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THE GROUND ZERO Chapter4
第13章 荒野の決戦【1】
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ところ変わって僕達は再び、一瞬で無へと返ったその地。元素爆弾の投下された爆心地付近へと戻って来ていた。
最初にここに来た時には、何も無い、何もいない、そんな虚無の土地だったことを僕は鮮明に記憶している。
だが今は少しだけ……といっても、間違い探しをする要領ではなく、見てすぐに変化があったことに気づくほどの、以前との違いがあった。
強力な魔力に侵されたその平地に、無数の岩が転がっており、その岩を目で辿ってみると、それはエトワール・ロックの残された半分の崖に繋がっていた。
そしてその崖は、以前はスッパリと斬られたような綺麗な断面をしていたのだが、今は形が以前より歪になっており、そして一部にぽっかりと大きな穴が空いていた。
おそらくだが、あの大穴を空けた魔物こそが、先程ライフ・ゼロが察知した暴走状態の魔物なのだろう。
そして僕はあの大穴を見たことによって、今暴走している魔物が一体何なのか、その見当がついた。
僕達はその魔物を知っている……僕達は一度、その魔物から決死の思いで逃げ延びたのだから。
「む……あっちから来るぞ!」
落石が集まっている場所から、地面が隆起してこちらに向かってくるのをマジスターが見つける。
魔物は地面に潜り、掘って地中を物凄いスピードで移動しているようだ。掘る度に地鳴りのようなものを感じる。
そして僕達の数百メートル前で地面の隆起は収まり、代わりに地中から凄まじい速度で地上へ向けて地面を掘り起こし、あの魔物が遂にその姿を露わにしたのだ。
「ギュルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!」
魔物の咆哮と共に、口の中の幾万の牙が地面から姿を現し、勢いよく地上から飛び出したことによってその全貌が明らかとなった。
体表面の上部はこげ茶色の毛で覆われ、下部は白い皮膚を剥き出しにし、そして足は吸盤状になっており、鋭くとがった爪の生えた両腕だけが存在する魔物。
現れたのは生物の肉も血液も、全てを喰らう魔物、ブラースティだった。
やはりエトワール・ロックの断面から出てきたということは、以前ユスティーツフォートからの脱走を計った際に、僕達を捕食しようと追いかけてきた奴と同個体なのだろう。
しかし以前追いかけられた時とは異なる点があり、それはブラースティの体表面のそこかしこに虹色に光る斑点のようなものが浮かび上がっていた。
そしてその虹色の斑点が一体何を指すのか、それを僕は知っている。
爆心地の地面。その地面もブラースティと同じ虹色に光っており、それは外部から放射される強力な魔力が地表に降り注ぎ、魔力が地中にまで染みこんだ結果、魔力の塊へと変化したものである。
ブラースティも同じように、強力な魔力を浴びたせいであのような虹色の斑点が浮かび上がっているのだろう。
「キッキッキッ、そう考えるのは至極当然じゃな」
僕の隣で、腕を組みながらブラースティを見ているライフ・ゼロが言う。
コイツ……また僕の頭の中を盗み見やがったな。
「何か僕の分析に異論があるのか?」
「ある」
「ストレートに否定してきたな……それで、何が違うんだよ」
「土は魔力への耐性が無いが、魔物には魔力への耐性がある。さっき我が言っただろう? 魔物には外から受けた魔力を吸収し、自分の力に変化する能力があると」
「ああ、言ってたな……」
「だから通常の魔力を受けたのなら、土があのような怪しげな光を放つようになっても、魔物はそれを吸収するからあのような兆候は決して表れんのだ」
「でもあのブラースティには表れてるじゃないか?」
「うむ……だからあの現象に対して、我には二つ仮説がある。一つは、あの魔物の個体自体が、魔力を吸収する能力が劣っているというもの。そしてもう一つが、そもそも放射された魔力に異常があるというものだ」
「一つ目はまあいいとして、もう一つの魔力自体に異常があるって、魔力は魔力だろ? 何に違いがあるんだ?」
