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第2章 魔界への旅立ち
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キョウスケとグレイが話している中、ミレイはずっとそれを見ていることしか出来なかった。
今まで単に幼馴染だと思っていた少年は、実は世界を救うための戦士だった。
だが、ミレイは危惧する。
キョウスケが自分の元からどんどん離れて行ってしまい、いつの間にか遠い存在になってしまうことを。
いつも隣に居るのが当然だったのに、どんどん離れその溝は深く、広くなっていく……そんな気がしたからだ。
「キョウスケ……」
ミレイの不安そうな声は、キョウスケにも聞こえていた。
「ミレイ……ごめん。なんかこんなことになっちゃって」
「こんなことって……アンタすごいじゃない!」
「えっ?」
キョウスケは驚く。
先程までの不安な声から一転して、いつものミレイに戻ったからだ。
「まさかヘタレなアンタが世界を救う勇者だったなんてすんごくドラマチックな話じゃない?それに、もしアンタが世界を救ったらあたしは英雄の友人代表になれるのよ?」
「そんな……まだ話が早いよ」
へへっ……と照れ笑いを浮かべるキョウスケ。
そんな満更でもないキョウスケの笑顔に、ミレイの頬も緩む。
だが、ミレイのその笑顔の裏腹では、やはりどこか遠くなって行くキョウスケがいて、切ない気分で押し潰されそうになりながらも、それでも彼女は笑う。
キョウスケに自分のことを心配させたくない……その一心で。
「グレイさん……」
ミレイは灰色のケルベロス、グレイに向き直る。
「なんだろうか?」
「キョウスケをよろしくお願いします。アイツ、幽霊に怯えるくらい弱虫だから、魔物なんて見たら気絶しちゃうかもしれないから」
そう言って笑ってみせるミレイ。
だがグレイはキョウスケと違い、彼女が今どんな気持ちで話し、どんな気持ちでこんな笑顔を浮かべているのか理解していた。
「あぁ……俺に任せろ」
だからこそ、グレイは強気に言葉を返した。
これ以上、彼女の心に不安を植え付けてはならない。そんなことをしたら、必死に平常心を装っているミレイの心を打ち砕いてしまいかねないからだ。
「それじゃあ……頑張ってねキョウスケ。絶対ゼッタイぜ~ったい世界を救って帰ってくるのよ!!あたしはこの街で応援してるから!」
「うん、分かった!約束するよ!!」
二人は固く約束をし、ミレイは屋上を後にする。
階段を下るたび、ミレイの目からは涙が溢れ出てきた。
抑えていた本当の感情、キョウスケと離れたくない気持ちが心の器から漏れ出し、それが涙という形になったのだ。
「じゃあグレイ、母さんのところへ行こうか」
そんなミレイの気持ちを知らないキョウスケは、グレイを母親の元へ案内しようとしたが。
「あぁ……あっそうだ!お前に渡しておかないとならないものがある」
そう言って、グレイは先程まで伏せていた物陰のところから何かを布の包みのようなものを咥えて持って来る。
「開けてみろ」
「う……うん」
グレイに言われるがまま、キョウスケは包みの開くと、そこには六枚の札のようなものと鍵が入っていた。
「これは魔札と世界の鍵だ」
「魔札?世界の鍵?」
知らない単語が連立し、キョウスケは首を傾げる。
「まず魔札についてだが、これを使うことによってデビルサモナーのお前は魔物と契約を交わすことができる。簡単に言えば、魔物が仲間になるというわけだ」
「へぇ!!じゃあグレイ以外の魔物の仲間もできるかもしれないってことだね!」
「まぁそういうことになるな」
魔札を握りながらワクワクしているキョウスケだが、グレイは更に続ける。
「その魔札の中に一枚だけ絵柄のあるものがあるだろ?それが俺の魔札だ」
確かに真っ白な魔札だらけだが、一枚だけ絵柄の入っている魔札があった。
灰色のケルベロスのマークが入っている魔札だった。
