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THE GROUND ZERO Chapter4
第13章 荒野の決戦【5】
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「いや……さっきも殺さずに正気のまま返すとか、暴走を食い止めるとか、魔王には合わないセリフばっか言ってるなってさ」
「ハッ! もう我は魔王ではない。引退したからな」
「それにさっきは、魔物の世界は弱肉強食なんて言ってなかったっけ?」
「あんなやつの肉を食ってもマズイっ!」
「なんだそれ」
次々と言い訳まがいのことを口走るライフ・ゼロ。
まあようは、情けをかける……というよりも、無駄な殺生は行わないということで、理解しておこうかな。
それにあの魔物だって、好きで暴れているわけじゃない。人間の身勝手によって爆弾を投下され、そこから発生した強力な魔力によって暴走を仕向けられた、完全なる被害者だからな。
人間を守るために殺すというのは、確かに筋違いな話ではあるってもんだ。
「まあいいや。僕としても、殺すよりも生かして返した方が、後の夢見が良さそうだし。でもライフ・ゼロ、その能力はどうやって使えばいいんだ」
「お前の持っているその剣を、やつの体に刺せ」
「えっ? それだけでいいの?」
「うむ。突き刺さずとも、対象のものに剣の刃が触れるだけで、その部分から生体エネルギーを吸い取ることはできるが、より確実に多くの生体エネルギーを奪うのであれば、刺した方が良いということだ」
「なるほどな……でもそうなると、僕がブラースティに近づくまで、ヤツの気を誰かが引かせておかないといけないよね」
そう簡単にヤツに接近できるのならば、僕は最初にブラースティと会った時に、ナイフで倒していただろう。
しかしヤツの両腕には、固い岩石を引き裂くほど強固な爪があり、それに引っ掻かれるどころか、かするだけでも致命傷を負うのは必至だ。それにもし両腕を掻い潜ったとしても、あの正面にある大きな口で丸呑みにされたら、それこそ一溜りもない。
だから僕がブラースティの背後からヤツに接近するためには、正面になにが何でも注意を引かせておく必要がある。その方法となるとやっぱり、囮というのが一番手っ取り早くなるのかな。
「カッカッ、わしが囮になろう。コヨミは引き続きルーナのバイクに乗って、ブラースティの背後から接近しろ」
そして率先して囮の役を請け負ったのは、マジスターだった。
まあ今回の場合、囮をするのに彼以上の適役は他にいなかっただろうし、まさになるべくしてなったといった感じだった。
「うん……なんか悪いなマジスター」
「謝るなコヨミ。こんな老いぼれに役目があるだけまだマシだ。ブラースティはしっかりわしが引きつける」
「ありがとうマジスター、よろしく頼む」
「カッカッ! おっと、それでライフ・ゼロはどうする? わしと囮役をやるか?」
「囮など我は御免だ。それに我が剣に戻らねば、生体エネルギーを吸収する力が半減されてしまうからな」
「なるほどそうか……では作戦はこうしよう。これからわしはブラースティをライフルで威嚇射撃し、目的地だった戦場の跡地までバイクで逃げる。ルーナ達はここから外側に大回りをして、ブラースティに気づかれないよう背後に回れ」
「ええ、分かったわ」
ルーナは二つ返事で頷く。
「よし! それじゃあ三人とも、よろしく頼むぞ!」
そう言い残し、マジスターはバイクのアクセルを回して、後退していくブラースティ目指して先に行ってしまった。
「では、我は一度剣の中に戻ろう。コヨミ、剣を我の届く場所に」
「えっ? ああ……」
僕はバイクの後部座席から一度下車し、太陽の剣を鞘から抜き、グリップを右手で握ったまま左手で剣先を支え、ライフ・ゼロの前でしゃがみ込んだ。
「ほう……うぬのことだから刃を我に向けてくると思っておったが、なかなかどうして、そういう常識はわけまえておるようだな」
「フン、剣の使い方は誰よりも知ってるさ。それに僕は、仲間には決して刃を向けない」
「キッキッ、そうか。では我もお前に力を与えよう、一応仲間としてな?」
「ちぇっ……いいから早く戻れ」
「キッキッキッ!」
ライフ・ゼロは挑発的に笑い、剣に触れると、召喚した時と同じようにライフ・ゼロの体が紫色の光に包まれ、そして僕の目の前から完全に姿を消した。
