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THE GROUND ZERO Chapter4
第13章 荒野の決戦【2】
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レジスタンスとマグナブラ兵団が直接衝突した、エトワール・ロックから数キロ離れた荒野の地。
四日前まではその戦争の爪痕として、爆弾の焦げた跡や銃弾の食い込んだ岩々、そして数多の討ち死にした遺体が転がっていた。
しかし四日経った今日、ここに来るまでにバイクに乗ってあの戦場を見たのだが、元素爆弾の凄まじい爆風によって全てが吹き飛ばされ、所々に崩れた岩が転がる更地と化していた。
おそらくジョンの遺体ももう、あの場には無いんだろうな……あの時は埋葬する余裕も無かったからな。
それだけが後悔でならない。
「でもあの場所なら広いし、岩もそこまで多く落ちてなかったし……戦うにはいいかもしれないな」
「うむ、ではバイクに乗って走りながら、コイツに遠距離から射撃を加え、あの場所まで引きつけるとするか」
バイクで逃走してやっと逃げ切れた相手に、足で走って逃げることなど不可能だからな。
またあの地獄のカーチェイス……いや、バイクだからバイクチェイスか。それが始まるのか……。
前回はブラースティの口元にまで近づき、あと数センチのところで食われそうになるほどスリリングな経験をしてしまったので、安全志向の僕としてはもうあんな目に遭いたくないのだけれど……。
「よしルーナ、バイクを持って来るぞ」
「ええ」
二人は颯爽と走ってバイクの元へと向かう。
そしてバイクの運転ができない僕とライフ・ゼロは、二人揃ってブラースティの前に取り残された。
「なあ」
「気安く呼ぶでないわ」
「……あのさ、かつての魔物の王としては、魔物を討伐するのってどんな感じなの?」
「どんな感じ? というのは?」
「いや……魔物として、同類を狩るわけでしょ? だからその、複雑な気持ちにならないのかなってさ」
「ああ、そういうことか。別に何も思わん」
「えっ、そうなの?」
僕はライフ・ゼロの方を振り向く。
ライフ・ゼロはまるで当然のことを言うように、笑うことも無く、苦い表情をすることも無く、至って普通の表情で続けた。
「うむ。魔物といっても、あやつとは種族が異なるし、第一魔物は常に弱肉強食の世界で生きておる。命を狙われることなんざ日常茶飯事だ」
「へえ……そっか」
「命を大事にとか、他の命を奪うなとか、そんなヤワなことを言っているのはうぬら人間だけだ」
「…………」
「そのくせ自分達の理に反するものなら、同じ人間という種族であっても徹底的に殺し合うではないか。我が世界を破壊する活動を行う以前も、人間は人間同士で国土を奪い合う戦争をしていたぞ?」
「そうなんだ……今とそう変わらないな」
「人間は偽善を吐いて生きている、最も滑稽な生き物。我はそう思っておるがな」
「フッ……」
僕は苦々しい笑みを口元に浮かべるだけで、肯定も、あるいは反論もしなかった。
人間がいかに自分に都合の良い生き物かは、身をもって知っているし、僕自身もそうだから、否定もしない。
だけどそれを真正面から肯定できないのは、多分僕が人間だからなのだろう。
人間としての意地というやつだ……くだらない意地だとは思うがね。
「おっ、迎えがきたようだぞ?」
背後を振り返ると、マジスターとルーナがバイクに乗ってこちらに向かって来ていた。
「ギュルオオオオオオオオオンッオオオオオオオッ!!」
するとバイクのエンジン音を聞きつけたのか、ブラースティが反応を示し、その両腕の爪をスキーのストックのように地面に突き刺しながら前へ前へと、こちらに徐々に迫って来ていた。
もしかしたら以前、僕達が逃走した際のバイクの音をブラースティは憶えているのかもしれない……前回は逃したが、今度こそ食ってやるぞという気迫をヤツから感じる。
「ライフ・ゼロはわしのバイクに乗れ! コヨミはルーナの方だ」
ルーナとマジスターは僕達の前にバイクを停車させ、マジスターが迅速に指示を飛ばす。
「キッキッ、馬に乗ったことはあるがこのような物に乗るのは初めてだ」
「カッカッ、馬よりも俄然こっちの方が速いから振り落とされんようにな。ほれヘルメットだ」
マジスターはメットインからサブのヘルメットを出し、ライフ・ゼロに手渡す。
「なんだこれは? 防具を着けねばこれには乗れんのか?」