「そんなことまで我が知るわけなかろう! なんせ何百年もその剣の中に閉じ込められとったのだからな! 人間の技術の革新なぞ、我の専門外だ!」
「そんな怒らなくてもいいじゃないか……」
「ふん。人間如きに何百年も封印されたのは、我にとって恥でもある。それを蒸し返されると無性に腹が立ってくるのだ。今後はそれらを彷彿とさせる発言、及び思うことは控えるようにせよ」
「滅茶苦茶な……」
もはや言論の圧制だ。
僕が何と言おうと、何と思おうと自由なはずなのに……こうなったら断固として戦ってやる。
僕は自由のために、今戦っているのだから。
「ふん、うぬ程度に何が出来るか」
「なにおうっ!」
「こらっ! お前らこんな時に何を喧嘩しとるんだ!」
いがみ合う僕とライフ・ゼロとの間に、マジスターが仲裁に入る。
「そうよ、こんな近くにあんな魔物がいるのに呑気ねっ!」
そしてその後ろから、ルーナが青筋を立てて叱咤してくる。
「ちぇ……怒られちまった」
「うぬのせいだからな」
「くそ……覚えてろよ」
いつかこの仕返しはしてやると、ライフ・ゼロに盗み見られないよう心の底で復讐することを誓い、とりあえず今は怒りを静め、ブラースティの攻略に集中することにしよう。
こういう時、兵団の時に習った精神コントロールが役に立つな。深呼吸をしながら、気を紛らわして……。
「ふう……よし、これで大丈夫」
「器用なやつじゃな。しかし戦闘の上では有用だがな」
「褒めてるのかそれ?」
「そう思うなら、そう思っておけ」
「ちぇっ……」
また腹が立ちそうになるから、ライフ・ゼロの挑発的な態度はとりあえず置いといて。
「マジスター、何か作戦はあるか?」
「うむ……とりあえずここで戦うのは、わしらにとって非常に不利だ。なんせ土を被っただけで魔力症候群になる恐れがあるからな」
「そうだな……」
僕達人間が強力な魔力に汚染された土壌に触れてしまうと、魔力症候群という血が凍りつく謎の病に侵されてしまう。
相手にはその耐性があるようだから、この爆心地で戦うのは圧倒的に相手に地の利がある。
戦闘を行う前にまず、場を変える必要がありそうだ。
「確か南東に下れば、レジスタンスとマグナブラの小隊がぶつかったあの戦場があったな……あそこまでおびき寄せれれば、なんとかなるかもしれん」
「あそこか……」
最初にここに来た時には、何も無い、何もいない、そんな虚無の土地だったことを僕は鮮明に記憶している。
だが今は少しだけ……といっても、間違い探しをする要領ではなく、見てすぐに変化があったことに気づくほどの、以前との違いがあった。
強力な魔力に侵されたその平地に、無数の岩が転がっており、その岩を目で辿ってみると、それはエトワール・ロックの残された半分の崖に繋がっていた。
そしてその崖は、以前はスッパリと斬られたような綺麗な断面をしていたのだが、今は形が以前より歪になっており、そして一部にぽっかりと大きな穴が空いていた。
おそらくだが、あの大穴を空けた魔物こそが、先程ライフ・ゼロが察知した暴走状態の魔物なのだろう。
そして僕はあの大穴を見たことによって、今暴走している魔物が一体何なのか、その見当がついた。
僕達はその魔物を知っている……僕達は一度、その魔物から決死の思いで逃げ延びたのだから。
「む……あっちから来るぞ!」
落石が集まっている場所から、地面が隆起してこちらに向かってくるのをマジスターが見つける。
魔物は地面に潜り、掘って地中を物凄いスピードで移動しているようだ。掘る度に地鳴りのようなものを感じる。
そして僕達の数百メートル前で地面の隆起は収まり、代わりに地中から凄まじい速度で地上へ向けて地面を掘り起こし、あの魔物が遂にその姿を露わにしたのだ。
「ギュルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!」
魔物の咆哮と共に、口の中の幾万の牙が地面から姿を現し、勢いよく地上から飛び出したことによってその全貌が明らかとなった。
体表面の上部はこげ茶色の毛で覆われ、下部は白い皮膚を剥き出しにし、そして足は吸盤状になっており、鋭くとがった爪の生えた両腕だけが存在する魔物。
