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THE GROUND ZERO Chapter3
第10章 沈黙の戦場【3】
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「あやつは……さっきの奴か。戻って来たのか」
月が雲隠れした時にマジスターが見つけた人影。さっきまでは薄暗かったがために、それがマグナブラの兵士なのか、それともレジスタンスの戦士だったのか判別することができなかったのだが、月が雲間から顔を出した今なら、マジスターなら見分けることができるかもしれない。
彼はこの中で唯一、兵士にも戦士にもなった人間だからな。
果たしてどちらなのか……。
「んん……むむっ! あの赤茶色の野戦服、そしてあのエンブレムはもしや……レジスタンスか!」
そう、そこに居たソルジャーの正体は、レジスタンス側の戦士だったのだ。
「レジスタンス!? でもマジスター、もしレジスタンスの戦士がこっち側に居るとしたら……」
「ああ……どうやらマグナブラの派遣隊は、レジスタンスによって制圧されたということになるな」
「じゃあマグナブラの兵士は全滅したことに……」
「ちょ……ちょっと待ってよ二人ともっ!」
僕とマジスターが眉間にしわを寄せ、深刻な表情で話していると、ルーナがその間に焦った表情で割って入って来た。
「なんだよルーナ、今は冗談を言ってるような事態じゃないんだ!」
「いやそんなんじゃなくて……話に着いていけないのよ。何でここにレジスタンスの戦士が居るのが、そんなにマズいことなのか」
「えっ……ええ……」
さっきルーナが僕に冷ややかな視線を浴びせてきたが、多分今僕は、それと同じくらいの冷めた視線をルーナに送っている。
「なによっ! そんな軽蔑してる暇があったらさっさと説明してよねっ!」
「別に軽蔑はしてないけど……まあいいや、なにが分からないの?」
「だから……レジスタンスの戦士がここに居るだけで、何でマグナブラの兵隊が制圧されてしまったことが分かるのよ?」
「ああ、そのことね。それは簡単だよ。ルーナ、エトワール・ロックにはレジスタンス側の本拠地ユスティーツフォートがあるよね?」
「まあ、そうね」
「ということは、モチロンレジスタンス側が陣を敷くならエトワール・ロックに近いところになるっていうのは分かるよね?」
「それくらい分かるわよ!」
「そう、それで僕達は今、エトワール・ロックに向かっている。正確に言うんだったら、マグナブラ側からエトワール・ロック側に移動してるってことだよね?」
「ええ」
「だったらこっち側に陣があるとするなら?」
「そりゃあモチロン、マグナブラの兵士側の……あっ!」
「そう、マグナブラの兵士の陣があり、ここには兵士達が居るはずなんだ。だけど僕達が見つけたのはレジスタンスの戦士。しかもあんな堂々と敵陣の近くで歩いている……ということは?」
「マグナブラの兵隊は……全滅した……」
「そういうことだ……」
しかしまあ、可能性が高いとはいえ、これもまだ推測の域を越えてはいない。もっと確定だと判断できるような情報があればいいのだが。
「むっ! コヨミ、ルーナ静かに! もう一人同じ装備をした戦士が来た……」
マジスターが人差し指を立てて、僕達に注意を促す。
「ちょっとマジスター、僕にも見せて」
マジスターの隣から岩陰の外を覗いてみると、赤茶色の迷彩服を着用し、ライフルを装備した男が二人、何かを話しているようだった。
今はちょっとしたものでもいいから、何としても戦場の情報が欲しい……僕は息を殺し、戦士二人の話に聞き耳を立てた。
「そっちはどうだ?」
「オールクリア。しかしこの程度の小規模部隊に全面投入とは……これではまるで、戦争と言うよりかはリンチだな」
「ユスティーツフォートの位置がマグナブラ側にばれてしまった以上、その周囲に例え小規模であっても、敵部隊をのさばらせておくわけにはいかない……というのがリーダーの意向だそうだ」
「躍起になってるな」
「まあそう言うな。俺達はレジスタンスで、どのみちマグナブラ兵団とはいつか衝突する運命だったんだ。それが今になっただけさ」
「それにしては、唐突な気もするが」
「まあな。リーダーはどうやらこれを皮切りに、マグナブラに一斉に駒を進め、総攻撃を仕掛けるそうだ」
「ついに全面戦争のトリガーを引いちまったってことか……」
「ははは……おっとそうだ、お前とこんなじっくりくっちゃべってる場合ではなかった。司令部より敵部隊の殲滅が確認でき次第、ユスティーツフォートへ帰投するようにとのことだ」
