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第20話 見知らぬ薄着の女性
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家に帰るまでが遠足とはよく言われるが、家に帰るまでが入学式と言うよくわからないことを言われたので何となくいつもよりは気を付けて帰る工藤珠希と工藤太郎であった。
とは言ったものの、学校から家までは特に気を付けるような場所もなく遊歩道にも散歩をしている人が何人かいるくらいだった。
中学生の時は二人で帰ることはあまりなかったこともあって微妙に気まずい感じではあったが、それと同時に新しい生活が始まったのだという実感も少しだけわいてきたのだ。
「珠希ちゃんは今日の抗争の事どう思った?」
「そうだね。いきなり人が死んだってのはビックリしたけど、生き返ったってのはもっとビックリしたかも。あの学校は普通じゃないと思ってたけど、あそこまで普通じゃないってのは驚くよね」
「人が死んだってのは大事件だけど、うちの学校じゃ普通みたいだもんな。初日から驚くことも多かったけど、こんな話をしても信じてもらえないよね」
「だよね。サキュバスってのもまだ信じられないし、SRクラスが一年生から三年生までの合同クラスってのもなれないよね。午後は抗争について色々と教えて貰ったけど、ほとんど勉強らしいことはしてなかったんじゃないかな」
「教科書の勉強だけが勉強じゃないって事なのかもね。珠希ちゃんはこれから七年間ちゃんとやっていけそうかな?」
「七年間って、ボクも大学に行くことになってるじゃん。何も無かったら行くとは思うけど、抗争とかが続くようだったらちょっと考えちゃうかも」
人と争う事が得意ではない工藤珠希は自分が関わっていなかったとしても命を奪い合う抗争は好きになれそうにはなかった。そんな工藤珠希の気持ちを察してなのか、クラスメイトや先生たちは工藤珠希が抗争に巻き込まれることは無いと断言していたのだ。
サキュバスでもレジスタンスでもない特別な存在である工藤珠希は抗争の原因になったとしても抗争に巻き込まれてしまうという事は無いのだ。本人だけがそれに気付いていないのであったが、誰も工藤珠希と争うつもりなんて無いのである。
「太郎は何か部活はいるの?」
「どの部活ををメインにするかは決めてないんだけど、とりあえず全部の部活には仮入部申請してみたよ。面接の時にもそんな事を言われたんでって事もあるんだけどさ、中学と高校ではどれくらい違うのか気になるってのはあるんだよね。それに、中学までにはなかった本格的な格闘技系の部活もあるからね」
「ああ、あのオランダ旅行を隠れ蓑にしてあんたたちがボクを騙したのでおなじみの格闘技ね」
「そんなお馴染みはないよ。俺だって別に騙したつもりなんて無かったし。たまたま家族旅行で行った場所の近くにジムがあっただけなんだし」
「たまたまって、自分たちで場所を決めたくせに」
旅行は楽しかったので嫌な気持ちにはなっていないのだが、自分が何も知らずに騙されていたという事実を知った工藤珠希は少しだけ工藤太郎と両親に仕返しをしてやろうと考えているのだ。工藤太郎はその気持ちがわかっているので下手な言い訳などはせずに工藤珠希の気が済むのであれば打たれる覚悟は出来ているのだ。
でも、工藤珠希はそこまで怒っているわけではないので何かをぶつけるようなつもりも無いので、お互いに微妙な感じになってしまっていたのであった。
「珠希ちゃん、アレを見てよ」
「え、なに?」
工藤太郎が指さした先をじっと見ていた工藤珠希ではあったが、そこには犬を散歩させている派手な格好をしているお姉さんがいた。まだ春先で少し肌寒いくらいなのに肌の露出が多い服を着ていたお姉さんは小さな犬と一緒にゆっくりと歩いているのだ。
「まだ寒いのにあんなに薄着で大丈夫なのかな。それにしても、あれだけスタイルが良かったらみんなに自慢したいって思っちゃうのかね。ボクにはその気持ちはわからないな」
「珠希ちゃんにはわからないだろうね」
「は?」
