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BACK TO THE OCEAN Chapter2
第18章 民衆の街【1】
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マグナブラ大陸の横断を始めて四日目。
昨日野宿をした場所から早朝に出発した僕達は、バイクとキャンピングカーに乗って、真っ直ぐに、海側に伸びる道を走っていた。
アクトポートに近づくたびに周囲の景色も変わっていき、草原が広がっていた風景からは一変、今走っている場所には所々に住宅が立ち並んでおり、人が歩いている姿もちらほらと見るようになってきた。
そして風景だけでなく、道路状況も変化していき、今まではなんの舗装もされていない大地の道を走っていたのだが、いつの間にか地面の上にはアスファルトが敷かれ、ずっとガタガタの道を走らされていたバイクが、やっと舗装された道を走れることに喜んでいるように、僕には思えた。
旅の後半では、僕がずっとバイクを運転するという約束をルーナとしていたため、今現在も運転しているのは僕で、ルーナはその後部座席に座っている。
しかし周りにひと気が出てきたのもあり、ルーナは昨日のように、僕にしがみ付くようなスタイルは取っておらず、腰元に手を回している程度の、控えめな、でも近づけるだけ近づくような、そんな絶妙なスタイルをとっており、またそんなシャイな彼女の姿に、僕は惚れ惚れとしてしまっていた。
もはや病気の領域であることは分かっている……が、これは僕の健康を害するようなものではないから、きっと大丈夫だろう。
むしろ一人の男としては、健康体そのもののはずだ。
しかしそれとは別件で、今の僕は、特に身体的に、不健康な状態に陥ってしまっていた。
何故なら……。
「ロクヨウ!」
「おおうっ!」
唐突に耳元で声が聞こえ、僕ははっと我に返った。
その声は後ろに座っている、ルーナの声だった。
「朝からずっと運転してるから疲れてきてるのは分かるけど、でも運転中はぼーっとしない!」
「あっ……すいません……」
ルーナは彼女モードでは無く、バイクの運転を僕に教えた、教官モードになっており、厳しく僕を叱責してきたので、僕も瞬時に生徒モードに切り替わり、謝罪をした。
運転中にぼーっとしてしまった僕が一番悪いのだが、しかしもう出発してから七時間近くが経とうとしている。
その間連続で運転したその疲労と、それ以上に耐えきれない空腹とが混ざり合って、僕の意識は知らず知らずの内に、遠退いてしまっていたのだ。
これでは昨日のマンハットの二の舞を踏んでしまう。
「もう……そんなにキツイなら運転代わろうか?」
そうやって気を遣うのは、手厳しい教官モードから、心優しい僕の彼女モードに切り替わったルーナだった。
「うーん……代わるまでも無いと思うんだけど、休憩を取りたいな……あと食事も取りたい……」
「そう……それならどこか、飲食店を探した方が良さそうね」
「コンビニでもいいんだけど」
「そんなのマグナブラにしか無いでしょうに」
「そっか……」
そうだよなぁ……あんな便利な物、あの大都市にしかあるわけがないよなぁ……。
今更になって、ここまで来て、ホームシックになりかけてしまう。
なんとか意識を保たせ、運転すること数分、バイクはまだピンピン動くが、僕がガス欠を起こして、ぶっ倒れそうになりかけたその時、それの姿が目に飛び込んできて、僕は歓喜のあまり、思わず大声で叫んでしまった。
「ハンバーガーショップだっっ!!!!」
そう、道路の右側に見えたのは、デッカイハンバーガーを模した看板のある、ハンバーガーショップだった。
空腹が限界まで達しているせいか、僕はその看板を見ただけで、口の中は唾液で溢れ返ってしまいそうになる。
早速ハンバーガーショップに入るため、僕は大きく手を振り、そして右側のウインカーを点灯させ、前を走っているマジスターとマンハットにサインを送る。
するとそれを察したのか、二人は左車線から右車線に寄り、そしてハンバーガーショップの駐車場に向かって、更に右折をして入って行った。
その後を追うようにして、僕達も右折をして駐車場へと入り、バイクを駐輪場に停車させ、エンジンを切って、ヘルメットを脱いだ。
「はああああああああああ……やっと飯だ……」
食事にありつけた嬉しさと、これまでの疲れを合わせた大きな溜息を僕は吐く。
それから腕を伸ばしたり、伸びをしたりすると、身体中からボキボキボキという音がいたるところから聞こえ、直後、全身が少し軽くなったような、楽になったような気になった。
「お疲れさま!」
そんな僕の体から発せられた音を聞いて、ルーナはにっこりと微笑んで、そう一言掛けてくれた。
「おう! ありがとう!」
僕もルーナに笑顔で答えてみせる。
その一言で体の疲れや空腹が無くなることはなかったが、しかし気力だけはバッチリ回復した。
身体さえ回復できたら、まだまだ運転を続けることはできそうだ。