「そうか、じゃあ確認もできたし、帰投することにしようか」
「そうだな」
その言葉を皮切りに、二人のレジスタンスの戦士は揃って歩き始め、宵闇の中へと消えて行ってしまった。
戦士の姿が見えなくなったのを確認すると、僕とマジスターは岩陰に顔を引っ込め、共にうな垂れる。
「やはりマグナブラ側の隊は壊滅してしまったか……」
「そうみたいだね……」
「しかしこれを機に全面戦争を決起するとは……エインめ、なにを焦っているのか……」
「マジスター……もしかしてこれも、セブルスの思惑なのかな?」
「かもしれんな。あまりにも全てが上手くいきすぎておる」
「ちょっと~ふたりとも~っ!!」
僕とマジスターが意気消沈と、今までの情報と状況を二人で整理していると、その間に今度はふくれっ面をしてルーナが入り込んで来た。
「なにルーナ? 僕達今あんまり元気が無いんだ……トイレなら一人で行ってよ」
「わたしは夜怖くて一人でトイレに行けない子供じゃないわよっ!」
「ええ……ああ分かった、もしかしてまた、状況説明よろしくって感じ?」
「なんでそんな嫌そうな感じなのよ! しょうがないじゃない、わたしはアンタと違ってあの人達の会話聞こえなかったんだからっ!」
「ああ、そうなんだ。えっと……ようはこの戦闘、レジスタンスが勝利して、この機に乗じてレジスタンスはマグナブラに全面戦争を仕掛けるつもりらしい」
「ええっ!? なんか話が急展開しちゃってるわね……」
事の重みを理解し、さすがのルーナも苦い表情を浮かべる。
「そう、ルーナの言う通り急展開しちゃってるんだ。でもこれまで、魔石発電施設の第三高炉でテロが起きてもこんな戦闘状態になることは上手く避けられていたのに、なぜ今になってこうも事が進んでしまったのか……」
「それがもしかして、そのセブルスさんのせいだってアンタもマジスターさんも言うの?」
僕がそうだと答えようとすると、その前にマジスターが頭を縦に振って、話を切り出した。
「そうだ……ルーナ、お前の国……ノースハーウェンは、暁の火の連合軍の小規模隊を攻撃したがために、大義名分を得て大規模襲撃を受けたとわしに教えてくれただろ?」
「ええ……言ったわね」
「それと同じことが今起ころうとしている……ということだ。これは明らかにセブルスの罠……派遣した小規模部隊が倒され、レジスタンスが決起を起こしたとあれば、兵団にはそれを防衛するためにレジスタンスを攻撃するという、立派な大義名分ができるわけだからな」
月が雲隠れした時にマジスターが見つけた人影。さっきまでは薄暗かったがために、それがマグナブラの兵士なのか、それともレジスタンスの戦士だったのか判別することができなかったのだが、月が雲間から顔を出した今なら、マジスターなら見分けることができるかもしれない。
彼はこの中で唯一、兵士にも戦士にもなった人間だからな。
果たしてどちらなのか……。
「んん……むむっ! あの赤茶色の野戦服、そしてあのエンブレムはもしや……レジスタンスか!」
そう、そこに居たソルジャーの正体は、レジスタンス側の戦士だったのだ。
「レジスタンス!? でもマジスター、もしレジスタンスの戦士がこっち側に居るとしたら……」
「ああ……どうやらマグナブラの派遣隊は、レジスタンスによって制圧されたということになるな」
「じゃあマグナブラの兵士は全滅したことに……」
「ちょ……ちょっと待ってよ二人ともっ!」
僕とマジスターが眉間にしわを寄せ、深刻な表情で話していると、ルーナがその間に焦った表情で割って入って来た。
「なんだよルーナ、今は冗談を言ってるような事態じゃないんだ!」
「いやそんなんじゃなくて……話に着いていけないのよ。何でここにレジスタンスの戦士が居るのが、そんなにマズいことなのか」
「えっ……ええ……」
さっきルーナが僕に冷ややかな視線を浴びせてきたが、多分今僕は、それと同じくらいの冷めた視線をルーナに送っている。
「なによっ! そんな軽蔑してる暇があったらさっさと説明してよねっ!」
「別に軽蔑はしてないけど……まあいいや、なにが分からないの?」
「だから……レジスタンスの戦士がここに居るだけで、何でマグナブラの兵隊が制圧されてしまったことが分かるのよ?」
「ああ、そのことね。それは簡単だよ。ルーナ、エトワール・ロックにはレジスタンス側の本拠地ユスティーツフォートがあるよね?」
「まあ、そうね」
「ということは、モチロンレジスタンス側が陣を敷くならエトワール・ロックに近いところになるっていうのは分かるよね?」
「それくらい分かるわよ!」
「そう、それで僕達は今、エトワール・ロックに向かっている。正確に言うんだったら、マグナブラ側からエトワール・ロック側に移動してるってことだよね?」
