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第二部
第一話 天才科学者と暴力女 前編
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夕日が差し込んでいるのを悲しいと思う人はそれなりにいるだろう。俺は夕日に対してそんな思いを抱くことはあまりないのだが、この場所に立っていると少し悲しい気持ちになってしまっていた。
知らない人が見れば無造作に石が置かれているだけの場所だと思ってしまうんだろうが、その意味を知らされた俺は少しだけ意志から距離を取ってしまった。別に恐れているわけではなく、死者に対して敬意を払っているというだけの話だ。お墓の上に立つことなんて死者に対する冒とくになってしまうと考えたからだ。魔王である俺にもそんな面があっても問題はないだろう。
「そんなに恐れなくても大丈夫だよ。ここに眠っている人たちはみんな自分から望んで死んでるといってもいい状況だったからね。命のやり取りをお互いの合意の上で行ったものの墓なんだからみんな納得して眠りについているはずさ」
「アスモちゃんがお化けとか怖がるとは思わなかったな。アスモちゃんの部下にも幽霊とかお化けとかゾンビとかアンデット系の魔物がいっぱいいるじゃない。もしかして、自分の部下の事も怖がってたりしていたの?」
「そんなわけないだろ。大体俺は幽霊とか怖くないし。もし目の前に現れても平気だと思うし」
「強がっちゃって可愛いな。アスモちゃんのそういうところは好きだよ。でも、私はアスモちゃんに好かれることなんてないんだよね。だって、私はもうこの世にいないんだからね」
イザーちゃんは会話の途中でだんだんと体が薄くなっていって向こう側が見えるようになっていた。最終的には辛そうな顔をして全身消えてしまったけれど、そんな事を相手にしている暇なんてないのだ、。
「ああ、イザーちゃんはタイムオーバーになっちゃったんだね。納得して死んでいるといっても多少の怨念はあるみたいだし、それが原因でこの世界に滞在できる時間が短くなっちゃったのかもね。私もあと一日くらいでいなくなると思うけど、そんなことは気にしないでアスモ君は先生が作ったこの世界を楽しんでね」
イザーちゃんがいなくなったこのタイミングなら本当の事を聞き出せるのではないかと思った俺はうまなちゃんに聞いてみることにした。どうして俺が二人に選ばれたのかという話と、ずっと話している先生とはいったい何者なのかということだ。
残念なことにその質問は二つとも答えてもらうことは出来なかったけれど、その代わりに今回俺が出会う人がどんな感じなのか教えてもらえることになった。
「ここにこんなにお墓があるというのは気になってたと思うんだよね。そのお墓を作っているのは三賛斎リーフリーフだよ。彼女は見た目は可憐な少女のように見えるかもしれないけど、その本性は戦っている時の君よりも数倍は恐ろしい悪魔みたいな女の子さ。君は魔王と言っても相手を痛めつけるというのはあまり好まないと思うんだよね。どちらかと言えば、苦痛の与えない安らかな死を提供していると言っていいと思うんだが、三賛斎リーフリーフは自分の攻撃がどれくらい相手に後遺症を残せるかという思いで戦っているみたいだよ。指を一本一本折ってみたり、柔らかいグローブをつけて相手を殴り殺そうとしたりしてたみたいだよ。もしかしたら、ここに眠っている人たちはみんな五体満足で死ねなかったかもしれないな。そんな状態で本当に納得して成仏しているといってもいいモノなのか、私はちょっとだけ考えてしまうね」
うまなちゃんの言っていることは本当にすべて正しいのだろうか。俺にはうまなちゃんの話がすべて正しいとは到底思えないのだ。明確に否定できる材料なんて一切ないのだけれど、それでもうまなちゃんの言っていることは正しくないと思う。三賛斎リーフリーフが悪魔みたいな女の子というのが正しいのか、ここに眠っている人たちが全員その三賛斎リーフリーフに殺されたというのが正しいのか俺にはわからない。確かめると言って墓をあばくなんて真似はさすがにできないけれど、ここを管理している人にどういった由来のある場所なのか聞くことくらいは出来るだろう。
「三賛斎リーフリーフってのは本当に危険な奴なのか?」
「私ほどではないけど、危険な女だとは思うよ。この世界で君が今まで相手をしてきた女の子たちが必死で抑えてきた三賛斎リーフリーフの鎖を君が無理やり引きちぎったみたいな形になってしまってるしね。三賛斎青海青梅に三賛斎カルナに三賛斎月夜姫の三人を君が最前線から引き下がらせたのは君なんだし、三賛斎リーフリーフは君の事を良く思っているのか悪く思っているのかわからないね。どちらにしろ君はこの後三賛斎リーフリーフと会うんだし、その時に直接確認してみたらいいんじゃないかな。ただし、君が三賛斎リーフリーフと普通に会話が出来ればという前提での話にはなるがね」
「それって、どういう意味ですか。会話もせずにいきなり襲われる可能性があるって事ですか?」
「その可能性は無きにしも非ずといったところかな。どちらにせよ、アスモ君はこの世界にいる限り紐畔亭羊仗と三賛斎一派に追われ続けるという運命なんだからね。そういう風に先生が決めちゃったんだから仕方ない話だと諦めてもらうしかないかな」
「その先生っていったい誰なんだよ。俺の知っている奴なのか?」
