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THE GROUND ZERO Chapter4
第13章 荒野の決戦【11】
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「しかしうむ……やはり吸い上げた魔力からも、そして我を復活させる元となったあの魔力からも、やはり従来の物とは異なる違和感を感じたな……」
そんな上機嫌だったライフ・ゼロだったが、話題が変わると深刻な表情を浮かべ、両腕を組んでみせる。
そういうところはあながち、魔王っぽく見える。
「それにほれ、あの魔物から出ていた虹色の斑点がすっかり無くなっておる。おそらく、この違和感のある魔力を吸ったことによって治ったのだろうな」
そうライフ・ゼロが言って、今は倒れているブラースティの方を見てみると、確かに体中に浮き出ていたあの虹色の奇妙な斑点が、完全に消滅していた。
「違和感……わしが思うにそれは、天然の魔力と人工の魔力の違いではないだろうか?」
「天然の魔力と人工の魔力? なんだそれは?」
マジスターの意見に、眉をひそめるライフ・ゼロ。
「そうかお前は確か数百年間その剣の中に封印されておったから、知らないのも無理はない。お前がさっきまで乗っていたバイクがあるだろう?」
「む? ああ、あの馬よりも速い二輪の」
「そうだ。あれは魔石エネルギーという、人間の作りだした魔力によって動いているのだ。正確に言うならば、人間が魔石から特殊な方法を用いて魔力を抽出した物だがな」
「なんと魔石から魔力をっ!? 我ら魔物ですら、魔石から放出している魔力を吸収するくらいしかできぬというのに……人間は既に、魔石の内部から魔力を抽出する術を得ているとは……」
眉間にしわを寄せ、口元を曲げ、ライフ・ゼロはまるで苦悩するように頭を抱えていた。
やはり魔力のことに関して、魔物が人間の先を越されるというのは、屈辱的なものなのだろうか……。
そんなライフ・ゼロの苦い表情を見ながらも、マジスターは話を続ける。
「そしてあの地に降り注いだ、お前とブラースティが浴びただろう魔力というのも、その魔石エネルギーを凝縮させた物だ。人間は魔石の魔力をエネルギーとして使うどころか、兵器にまでして使っておるということだ」
「魔石の魔力を兵器に……キッ……キキッ……どうやら我は、人間という生物を本当に侮り過ぎていたようだ。自分の慢心を、これほどまでに愚かだと思えたことが無いほどにな……やはり人間は、我の手で滅ぼすべきだった……」
「…………」
ライフ・ゼロは本当に心底恨めしそうに、後悔するようにして、頭を抱える。
そんなライフ・ゼロの言葉に、僕達は何も返答することができなかった。
何故なら僕達は見てしまっていたから。人間の犯した、大きな過ちのその姿を、この目で捉えてしまっていたから。
あれを見て僕達も、人間というものに絶望してしまったのだから。
「……キッキッ心配するでない、もう我は一線から身を引いた。うぬらを殺すようなことはせぬ。しかしそうなるとすると、全てに合点がつく。あの魔物から出ていた虹色の斑点は、ようは天然の魔力ではなく、人間が作った魔力を浴びたことによって、その拒否反応が顕著に出てきたということだな?」
「うむ……まあわしにも、魔石エネルギーについても、魔物に関しても、確かな知識があるわけではないし、憶測の域には収まってしまうのだがな」
「ふむ……まあよい。兎にも角にも、今の人間が、数百年前のものとは比べ物にならないほどの脅威を持っておるということは分かった。やれやれ……なんと厄介な時期に目覚めてしまったものかな……」
深い溜息を吐いて、ライフ・ゼロは顔をしかめて、軽く指で頭を掻くような動作をしてみせる。
「カッカッ、嫌になったか?今の時代が?」
「フッ……キッキッ、否。むしろこれからの楽しみが増えたわ。新たな境地に踏み入れたような気がして、余生を退屈せずに過ごせそうだ」
「そうか……カッカッカッ! さすがは世界を支配しようとしただけのことはあるわ! 余生に過ごし方も他を圧倒しておるわっ!」
「キッキッキッ! まあな! まあな!」
カ行で笑うコンビは二人揃って『カ』と『キ』の一音で笑い合う。
まあとりあえず、これからもライフ・ゼロは僕達に力を貸してくれるみたいだし、こっちとしてはこれほど心強い助っ人もいないわけであり、これからも末永くよろしく……といったところだな。
『キッキッキッ……こちらこそな』
そんなライフ・ゼロの声が意識の内から聞こえると、外で笑っているライフ・ゼロが僕にウインクをして一瞥した。
チェッ……器用な真似しやがる。
「さて……」
僕はそれから再び、倒れているブラースティの方へと振り返った。
コイツの暴走を止め、これでもう、マグナブラには完全に未練が無くなった……今度もし、僕がこの国に関わるようなことがあるとしたら、おそらくその時は、敵対する形で合いまみえることになるだろう。
自国から敵国へ……昨日の味方は、今日の敵ってか。
世知辛い世の中だな……本当に。
「そうだコヨミ」
後ろから声が聞こえたので振り返ると、先程までマジスターと笑っていたライフ・ゼロが、僕の右隣に歩み寄って来ていた。
「何だライフ・ゼロ?」
「その剣のことだが、確かうぬら人間はこれのことを太陽の剣と呼んでおったな?」
「そうだけど?」
「しかしそれは、ワーハイト・ルージが勝手に呼び出した名だ。今やその剣の所有者は、完全にうぬに移った。だからもうその剣は、太陽の剣ではない」
「……なるほど」
「だからうぬが新たな名を着けよ。今のその剣に合った名をな?」
「…………」
僕は少しの間だけ考え、そして自分の腰に下げている、この剣の新たな名を口にした。
「……満月の剣」
「ほう……して、その名にした理由は?」
「太陽が沈んだ時、最も輝くのが満月だから」
「なるほど……キッキッキッ! うぬにしてはなかなかどうして、良いセンスを持っておるではないか!」
「僕にしてはって……もっと素直に褒めろよなぁ……」
「キッキッ、贅沢なやつめ。かつての我の部下だったら、飛んで喜んでおったぞ? それに我は一応、絶賛しとるつもりだ」
「つもり……ね。まあいいや、素直に良かったってことで受け止めておくよ」
「そうせよ」
満面のニンマリ顔で、ライフ・ゼロはそう言い切った。
太陽が沈んだ……それはつまり、勇者の時代はもう終わったということを、そのまま暗示している。
そして勇者の時代が終わった後の、この闇夜の世界で僕は……いや、僕達ヘイトウルフが、人々を解放する存在となりたい。人々の足元を照らす、満月のような光になりたい。
その願いから、僕はこの剣に満月の剣という名を着けたのだ。
まあそれに、満月と狼は色々と相性が良いからね。
そんな上機嫌だったライフ・ゼロだったが、話題が変わると深刻な表情を浮かべ、両腕を組んでみせる。
そういうところはあながち、魔王っぽく見える。
「それにほれ、あの魔物から出ていた虹色の斑点がすっかり無くなっておる。おそらく、この違和感のある魔力を吸ったことによって治ったのだろうな」
そうライフ・ゼロが言って、今は倒れているブラースティの方を見てみると、確かに体中に浮き出ていたあの虹色の奇妙な斑点が、完全に消滅していた。
「違和感……わしが思うにそれは、天然の魔力と人工の魔力の違いではないだろうか?」
「天然の魔力と人工の魔力? なんだそれは?」
マジスターの意見に、眉をひそめるライフ・ゼロ。
「そうかお前は確か数百年間その剣の中に封印されておったから、知らないのも無理はない。お前がさっきまで乗っていたバイクがあるだろう?」
「む? ああ、あの馬よりも速い二輪の」
「そうだ。あれは魔石エネルギーという、人間の作りだした魔力によって動いているのだ。正確に言うならば、人間が魔石から特殊な方法を用いて魔力を抽出した物だがな」
「なんと魔石から魔力をっ!? 我ら魔物ですら、魔石から放出している魔力を吸収するくらいしかできぬというのに……人間は既に、魔石の内部から魔力を抽出する術を得ているとは……」
眉間にしわを寄せ、口元を曲げ、ライフ・ゼロはまるで苦悩するように頭を抱えていた。
やはり魔力のことに関して、魔物が人間の先を越されるというのは、屈辱的なものなのだろうか……。
そんなライフ・ゼロの苦い表情を見ながらも、マジスターは話を続ける。
「そしてあの地に降り注いだ、お前とブラースティが浴びただろう魔力というのも、その魔石エネルギーを凝縮させた物だ。人間は魔石の魔力をエネルギーとして使うどころか、兵器にまでして使っておるということだ」
「魔石の魔力を兵器に……キッ……キキッ……どうやら我は、人間という生物を本当に侮り過ぎていたようだ。自分の慢心を、これほどまでに愚かだと思えたことが無いほどにな……やはり人間は、我の手で滅ぼすべきだった……」