「おうコヨミどうした? なにかトラブルでもあったのか?」
先に駐輪場にバイクを駐車していたマジスターが、こちらに歩み寄ってくる。
どうやらマジスターは、僕がバイクトラブルを起こしてしまい、トラブルの原因を探るために、ここに一時的に停車することにしたのだと、勘違いしているようだった。
「いいや、トラブルじゃないよ。長時間運転して疲れたし、もうお昼過ぎてるから、腹が限界なんだ」
「んおっ? カッカッカッ! なんだそうだったのか!」
「というかマジスター、アンタは大丈夫なのか?」
「んん? わしはこの通りピンピンだ! ただ、先を急ぐがあまり、周りのことを考えず、休憩を取るのを忘れていたのは不覚だったわ」
「不覚って……」
つまるところ、マジスターはまだまだ飯も食わずに、七時間連続で運転してきたのにも関わらず、休憩も無しに、まだ運転を続けることが可能だったってことじゃないか……このオッサンの異常な元気の源は一体何なんだよ。
本当に超人だな。
「おいマンハット、あのパンに挟まっておる物は何と言うのだ?」
「ん? あれはハンバーガーっていう食べ物だよ」
「ハンバーガー? 一体どんな食べ物なのだ?」
「この見た目通りだよ。ハンバーガーパティって呼ばれる、ひき肉を円盤状にして焼いた物と、トマトやレタスを、バンっていう丸いパンで両側から挟みこんだ物だ」
「ほう……して、美味いのか?」
「片手間の食事を気に入ってくれたのなら、多分君の口に合う物だと僕は思うよ?」
「そうかそうか! それは楽しみだ! キッキッキッ!!」
そんな二人の声と独特な笑い声が聞こえ、そちら側に振り向いてみると、ライフ・ゼロが店の前にあるハンバーガーの形をした大きな看板を指差しており、その隣に並んで、マンハットが白衣に模したコートのポケットに両手を突っ込んで、ハンバーガーの説明をしていた。
ライフ・ゼロはどうやら、マンハットから片手間の食事を譲られたあの時をキッカケに、マンハットのことをえらく気に入ったらしく、またマンハットも、マジスターからヤツがかつての魔王、ライフ・ゼロであることを教えてもらってから、ヤツにより一層興味を持ったらしく、相思相愛……とはちょっと違うみたいだが、朝からずっとセットでくっついており、移動もライフ・ゼロはマジスターのバイクには乗らず、マンハットの車の助手席に乗っていたそうだ。
ああ、そうか。どおりでマジスターが休憩を取ることに、今まで気づかなかったわけだ。
もしライフ・ゼロが後部座席に乗っていたら、二十分に一回は休憩を挟むよう、せがんでくるらしいからな。確かにある程度の休憩は必要だが、しかし二十分に一回はさすがに多過ぎるだろ。
わがままな魔王様だよ、本当に。
昨日野宿をした場所から早朝に出発した僕達は、バイクとキャンピングカーに乗って、真っ直ぐに、海側に伸びる道を走っていた。
アクトポートに近づくたびに周囲の景色も変わっていき、草原が広がっていた風景からは一変、今走っている場所には所々に住宅が立ち並んでおり、人が歩いている姿もちらほらと見るようになってきた。
そして風景だけでなく、道路状況も変化していき、今まではなんの舗装もされていない大地の道を走っていたのだが、いつの間にか地面の上にはアスファルトが敷かれ、ずっとガタガタの道を走らされていたバイクが、やっと舗装された道を走れることに喜んでいるように、僕には思えた。
旅の後半では、僕がずっとバイクを運転するという約束をルーナとしていたため、今現在も運転しているのは僕で、ルーナはその後部座席に座っている。
しかし周りにひと気が出てきたのもあり、ルーナは昨日のように、僕にしがみ付くようなスタイルは取っておらず、腰元に手を回している程度の、控えめな、でも近づけるだけ近づくような、そんな絶妙なスタイルをとっており、またそんなシャイな彼女の姿に、僕は惚れ惚れとしてしまっていた。
もはや病気の領域であることは分かっている……が、これは僕の健康を害するようなものではないから、きっと大丈夫だろう。
むしろ一人の男としては、健康体そのもののはずだ。
しかしそれとは別件で、今の僕は、特に身体的に、不健康な状態に陥ってしまっていた。
何故なら……。
「ロクヨウ!」
「おおうっ!」
唐突に耳元で声が聞こえ、僕ははっと我に返った。
その声は後ろに座っている、ルーナの声だった。
「朝からずっと運転してるから疲れてきてるのは分かるけど、でも運転中はぼーっとしない!」
「あっ……すいません……」
ルーナは彼女モードでは無く、バイクの運転を僕に教えた、教官モードになっており、厳しく僕を叱責してきたので、僕も瞬時に生徒モードに切り替わり、謝罪をした。
運転中にぼーっとしてしまった僕が一番悪いのだが、しかしもう出発してから七時間近くが経とうとしている。
その間連続で運転したその疲労と、それ以上に耐えきれない空腹とが混ざり合って、僕の意識は知らず知らずの内に、遠退いてしまっていたのだ。
これでは昨日のマンハットの二の舞を踏んでしまう。
「もう……そんなにキツイなら運転代わろうか?」