「さあ、私もアスモ君の全てを知っているわけではないから答えようがないかな。もしも、君がこの世界を出て元の世界に戻ったとしよう。その時に私の事について調べると先生の事も少しは理解できるかもしれないよ。この私、栗宮院うまなの事がわかる話が存在するかもしれないという話だからね」
知らない人が見れば無造作に石が置かれているだけの場所だと思ってしまうんだろうが、その意味を知らされた俺は少しだけ意志から距離を取ってしまった。別に恐れているわけではなく、死者に対して敬意を払っているというだけの話だ。お墓の上に立つことなんて死者に対する冒とくになってしまうと考えたからだ。魔王である俺にもそんな面があっても問題はないだろう。
「そんなに恐れなくても大丈夫だよ。ここに眠っている人たちはみんな自分から望んで死んでるといってもいい状況だったからね。命のやり取りをお互いの合意の上で行ったものの墓なんだからみんな納得して眠りについているはずさ」
「アスモちゃんがお化けとか怖がるとは思わなかったな。アスモちゃんの部下にも幽霊とかお化けとかゾンビとかアンデット系の魔物がいっぱいいるじゃない。もしかして、自分の部下の事も怖がってたりしていたの?」
「そんなわけないだろ。大体俺は幽霊とか怖くないし。もし目の前に現れても平気だと思うし」
「強がっちゃって可愛いな。アスモちゃんのそういうところは好きだよ。でも、私はアスモちゃんに好かれることなんてないんだよね。だって、私はもうこの世にいないんだからね」
イザーちゃんは会話の途中でだんだんと体が薄くなっていって向こう側が見えるようになっていた。最終的には辛そうな顔をして全身消えてしまったけれど、そんな事を相手にしている暇なんてないのだ、。
「ああ、イザーちゃんはタイムオーバーになっちゃったんだね。納得して死んでいるといっても多少の怨念はあるみたいだし、それが原因でこの世界に滞在できる時間が短くなっちゃったのかもね。私もあと一日くらいでいなくなると思うけど、そんなことは気にしないでアスモ君は先生が作ったこの世界を楽しんでね」
イザーちゃんがいなくなったこのタイミングなら本当の事を聞き出せるのではないかと思った俺はうまなちゃんに聞いてみることにした。どうして俺が二人に選ばれたのかという話と、ずっと話している先生とはいったい何者なのかということだ。
残念なことにその質問は二つとも答えてもらうことは出来なかったけれど、その代わりに今回俺が出会う人がどんな感じなのか教えてもらえることになった。
「ここにこんなにお墓があるというのは気になってたと思うんだよね。そのお墓を作っているのは三賛斎リーフリーフだよ。彼女は見た目は可憐な少女のように見えるかもしれないけど、その本性は戦っている時の君よりも数倍は恐ろしい悪魔みたいな女の子さ。君は魔王と言っても相手を痛めつけるというのはあまり好まないと思うんだよね。どちらかと言えば、苦痛の与えない安らかな死を提供していると言っていいと思うんだが、三賛斎リーフリーフは自分の攻撃がどれくらい相手に後遺症を残せるかという思いで戦っているみたいだよ。指を一本一本折ってみたり、柔らかいグローブをつけて相手を殴り殺そうとしたりしてたみたいだよ。もしかしたら、ここに眠っている人たちはみんな五体満足で死ねなかったかもしれないな。そんな状態で本当に納得して成仏しているといってもいいモノなのか、私はちょっとだけ考えてしまうね」
うまなちゃんの言っていることは本当にすべて正しいのだろうか。俺にはうまなちゃんの話がすべて正しいとは到底思えないのだ。明確に否定できる材料なんて一切ないのだけれど、それでもうまなちゃんの言っていることは正しくないと思う。三賛斎リーフリーフが悪魔みたいな女の子というのが正しいのか、ここに眠っている人たちが全員その三賛斎リーフリーフに殺されたというのが正しいのか俺にはわからない。確かめると言って墓をあばくなんて真似はさすがにできないけれど、ここを管理している人にどういった由来のある場所なのか聞くことくらいは出来るだろう。
「三賛斎リーフリーフってのは本当に危険な奴なのか?」
「私ほどではないけど、危険な女だとは思うよ。この世界で君が今まで相手をしてきた女の子たちが必死で抑えてきた三賛斎リーフリーフの鎖を君が無理やり引きちぎったみたいな形になってしまってるしね。三賛斎青海青梅に三賛斎カルナに三賛斎月夜姫の三人を君が最前線から引き下がらせたのは君なんだし、三賛斎リーフリーフは君の事を良く思っているのか悪く思っているのかわからないね。どちらにしろ君はこの後三賛斎リーフリーフと会うんだし、その時に直接確認してみたらいいんじゃないかな。ただし、君が三賛斎リーフリーフと普通に会話が出来ればという前提での話にはなるがね」
「それって、どういう意味ですか。会話もせずにいきなり襲われる可能性があるって事ですか?」
「その可能性は無きにしも非ずといったところかな。どちらにせよ、アスモ君はこの世界にいる限り紐畔亭羊仗と三賛斎一派に追われ続けるという運命なんだからね。そういう風に先生が決めちゃったんだから仕方ない話だと諦めてもらうしかないかな」
「その先生っていったい誰なんだよ。俺の知っている奴なのか?」
「さあ、私もアスモ君の全てを知っているわけではないから答えようがないかな。もしも、君がこの世界を出て元の世界に戻ったとしよう。その時に私の事について調べると先生の事も少しは理解できるかもしれないよ。この私、栗宮院うまなの事がわかる話が存在するかもしれないという話だからね」
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