「魔物の力は個体差もあるが、契約した魔物は更にこの魔札を通じて、デビルサモナーの力も加えることができるんだ。つまりお前が経験を積むことによって俺も更に強くなれるということだ」
「僕が強くなれば……か。父さんはモチロン強かったんだよね?」
ケルベロスの魔札を見ながら、キョウスケは呟く。
「あぁ……シュンジは魔界でも名の知れたデビルサモナーだったからな。そこにある魔札と世界の鍵はシュンジが持っていたものだ」
「父さんが!じゃあグレイはこれをずっと守って逃げてたの!?」
「まあな。ただ魔札はもっとあったのだが、それだけ持って逃げるのが精一杯だった」
「十分だよ。ありがとうグレイ」
キョウスケは父親のことをほぼほぼ知らない。物心がついた時には、すでに父親はこの世にいなかった。
だから父親の物が残り、今度は自分が受け継いでいく。それはキョウスケにとって最大の喜びだった。
「それともう一つが世界の鍵だ。それを持って異界の門に行くと魔界へと向かうことができる。だが……」
グレイは俯き。
「世界の鍵は何個かあったのだが魔札と同様、それは一つしか持って逃げれなかった……しかもその鍵はランダムに世界を渡れる鍵でな。魔界に着いたとしてもどこに出るかまでは分からないし、もしかしたら魔界へ行けるかも分からない……」
「じゃあグレイはこれを使ってこの世界に来たってこと?」
「あぁ……この世界を引き当てるのに何年もかかった。それは一年に一度しか使えない気まぐれな鍵なんだ」
そう言って、すまないと続けるグレイ。
「謝ることないよ。むしろこれをグレイが持ってなかったら魔界にも行けなかったんだから。ありがとう」
キョウスケは笑みを浮かべ、グレイに感謝する。残るのが当然ではなく、無くなるのが当然の中でグレイはそれを残してくれた。
それだけでも奇跡だったのだ。
「キョウスケ……やはりお前は優しいな。だが今からお前が踏み入れるのは容赦無い戦いの世界だ。その中でもお前の良さだけは失うな」
「うん……分かったよ」
キョウスケは魔札と世界の鍵をポケットの中に入れる。
「じゃあグレイ、家に案内するよ」
「あぁ、向かおうか」
今まで単に幼馴染だと思っていた少年は、実は世界を救うための戦士だった。
だが、ミレイは危惧する。
キョウスケが自分の元からどんどん離れて行ってしまい、いつの間にか遠い存在になってしまうことを。
いつも隣に居るのが当然だったのに、どんどん離れその溝は深く、広くなっていく……そんな気がしたからだ。
「キョウスケ……」
ミレイの不安そうな声は、キョウスケにも聞こえていた。
「ミレイ……ごめん。なんかこんなことになっちゃって」
「こんなことって……アンタすごいじゃない!」
「えっ?」
キョウスケは驚く。
先程までの不安な声から一転して、いつものミレイに戻ったからだ。
「まさかヘタレなアンタが世界を救う勇者だったなんてすんごくドラマチックな話じゃない?それに、もしアンタが世界を救ったらあたしは英雄の友人代表になれるのよ?」
「そんな……まだ話が早いよ」
へへっ……と照れ笑いを浮かべるキョウスケ。
そんな満更でもないキョウスケの笑顔に、ミレイの頬も緩む。
だが、ミレイのその笑顔の裏腹では、やはりどこか遠くなって行くキョウスケがいて、切ない気分で押し潰されそうになりながらも、それでも彼女は笑う。
キョウスケに自分のことを心配させたくない……その一心で。
「グレイさん……」
ミレイは灰色のケルベロス、グレイに向き直る。
「なんだろうか?」
「キョウスケをよろしくお願いします。アイツ、幽霊に怯えるくらい弱虫だから、魔物なんて見たら気絶しちゃうかもしれないから」
そう言って笑ってみせるミレイ。
だがグレイはキョウスケと違い、彼女が今どんな気持ちで話し、どんな気持ちでこんな笑顔を浮かべているのか理解していた。
「あぁ……俺に任せろ」
だからこそ、グレイは強気に言葉を返した。
これ以上、彼女の心に不安を植え付けてはならない。そんなことをしたら、必死に平常心を装っているミレイの心を打ち砕いてしまいかねないからだ。
