72 / 149
THE GROUND ZERO Chapter4
第12章 破皇の再臨【11】
しおりを挟む
「ああ、討伐しよう。ちょうど僕も、やっと扱いなれてる武器を手に入れたんだ。しかも伝説の剣……試し切りには丁度良い相手だ」
僕は太陽の剣を左腰に下げ、右手でグリップを握り、鞘から引き抜く。
鞘から出てきた白銀の刃には一点の曇りも無く、太陽からの光を受けて、それを照らし返すほど磨きがかかっている。
これほどに美しい刃を持った剣を、僕は他に見たことが無い。これなら暴走した魔物だろうが何だろうが、一刀両断できる気がする。
「よし……魔物の元へ向かうぞ!」
まずは先頭を切って、マジスターが向かう。
僕もその後を追おうとしたのだが、しかし一人だけ走ろうとせず、その場に立ち止まっている者がいた。
「ルーナ、どうしたんだ?」
そう、ルーナはその場に立ち止まり、なんだか困惑したような表情を浮かべていたのだ。
いつもならこういうことが起こった時、正面切って真っ先に飛び込むはずなのに、一体どうしたのだろうか?
「いや……ちょっと考えごとをしてて。でもアンタがそれでいいのなら、わたしがどう考えていようとも意味が無いわよね」
「う~ん……そんな感じで言われると余計気になるな……」
「……だってアンタ、そのマグナブラって国でやってない罪を被せられて、指名手配にされちゃってるんでしょ? そんな国なら見捨てたって、別に構わないんじゃないのかなって思っちゃって……」
「……なるほど」
確かに僕はあの国に、散々苦渋を飲まされ続けてきた。
勇者になる夢を諦めさせられ、やってもない王の殺害の罪を被せられ、指名手配をされ国を追われ、そして唯一心を開いていた後輩も、あの国のメンツを保つために死んでいった。
なにもかも、あの国が発端で起こったことだ。こんな理不尽な目にあわされて、僕はそろそろあの国を本気で恨むべきなのかもしれない。
だけど、それでもあの国が魔物の襲撃を受けないためにも、僕はこれから魔物を討伐する。そのわけは……。
「ルーナ、僕はあの国のために魔物を狩るんじゃない。僕はあの国にいる、何の罪も無い人達に危害が及ばないようにするために、魔物を狩るんだ。多分、マジスターも同じ考えだと思うよ」
僕にはもう、あの国を守る意思など毛頭無い。滅ぶも廃れるも勝手にしてくれと、それほどまでにあの国に対しての僕の気持ちというのは、薄情になりつつある。
だけどそこにいる人達には、何の罪も無い。そんな人達が次々に死んでゆく様を悠々と、蚊帳の外から眺めるほど、僕は悪趣味でも無いからな。
半分はそういった人達のために戦うという意味もあるが、半分は僕の中の、僕のメンツを保つためっていうのもあるのかな……まあ兎にも角にも、これは僕の意思で戦うということに変わりないから、理由なんてどうだっていいんだけれど。
「何の罪も無い人達のために……そう……ふふっ」
すると今まで苦悶の表情をしていたルーナが、ほのかに笑みを浮かべた。
「なんだよ突然笑って……」
「いや……ただ少しだけ、アンタのことを見直しただけよ」
「なんだよ、少しかよ……」
「ふんっ! もっと見直して欲しいのなら、魔物を倒す時しっかり活躍しなさいっ!」
「それはなんだ、足手まといになるなよってことか」
「そういうこと!」
そう言ってルーナはウインクをすると、マジスターの後を追うようにして走り出し、僕より先に行ってしまった。
なんなんだよアイツ……急に元気になって、僕を挑発するようなこと言って……。
だけどまあ……こっちの方がやっぱり彼女らしいな。
「キッキッ……ルーナが元気になってよかったな?」
僕の隣で楽しそうに子供っぽく笑うライフ・ゼロ。
「フン……まあな」
「自分に素直にならねば、相手に気持ちは届かんよ?」
「ん? どういうことだ?」
「さあな、自分で考えよ。では行くぞ」
「……? ああ、行こうか」
ライフ・ゼロが何のことを言いたかったのかは分からないけれど、とりあえず、今は暴走する魔物をここで食い止めねばならない。
マグナブラ……あの国で僕は、恩も不条理も、その全てを教えられ、経験した。
だからそんな、酸いも甘いも味わったこの国に感謝を込めて……そしてこれを手切れ金に、最後の最後に僕は暴走する魔物から、マグナブラを守ってみせる。
誰から感謝されることも無い、これは自己満足のための戦いだ。
僕は太陽の剣を左腰に下げ、右手でグリップを握り、鞘から引き抜く。
鞘から出てきた白銀の刃には一点の曇りも無く、太陽からの光を受けて、それを照らし返すほど磨きがかかっている。
これほどに美しい刃を持った剣を、僕は他に見たことが無い。これなら暴走した魔物だろうが何だろうが、一刀両断できる気がする。
「よし……魔物の元へ向かうぞ!」
まずは先頭を切って、マジスターが向かう。
僕もその後を追おうとしたのだが、しかし一人だけ走ろうとせず、その場に立ち止まっている者がいた。
「ルーナ、どうしたんだ?」
そう、ルーナはその場に立ち止まり、なんだか困惑したような表情を浮かべていたのだ。
いつもならこういうことが起こった時、正面切って真っ先に飛び込むはずなのに、一体どうしたのだろうか?