「ああ、安全のためにな」
「それほどの暴れ馬とは……キッキッ! どのような物か楽しみだ!」
ライフ・ゼロは素直にヘルメットを装着し、そしてバイクの後部座席に腰を下ろした。
「なにぼさっとしてるのよ! ほら!」
「あいたっ!」
ライフ・ゼロの様子を見ていたら、ルーナからヘルメットで僕の頭を小突かれてしまった。
「アンタはもう説明しなくても乗れるでしょ?」
「ああ……二回目だからね」
「何でそんな嫌そうな顏してるのよ」
「一回目であんな恐怖を刷り込まれたら、そりゃあ嫌になるよ……」
初バイクで車体をジャンプさせたり、怪物の口の中にダイブしかけたりと……普通の人間ならトラウマになってもおかしくないようなことを、一度で経験させられたからな。
僕の場合トラウマにまでは発展しなかったけど、でも抵抗感はどうしてもでてしまう。
「そんな文句言うなら乗せないわよ!」
「乗らなかったら無条件で食われちゃうじゃないか!」
「こらっお前ら! こんな時に喧嘩してないで、はよせんかっ!」
ルーナと言い争いをしていると、バイクに乗って出発準備を完了させたマジスターが横から怒鳴ってきた。
また怒られちゃったよ……今日はよく怒られる日だな……。
僕はルーナからヘルメットを受け取り、装着すると、後部座席へと腰を下ろした。
「なるべく安全に頼む」
「ふんっ! わたしだって好き好んでこんな危ないことしたくないわよ!」
ルーナはエンジンをふかせ、バイクを発進させる。
僕はまた何かがあって振り落とされないよう、ルーナの腰周りを手でしっかり抱えるようにして、ホールドする。
最初の時は女の子の腰に手を回すのに、抵抗感があったというか、踏み込んではいけない領域なのではないのかという、言ってしまえば邪な思いに駆られてしまったのだが、今となってはもうそれが普通となってしまい、兎にも角にも命を大事にという思いで、何の躊躇も無くルーナの腰に手を回している僕だった。
横にはマジスターとライフ・ゼロのペアが並走して走っており、ライフ・ゼロもマジスターから二人乗りの指導を受けたのか、子供の手ながらもしっかりと彼の腰を掴んで乗りこなしていた。
「キッキッ! 確かに馬よりも数段速いなこのバイクという物は! 人間の技術というものも、なかなかどうして、あなどれんものがある!」
などと言いながら、すぐ真後ろから化物が追いかけてきているというのに、人間の技術力に感心しながら、大はしゃぎしているかつての大魔王様。
ああ見る分には、本当に子供にしか見えないなアイツ……。
四日前まではその戦争の爪痕として、爆弾の焦げた跡や銃弾の食い込んだ岩々、そして数多の討ち死にした遺体が転がっていた。
しかし四日経った今日、ここに来るまでにバイクに乗ってあの戦場を見たのだが、元素爆弾の凄まじい爆風によって全てが吹き飛ばされ、所々に崩れた岩が転がる更地と化していた。
おそらくジョンの遺体ももう、あの場には無いんだろうな……あの時は埋葬する余裕も無かったからな。
それだけが後悔でならない。
「でもあの場所なら広いし、岩もそこまで多く落ちてなかったし……戦うにはいいかもしれないな」
「うむ、ではバイクに乗って走りながら、コイツに遠距離から射撃を加え、あの場所まで引きつけるとするか」
バイクで逃走してやっと逃げ切れた相手に、足で走って逃げることなど不可能だからな。
またあの地獄のカーチェイス……いや、バイクだからバイクチェイスか。それが始まるのか……。
前回はブラースティの口元にまで近づき、あと数センチのところで食われそうになるほどスリリングな経験をしてしまったので、安全志向の僕としてはもうあんな目に遭いたくないのだけれど……。
「よしルーナ、バイクを持って来るぞ」
「ええ」
二人は颯爽と走ってバイクの元へと向かう。
そしてバイクの運転ができない僕とライフ・ゼロは、二人揃ってブラースティの前に取り残された。
「なあ」
「気安く呼ぶでないわ」
「……あのさ、かつての魔物の王としては、魔物を討伐するのってどんな感じなの?」
「どんな感じ? というのは?」
「いや……魔物として、同類を狩るわけでしょ? だからその、複雑な気持ちにならないのかなってさ」
「ああ、そういうことか。別に何も思わん」
「えっ、そうなの?」
僕はライフ・ゼロの方を振り向く。
ライフ・ゼロはまるで当然のことを言うように、笑うことも無く、苦い表情をすることも無く、至って普通の表情で続けた。
「うむ。魔物といっても、あやつとは種族が異なるし、第一魔物は常に弱肉強食の世界で生きておる。命を狙われることなんざ日常茶飯事だ」