「それじゃあ……頑張ってねキョウスケ。絶対ゼッタイぜ~ったい世界を救って帰ってくるのよ!!あたしはこの街で応援してるから!」
「うん、分かった!約束するよ!!」
二人は固く約束をし、ミレイは屋上を後にする。
階段を下るたび、ミレイの目からは涙が溢れ出てきた。
抑えていた本当の感情、キョウスケと離れたくない気持ちが心の器から漏れ出し、それが涙という形になったのだ。
「じゃあグレイ、母さんのところへ行こうか」
そんなミレイの気持ちを知らないキョウスケは、グレイを母親の元へ案内しようとしたが。
「あぁ……あっそうだ!お前に渡しておかないとならないものがある」
そう言って、グレイは先程まで伏せていた物陰のところから何かを布の包みのようなものを咥えて持って来る。
「開けてみろ」
「う……うん」
グレイに言われるがまま、キョウスケは包みの開くと、そこには六枚の札のようなものと鍵が入っていた。
「これは魔札と世界の鍵だ」
「魔札?世界の鍵?」
知らない単語が連立し、キョウスケは首を傾げる。
「まず魔札についてだが、これを使うことによってデビルサモナーのお前は魔物と契約を交わすことができる。簡単に言えば、魔物が仲間になるというわけだ」
「へぇ!!じゃあグレイ以外の魔物の仲間もできるかもしれないってことだね!」
「まぁそういうことになるな」
魔札を握りながらワクワクしているキョウスケだが、グレイは更に続ける。
「その魔札の中に一枚だけ絵柄のあるものがあるだろ?それが俺の魔札だ」
確かに真っ白な魔札だらけだが、一枚だけ絵柄の入っている魔札があった。
灰色のケルベロスのマークが入っている魔札だった。
「魔物の力は個体差もあるが、契約した魔物は更にこの魔札を通じて、デビルサモナーの力も加えることができるんだ。つまりお前が経験を積むことによって俺も更に強くなれるということだ」
「僕が強くなれば……か。父さんはモチロン強かったんだよね?」
ケルベロスの魔札を見ながら、キョウスケは呟く。
「あぁ……シュンジは魔界でも名の知れたデビルサモナーだったからな。そこにある魔札と世界の鍵はシュンジが持っていたものだ」
「父さんが!じゃあグレイはこれをずっと守って逃げてたの!?」
「まあな。ただ魔札はもっとあったのだが、それだけ持って逃げるのが精一杯だった」
「十分だよ。ありがとうグレイ」
キョウスケは父親のことをほぼほぼ知らない。物心がついた時には、すでに父親はこの世にいなかった。
だから父親の物が残り、今度は自分が受け継いでいく。それはキョウスケにとって最大の喜びだった。
「それともう一つが世界の鍵だ。それを持って異界の門に行くと魔界へと向かうことができる。だが……」
グレイは俯き。
「世界の鍵は何個かあったのだが魔札と同様、それは一つしか持って逃げれなかった……しかもその鍵はランダムに世界を渡れる鍵でな。魔界に着いたとしてもどこに出るかまでは分からないし、もしかしたら魔界へ行けるかも分からない……」
「じゃあグレイはこれを使ってこの世界に来たってこと?」
「あぁ……この世界を引き当てるのに何年もかかった。それは一年に一度しか使えない気まぐれな鍵なんだ」
そう言って、すまないと続けるグレイ。
「謝ることないよ。むしろこれをグレイが持ってなかったら魔界にも行けなかったんだから。ありがとう」
キョウスケは笑みを浮かべ、グレイに感謝する。残るのが当然ではなく、無くなるのが当然の中でグレイはそれを残してくれた。
それだけでも奇跡だったのだ。
「キョウスケ……やはりお前は優しいな。だが今からお前が踏み入れるのは容赦無い戦いの世界だ。その中でもお前の良さだけは失うな」
「うん……分かったよ」
キョウスケは魔札と世界の鍵をポケットの中に入れる。
「じゃあグレイ、家に案内するよ」
「あぁ、向かおうか」
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