工藤太郎から予想外の言葉が出てきて思わず反応してしまった工藤珠希ではあったが、その事に全く気が付いていない工藤太郎は自分が睨まれているという事にもしばらく気が付かなかったのだ。
「ボクにはわからないって、どういう意味なのかな?」
「どういう意味って、あのお姉さんと珠希ちゃんは別の種族だからわかりあえないって事だよ」
「別の種族って、スタイルが良い族とスタイルが悪い族って事?」
「違う違う、そういう意味じゃなくて、本当に種族が違うって意味だよ」
「本当に種族が違うってどいう言う意味よ。ボクの事バカにしているでしょ?」
「違うって、そうじゃなくて、珠希ちゃんは普通の人間で、あのお姉さんはサキュバスに近い何かだと思うんだよ。ほら、あんなに薄着で肌の露出が多いんだとしてもさ、すれ違っている男性がみんなあのお姉さんの事を振り返ってみてるのはおかしいと思わないかな。どんなに綺麗な人とすれ違ったとしても、全員が振り返ることなんて無いでしょ。あの犬だって普通の犬じゃないような気もするんだよね」
確かに、そう言われてみるとそのように感じてしまった工藤珠希ではあったが、本当にそんな意味で言われたのかが引っかかっていた。
犬が普通じゃないと言われたところで犬を飼っていない工藤珠希には何がおかしいのかさっぱり見当もつかなかった。ごく普通のリードに繋がれたごく普通の小型犬にしか見えないのだが、それの一体どこが普通じゃないのだろう。
自分があのお姉さんに見とれていたことをごまかしているとしか思えないのだが、確かにすれ違った男性が全員振り返っているのは不自然なように感じてしまうところもあった。
「上手く言えないんだけど、あの犬もお姉さんも普通じゃないと思うんだよ。うまなちゃんとイザーちゃんなら何か知ってるかもしれないから聞いてみようかな」
「うまなちゃんとイザーちゃんって、あんたはいつの間に仲良くなったのよ。そっちの方が驚きだわ」
別に工藤太郎が誰と仲良くなろうと関係ないと思っているし、むしろクラスメイトとは仲良くなった方がいいと思っている工藤珠希ではあるが、自称サキュバスである二人と一応は男性である工藤太郎が仲良くなっているのは何かモヤモヤするものを感じていたのであった。
とは言ったものの、学校から家までは特に気を付けるような場所もなく遊歩道にも散歩をしている人が何人かいるくらいだった。
中学生の時は二人で帰ることはあまりなかったこともあって微妙に気まずい感じではあったが、それと同時に新しい生活が始まったのだという実感も少しだけわいてきたのだ。
「珠希ちゃんは今日の抗争の事どう思った?」
「そうだね。いきなり人が死んだってのはビックリしたけど、生き返ったってのはもっとビックリしたかも。あの学校は普通じゃないと思ってたけど、あそこまで普通じゃないってのは驚くよね」
「人が死んだってのは大事件だけど、うちの学校じゃ普通みたいだもんな。初日から驚くことも多かったけど、こんな話をしても信じてもらえないよね」
「だよね。サキュバスってのもまだ信じられないし、SRクラスが一年生から三年生までの合同クラスってのもなれないよね。午後は抗争について色々と教えて貰ったけど、ほとんど勉強らしいことはしてなかったんじゃないかな」
「教科書の勉強だけが勉強じゃないって事なのかもね。珠希ちゃんはこれから七年間ちゃんとやっていけそうかな?」
「七年間って、ボクも大学に行くことになってるじゃん。何も無かったら行くとは思うけど、抗争とかが続くようだったらちょっと考えちゃうかも」
人と争う事が得意ではない工藤珠希は自分が関わっていなかったとしても命を奪い合う抗争は好きになれそうにはなかった。そんな工藤珠希の気持ちを察してなのか、クラスメイトや先生たちは工藤珠希が抗争に巻き込まれることは無いと断言していたのだ。
サキュバスでもレジスタンスでもない特別な存在である工藤珠希は抗争の原因になったとしても抗争に巻き込まれてしまうという事は無いのだ。本人だけがそれに気付いていないのであったが、誰も工藤珠希と争うつもりなんて無いのである。
「太郎は何か部活はいるの?」
「どの部活ををメインにするかは決めてないんだけど、とりあえず全部の部活には仮入部申請してみたよ。面接の時にもそんな事を言われたんでって事もあるんだけどさ、中学と高校ではどれくらい違うのか気になるってのはあるんだよね。それに、中学までにはなかった本格的な格闘技系の部活もあるからね」
「ああ、あのオランダ旅行を隠れ蓑にしてあんたたちがボクを騙したのでおなじみの格闘技ね」
「そんなお馴染みはないよ。俺だって別に騙したつもりなんて無かったし。たまたま家族旅行で行った場所の近くにジムがあっただけなんだし」
「たまたまって、自分たちで場所を決めたくせに」
旅行は楽しかったので嫌な気持ちにはなっていないのだが、自分が何も知らずに騙されていたという事実を知った工藤珠希は少しだけ工藤太郎と両親に仕返しをしてやろうと考えているのだ。工藤太郎はその気持ちがわかっているので下手な言い訳などはせずに工藤珠希の気が済むのであれば打たれる覚悟は出来ているのだ。
でも、工藤珠希はそこまで怒っているわけではないので何かをぶつけるようなつもりも無いので、お互いに微妙な感じになってしまっていたのであった。
「珠希ちゃん、アレを見てよ」
「え、なに?」
工藤太郎が指さした先をじっと見ていた工藤珠希ではあったが、そこには犬を散歩させている派手な格好をしているお姉さんがいた。まだ春先で少し肌寒いくらいなのに肌の露出が多い服を着ていたお姉さんは小さな犬と一緒にゆっくりと歩いているのだ。
「まだ寒いのにあんなに薄着で大丈夫なのかな。それにしても、あれだけスタイルが良かったらみんなに自慢したいって思っちゃうのかね。ボクにはその気持ちはわからないな」
「珠希ちゃんにはわからないだろうね」
「は?」
工藤太郎から予想外の言葉が出てきて思わず反応してしまった工藤珠希ではあったが、その事に全く気が付いていない工藤太郎は自分が睨まれているという事にもしばらく気が付かなかったのだ。
「ボクにはわからないって、どういう意味なのかな?」
「どういう意味って、あのお姉さんと珠希ちゃんは別の種族だからわかりあえないって事だよ」
「別の種族って、スタイルが良い族とスタイルが悪い族って事?」
「違う違う、そういう意味じゃなくて、本当に種族が違うって意味だよ」
「本当に種族が違うってどいう言う意味よ。ボクの事バカにしているでしょ?」
「違うって、そうじゃなくて、珠希ちゃんは普通の人間で、あのお姉さんはサキュバスに近い何かだと思うんだよ。ほら、あんなに薄着で肌の露出が多いんだとしてもさ、すれ違っている男性がみんなあのお姉さんの事を振り返ってみてるのはおかしいと思わないかな。どんなに綺麗な人とすれ違ったとしても、全員が振り返ることなんて無いでしょ。あの犬だって普通の犬じゃないような気もするんだよね」
確かに、そう言われてみるとそのように感じてしまった工藤珠希ではあったが、本当にそんな意味で言われたのかが引っかかっていた。
犬が普通じゃないと言われたところで犬を飼っていない工藤珠希には何がおかしいのかさっぱり見当もつかなかった。ごく普通のリードに繋がれたごく普通の小型犬にしか見えないのだが、それの一体どこが普通じゃないのだろう。
自分があのお姉さんに見とれていたことをごまかしているとしか思えないのだが、確かにすれ違った男性が全員振り返っているのは不自然なように感じてしまうところもあった。
「上手く言えないんだけど、あの犬もお姉さんも普通じゃないと思うんだよ。うまなちゃんとイザーちゃんなら何か知ってるかもしれないから聞いてみようかな」
「うまなちゃんとイザーちゃんって、あんたはいつの間に仲良くなったのよ。そっちの方が驚きだわ」
別に工藤太郎が誰と仲良くなろうと関係ないと思っているし、むしろクラスメイトとは仲良くなった方がいいと思っている工藤珠希ではあるが、自称サキュバスである二人と一応は男性である工藤太郎が仲良くなっているのは何かモヤモヤするものを感じていたのであった。
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