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THE GROUND ZERO Chapter4
第13章 荒野の決戦【3】
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「コヨミ、バイクのスピードを上げるわよ」
ルーナが前を見ながら、僕へ伝える。
「えっ?」
「あの魔物どんどんスピードを上げてきてるっぽい。もしかしたらまだ、わたし達のことを憶えているのかもしれないわ」
後ろを振り返ってみると、確かにルーナの言う通り、徐々にブラースティと僕達の距離は縮まりつつあった。
「ああ、そうかもしれないな……まあたった四日前の話だからね。憶えていてもおかしくはない」
おそらくやつは、僕達の逃げ足が速いことを知っている。だから油断すること無く、全力で追いかけてきているのだ。
「落石が多いこの中で、またこの前みたいに変な液体を吐かれたら避けようがないわ」
「うん……確かにそうだな」
ブラースティは追いつけない相手に対して、体内の溶解液を吹きかけてくる習性がある。以前僕達が逃げた際にも、やつは僕らに向かって溶解液を口から噴射してきた。
しかもその溶解液は本来、ブラースティが巣穴を掘る際に、邪魔となる岩を溶かすためのものであるらしく、逆を言えば岩を溶かすほど強力な液体であり、降りかかるどころか、その飛沫が当たっただけでもその部分が溶け出すという、かなり危険な液体なのだ。
この前走ったエトワール・ロックの洞窟は、ブラースティが掘った巣窟であったため岩などが無く、飛んでくる溶解液を避けるのは容易かったのだが、しかし今走行しているこの道には、元素爆弾の強烈な爆風によって崩れたり、転がってきた岩が散乱しており、それを回避して進むので手一杯なのに、更に溶解液が飛んでくるとなると、非常に厄介なことになってしまう。
ヤツに追いつかれることはすなわち、僕達が追い詰められるということ。
おびき寄せてる側が、いつの間にかおびき出されている側にやられたとなっては、笑い話にもならないからな。
ここは全速力で逃げ切りたいところだ。
「しっかり掴まって!」
「おうっ!」
ルーナは手元のアクセルを回し、バイクの速度を上げていく。
風を切る音が強くなり、ルーナにしっかりとしがみつきながら後ろを振り返ってみると、確かに先程よりもブラースティとの距離は若干遠ざかっていた。
このままのスピードをずっと維持できれば、ブラースティに溶解液をかけられずに、無事目的地まで誘導できるのかもしれないが、しかしそう旨くいかないのが現実であり、やはり懸念していた地形の問題が僕達に牙を剥いてきた。
「くうっ!」
ルーナはブレーキを掛け、好調に上がりつつあったスピードを、突如落としてしまった。
「どうした?」
「落石の多いエリアに来ちゃったみたい……」
目の前を眺めると、路上には無数の大小の岩石があちらこちらに散らばっており、とてもじゃないがスピードを出したままでは避けきることのできない、そんな一見しただけで厄介だと分かる光景が広がっていた。
しかも目の前だけでなく、遠くを見てもまだ岩石があることから、こういったエリアが数百メートル単位で続くと考えられる。
しかしそうなってしまってはブラースティが僕達との距離を詰め、溶解液を出されながら、障害物の岩を避けて進むという、まさに最悪の事態が訪れてしまうのだ。
「クソッ……何か対策は……っ!」
徐々に岩場に近づく中、考え、考え抜くと、ルーナの腰を掴んでいた僕の手が、彼女のホルスターに当たり、そして閃いた。
「そうだ……これならいける!」
閃いた僕はまず、一旦両手をルーナの腰から離し、ズボンのポケットの中に入れておいた魔石ケースを取り出す。
そしてケースの中から土の魔石の欠片を取り出し、それを右手に装備しているマテリアルガントレットに装填した。
第一段階はこれで良し。そして次に……。
「ルーナ、ハーミット・レッドを借りるぞ!」
「えっ!? ちょっとイキナリなによ! ハーミットをどうするつもり?!」
「時間が無い! それに説明しなくても、見てれば分かるから」
「あっちょっと……もうっ!」
僕はルーナのホルスターからハーミット・レッドを取り出す……が、そこで気づいた。
「あれ……これ弾丸入ってないじゃないか!」
「当たり前よ。さっき岩を撃った時、残弾全部除去したもの」
「あっ……」
そういえば、そんなことしてたな。
くそっ……! まずは弾丸を装填しないと!
