英雄のいない世界で

赤坂皐月

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THE GROUND ZERO Chapter1

第3章 最新兵器【3】

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「よしじゃあコヨミ! これの効果をハッキリと見るんだったら、現代兵器よりも剣の方が分かりやすいからな。これを使え」

 すると教官は、チェストから鋼の剣を取り出し、それを僕に手渡した。

 久々だ……こんな立派な、ちゃんとした剣を握ったのは。

 懐かしさすら、湧いて出てくる。

「それじゃあ、ガントレットの手の甲のパーツを上にスライドさせ、押し込んでみろ。そうしたらこのガントレットが魔石の欠片の魔力を読み込み、それを自分の力に変換することができる!」

「魔石の力を……」

 僕はガントレットのパーツをスライドさせ、セットし、押し込む。

 するとガントレットから赤い炎が湧き上がり、それが手に持っていた鋼の剣にまとわり、包み込み、燃え盛る剣となる。

「おおっ!!」

 周囲の兵士達がその光景を目にし、どよめく。

 僕自身も、自分の腕から込み上がる炎を見て、目を見張った。

「カッカッカッ! これがマテリアルガントレットの能力だ! なかなか面白いものだろう?」

「ええ……正直ビックリしています」

「ふむ! ではこの一式をコヨミ、お前に支給しようじゃないか!」

「えっ! いいんですか……?」

「どうせ後にも先にも、兵士全員に支給されるものだ。ただ先行的に支給するのだから、より任務に励むように……いいな?」

「……はい」

 最後の教官の一言は、僕を鼓舞するために言ったのか、それとも僕に釘を刺したのか……兎にも角にもどうやら僕は、先行的に新たな装備を獲得することができたらしい。

 確かに装備としては良い装備なので、嬉しいには嬉しいのだが、しかしなんといっても、周りが持っていないものを手にしたとなっては目立ってしまう。

 そういう点を踏まえると、正直複雑な心境ではあったわけで、素直に僕は喜べなかった。

「うわぁっ! 先輩すごく羨ましいっす!!」

 装備を受け取った僕は、兵士達の前からそそくさと逃げるように去り、最後尾の元の場所に戻ると、僕よりも目を輝かせて、僕の手に持っている装備品を見ているジョンの姿があった。

「……どんなに羨ましがっても、これは僕の装備だからな」

「ちょっとだけ触ってもいいっすか?」

「ダメだ!」

「えぇ~……先輩心が狭いっす!」

 目立つのは正直嫌だけど、でもコイツにだけは絶対渡したくない。

 僕の代わりに前に出なかった、コイツが悪いんだ。チャンスを逃したと思って、せいぜい悔やむがいいさ。

「よし! これでマテリアルガントレットの説明は終了だ! ガントレットは後日各自に配布されると思うので、今日の使い方及び注意点を忘れぬように、いいな!」

「ははっ!」

 教官の言葉の後に、再び全員で敬礼。

 僕はそれを、ただ見ているだけ。

「そしてもう一つ新たに採用された装備品があるのだが、実は諸事情によって、今この場にないので口頭だけで説明する。アサルトライフルといってな、今までのライフルと違って、全自動射撃能力を持った進化したライフルなのだ!」

 ライフル……ということは、現代武器の類なのだろう。

 僕はあまり現代武器を好まないので、そこまでの知識は無いけれど、でもライフルという物があることは知っていた。

「自分……ライフルを使うのは苦手なんっすよね……連射が難しいし、ボルトを操作しなきゃだしで……」

「僕はお前の言ってることが分からん」

「先輩どれだけ現代兵器に疎いんっすか……」

「疎いんじゃない、知る気が無いんだ!」

「威張らないで欲しいっす!!」

 とは言われても、知らないものは知らないからな。

 怒られても、反省する気も無いけど。

「おいコヨミ! そして隣のうるさいぞっ! ええ加減にせんと、ガントレットと魔石の欠片没収するぞ!」

 どうやら僕達のお喋りを、教官に聞かれてしまったらしい。

「……ジョン、お前のせいで怒られちゃったじゃないか」

「自分のせいっすか!? というか……自分今、教官に名前呼ばれなかったっすよね……それが一番傷つくっす……」

「まっ、お前もまだまだ精進が足りないということだな」

「ぐううう……悔しいっすうううう!!」

「お前らあああああ! わしは静かにしろと言っとるんだああああああっ!!!」

 まったく……僕は一日にどれだけの人に、どれだけの回数怒鳴られればいいんだよ。

 耳が痛くなっちまう。

 それから現代兵器の……アサルトライフルだっけ?それの説明が教官から一通りあった後、強化訓練を数時間行い、やっとこすっとこ僕達は解放された。

 ちなみに、皆が強化訓練という名の射撃訓練を行っている中、僕は教官から貰ったマテリアルガントレットと鋼の剣を使い、異なる訓練を一人で行っていた。

 教官から貰った魔石の欠片は全部で三つ。

 一つは、僕が最初に選んだ火の欠片。コイツには炎の魔法と同じ効果、所謂、斬ったものの対象を燃やすという効果が付随される。

 そして二つ目は、青い水の欠片。これはどうやら、大気中の水分を集め、剣にまとわせると、その集められた水を自由自在に変形させることができるようだ。

 ただし水であるため、どんなに変形させたところで殺傷能力には欠ける。コイツの使い道は、例えば水を鞭状に変形させ、その水圧でぶん殴るか、それとも手足を拘束し、その内に接近し、剣で斬りかかるかといったところだろうか。

 そして最後が土の欠片。これは大地を揺るがすパワーを剣に与え、例えば地面をたたき割って地割れを起こしたり、岩を破壊したりと、剣自体を強化できる力を持っている。

 もしこのパワーで人間を斬ったりなんかしたら、おそらくその力で跡形も無く、その体は消し飛んでしまうだろう。

 以上が僕なりに発見した、三つの魔石の欠片の能力と使い方だ。

 しかし……ここ最近の僕らしくないほどに、なかなか真剣に訓練をしてしまった。それこそ、以前勇者を本気で目指していた時、朝から晩まで剣を振るっていたあの時を彷彿させるような、それほどに本気で取り組んでしまった。

 自分で言うのもなんだけど、やはり僕には剣を振るってる姿が一番似合う。
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