「いや……ちょっと考えごとをしてて。でもアンタがそれでいいのなら、わたしがどう考えていようとも意味が無いわよね」
「う~ん……そんな感じで言われると余計気になるな……」
「……だってアンタ、そのマグナブラって国でやってない罪を被せられて、指名手配にされちゃってるんでしょ? そんな国なら見捨てたって、別に構わないんじゃないのかなって思っちゃって……」
「……なるほど」
確かに僕はあの国に、散々苦渋を飲まされ続けてきた。
勇者になる夢を諦めさせられ、やってもない王の殺害の罪を被せられ、指名手配をされ国を追われ、そして唯一心を開いていた後輩も、あの国のメンツを保つために死んでいった。
なにもかも、あの国が発端で起こったことだ。こんな理不尽な目にあわされて、僕はそろそろあの国を本気で恨むべきなのかもしれない。
だけど、それでもあの国が魔物の襲撃を受けないためにも、僕はこれから魔物を討伐する。そのわけは……。
「ルーナ、僕はあの国のために魔物を狩るんじゃない。僕はあの国にいる、何の罪も無い人達に危害が及ばないようにするために、魔物を狩るんだ。多分、マジスターも同じ考えだと思うよ」
僕にはもう、あの国を守る意思など毛頭無い。滅ぶも廃れるも勝手にしてくれと、それほどまでにあの国に対しての僕の気持ちというのは、薄情になりつつある。
だけどそこにいる人達には、何の罪も無い。そんな人達が次々に死んでゆく様を悠々と、蚊帳の外から眺めるほど、僕は悪趣味でも無いからな。
半分はそういった人達のために戦うという意味もあるが、半分は僕の中の、僕のメンツを保つためっていうのもあるのかな……まあ兎にも角にも、これは僕の意思で戦うということに変わりないから、理由なんてどうだっていいんだけれど。
「何の罪も無い人達のために……そう……ふふっ」
すると今まで苦悶の表情をしていたルーナが、ほのかに笑みを浮かべた。
「なんだよ突然笑って……」
「いや……ただ少しだけ、アンタのことを見直しただけよ」
「なんだよ、少しかよ……」
「ふんっ! もっと見直して欲しいのなら、魔物を倒す時しっかり活躍しなさいっ!」
「それはなんだ、足手まといになるなよってことか」
「そういうこと!」
そう言ってルーナはウインクをすると、マジスターの後を追うようにして走り出し、僕より先に行ってしまった。
なんなんだよアイツ……急に元気になって、僕を挑発するようなこと言って……。
だけどまあ……こっちの方がやっぱり彼女らしいな。
「キッキッ……ルーナが元気になってよかったな?」
僕の隣で楽しそうに子供っぽく笑うライフ・ゼロ。
「フン……まあな」
「自分に素直にならねば、相手に気持ちは届かんよ?」
「ん? どういうことだ?」
「さあな、自分で考えよ。では行くぞ」
「……? ああ、行こうか」
ライフ・ゼロが何のことを言いたかったのかは分からないけれど、とりあえず、今は暴走する魔物をここで食い止めねばならない。
マグナブラ……あの国で僕は、恩も不条理も、その全てを教えられ、経験した。
だからそんな、酸いも甘いも味わったこの国に感謝を込めて……そしてこれを手切れ金に、最後の最後に僕は暴走する魔物から、マグナブラを守ってみせる。
誰から感謝されることも無い、これは自己満足のための戦いだ。
0
あなたにおすすめの小説
ダンジョン・イーツ! ~戦闘力ゼロの俺、スキル【絶対配送】でS級冒険者に「揚げたてコロッケ」を届けたら、世界中の英雄から崇拝されはじめた件~
たくみさん
ファンタジー
「攻撃力ゼロのポーターなんて、配信の邪魔なんだよ!」
3年尽くしたパーティから、手切れ金の1万円と共に追放された探索者・天野蓮(アマノ・レン)。
絶望する彼が目にしたのは、ダンジョン深層で孤立し、「お腹すいた……」と涙を流すS級美少女『氷姫』カグヤの緊急生放送だった。
その瞬間、レンの死にスキルが真の姿を見せる。
目的地と受取人さえあれば、壁も魔物も最短距離でブチ抜く神速の移動スキル――【絶対配送(デリバリー・ロード)】。
「お待たせしました! ご注文の揚げたてコロッケ(22,500円)お届けです!」
地獄の戦場にママチャリで乱入し、絶品グルメを届けるレンの姿は、50万人の視聴者に衝撃を与え、瞬く間に世界ランク1位へバズり散らかしていく!
