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THE GROUND ZERO Chapter1
第2章 王都の兵士達【2】
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「はあ……結構飲んじゃったな、今日も」
結局あの後、おやっさんの愚痴は尽きること無く、まるで現代兵器のマシンガンのように繰り出され、僕はその間黙って、たまに相槌を打ちながら、安いラム酒をひたすら飲んでいた。
まあおやっさんが愚痴を吐いてスッキリしたみたいだから、ラム酒一杯分とエリンギのベーコン巻きをサービスしてもらったので、僕としては得をしたんじゃないかと思うのだが。
それにおやっさんの愚痴を聞くのには、もう慣れちゃったし。
「さて……帰らないとなぁ」
随分と長居してしまったので、マグナブラの市街地の多くの建物は皆消灯しており、街灯だけが目の前の道を照らしていた。
昔……といっても数年前だが、それまではこんな街灯など無く、夜歩くとするならば松明を持って、その火で道をなんとか照らしながら歩いていたものだが……そう考えると確かに、魔石エネルギーというものは便利なものだ。
火とは比べ物にならないほどの光を、僕達に与えてくれる。
僕達に便利な生活を、豊かさを与えてくれる。
もう今となっては欠かせないもの。もし無くなったら、大混乱が起きかねないもの。
それほどまでに、魔石エネルギーは僕達人間の中に根付いていた。
「あの子は……レジスタンスの連中は、それが分かっているのだろうか……」
支配、統制、秩序が滅んだ先にあるのは、混沌のみ。
やっとモンスター達の活動を沈静化させられたというのに、それを打ち崩し、新たなカオスを孕むことがどれだけ危険なことなのか、本当に理解しているのだろうか……。
理解して、その上で発電所を爆破させるという暴挙に及んだのだろうか……。
それで世界が本当に、救われるとでも思っているのか。
「……僕らしくないな、こんなクダラナイ……僕の興味の無いことを真剣に考えちゃうなんて」
そう……もう僕には関係の無いこと。
僕にはもう、この世界を救う権利なんて無いのだから。
市街地を越えた先、城の手前にある兵士街という場所に、今僕の住んでいる寮はある。
この王都マグナブラは、城をまるで覆うように兵士街が作られており、更にその外に一般の市街地が並んでいる。
これはいざモンスターの襲撃や、他国との戦争が起こった際に、街が城を守るための砦の役割を果たすために、このような構造をしている。
しかしまあこの構造、言ってしまえば王を守るために、庶民が犠牲になるという形だと言えなくもない。
まあ……それは考え過ぎか。
兎にも角にも、僕のような二等兵の寮は最も市街地に近い場所、兵士街の外側に位置しており、一応個室ではあるが、隣との壁は薄く、ぼろっぼろの寮であった。
寮には一応規律があり、深夜帯の兵士の野外活動は原則禁止されているのだが、俺のようなはみ出し者の兵士を始め、大体の兵士が寮を抜け出し、市街地へと遊びに出ているらしい。
まあ、別に罰則のある規定ではなく、言ってしまえば約束程度の規律なので、こんな規律を守ってるやつなんざ、バカ真面目なやつ以外にはいないのだろうけれど、そのまさに、真面目を絵で描いたような男が、俺の部屋の扉の前に仁王立ちをして構えていた。
「また外に出てたんっすか! 先輩っ!」
「ん……ジョンか……また僕の出迎えのために、こんな時間まで起きてたのか」
「出迎えじゃないっす! 明日は先輩と訓練なんっすから、万全でいてもらわないと困るんっすよ!」
「訓練ん~? 明日もパトロールじゃなかったっけ?」
「パトロールは夕方からっす! 明日は朝と昼間は戦闘訓練になってるっす!」
「ええ……僕、今日は結構飲んじゃったから朝から訓練とかできる気がしないんだけど……」
「それは飲み方をセーブできない……いやっ! そもそも夜に酒を飲みに出る先輩が悪いんっすよ!!」
「僕は悪くない! 酒なんてものがあるから悪いんだ!」
「責任転嫁はよくないっすううううっ!」
この酔っ払いの僕の前で、クソ真面目に説教をしている後輩兵士の名前はジョヴァンニ・ヘクター。
ジョヴァンニだと長いので、僕はジョンと呼んでいる。
一年前くらいに入ったばかりの新人兵士であり、正直戦闘のセンスがお世辞にもあるとは言えないが、一流の兵士になるために日々、鍛錬やら任務に励んでいるらしい。
僕はもう、今はこんな感じになってしまったが、なんというか、ジョンの姿は昔の自分を、本気で勇者を目指していた時の自分を見ているようで、放っておけないというか、なんとなく気に掛けている内に仲が良くなっていた。
まあ、ジョンの方もその真面目な性格から、僕のような落ちこぼれている人間を放っては置けずに、こうやって世話をしてくれているのだろうけれど。
「まだ今から寝れば五時間は寝れるっす。それくらいあればアルコールも少しは体から抜けますから」
「そこまでして訓練なんか出たくないよ……」
「訓練も兵士の仕事っす! 朝から仕事がある日は、少しはお酒は控えて欲しいっす!」
「なんだよお前……人をアルコール中毒者みたいな扱いしやがって……」
「先輩はもうその領域に入りかけてるから注意してるんっすよ!」
「領域って……僕はまだ手が震えるまでには至ってないけど」
「それはもう末期の人の症状っす! それになる前にやめなきゃ駄目なんっすよ!!」
まったく……深夜だっていうのに、元気の良いやつだ。
