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入隊希望者が多いので対策をとろう
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異常に多い面接希望者の書類選考から始めることにしたのだが、志望動機の大半は『うまな式魔法術』に関するものばかりであった。俺みたいな実戦で役に立たないようなレベルの魔法使いでも十分に戦力として期待出来るようになる『うまな式魔法術』の開発責任者であるうまなちゃんが所属しているという事が理由だろう。
「やっぱりどれもこれもうまなちゃんに関する話題ばっかりだね。うまなちゃんの功績が凄いって事だと思うんだけど、うまなちゃんはそれについてどう思ってるのかな?」
「別に何とも思ってないかな。マーちゃん中尉みたいに自分の才能をちゃんと世間に知らしめるために使ってくれるんだったら嬉しいって思うけど、この人たちってもともと魔法使いだった人たちじゃないのに魔法を使えるようになったって人ばっかりなんだよね。才能ある魔法使いはみんな一桁番の部隊に配属されちゃうから仕方ないと言えば仕方ないんだけどね」
「才能があると言えば、うまなちゃんって能力と家柄を考慮すれば一番隊か二番隊でもおかしくないと思ってしまうんだけどなんで十九番隊で俺のところを指名したの?」
「ハッキリ言った方が良いですよ。うまなちゃんがマーちゃん中尉に一目惚れしたって言っちゃいましょうよ」
イザーの突然の衝撃的な発言で完全に時が止まったのを感じていた。マーちゃん中尉は栗宮院うまなが自分のどこに惚れてしまったのだろうと考えていたようだ。だが、当然その答えなんて出てくるはずもなく悩みが増えてしまうだけであった。マーちゃん中尉は少し考えた末にその発想自体が恥ずかしくなったようで、顔を上げてうまなちゃんの事を直視することが出来なくなってしまっていた。
「いや、さすがにその冗談は厳しいんじゃないかな。私は別にマーちゃんに惚れてないし」
ズバッと言ったことが照れ隠しになってるのかなと思ってうまなちゃんの顔をそっと見てみたところ、どこからどう見てもうまなちゃんは照れている様子もなく完全にあきれているようにしか見えなかった。まあ、俺に一目惚れすることなんてあるはずないという事はわかっているんだけど、こうもハッキリと否定されるとそれはそれで悲しい気持ちになってしまう。
「確かにそうだよね。うまなちゃんはマーちゃん中尉に対して一目惚れしたんじゃなくてちゃんと調べてから好きになったんだもんね。世界で唯一全系統の基礎魔法を使うことが出来る才能に惚れたんだもんね」
「ちょ、ばか。そういうのは言っちゃダメだって。恥ずかしいじゃん」
「え?」
先ほどとは違い本気で恥ずかしそうにしている栗宮院うまなを見たマーちゃん中尉は思わず声を出してしまう程驚いていた。その声を聴いた栗宮院うまなも一瞬にして感じ取ってしまったのか耳まで赤くなっていた顔が首元まで真っ赤になるほどであった。それを見たイザーはそんな二人を交互に見つめて意地悪な笑みを浮かべていた。
そんなことを一時間くらい繰り返していた三人であったが、そんなことをしている暇はないのだ。魔物が攻めてくる心配自体はないのだが、それ以上に心配なのがこれだけの数の入隊希望者をどうするかという事なのだ。部隊の人数が多ければそれだけ支給される物資や予算も増えることにはなるのだが、出来ることなら変な人は入れたくないという考えだけは共有することが出来ていた。
「うまなちゃんとイザーちゃんの希望としてはどんな感じかな?」
「そうだね。私としては別に誰も来てほしくなって思うな。私は人の顔と名前を覚えるのが苦手だから新しい人が増えると困っちゃうんだよね。他の部隊の隊長とか顔を覚えてないから誰が誰だかわかんないし。十九番隊の隊長も誰か知らないし」