「へえ……そっか」
「命を大事にとか、他の命を奪うなとか、そんなヤワなことを言っているのはうぬら人間だけだ」
「…………」
「そのくせ自分達の理に反するものなら、同じ人間という種族であっても徹底的に殺し合うではないか。我が世界を破壊する活動を行う以前も、人間は人間同士で国土を奪い合う戦争をしていたぞ?」
「そうなんだ……今とそう変わらないな」
「人間は偽善を吐いて生きている、最も滑稽な生き物。我はそう思っておるがな」
「フッ……」
僕は苦々しい笑みを口元に浮かべるだけで、肯定も、あるいは反論もしなかった。
人間がいかに自分に都合の良い生き物かは、身をもって知っているし、僕自身もそうだから、否定もしない。
だけどそれを真正面から肯定できないのは、多分僕が人間だからなのだろう。
人間としての意地というやつだ……くだらない意地だとは思うがね。
「おっ、迎えがきたようだぞ?」
背後を振り返ると、マジスターとルーナがバイクに乗ってこちらに向かって来ていた。
「ギュルオオオオオオオオオンッオオオオオオオッ!!」
するとバイクのエンジン音を聞きつけたのか、ブラースティが反応を示し、その両腕の爪をスキーのストックのように地面に突き刺しながら前へ前へと、こちらに徐々に迫って来ていた。
もしかしたら以前、僕達が逃走した際のバイクの音をブラースティは憶えているのかもしれない……前回は逃したが、今度こそ食ってやるぞという気迫をヤツから感じる。
「ライフ・ゼロはわしのバイクに乗れ! コヨミはルーナの方だ」
ルーナとマジスターは僕達の前にバイクを停車させ、マジスターが迅速に指示を飛ばす。
「キッキッ、馬に乗ったことはあるがこのような物に乗るのは初めてだ」
「カッカッ、馬よりも俄然こっちの方が速いから振り落とされんようにな。ほれヘルメットだ」
マジスターはメットインからサブのヘルメットを出し、ライフ・ゼロに手渡す。
「なんだこれは? 防具を着けねばこれには乗れんのか?」
「ああ、安全のためにな」
「それほどの暴れ馬とは……キッキッ! どのような物か楽しみだ!」
ライフ・ゼロは素直にヘルメットを装着し、そしてバイクの後部座席に腰を下ろした。
「なにぼさっとしてるのよ! ほら!」
「あいたっ!」
ライフ・ゼロの様子を見ていたら、ルーナからヘルメットで僕の頭を小突かれてしまった。
「アンタはもう説明しなくても乗れるでしょ?」
「ああ……二回目だからね」
「何でそんな嫌そうな顏してるのよ」
「一回目であんな恐怖を刷り込まれたら、そりゃあ嫌になるよ……」
初バイクで車体をジャンプさせたり、怪物の口の中にダイブしかけたりと……普通の人間ならトラウマになってもおかしくないようなことを、一度で経験させられたからな。
僕の場合トラウマにまでは発展しなかったけど、でも抵抗感はどうしてもでてしまう。
「そんな文句言うなら乗せないわよ!」
「乗らなかったら無条件で食われちゃうじゃないか!」
「こらっお前ら! こんな時に喧嘩してないで、はよせんかっ!」
ルーナと言い争いをしていると、バイクに乗って出発準備を完了させたマジスターが横から怒鳴ってきた。
また怒られちゃったよ……今日はよく怒られる日だな……。
僕はルーナからヘルメットを受け取り、装着すると、後部座席へと腰を下ろした。
「なるべく安全に頼む」
「ふんっ! わたしだって好き好んでこんな危ないことしたくないわよ!」
ルーナはエンジンをふかせ、バイクを発進させる。
僕はまた何かがあって振り落とされないよう、ルーナの腰周りを手でしっかり抱えるようにして、ホールドする。
最初の時は女の子の腰に手を回すのに、抵抗感があったというか、踏み込んではいけない領域なのではないのかという、言ってしまえば邪な思いに駆られてしまったのだが、今となってはもうそれが普通となってしまい、兎にも角にも命を大事にという思いで、何の躊躇も無くルーナの腰に手を回している僕だった。
横にはマジスターとライフ・ゼロのペアが並走して走っており、ライフ・ゼロもマジスターから二人乗りの指導を受けたのか、子供の手ながらもしっかりと彼の腰を掴んで乗りこなしていた。
「キッキッ! 確かに馬よりも数段速いなこのバイクという物は! 人間の技術というものも、なかなかどうして、あなどれんものがある!」
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