「…………」
ライフ・ゼロは本当に心底恨めしそうに、後悔するようにして、頭を抱える。
そんなライフ・ゼロの言葉に、僕達は何も返答することができなかった。
何故なら僕達は見てしまっていたから。人間の犯した、大きな過ちのその姿を、この目で捉えてしまっていたから。
あれを見て僕達も、人間というものに絶望してしまったのだから。
「……キッキッ心配するでない、もう我は一線から身を引いた。うぬらを殺すようなことはせぬ。しかしそうなるとすると、全てに合点がつく。あの魔物から出ていた虹色の斑点は、ようは天然の魔力ではなく、人間が作った魔力を浴びたことによって、その拒否反応が顕著に出てきたということだな?」
「うむ……まあわしにも、魔石エネルギーについても、魔物に関しても、確かな知識があるわけではないし、憶測の域には収まってしまうのだがな」
「ふむ……まあよい。兎にも角にも、今の人間が、数百年前のものとは比べ物にならないほどの脅威を持っておるということは分かった。やれやれ……なんと厄介な時期に目覚めてしまったものかな……」
深い溜息を吐いて、ライフ・ゼロは顔をしかめて、軽く指で頭を掻くような動作をしてみせる。
「カッカッ、嫌になったか?今の時代が?」
「フッ……キッキッ、否。むしろこれからの楽しみが増えたわ。新たな境地に踏み入れたような気がして、余生を退屈せずに過ごせそうだ」
「そうか……カッカッカッ! さすがは世界を支配しようとしただけのことはあるわ! 余生に過ごし方も他を圧倒しておるわっ!」
「キッキッキッ! まあな! まあな!」
カ行で笑うコンビは二人揃って『カ』と『キ』の一音で笑い合う。
まあとりあえず、これからもライフ・ゼロは僕達に力を貸してくれるみたいだし、こっちとしてはこれほど心強い助っ人もいないわけであり、これからも末永くよろしく……といったところだな。
『キッキッキッ……こちらこそな』
そんなライフ・ゼロの声が意識の内から聞こえると、外で笑っているライフ・ゼロが僕にウインクをして一瞥した。
チェッ……器用な真似しやがる。
「さて……」
僕はそれから再び、倒れているブラースティの方へと振り返った。
コイツの暴走を止め、これでもう、マグナブラには完全に未練が無くなった……今度もし、僕がこの国に関わるようなことがあるとしたら、おそらくその時は、敵対する形で合いまみえることになるだろう。
自国から敵国へ……昨日の味方は、今日の敵ってか。
世知辛い世の中だな……本当に。
「そうだコヨミ」
後ろから声が聞こえたので振り返ると、先程までマジスターと笑っていたライフ・ゼロが、僕の右隣に歩み寄って来ていた。
「何だライフ・ゼロ?」
「その剣のことだが、確かうぬら人間はこれのことを太陽の剣と呼んでおったな?」
「そうだけど?」
「しかしそれは、ワーハイト・ルージが勝手に呼び出した名だ。今やその剣の所有者は、完全にうぬに移った。だからもうその剣は、太陽の剣ではない」
「……なるほど」
「だからうぬが新たな名を着けよ。今のその剣に合った名をな?」
「…………」
僕は少しの間だけ考え、そして自分の腰に下げている、この剣の新たな名を口にした。
「……満月の剣」
「ほう……して、その名にした理由は?」
「太陽が沈んだ時、最も輝くのが満月だから」
「なるほど……キッキッキッ! うぬにしてはなかなかどうして、良いセンスを持っておるではないか!」
「僕にしてはって……もっと素直に褒めろよなぁ……」
「キッキッ、贅沢なやつめ。かつての我の部下だったら、飛んで喜んでおったぞ? それに我は一応、絶賛しとるつもりだ」
「つもり……ね。まあいいや、素直に良かったってことで受け止めておくよ」
「そうせよ」
満面のニンマリ顔で、ライフ・ゼロはそう言い切った。
太陽が沈んだ……それはつまり、勇者の時代はもう終わったということを、そのまま暗示している。
そして勇者の時代が終わった後の、この闇夜の世界で僕は……いや、僕達ヘイトウルフが、人々を解放する存在となりたい。人々の足元を照らす、満月のような光になりたい。
その願いから、僕はこの剣に満月の剣という名を着けたのだ。
まあそれに、満月と狼は色々と相性が良いからね。
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