「ルーナ頼む! 弾丸をくれ!」
「勝手に人の拳銃奪っておいて、よくもまあそんなことが言えるわね」
「あーもう! 喧嘩してる暇は無いんだ! 早くっ!」
「うるっさいわねぇ! 真後ろで怒鳴らないでよ! ったく……わたしの左腰にポーチがくっついてるでしょ? ホルスターがあるのとは、逆の方に」
見てみると確かに、ルーナの左腰のところに、中くらいの赤茶色のポーチがぶら下がっていた。
「その中に弾丸を着けたスピードローダーが入ってるから、それを取り出して」
「これか」
ポーチから出てきたのは、丸っこいネジのついた物に、弾丸六発がくっついたスピードローダーという物だった。
「使い方分かる?」
「兵団は自動式拳銃が主流だったからなぁ……回転式拳銃についてはまったくなんだ」
「フン、リボルバーの良さも分からないなんて、兵団にはロマンが無いわね」
「ロマン?」
「なんでもないわ……とりあえずハーミットの回転弾倉を出して」
「こうか?」
ハーミット・レッドのシリンダー部分を右側から押し込むと、左側にシリンダーが飛び出し、弾丸を装填するための六つの穴が露わになる。
「穴の中に弾丸が納まるようにスピードローダーをくっつけて、それからローダーのネジの部分を右に回したら、一気に弾丸が装填されるわ」
「こうか……おおっ!」
ルーナの指示通りにシリンダーとローダーをくっつけ、ネジを回すと、ガシャッというバネの音が聞こえ、六発の弾丸は見事、一度で六つのシリンダー穴の中に綺麗に収まった。
リボルバーはいちいち装填をする際に、一発一発弾を込める物だと思っており、面倒な拳銃だなと思っていたのだが、まさかこんな便利な物があるなんて……おっと!そんなことに感心している暇は無かった!
今は何よりもまず、目の前の岩石群をなんとかせねばならない。
僕はハーミット・レッドのシリンダーを元に戻し、とりあえずほど近い岩をサイトを覗いて狙い、前回は拳銃の扱いに慣れていなかったのもあり、わざわざ撃鉄を起こして、引き切りの軽いシングルアクションで射撃を行っていたが、ルーナとの射撃訓練ですっかり射撃にも慣れてしまったので、今回はハンマーを倒したままのダブルアクションで射撃を行った。
ルーナが前を見ながら、僕へ伝える。
「えっ?」
「あの魔物どんどんスピードを上げてきてるっぽい。もしかしたらまだ、わたし達のことを憶えているのかもしれないわ」
後ろを振り返ってみると、確かにルーナの言う通り、徐々にブラースティと僕達の距離は縮まりつつあった。
「ああ、そうかもしれないな……まあたった四日前の話だからね。憶えていてもおかしくはない」
おそらくやつは、僕達の逃げ足が速いことを知っている。だから油断すること無く、全力で追いかけてきているのだ。
「落石が多いこの中で、またこの前みたいに変な液体を吐かれたら避けようがないわ」
「うん……確かにそうだな」
ブラースティは追いつけない相手に対して、体内の溶解液を吹きかけてくる習性がある。以前僕達が逃げた際にも、やつは僕らに向かって溶解液を口から噴射してきた。
しかもその溶解液は本来、ブラースティが巣穴を掘る際に、邪魔となる岩を溶かすためのものであるらしく、逆を言えば岩を溶かすほど強力な液体であり、降りかかるどころか、その飛沫が当たっただけでもその部分が溶け出すという、かなり危険な液体なのだ。
この前走ったエトワール・ロックの洞窟は、ブラースティが掘った巣窟であったため岩などが無く、飛んでくる溶解液を避けるのは容易かったのだが、しかし今走行しているこの道には、元素爆弾の強烈な爆風によって崩れたり、転がってきた岩が散乱しており、それを回避して進むので手一杯なのに、更に溶解液が飛んでくるとなると、非常に厄介なことになってしまう。
ヤツに追いつかれることはすなわち、僕達が追い詰められるということ。
おびき寄せてる側が、いつの間にかおびき出されている側にやられたとなっては、笑い話にもならないからな。
ここは全速力で逃げ切りたいところだ。
「しっかり掴まって!」
「おうっ!」
ルーナは手元のアクセルを回し、バイクの速度を上げていく。
風を切る音が強くなり、ルーナにしっかりとしがみつきながら後ろを振り返ってみると、確かに先程よりもブラースティとの距離は若干遠ざかっていた。