「よし……僕達も急ごうルーナ」
「ええっ!」
僕は剣を鞘に収め、再びバイクの後部座席に乗車する。
「ぶっ飛ばすから振り落とされないよう、しっかり掴まってなさい!」
「了解!」
ルーナはアクセルを全開に入れ、マジスターが向かった方向とは別のルートを目指してバイクを走らせる。
僕達は外側をぐるっと回ってブラースティの背後に着くという予定なのだが、しかし先程まで通っていた道は、ある程度落石などの障害物が少ない道だったので、比較的スムーズに走行することができたのだが、しかし今回はそのルートとは異なるので、道中の障害物が多いせいか、ルーナは上手くバイクのスピードを出せずにいた。
「くううううう……あーもうっ! 行く先行く先に岩っ岩っ岩っ! 腹立つわねぇっ!!」
「ルーナ、またさっきみたいに僕がハーミットを使って岩を崩そうか?」
「ダメ、これだけ岩が多いと弾が足りなくなるわ。ただでさえ、この前弾薬を補給した時にリボルバーの弾が全然無くて持ち数が少ないんだから」
「そうか……」
こういう時、正規軍だったら補給部隊なんかが現れて簡単に物資の補給ができるのに、僕達のような義勇軍にはそんな部隊も無ければ、所持している物資も乏しい。
たとえ弾丸一発でも、使いどころを考えなくてはすぐ枯渇してしまう……頭が痛くなるような悩みだな。
「あの化物、爆心地の方に後退してるみたいだから、まだマジスターさんは威嚇射撃してないみたいね……」
「ああ、多分僕達がここを抜けるのに苦戦するのを知ってるんじゃないかな?」
「時間を稼いでるってわけね……それなら余計早くしないと!」
右に左に蛇行し、邪魔な岩を回避していき、スピードを出せそうな直線では思いっ切り速度を上げていく。
「こんな時に言うのもなんだけどさ、上手いねバイクの運転」
「なに今更? 散々見てきたでしょわたしのバイクテクは」
「うん、まあ改めて思ったからさ」
「ふふん……でも褒めるのなら、今度はもっと気の利いた褒め方をしなさい」
「ちぇっ……」
ルーナといい、ライフ・ゼロといい、僕の周りには僕に手厳しい奴らばかりだな。
マジスターは少し僕を褒め過ぎな気がするけど……。
『フン、この程度で手厳しいとは。甘ったれとるなうぬは』
突如ライフ・ゼロの声が聞こえ、僕は思わず声をあげそうになったが、なんとか堪えた。
「ハッ! もう我は魔王ではない。引退したからな」
「それにさっきは、魔物の世界は弱肉強食なんて言ってなかったっけ?」
「あんなやつの肉を食ってもマズイっ!」
「なんだそれ」
次々と言い訳まがいのことを口走るライフ・ゼロ。
まあようは、情けをかける……というよりも、無駄な殺生は行わないということで、理解しておこうかな。
それにあの魔物だって、好きで暴れているわけじゃない。人間の身勝手によって爆弾を投下され、そこから発生した強力な魔力によって暴走を仕向けられた、完全なる被害者だからな。
人間を守るために殺すというのは、確かに筋違いな話ではあるってもんだ。
「まあいいや。僕としても、殺すよりも生かして返した方が、後の夢見が良さそうだし。でもライフ・ゼロ、その能力はどうやって使えばいいんだ」
「お前の持っているその剣を、やつの体に刺せ」
「えっ? それだけでいいの?」
「うむ。突き刺さずとも、対象のものに剣の刃が触れるだけで、その部分から生体エネルギーを吸い取ることはできるが、より確実に多くの生体エネルギーを奪うのであれば、刺した方が良いということだ」
「なるほどな……でもそうなると、僕がブラースティに近づくまで、ヤツの気を誰かが引かせておかないといけないよね」
そう簡単にヤツに接近できるのならば、僕は最初にブラースティと会った時に、ナイフで倒していただろう。
しかしヤツの両腕には、固い岩石を引き裂くほど強固な爪があり、それに引っ掻かれるどころか、かするだけでも致命傷を負うのは必至だ。それにもし両腕を掻い潜ったとしても、あの正面にある大きな口で丸呑みにされたら、それこそ一溜りもない。
だから僕がブラースティの背後からヤツに接近するためには、正面になにが何でも注意を引かせておく必要がある。その方法となるとやっぱり、囮というのが一番手っ取り早くなるのかな。
「カッカッ、わしが囮になろう。コヨミは引き続きルーナのバイクに乗って、ブラースティの背後から接近しろ」
