっていた。ケモナーと言うわけではないのだけれど、ケモ耳はちょっといいなと思っている時期だったりするからだ。
「魔王君のところにサキュバスがたくさん集まっているという噂を信じてよかったよ。私達の世界にはサキュバスなんて伝説上の存在としか思えないんだけど、こんなにたくさんいるなんて驚いてしまったな。持つべきものは親しき友人というやつだね」
どう見てもあなたもサキュバスだろうと思うような恰好をしている女が俺の親しい友人を名乗って玉座の間までやってきたのだ。もともと警備兵なんて配置してないので誰でも気軽にやってくることは出来るのだけど、ここまで殺気を放っている女を素通りさせてしまうのは良くないんじゃないかな。
「サキュバスを貸し出すことはやぶさかではないのだが、俺とあなたはいつから友人なのかな?」
「変な事を良い出さないでくれよ。私と君はともに命がけで神どもと戦ったじゃないか。あの時は君の助けが無ければ私もイザーちゃんもどうなってたかわからなかったな」
「ちょっと待ってくれ。俺はお前と一緒に戦った記憶どころか初対面だと思うんだが。それに、神と戦ったことなんてないぞ」
「うまなちゃんうまなちゃん。今の時間軸ではまだ神と戦う前だよ。神を殺したら人間に仇なす存在がほとんど消えちゃってサキュバスたちもいなくなったからここに来たんだよ。しっかりしないと魔王アスモ君も混乱しちゃうって」
「そうだったっけ。まあ、それはいったん置いておいて、魔王君もサキュバスをただで貸してくれるというわけではないんだよね?」
「別にタダで良いよ。そいつらがあんた達の役に立つって言うんだったらそれで済む話だしな。連れて行くのはやっぱり人間タイプのサキュバスが良いのか?」
この町にいるサキュバスが全部で何体いるのか俺も把握はしていないのだけど、小さな町を形成するくらいの数はいると思われる。どれだけサキュバスを連れて行っても影響なんて無いとは思うけど、こいつらの目的がいったい何なのか見当もつかないままだ。
それよりも、俺に馴れ馴れしく話しかけてきているうまなちゃんと呼ばれている女は本当にサキュバスではないのだろうか。月を背負って立っているように見えるその姿は俺が初めて見たサキュバスと瓜二つとしか思えない。俺を脱がそうとしないところを見るとサキュバスではないんだろう。
「人間タイプじゃないサキュバスもいるの?」
「ああ、性欲を持っているのは人間だけじゃないからな。動物にだって植物にだって性欲はあるみたいだよ。俺は植物タイプのサキュバスは見た事ないんで本当にいるのか知らないけど、必要なんだったら探してきてやるよ」
「随分と優しいんだね。魔王アスモってもっと危ない人かと思ってたよ」
「私も魔王アスモ君って傍若無人でどんな女でも相手をしちゃうヤバい人だと思ってたかも。性欲絶倫危険人物って聞いてたんだけど、意外と紳士な人なのかもしれないね」
こいつらは好き勝手に俺の事を想像していたみたいなんだけど、俺だって相手くらいは選ぶに決まっている。この二人を相手にするのは余裕だと思うのだけど、何となく向こうが満足してくれる前に俺の方が死んでしまうのではないかという思いが頭の中を駆け巡っているのだ。なぜかわからないけれど、この二人は何度でも何度でも俺が嫌になったとしても求め続けてくるような気がしているのだ。うまなちゃんとは一対一で戦っても勝てるとは思うけれど、イザーちゃんの方は何をやっても勝てる道筋が見いだせない。俺が今まで出会ってきた生き物の中で一番強いのではないかとさえ思えたのだ。
「そんなにサキュバスを集めてどうするんだ。国営の風俗店でも経営するつもりなのか?」
「風俗店なんてやらないよ。私達の世界はそういうの必要ない世界だし」
「風俗店が必要無いって事は、みんな性生活が充実してるって事なのか。それは素晴らしいな」
「そう言うわけでもないんだけど、説明するのも面倒だからそれでいいや。あとはここで何かやっておくことってあったっけ?」
「ここではもう何もないかも。せっかくだし何か美味しいものでも食べていったらいいんじゃないかな。うまなちゃんが美味しいものを見付けたらみんなも喜ぶと思うし」
「それは良い考えね。魔王君も一緒に何か食べに行きましょうよ。あなたの世界なんだから美味しいものとか一杯知ってると思うし、私達を満足させてちょうだいよ」
女性を満足させることばかりしてきた俺ではあるが、食事で満足させろと言われたのは初めての経験かもしれない。いや、これはこの二人が直接言うのは恥ずかしいので食事で満足させろとぼかしていっているだけかもしれない。
きっとそうだと思って食事を終えてから秘密の地下室に案内しようと思っていたのだけど、ご飯を食べた二人はさっさと自分たちの世界へと返っていってしまった。
来月の終わりくらいにもう一度ここにきてサキュバスを借りていくという言葉を残していたのだが、俺の行き場のないこの欲求はいったいどうしたらいいのだろうか。
仕方ないので、適当に町を歩いてどうにか発散できるような相手を探すことにしないとな。
「あの、アスモさん。狐みたいな女の子がうちの神社に居ついてしまってるんですよ。助けてもらっても良いですか?」
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