現れたのは生物の肉も血液も、全てを喰らう魔物、ブラースティだった。
やはりエトワール・ロックの断面から出てきたということは、以前ユスティーツフォートからの脱走を計った際に、僕達を捕食しようと追いかけてきた奴と同個体なのだろう。
しかし以前追いかけられた時とは異なる点があり、それはブラースティの体表面のそこかしこに虹色に光る斑点のようなものが浮かび上がっていた。
そしてその虹色の斑点が一体何を指すのか、それを僕は知っている。
爆心地の地面。その地面もブラースティと同じ虹色に光っており、それは外部から放射される強力な魔力が地表に降り注ぎ、魔力が地中にまで染みこんだ結果、魔力の塊へと変化したものである。
ブラースティも同じように、強力な魔力を浴びたせいであのような虹色の斑点が浮かび上がっているのだろう。
「キッキッキッ、そう考えるのは至極当然じゃな」
僕の隣で、腕を組みながらブラースティを見ているライフ・ゼロが言う。
コイツ……また僕の頭の中を盗み見やがったな。
「何か僕の分析に異論があるのか?」
「ある」
「ストレートに否定してきたな……それで、何が違うんだよ」
「土は魔力への耐性が無いが、魔物には魔力への耐性がある。さっき我が言っただろう? 魔物には外から受けた魔力を吸収し、自分の力に変化する能力があると」
「ああ、言ってたな……」
「だから通常の魔力を受けたのなら、土があのような怪しげな光を放つようになっても、魔物はそれを吸収するからあのような兆候は決して表れんのだ」
「でもあのブラースティには表れてるじゃないか?」
「うむ……だからあの現象に対して、我には二つ仮説がある。一つは、あの魔物の個体自体が、魔力を吸収する能力が劣っているというもの。そしてもう一つが、そもそも放射された魔力に異常があるというものだ」
「一つ目はまあいいとして、もう一つの魔力自体に異常があるって、魔力は魔力だろ? 何に違いがあるんだ?」
「そんなことまで我が知るわけなかろう! なんせ何百年もその剣の中に閉じ込められとったのだからな! 人間の技術の革新なぞ、我の専門外だ!」
「そんな怒らなくてもいいじゃないか……」
「ふん。人間如きに何百年も封印されたのは、我にとって恥でもある。それを蒸し返されると無性に腹が立ってくるのだ。今後はそれらを彷彿とさせる発言、及び思うことは控えるようにせよ」
「滅茶苦茶な……」
もはや言論の圧制だ。
僕が何と言おうと、何と思おうと自由なはずなのに……こうなったら断固として戦ってやる。
僕は自由のために、今戦っているのだから。
「ふん、うぬ程度に何が出来るか」
「なにおうっ!」
「こらっ! お前らこんな時に何を喧嘩しとるんだ!」
いがみ合う僕とライフ・ゼロとの間に、マジスターが仲裁に入る。
「そうよ、こんな近くにあんな魔物がいるのに呑気ねっ!」
そしてその後ろから、ルーナが青筋を立てて叱咤してくる。
「ちぇ……怒られちまった」
「うぬのせいだからな」
「くそ……覚えてろよ」
いつかこの仕返しはしてやると、ライフ・ゼロに盗み見られないよう心の底で復讐することを誓い、とりあえず今は怒りを静め、ブラースティの攻略に集中することにしよう。
こういう時、兵団の時に習った精神コントロールが役に立つな。深呼吸をしながら、気を紛らわして……。
「ふう……よし、これで大丈夫」
「器用なやつじゃな。しかし戦闘の上では有用だがな」
「褒めてるのかそれ?」
「そう思うなら、そう思っておけ」
「ちぇっ……」
また腹が立ちそうになるから、ライフ・ゼロの挑発的な態度はとりあえず置いといて。
「マジスター、何か作戦はあるか?」
「うむ……とりあえずここで戦うのは、わしらにとって非常に不利だ。なんせ土を被っただけで魔力症候群になる恐れがあるからな」
「そうだな……」
僕達人間が強力な魔力に汚染された土壌に触れてしまうと、魔力症候群という血が凍りつく謎の病に侵されてしまう。
相手にはその耐性があるようだから、この爆心地で戦うのは圧倒的に相手に地の利がある。
戦闘を行う前にまず、場を変える必要がありそうだ。
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