「十九番隊に隊長はいないよ。今では十九番隊だけで百万人近くいるんだしそれをまとめ上げる人なんていないからね。私も毎年十九番隊の隊長になってくれって言われているんだけど、絶対に嫌だから断ってるんだ。だって、十九番隊って戦力にはなるけど荒くれ者とかはみ出し者とか組織に馴染めないヤバい人しかいないんだもん。そんな人たちのトップになんてなりたくないよ。あ、もちろんそのヤバい人たちの中にうまなちゃんは入ってないからね。ある意味ではヤバいかもしれないけど、十九番隊の人達とはベクトルが違うから安心してね」
「その言い方だと俺までヤバい奴みたいじゃん」
「いや、マーちゃん中尉はヤバい奴だと思うよ。普通に生きてたら全系統の魔法を使えるようにしようなんて思わないし。そんなことに労力を使うんだったら、普通は中級以上の魔法を習得できるように自分の適性を調べて集中するはずだからね」
「うん、申し訳ないけど私もマーちゃんはヤバいと思う。でも、そんなところもいいところなんじゃないかとは思うけどね。なんでそんな風に自分の才能を信じないで無駄に広く浅く魔法を習得しようと思ったんだろうって思う。イザーちゃんみたいに自分の適性を完全に見誤って趣味に走ってる人もいるにはいると思うけど、マーちゃんみたいに全系統を覚えようって思うのはさ、やっぱりおかしいよ。おかしいとは思うけど、それと同時に凄いことしてるなとは思ったよ」
最後の最後で褒められていると感じたマーちゃん中尉ではあったが、ソレ以外の部分で否定されている事に少し納得は言っていないようであった。だが、全系統の魔法を使えるようにしたのは前向きな考えから来たものではなかったので強く反論することは出来なかった。
再び三人の間に気まずい空気が流れてしまっていたが、それを利用して各自が入隊希望者の資料に向き合うことが出来るようになったのは良かったのかもしれない。誰一人合格者を出すつもりのない栗宮院うまなとイザーも真剣に記入された資料に対して適当に流し見するのは申し訳ない気持ちもあったのだろう。三人とも最終的に全員分の資料をじっくりと見た結果、全員と面接をすることになったのだった。
このままだと面接をするだけで翌年度になってしまうと思ったマーちゃん中尉は少し嬉しそうに見えた。戦闘に参加せずに面接で時間を稼げるというのは彼には定年までのカウントダウンを始めてくれているとしか思わなかったからだ。
「やっぱりどれもこれもうまなちゃんに関する話題ばっかりだね。うまなちゃんの功績が凄いって事だと思うんだけど、うまなちゃんはそれについてどう思ってるのかな?」
「別に何とも思ってないかな。マーちゃん中尉みたいに自分の才能をちゃんと世間に知らしめるために使ってくれるんだったら嬉しいって思うけど、この人たちってもともと魔法使いだった人たちじゃないのに魔法を使えるようになったって人ばっかりなんだよね。才能ある魔法使いはみんな一桁番の部隊に配属されちゃうから仕方ないと言えば仕方ないんだけどね」
「才能があると言えば、うまなちゃんって能力と家柄を考慮すれば一番隊か二番隊でもおかしくないと思ってしまうんだけどなんで十九番隊で俺のところを指名したの?」
「ハッキリ言った方が良いですよ。うまなちゃんがマーちゃん中尉に一目惚れしたって言っちゃいましょうよ」
イザーの突然の衝撃的な発言で完全に時が止まったのを感じていた。マーちゃん中尉は栗宮院うまなが自分のどこに惚れてしまったのだろうと考えていたようだ。だが、当然その答えなんて出てくるはずもなく悩みが増えてしまうだけであった。マーちゃん中尉は少し考えた末にその発想自体が恥ずかしくなったようで、顔を上げてうまなちゃんの事を直視することが出来なくなってしまっていた。
「いや、さすがにその冗談は厳しいんじゃないかな。私は別にマーちゃんに惚れてないし」
ズバッと言ったことが照れ隠しになってるのかなと思ってうまなちゃんの顔をそっと見てみたところ、どこからどう見てもうまなちゃんは照れている様子もなく完全にあきれているようにしか見えなかった。まあ、俺に一目惚れすることなんてあるはずないという事はわかっているんだけど、こうもハッキリと否定されるとそれはそれで悲しい気持ちになってしまう。