僕の元気なんて、もう一日をやり過ごすだけで果ててしまいそうなくらいにしか無いというのに……若いっていうのは羨ましいな。
といってもまだ僕、二十四歳なんだけど。
結局あの後、おやっさんの愚痴は尽きること無く、まるで現代兵器のマシンガンのように繰り出され、僕はその間黙って、たまに相槌を打ちながら、安いラム酒をひたすら飲んでいた。
まあおやっさんが愚痴を吐いてスッキリしたみたいだから、ラム酒一杯分とエリンギのベーコン巻きをサービスしてもらったので、僕としては得をしたんじゃないかと思うのだが。
それにおやっさんの愚痴を聞くのには、もう慣れちゃったし。
「さて……帰らないとなぁ」
随分と長居してしまったので、マグナブラの市街地の多くの建物は皆消灯しており、街灯だけが目の前の道を照らしていた。
昔……といっても数年前だが、それまではこんな街灯など無く、夜歩くとするならば松明を持って、その火で道をなんとか照らしながら歩いていたものだが……そう考えると確かに、魔石エネルギーというものは便利なものだ。
火とは比べ物にならないほどの光を、僕達に与えてくれる。
僕達に便利な生活を、豊かさを与えてくれる。
もう今となっては欠かせないもの。もし無くなったら、大混乱が起きかねないもの。
それほどまでに、魔石エネルギーは僕達人間の中に根付いていた。
「あの子は……レジスタンスの連中は、それが分かっているのだろうか……」
支配、統制、秩序が滅んだ先にあるのは、混沌のみ。
やっとモンスター達の活動を沈静化させられたというのに、それを打ち崩し、新たなカオスを孕むことがどれだけ危険なことなのか、本当に理解しているのだろうか……。
理解して、その上で発電所を爆破させるという暴挙に及んだのだろうか……。
それで世界が本当に、救われるとでも思っているのか。
「……僕らしくないな、こんなクダラナイ……僕の興味の無いことを真剣に考えちゃうなんて」
そう……もう僕には関係の無いこと。
僕にはもう、この世界を救う権利なんて無いのだから。
市街地を越えた先、城の手前にある兵士街という場所に、今僕の住んでいる寮はある。
この王都マグナブラは、城をまるで覆うように兵士街が作られており、更にその外に一般の市街地が並んでいる。
これはいざモンスターの襲撃や、他国との戦争が起こった際に、街が城を守るための砦の役割を果たすために、このような構造をしている。
しかしまあこの構造、言ってしまえば王を守るために、庶民が犠牲になるという形だと言えなくもない。
まあ……それは考え過ぎか。
兎にも角にも、僕のような二等兵の寮は最も市街地に近い場所、兵士街の外側に位置しており、一応個室ではあるが、隣との壁は薄く、ぼろっぼろの寮であった。
寮には一応規律があり、深夜帯の兵士の野外活動は原則禁止されているのだが、俺のようなはみ出し者の兵士を始め、大体の兵士が寮を抜け出し、市街地へと遊びに出ているらしい。
まあ、別に罰則のある規定ではなく、言ってしまえば約束程度の規律なので、こんな規律を守ってるやつなんざ、バカ真面目なやつ以外にはいないのだろうけれど、そのまさに、真面目を絵で描いたような男が、俺の部屋の扉の前に仁王立ちをして構えていた。
「また外に出てたんっすか! 先輩っ!」
「ん……ジョンか……また僕の出迎えのために、こんな時間まで起きてたのか」
「出迎えじゃないっす! 明日は先輩と訓練なんっすから、万全でいてもらわないと困るんっすよ!」
「訓練ん~? 明日もパトロールじゃなかったっけ?」
「パトロールは夕方からっす! 明日は朝と昼間は戦闘訓練になってるっす!」
「ええ……僕、今日は結構飲んじゃったから朝から訓練とかできる気がしないんだけど……」
「それは飲み方をセーブできない……いやっ! そもそも夜に酒を飲みに出る先輩が悪いんっすよ!!」
「僕は悪くない! 酒なんてものがあるから悪いんだ!」
「責任転嫁はよくないっすううううっ!」
この酔っ払いの僕の前で、クソ真面目に説教をしている後輩兵士の名前はジョヴァンニ・ヘクター。
ジョヴァンニだと長いので、僕はジョンと呼んでいる。
一年前くらいに入ったばかりの新人兵士であり、正直戦闘のセンスがお世辞にもあるとは言えないが、一流の兵士になるために日々、鍛錬やら任務に励んでいるらしい。
僕はもう、今はこんな感じになってしまったが、なんというか、ジョンの姿は昔の自分を、本気で勇者を目指していた時の自分を見ているようで、放っておけないというか、なんとなく気に掛けている内に仲が良くなっていた。
まあ、ジョンの方もその真面目な性格から、僕のような落ちこぼれている人間を放っては置けずに、こうやって世話をしてくれているのだろうけれど。
「まだ今から寝れば五時間は寝れるっす。それくらいあればアルコールも少しは体から抜けますから」
「そこまでして訓練なんか出たくないよ……」
「訓練も兵士の仕事っす! 朝から仕事がある日は、少しはお酒は控えて欲しいっす!」
「なんだよお前……人をアルコール中毒者みたいな扱いしやがって……」
「先輩はもうその領域に入りかけてるから注意してるんっすよ!」
「領域って……僕はまだ手が震えるまでには至ってないけど」
「それはもう末期の人の症状っす! それになる前にやめなきゃ駄目なんっすよ!!」
まったく……深夜だっていうのに、元気の良いやつだ。
僕の元気なんて、もう一日をやり過ごすだけで果ててしまいそうなくらいにしか無いというのに……若いっていうのは羨ましいな。
といってもまだ僕、二十四歳なんだけど。
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