このままのスピードをずっと維持できれば、ブラースティに溶解液をかけられずに、無事目的地まで誘導できるのかもしれないが、しかしそう旨くいかないのが現実であり、やはり懸念していた地形の問題が僕達に牙を剥いてきた。
「くうっ!」
ルーナはブレーキを掛け、好調に上がりつつあったスピードを、突如落としてしまった。
「どうした?」
「落石の多いエリアに来ちゃったみたい……」
目の前を眺めると、路上には無数の大小の岩石があちらこちらに散らばっており、とてもじゃないがスピードを出したままでは避けきることのできない、そんな一見しただけで厄介だと分かる光景が広がっていた。
しかも目の前だけでなく、遠くを見てもまだ岩石があることから、こういったエリアが数百メートル単位で続くと考えられる。
しかしそうなってしまってはブラースティが僕達との距離を詰め、溶解液を出されながら、障害物の岩を避けて進むという、まさに最悪の事態が訪れてしまうのだ。
「クソッ……何か対策は……っ!」
徐々に岩場に近づく中、考え、考え抜くと、ルーナの腰を掴んでいた僕の手が、彼女のホルスターに当たり、そして閃いた。
「そうだ……これならいける!」
閃いた僕はまず、一旦両手をルーナの腰から離し、ズボンのポケットの中に入れておいた魔石ケースを取り出す。
そしてケースの中から土の魔石の欠片を取り出し、それを右手に装備しているマテリアルガントレットに装填した。
第一段階はこれで良し。そして次に……。
「ルーナ、ハーミット・レッドを借りるぞ!」
「えっ!? ちょっとイキナリなによ! ハーミットをどうするつもり?!」
「時間が無い! それに説明しなくても、見てれば分かるから」
「あっちょっと……もうっ!」
僕はルーナのホルスターからハーミット・レッドを取り出す……が、そこで気づいた。
「あれ……これ弾丸入ってないじゃないか!」
「当たり前よ。さっき岩を撃った時、残弾全部除去したもの」
「あっ……」
そういえば、そんなことしてたな。
くそっ……! まずは弾丸を装填しないと!
「ルーナ頼む! 弾丸をくれ!」
「勝手に人の拳銃奪っておいて、よくもまあそんなことが言えるわね」
「あーもう! 喧嘩してる暇は無いんだ! 早くっ!」
「うるっさいわねぇ! 真後ろで怒鳴らないでよ! ったく……わたしの左腰にポーチがくっついてるでしょ? ホルスターがあるのとは、逆の方に」
見てみると確かに、ルーナの左腰のところに、中くらいの赤茶色のポーチがぶら下がっていた。
「その中に弾丸を着けたスピードローダーが入ってるから、それを取り出して」
「これか」
ポーチから出てきたのは、丸っこいネジのついた物に、弾丸六発がくっついたスピードローダーという物だった。
「使い方分かる?」
「兵団は自動式拳銃が主流だったからなぁ……回転式拳銃についてはまったくなんだ」
「フン、リボルバーの良さも分からないなんて、兵団にはロマンが無いわね」
「ロマン?」
「なんでもないわ……とりあえずハーミットの回転弾倉を出して」
「こうか?」
ハーミット・レッドのシリンダー部分を右側から押し込むと、左側にシリンダーが飛び出し、弾丸を装填するための六つの穴が露わになる。
「穴の中に弾丸が納まるようにスピードローダーをくっつけて、それからローダーのネジの部分を右に回したら、一気に弾丸が装填されるわ」
「こうか……おおっ!」
ルーナの指示通りにシリンダーとローダーをくっつけ、ネジを回すと、ガシャッというバネの音が聞こえ、六発の弾丸は見事、一度で六つのシリンダー穴の中に綺麗に収まった。
リボルバーはいちいち装填をする際に、一発一発弾を込める物だと思っており、面倒な拳銃だなと思っていたのだが、まさかこんな便利な物があるなんて……おっと!そんなことに感心している暇は無かった!
今は何よりもまず、目の前の岩石群をなんとかせねばならない。
僕はハーミット・レッドのシリンダーを元に戻し、とりあえずほど近い岩をサイトを覗いて狙い、前回は拳銃の扱いに慣れていなかったのもあり、わざわざ撃鉄を起こして、引き切りの軽いシングルアクションで射撃を行っていたが、ルーナとの射撃訓練ですっかり射撃にも慣れてしまったので、今回はハンマーを倒したままのダブルアクションで射撃を行った。
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