「確かにそうだよね。うまなちゃんはマーちゃん中尉に対して一目惚れしたんじゃなくてちゃんと調べてから好きになったんだもんね。世界で唯一全系統の基礎魔法を使うことが出来る才能に惚れたんだもんね」
「ちょ、ばか。そういうのは言っちゃダメだって。恥ずかしいじゃん」
「え?」
先ほどとは違い本気で恥ずかしそうにしている栗宮院うまなを見たマーちゃん中尉は思わず声を出してしまう程驚いていた。その声を聴いた栗宮院うまなも一瞬にして感じ取ってしまったのか耳まで赤くなっていた顔が首元まで真っ赤になるほどであった。それを見たイザーはそんな二人を交互に見つめて意地悪な笑みを浮かべていた。
そんなことを一時間くらい繰り返していた三人であったが、そんなことをしている暇はないのだ。魔物が攻めてくる心配自体はないのだが、それ以上に心配なのがこれだけの数の入隊希望者をどうするかという事なのだ。部隊の人数が多ければそれだけ支給される物資や予算も増えることにはなるのだが、出来ることなら変な人は入れたくないという考えだけは共有することが出来ていた。
「うまなちゃんとイザーちゃんの希望としてはどんな感じかな?」
「そうだね。私としては別に誰も来てほしくなって思うな。私は人の顔と名前を覚えるのが苦手だから新しい人が増えると困っちゃうんだよね。他の部隊の隊長とか顔を覚えてないから誰が誰だかわかんないし。十九番隊の隊長も誰か知らないし」
「十九番隊に隊長はいないよ。今では十九番隊だけで百万人近くいるんだしそれをまとめ上げる人なんていないからね。私も毎年十九番隊の隊長になってくれって言われているんだけど、絶対に嫌だから断ってるんだ。だって、十九番隊って戦力にはなるけど荒くれ者とかはみ出し者とか組織に馴染めないヤバい人しかいないんだもん。そんな人たちのトップになんてなりたくないよ。あ、もちろんそのヤバい人たちの中にうまなちゃんは入ってないからね。ある意味ではヤバいかもしれないけど、十九番隊の人達とはベクトルが違うから安心してね」
「その言い方だと俺までヤバい奴みたいじゃん」
「いや、マーちゃん中尉はヤバい奴だと思うよ。普通に生きてたら全系統の魔法を使えるようにしようなんて思わないし。そんなことに労力を使うんだったら、普通は中級以上の魔法を習得できるように自分の適性を調べて集中するはずだからね」
「うん、申し訳ないけど私もマーちゃんはヤバいと思う。でも、そんなところもいいところなんじゃないかとは思うけどね。なんでそんな風に自分の才能を信じないで無駄に広く浅く魔法を習得しようと思ったんだろうって思う。イザーちゃんみたいに自分の適性を完全に見誤って趣味に走ってる人もいるにはいると思うけど、マーちゃんみたいに全系統を覚えようって思うのはさ、やっぱりおかしいよ。おかしいとは思うけど、それと同時に凄いことしてるなとは思ったよ」
最後の最後で褒められていると感じたマーちゃん中尉ではあったが、ソレ以外の部分で否定されている事に少し納得は言っていないようであった。だが、全系統の魔法を使えるようにしたのは前向きな考えから来たものではなかったので強く反論することは出来なかった。
再び三人の間に気まずい空気が流れてしまっていたが、それを利用して各自が入隊希望者の資料に向き合うことが出来るようになったのは良かったのかもしれない。誰一人合格者を出すつもりのない栗宮院うまなとイザーも真剣に記入された資料に対して適当に流し見するのは申し訳ない気持ちもあったのだろう。三人とも最終的に全員分の資料をじっくりと見た結果、全員と面接をすることになったのだった。
このままだと面接をするだけで翌年度になってしまうと思ったマーちゃん中尉は少し嬉しそうに見えた。戦闘に参加せずに面接で時間を稼げるというのは彼には定年までのカウントダウンを始めてくれているとしか思わなかったからだ。
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