そうやって気を遣うのは、手厳しい教官モードから、心優しい僕の彼女モードに切り替わったルーナだった。
「うーん……代わるまでも無いと思うんだけど、休憩を取りたいな……あと食事も取りたい……」
「そう……それならどこか、飲食店を探した方が良さそうね」
「コンビニでもいいんだけど」
「そんなのマグナブラにしか無いでしょうに」
「そっか……」
そうだよなぁ……あんな便利な物、あの大都市にしかあるわけがないよなぁ……。
今更になって、ここまで来て、ホームシックになりかけてしまう。
なんとか意識を保たせ、運転すること数分、バイクはまだピンピン動くが、僕がガス欠を起こして、ぶっ倒れそうになりかけたその時、それの姿が目に飛び込んできて、僕は歓喜のあまり、思わず大声で叫んでしまった。
「ハンバーガーショップだっっ!!!!」
そう、道路の右側に見えたのは、デッカイハンバーガーを模した看板のある、ハンバーガーショップだった。
空腹が限界まで達しているせいか、僕はその看板を見ただけで、口の中は唾液で溢れ返ってしまいそうになる。
早速ハンバーガーショップに入るため、僕は大きく手を振り、そして右側のウインカーを点灯させ、前を走っているマジスターとマンハットにサインを送る。
するとそれを察したのか、二人は左車線から右車線に寄り、そしてハンバーガーショップの駐車場に向かって、更に右折をして入って行った。
その後を追うようにして、僕達も右折をして駐車場へと入り、バイクを駐輪場に停車させ、エンジンを切って、ヘルメットを脱いだ。
「はああああああああああ……やっと飯だ……」
食事にありつけた嬉しさと、これまでの疲れを合わせた大きな溜息を僕は吐く。
それから腕を伸ばしたり、伸びをしたりすると、身体中からボキボキボキという音がいたるところから聞こえ、直後、全身が少し軽くなったような、楽になったような気になった。
「お疲れさま!」
そんな僕の体から発せられた音を聞いて、ルーナはにっこりと微笑んで、そう一言掛けてくれた。
「おう! ありがとう!」
僕もルーナに笑顔で答えてみせる。
その一言で体の疲れや空腹が無くなることはなかったが、しかし気力だけはバッチリ回復した。
身体さえ回復できたら、まだまだ運転を続けることはできそうだ。
「おうコヨミどうした? なにかトラブルでもあったのか?」
先に駐輪場にバイクを駐車していたマジスターが、こちらに歩み寄ってくる。
どうやらマジスターは、僕がバイクトラブルを起こしてしまい、トラブルの原因を探るために、ここに一時的に停車することにしたのだと、勘違いしているようだった。
「いいや、トラブルじゃないよ。長時間運転して疲れたし、もうお昼過ぎてるから、腹が限界なんだ」
「んおっ? カッカッカッ! なんだそうだったのか!」
「というかマジスター、アンタは大丈夫なのか?」
「んん? わしはこの通りピンピンだ! ただ、先を急ぐがあまり、周りのことを考えず、休憩を取るのを忘れていたのは不覚だったわ」
「不覚って……」
つまるところ、マジスターはまだまだ飯も食わずに、七時間連続で運転してきたのにも関わらず、休憩も無しに、まだ運転を続けることが可能だったってことじゃないか……このオッサンの異常な元気の源は一体何なんだよ。
本当に超人だな。
「おいマンハット、あのパンに挟まっておる物は何と言うのだ?」
「ん? あれはハンバーガーっていう食べ物だよ」
「ハンバーガー? 一体どんな食べ物なのだ?」
「この見た目通りだよ。ハンバーガーパティって呼ばれる、ひき肉を円盤状にして焼いた物と、トマトやレタスを、バンっていう丸いパンで両側から挟みこんだ物だ」
「ほう……して、美味いのか?」
「片手間の食事を気に入ってくれたのなら、多分君の口に合う物だと僕は思うよ?」
「そうかそうか! それは楽しみだ! キッキッキッ!!」
そんな二人の声と独特な笑い声が聞こえ、そちら側に振り向いてみると、ライフ・ゼロが店の前にあるハンバーガーの形をした大きな看板を指差しており、その隣に並んで、マンハットが白衣に模したコートのポケットに両手を突っ込んで、ハンバーガーの説明をしていた。
ライフ・ゼロはどうやら、マンハットから片手間の食事を譲られたあの時をキッカケに、マンハットのことをえらく気に入ったらしく、またマンハットも、マジスターからヤツがかつての魔王、ライフ・ゼロであることを教えてもらってから、ヤツにより一層興味を持ったらしく、相思相愛……とはちょっと違うみたいだが、朝からずっとセットでくっついており、移動もライフ・ゼロはマジスターのバイクには乗らず、マンハットの車の助手席に乗っていたそうだ。
ああ、そうか。どおりでマジスターが休憩を取ることに、今まで気づかなかったわけだ。
もしライフ・ゼロが後部座席に乗っていたら、二十分に一回は休憩を挟むよう、せがんでくるらしいからな。確かにある程度の休憩は必要だが、しかし二十分に一回はさすがに多過ぎるだろ。
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