一方、彼を捨てた元パーティは補給不足でボロボロ。
「戻ってきてくれ!」と泣きつかれても、もう知らん。俺は、高ランク冒険者の依頼で忙しいんだ!
異世界召喚されたが無職だった件〜実はこの世界にない職業でした〜
夜夢
ファンタジー
主人公【相田理人(そうた りひと)】は帰宅後、自宅の扉を開いた瞬間視界が白く染まるほど眩い光に包まれた。
次に目を開いた時には全く見知らぬ場所で、目の前にはまるで映画のセットのような王の間が。
これは異世界召喚かと期待したのも束の間、理人にはジョブの表示がなく、他にも何人かいた召喚者達に笑われながら用無しと城から追放された。
しかし理人にだけは職業が見えていた。理人は自分の職業を秘匿したまま追放を受け入れ野に下った。
これより理人ののんびり異世界冒険活劇が始まる。
レベル1の地図士は、世界の裏側を知ってしまった
あめとおと
ファンタジー
異世界に転移した主人公が得たスキルは【地図作成】。
戦闘能力ゼロ、初期レベル1。
冒険者ギルドでは「外れスキル」と笑われ、
新人向けの雑用クエストしか回ってこない。
しかしそのスキルは、
ダンジョンの隠し通路、未踏破エリア、消えた古代文明の痕跡まで“地図に表示する”
という、とんでもない能力だった。
生き残るために始めた地味な探索が、
やがて世界の秘密と、国家すら動かす大冒険へ――。
これは、
戦えない主人公が“冒険そのもの”で成り上がる物語。
同作品を「小説家になろう」で先行配信してます。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる
ケイちゃん
ファンタジー
ゲームに熱中していた彼は、シナリオで現れたラスボスを好きになってしまう。
彼はその好意にラスボスを倒さず何度もリトライを重ねて会いに行くという狂気の推し活をしていた。
だがある日、ストーリーのエンディングが気になりラスボスを倒してしまう。
結果、ラスボスのいない平和な世界というエンドで幕を閉じ、推しのいない世界の悲しみから倒れて死んでしまう。
そんな彼が次に目を開けるとゲームの中の主人公に転生していた!
主人公となれば必ず最後にはラスボスに辿り着く、ラスボスを倒すという未来を変えて救いだす事を目的に彼は冒険者達と旅に出る。
ラスボスを倒し世界を救うという定められたストーリーをねじ曲げ、彼はラスボスを救う事が出来るのか…?
勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜
エレン
ファンタジー
私は水無月依蓮《みなづきえれん》、どこにでもいる普通の女子高生だ。
平穏な生活を送っていた私は、ある日アルテナと名乗る女神に召喚されてしまう。
厨二臭いその女神が言うには、有給休暇で異世界冒険したいから、従者としてついて来なさいとの事。
うん、なんだその理由は。
異世界なんて興味ない、とっとと私を元の場所に返せ。
女神を殴ったり踏みつけたりしてやっと返してもらえるかと思いきや。
え? 勝手に人間を異世界に呼ぶのは天界の掟で禁止? バレたら私も消される?
ふざけるなー!!!!
そんなこんなで始まる私とポンコツ女神アルテナのドタバタ異世界冒険。
女神が貴族をハゲさせたり、「器用貧乏・改」と言うふざけたスキルを習得したり、ゴブリンの棲家に突撃する羽目になったり、手に入れた家が即崩壊したり、色々起きるけど全てを乗り切って見せる。
全ては元の世界に帰るために!!
巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
神に選ばれ、魔素の循環する界へと送り込まれたのは――現代の薬師。
剣も魔法も扱えない彼が憑依したのは、戦闘力ゼロの商人見習いの少年だった。
彼の武器は、知識と経験。商品を生み出し、人脈を築き、産業を広げていく。
「居場所を見つけたい」その願いが、やがて世界を変える力となる。
これは、一人の薬師が紡ぐ研究と開発、そして成長の物語。
【カクヨムでも掲載しています】
表紙は紹介文をもとに、ai【adobe firefly】で作成したものです。(参考程度に……)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる