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第42話 イザーの秘密
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教室に戻った工藤珠希とイザーはクラスメイト達がどこのクラスに助っ人に行くかで盛り上がっていた。
栗宮院うまなも栗鳥院柘榴も他の生徒と同じように楽しそうにしているのだが、イザーは浮かない顔をしていた。左腕を失ったからという理由ではなく、みんなに伝えなくてはいけないことがあることを思い出してしまって急に怖くなってしまったのだ。
「随分と昼休みを満喫したみたいだね。珠希ちゃんは明日からの戦争に参加しないからいいんだけど、イザーちゃんはもう少しみんなの事を考えて行動してもらいたいかな。イザーちゃんが強いって事はみんな知ってることではあるけどさ、どんなに強くたって一人じゃ限界があるってのはわかってた方がいいと思うよ。イザーちゃんが一人で野生のサキュバス達を倒せるって言うんだったら話は別だけど、そうじゃないんだからもう少しみんなと協力して戦うってことを考えないとね。それにしても、どうしたのその恰好は?」
シャワーを浴び手綺麗になった体なのに返り血を浴びた制服を着ると言うのもおかしな話なのでイザーは工藤珠希が売店で買ってきた体操服を着ていたのだ。名前を書く欄がついている学校指定の体操着なのだけど、零楼館高校は基本的に服装が自由なので好んで学校指定の体操服を着ている生徒はいない。一部、そういった需要を満たそうと思ってきている生徒はいるのだけれど、それは全くの少数である。
「ちょっと色々あって着替える必要があったんだよ。それについてなんだけど」
「なんだなんだ、この学校の指定体操服を着ている人を見たのは久しぶりだな。わざわざそんなものを好んで着るなんて、イザーちゃんはそういった趣味があるという事なのかもしれないな。だが、私はそういった趣味を持っているからと言って君の考えを否定したりはしないからね」
「イザーちゃんがソレを着てると体のラインがまるわかりでちょっとヤバいかも。もう少し食べて肉付けた方がいいんじゃないかなって思うけど、イザーちゃんって普段から結構間食と化してるよね。もしかして、イザーちゃんって太りにくい体質だったりするのか。そうだったとしたら本当に羨ましいんだけど」
「こんなに可愛らしいのに昔からずっと変わらないもんね。イザーちゃんと同じものを食べてたら凄い太ってる自信あるわ」
「そうなのよね。イザーちゃんって家に帰ってからもずっと何かしら食べてるんだけど、全然太らないの。何か秘密あるんじゃないかなって思って一週間くらい見張ってたことがあるんだけど、イザーちゃんって私たちが想像してる十倍は運動してるのよ。持つところなんてほとんど何もない壁をすいすいと昇っていったり、池の横の空いている場所に行けと同じ大きさの穴を掘って水を移し替えたり、重機を使わずに護岸工事をしてたり、転移装置を使って適当な惑星に降り立ってその星の地形を人力で変えたりしているんだよ。何のためにそんな事をしているのかさっぱりわからないんだけど、それをやっている時のイザーちゃんってすっごく充実している顔だったな」
そんな事をしているイザーにも若干引いている工藤珠希とクラスメイト達ではあるが、その事をずっと観察していた栗宮院うまなに対しても似たような感想を持ってしまっていた。
あれだけ強い悪魔とあれだけの時間戦えるのであれば栗宮院うまなが言っていることも真実なのだろうと予想はつくのだが、惑星の地形を変えるというのはどういう意味なのだろうと疑問に思っていた。
「ねえ、その惑星の地形を変えるってどういう事?」
「そのまんまの意味だよ。イザーちゃんが遊びに行った惑星の地面や山なんかを直接叩いたり蹴ったりして地形を変えてるって事。なんでそんな事をしているのか気になって聞いてみたんだけど、ちょっと前にやってたゲームで島の地形を自由に変えることが出来たんで自分もやってみたくなったんだって。完全に生物が死滅した世界だったらいいんじゃないかって思ってやったって事なんだけど、生物がいないからってそんな事をやっちゃうのは非常識だよね。私はやめた方がいいんじゃないかなって思ってたんだけど、すごく楽しそうにしてるイザーちゃんを見てると止められなかったんだよね」
「楽しそうにしてるんだったら止められないよね。誰の土地かもわからないと思うし、イザーちゃんが楽しんでるんだったらそれでいいのかもね」
栗宮院うまなと鈴木愛華はイザーに対して一定の評価はしつつも決して満点ではないという事を伝えたいのかもしれない。
イザーはそんな事を言われても気にしなそうなのだが、栗宮院うまなに言われたことにはショックを受けていた。
「イザーちゃんって夢中になっちゃうと他の事が目に入らなくなるんだよね。集中力があるって言えば聞こえはいいんだけど、一つの事に集中し過ぎちゃうのは欠点なのかもね。もう少し視野を広く持つことが出来たらいいのになって思うよ」
「十分広い視野を持ってると思うよ。模擬戦でも実戦でもイザーちゃんは的確に指示を出してたよ。空から全体を見てるんじゃないかって思うくらいに完璧だったからね」
「それよそれ。明日から始まる予定の戦争もイザーちゃんがいてくれればソレだけで安心だからね。レジスタンスのみんなもイザーちゃんの凄さを実感するといいんじゃないかな」
明日の戦争についてイザーはみんなに言いたいことがあるのだけれど、なかなかその事を切り出すきっかけがつかめないのであった。
みんなにちゃんと言わないといけないことなのに、あそこまでみんなが熱心に準備をしている事を知ってしまうとますます言いにくくなってしまっていた。
ちゃんと言わないといけないことなのに、勇気が出なくて言い出せないイザーであった。
戦う事なら出来るのに、こういう場面では弱気になってしまう可愛らしい一面も持ち合わせているようだ。
栗宮院うまなも栗鳥院柘榴も他の生徒と同じように楽しそうにしているのだが、イザーは浮かない顔をしていた。左腕を失ったからという理由ではなく、みんなに伝えなくてはいけないことがあることを思い出してしまって急に怖くなってしまったのだ。
「随分と昼休みを満喫したみたいだね。珠希ちゃんは明日からの戦争に参加しないからいいんだけど、イザーちゃんはもう少しみんなの事を考えて行動してもらいたいかな。イザーちゃんが強いって事はみんな知ってることではあるけどさ、どんなに強くたって一人じゃ限界があるってのはわかってた方がいいと思うよ。イザーちゃんが一人で野生のサキュバス達を倒せるって言うんだったら話は別だけど、そうじゃないんだからもう少しみんなと協力して戦うってことを考えないとね。それにしても、どうしたのその恰好は?」
シャワーを浴び手綺麗になった体なのに返り血を浴びた制服を着ると言うのもおかしな話なのでイザーは工藤珠希が売店で買ってきた体操服を着ていたのだ。名前を書く欄がついている学校指定の体操着なのだけど、零楼館高校は基本的に服装が自由なので好んで学校指定の体操服を着ている生徒はいない。一部、そういった需要を満たそうと思ってきている生徒はいるのだけれど、それは全くの少数である。
「ちょっと色々あって着替える必要があったんだよ。それについてなんだけど」
「なんだなんだ、この学校の指定体操服を着ている人を見たのは久しぶりだな。わざわざそんなものを好んで着るなんて、イザーちゃんはそういった趣味があるという事なのかもしれないな。だが、私はそういった趣味を持っているからと言って君の考えを否定したりはしないからね」
「イザーちゃんがソレを着てると体のラインがまるわかりでちょっとヤバいかも。もう少し食べて肉付けた方がいいんじゃないかなって思うけど、イザーちゃんって普段から結構間食と化してるよね。もしかして、イザーちゃんって太りにくい体質だったりするのか。そうだったとしたら本当に羨ましいんだけど」
「こんなに可愛らしいのに昔からずっと変わらないもんね。イザーちゃんと同じものを食べてたら凄い太ってる自信あるわ」
「そうなのよね。イザーちゃんって家に帰ってからもずっと何かしら食べてるんだけど、全然太らないの。何か秘密あるんじゃないかなって思って一週間くらい見張ってたことがあるんだけど、イザーちゃんって私たちが想像してる十倍は運動してるのよ。持つところなんてほとんど何もない壁をすいすいと昇っていったり、池の横の空いている場所に行けと同じ大きさの穴を掘って水を移し替えたり、重機を使わずに護岸工事をしてたり、転移装置を使って適当な惑星に降り立ってその星の地形を人力で変えたりしているんだよ。何のためにそんな事をしているのかさっぱりわからないんだけど、それをやっている時のイザーちゃんってすっごく充実している顔だったな」
そんな事をしているイザーにも若干引いている工藤珠希とクラスメイト達ではあるが、その事をずっと観察していた栗宮院うまなに対しても似たような感想を持ってしまっていた。
あれだけ強い悪魔とあれだけの時間戦えるのであれば栗宮院うまなが言っていることも真実なのだろうと予想はつくのだが、惑星の地形を変えるというのはどういう意味なのだろうと疑問に思っていた。
「ねえ、その惑星の地形を変えるってどういう事?」
「そのまんまの意味だよ。イザーちゃんが遊びに行った惑星の地面や山なんかを直接叩いたり蹴ったりして地形を変えてるって事。なんでそんな事をしているのか気になって聞いてみたんだけど、ちょっと前にやってたゲームで島の地形を自由に変えることが出来たんで自分もやってみたくなったんだって。完全に生物が死滅した世界だったらいいんじゃないかって思ってやったって事なんだけど、生物がいないからってそんな事をやっちゃうのは非常識だよね。私はやめた方がいいんじゃないかなって思ってたんだけど、すごく楽しそうにしてるイザーちゃんを見てると止められなかったんだよね」
「楽しそうにしてるんだったら止められないよね。誰の土地かもわからないと思うし、イザーちゃんが楽しんでるんだったらそれでいいのかもね」
栗宮院うまなと鈴木愛華はイザーに対して一定の評価はしつつも決して満点ではないという事を伝えたいのかもしれない。
イザーはそんな事を言われても気にしなそうなのだが、栗宮院うまなに言われたことにはショックを受けていた。
「イザーちゃんって夢中になっちゃうと他の事が目に入らなくなるんだよね。集中力があるって言えば聞こえはいいんだけど、一つの事に集中し過ぎちゃうのは欠点なのかもね。もう少し視野を広く持つことが出来たらいいのになって思うよ」
「十分広い視野を持ってると思うよ。模擬戦でも実戦でもイザーちゃんは的確に指示を出してたよ。空から全体を見てるんじゃないかって思うくらいに完璧だったからね」
「それよそれ。明日から始まる予定の戦争もイザーちゃんがいてくれればソレだけで安心だからね。レジスタンスのみんなもイザーちゃんの凄さを実感するといいんじゃないかな」
明日の戦争についてイザーはみんなに言いたいことがあるのだけれど、なかなかその事を切り出すきっかけがつかめないのであった。
みんなにちゃんと言わないといけないことなのに、あそこまでみんなが熱心に準備をしている事を知ってしまうとますます言いにくくなってしまっていた。
ちゃんと言わないといけないことなのに、勇気が出なくて言い出せないイザーであった。
戦う事なら出来るのに、こういう場面では弱気になってしまう可愛らしい一面も持ち合わせているようだ。
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