サキュバスを腹上死させた魔王ですが世界中から狙われるようになりました

釧路太郎

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第二部

第四話 天才科学者とお姉さん ボーナスステージ前編

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 大きな窓から見える景色の中に人の気配は感じなかった。俺が一番無防備な状態で襲われることが無くなってきたとはいえ、油断することは出来ない。俺より強いモノがたくさんいるのではないかと考えているからこその思いなのだが、用心したところで俺より強い相手に襲われてしまったんだとしたらどうすることも出来ないだろう。
 このお姉さんは三賛斎青海青梅の仇を討つつもりでやってきているのだからこそこんなに大きな窓がある部屋に案内してきたのあろう。だが、俺が感じる範囲で人はおろか虫一匹いる気配がしないというのはどういうことなのだろうか。さっきを消すことが出来たとしても生きている証を消すことなんて不可能だろう。呼吸も体温も感じさせない状態で俺を襲ってきたとして、本当にそれで俺を殺せるとでも思っているのだろうか。そんな状態であればうまなちゃんやイザーちゃんでも俺を殺すことなんて出来ないとは思う。いや、俺が知らないだけでそんな状態からでも確実に俺を殺せる方法があるのかもしれないな。なんにせよ、油断なんてしない方がいいに決まっているのだ。
「あの、アスモさんって青海青梅姉さんの事を愛してるってわけではないんですよね?」
 突然脈略のない質問に俺は面食らってしまったが、俺が誰かを愛することなんてないので否定はしておくか。否定したことでこのお姉さんが怒ってしまうかもしれないけれど、そんなのは俺に何の関係もない事なのだ。
「俺は誰かを愛することなんてないと思うよ。俺が今いるこの世界は俺の住んでいる世界とは違う場所だし、そんなところで愛を求めたりなんてしないさ。何より、俺は魔王だからな」
「良くわからないですけど、アスモさんの愛は誰のモノでもないって事ですよね。それなら良かったです。魔王に愛されたりしたらどうしようかなって思ってたんですからね。でも、私がアスモさんの事を愛するのは許してくださいね」
 ゆっくりと近づいてきたお姉さんは俺に遠慮がちに抱き着くと、そのまま俺の首筋をペロリと舐めてきた。そして、そのまま俺の耳元に吐息を吹きかけてきた。
「アスモさんってあんまり汗とかかかないんですね。私たちと違うところかもしれないですね。こんなことしているところを青海青梅姉さんに見られたら何て言われちゃうんだろう。何も言わずに私たちの事を引き離そうとするかもしれないですね」
「姉さんって言ってるくらいなのにこんな姿を見せるのは平気なの?」
「羊仗先生や他の人だったら嫌ですけど、私は青海青梅姉さんが困ってる姿を見るのは好きなんですよ。青海青梅姉さんってなんでも器用にできる人だからそういう一面ってほとんど見たことないんですけど、アスモさんのおかげで弱っている青海青梅姉さんを見ることが出来て凄く嬉しいんです。出来ることなら、アスモさんと青海青梅姉さんがしているところも見てみたかったんですけど、これ以上青海青梅姉さんがアスモさんに依存しちゃうとカッコイイ姉さんの姿がただの欲情姉さんになってしまいそうだから我慢しますよ。もしかして、私も青海青梅姉さんみたいにアスモさんなしじゃ生きられない体にされちゃうんですかね?」
「さあ、それはどうだろうね。俺も別にそういう意図があってやってるわけじゃないからな。青海青梅はそういうつもりだったのかな?」
「どうなんでしょうね。でも、アスモさんの噂は色々聞いてましたから、私たちはみんな期待していたかもしれないですよ」
「私たち?」
「ええ、羊仗先生の生徒はたくさんいますからね。凄く小っちゃい子もいるんでみんながみんな期待しているわけではないんですけど、魔王アスモデウスの噂は昔から知ってますからね」
 昔から俺の話が広まっているというのはどういう事なんだろう。うまなちゃんが創り出したこの世界に俺の話が広まっているのは不思議ではないことなのかもしれないけど、昔から伝わっているというのは少し気になる。もしかしたら、この世界を作り出した時に俺の話が昔から伝説のように語り継がれていた。なんてことになっていたりするのだろうか。
 もしそうだとしたら、俺にとって都合のいい世界を創ってくれているということになるのかもしれないな。
 うまなちゃんとイザーちゃんの言っていた先生とこのお姉さんたちの羊仗先生が同じ人物だとは思えないけど、その点はこの世界を楽しんだ後にでもうまなちゃんに聞いてみることにしよう。
「一つ質問があるんだけどいいかな?」
「なんですか?」
「君の名前を聞いてなかったと思うんだけど、教えてもらってもいいかな?」
「私の名前なんて興味ないのかと思ってました。でも、聞いてくれたのは嬉しいですよ」
 お姉さんは俺からゆっくりと離れて距離をとると、俺の目をまっすぐに見つめて微笑みながら名前を教えてくれた。
「私の名前はカルナです。三賛斎カルナと申します。これから短い時間だとは思いますが、私の体をよろしくお願いしますね」
 お姉さん改めカルナは俺に近づいてきて両手を包み込むように握ると、優しいまなざしを俺に向けてにっこりとほほ笑んできた。その表情は見ただけでも心が洗われてしまうのではないかと思ってしまったのだが、それと同時に俺の中からこのお姉さんに対して強い欲情があふれてきているのを感じてしまっていたのだった。
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