「ええ」
「だったらこっち側に陣があるとするなら?」
「そりゃあモチロン、マグナブラの兵士側の……あっ!」
「そう、マグナブラの兵士の陣があり、ここには兵士達が居るはずなんだ。だけど僕達が見つけたのはレジスタンスの戦士。しかもあんな堂々と敵陣の近くで歩いている……ということは?」
「マグナブラの兵隊は……全滅した……」
「そういうことだ……」
しかしまあ、可能性が高いとはいえ、これもまだ推測の域を越えてはいない。もっと確定だと判断できるような情報があればいいのだが。
「むっ! コヨミ、ルーナ静かに! もう一人同じ装備をした戦士が来た……」
マジスターが人差し指を立てて、僕達に注意を促す。
「ちょっとマジスター、僕にも見せて」
マジスターの隣から岩陰の外を覗いてみると、赤茶色の迷彩服を着用し、ライフルを装備した男が二人、何かを話しているようだった。
今はちょっとしたものでもいいから、何としても戦場の情報が欲しい……僕は息を殺し、戦士二人の話に聞き耳を立てた。
「そっちはどうだ?」
「オールクリア。しかしこの程度の小規模部隊に全面投入とは……これではまるで、戦争と言うよりかはリンチだな」
「ユスティーツフォートの位置がマグナブラ側にばれてしまった以上、その周囲に例え小規模であっても、敵部隊をのさばらせておくわけにはいかない……というのがリーダーの意向だそうだ」
「躍起になってるな」
「まあそう言うな。俺達はレジスタンスで、どのみちマグナブラ兵団とはいつか衝突する運命だったんだ。それが今になっただけさ」
「それにしては、唐突な気もするが」
「まあな。リーダーはどうやらこれを皮切りに、マグナブラに一斉に駒を進め、総攻撃を仕掛けるそうだ」
「ついに全面戦争のトリガーを引いちまったってことか……」
「ははは……おっとそうだ、お前とこんなじっくりくっちゃべってる場合ではなかった。司令部より敵部隊の殲滅が確認でき次第、ユスティーツフォートへ帰投するようにとのことだ」
「そうか、じゃあ確認もできたし、帰投することにしようか」
「そうだな」
その言葉を皮切りに、二人のレジスタンスの戦士は揃って歩き始め、宵闇の中へと消えて行ってしまった。
戦士の姿が見えなくなったのを確認すると、僕とマジスターは岩陰に顔を引っ込め、共にうな垂れる。
「やはりマグナブラ側の隊は壊滅してしまったか……」
「そうみたいだね……」
「しかしこれを機に全面戦争を決起するとは……エインめ、なにを焦っているのか……」
「マジスター……もしかしてこれも、セブルスの思惑なのかな?」
「かもしれんな。あまりにも全てが上手くいきすぎておる」
「ちょっと~ふたりとも~っ!!」
僕とマジスターが意気消沈と、今までの情報と状況を二人で整理していると、その間に今度はふくれっ面をしてルーナが入り込んで来た。
「なにルーナ? 僕達今あんまり元気が無いんだ……トイレなら一人で行ってよ」
「わたしは夜怖くて一人でトイレに行けない子供じゃないわよっ!」
「ええ……ああ分かった、もしかしてまた、状況説明よろしくって感じ?」
「なんでそんな嫌そうな感じなのよ! しょうがないじゃない、わたしはアンタと違ってあの人達の会話聞こえなかったんだからっ!」
「ああ、そうなんだ。えっと……ようはこの戦闘、レジスタンスが勝利して、この機に乗じてレジスタンスはマグナブラに全面戦争を仕掛けるつもりらしい」
「ええっ!? なんか話が急展開しちゃってるわね……」
事の重みを理解し、さすがのルーナも苦い表情を浮かべる。
「そう、ルーナの言う通り急展開しちゃってるんだ。でもこれまで、魔石発電施設の第三高炉でテロが起きてもこんな戦闘状態になることは上手く避けられていたのに、なぜ今になってこうも事が進んでしまったのか……」
「それがもしかして、そのセブルスさんのせいだってアンタもマジスターさんも言うの?」
僕がそうだと答えようとすると、その前にマジスターが頭を縦に振って、話を切り出した。
「そうだ……ルーナ、お前の国……ノースハーウェンは、暁の火の連合軍の小規模隊を攻撃したがために、大義名分を得て大規模襲撃を受けたとわしに教えてくれただろ?」
「ええ……言ったわね」
「それと同じことが今起ころうとしている……ということだ。これは明らかにセブルスの罠……派遣した小規模部隊が倒され、レジスタンスが決起を起こしたとあれば、兵団にはそれを防衛するためにレジスタンスを攻撃するという、立派な大義名分ができるわけだからな」
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