そして率先して囮の役を請け負ったのは、マジスターだった。
まあ今回の場合、囮をするのに彼以上の適役は他にいなかっただろうし、まさになるべくしてなったといった感じだった。
「うん……なんか悪いなマジスター」
「謝るなコヨミ。こんな老いぼれに役目があるだけまだマシだ。ブラースティはしっかりわしが引きつける」
「ありがとうマジスター、よろしく頼む」
「カッカッ! おっと、それでライフ・ゼロはどうする? わしと囮役をやるか?」
「囮など我は御免だ。それに我が剣に戻らねば、生体エネルギーを吸収する力が半減されてしまうからな」
「なるほどそうか……では作戦はこうしよう。これからわしはブラースティをライフルで威嚇射撃し、目的地だった戦場の跡地までバイクで逃げる。ルーナ達はここから外側に大回りをして、ブラースティに気づかれないよう背後に回れ」
「ええ、分かったわ」
ルーナは二つ返事で頷く。
「よし! それじゃあ三人とも、よろしく頼むぞ!」
そう言い残し、マジスターはバイクのアクセルを回して、後退していくブラースティ目指して先に行ってしまった。
「では、我は一度剣の中に戻ろう。コヨミ、剣を我の届く場所に」
「えっ? ああ……」
僕はバイクの後部座席から一度下車し、太陽の剣を鞘から抜き、グリップを右手で握ったまま左手で剣先を支え、ライフ・ゼロの前でしゃがみ込んだ。
「ほう……うぬのことだから刃を我に向けてくると思っておったが、なかなかどうして、そういう常識はわけまえておるようだな」
「フン、剣の使い方は誰よりも知ってるさ。それに僕は、仲間には決して刃を向けない」
「キッキッ、そうか。では我もお前に力を与えよう、一応仲間としてな?」
「ちぇっ……いいから早く戻れ」
「キッキッキッ!」
ライフ・ゼロは挑発的に笑い、剣に触れると、召喚した時と同じようにライフ・ゼロの体が紫色の光に包まれ、そして僕の目の前から完全に姿を消した。
「よし……僕達も急ごうルーナ」
「ええっ!」
僕は剣を鞘に収め、再びバイクの後部座席に乗車する。
「ぶっ飛ばすから振り落とされないよう、しっかり掴まってなさい!」
「了解!」
ルーナはアクセルを全開に入れ、マジスターが向かった方向とは別のルートを目指してバイクを走らせる。
僕達は外側をぐるっと回ってブラースティの背後に着くという予定なのだが、しかし先程まで通っていた道は、ある程度落石などの障害物が少ない道だったので、比較的スムーズに走行することができたのだが、しかし今回はそのルートとは異なるので、道中の障害物が多いせいか、ルーナは上手くバイクのスピードを出せずにいた。
「くううううう……あーもうっ! 行く先行く先に岩っ岩っ岩っ! 腹立つわねぇっ!!」
「ルーナ、またさっきみたいに僕がハーミットを使って岩を崩そうか?」
「ダメ、これだけ岩が多いと弾が足りなくなるわ。ただでさえ、この前弾薬を補給した時にリボルバーの弾が全然無くて持ち数が少ないんだから」
「そうか……」
こういう時、正規軍だったら補給部隊なんかが現れて簡単に物資の補給ができるのに、僕達のような義勇軍にはそんな部隊も無ければ、所持している物資も乏しい。
たとえ弾丸一発でも、使いどころを考えなくてはすぐ枯渇してしまう……頭が痛くなるような悩みだな。
「あの化物、爆心地の方に後退してるみたいだから、まだマジスターさんは威嚇射撃してないみたいね……」
「ああ、多分僕達がここを抜けるのに苦戦するのを知ってるんじゃないかな?」
「時間を稼いでるってわけね……それなら余計早くしないと!」
右に左に蛇行し、邪魔な岩を回避していき、スピードを出せそうな直線では思いっ切り速度を上げていく。
「こんな時に言うのもなんだけどさ、上手いねバイクの運転」
「なに今更? 散々見てきたでしょわたしのバイクテクは」
「うん、まあ改めて思ったからさ」
「ふふん……でも褒めるのなら、今度はもっと気の利いた褒め方をしなさい」
「ちぇっ……」
ルーナといい、ライフ・ゼロといい、僕の周りには僕に手厳しい奴らばかりだな。
マジスターは少し僕を褒め過ぎな気がするけど……。
『フン、この程度で手厳しいとは。甘ったれとるなうぬは』
突如ライフ・ゼロの声が聞こえ、僕は思わず声をあげそうになったが、なんとか堪えた。
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