The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

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第4章 エキドナの遺跡

004【1】

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エキドナの遺跡。このシンアルの地で新たに発掘されたと言われる、魔獣の母エキドナが眠る遺跡である。
キョウスケ達一行は、遺跡の入場券を一人銀貨20枚で購入し、遺跡の入口の所まで入っていた。

「ケッ……おいおいふざけんなよ……遺跡に入るのだけで銀貨20枚ってぼったくりだろ」

入場料は遺跡に行くことを提案したジャックの支払いであり、ジャックはその値段にブツブツと文句をこぼしていた。
ちなみに魔界の通貨は銅貨、銀貨、金貨の三つになっており、銅貨100枚で銀貨一枚の価値になり、銀貨100枚で金貨一枚の価値となる。
つまり銅貨を日本円の1円と見立てると、この遺跡の入場料は一人2000円と割高であった。

「確かに値段は高かったが……だが入場料は全てこの遺跡の保存のために使うって書いてあったぞ」

「どうだか……ここの管理はシンアルの市長がやってるみたいだし、あながちそいつのポケットマネーになるんじゃねぇのか?」

チッと舌打ちをしながら、ジャックは軽くなってしまった財布を懐に直し込む。

「まあまあジャックさん……もう払っちゃったものは仕方ないし、ここは一つ、僕たちに出来ることはこの遺跡を満喫することだけだよ」

キョウスケはどうどうと、ジャックの怒りを鎮めるようになだめる。

「うぅ……まっそうだな!よおおおおし!こうなったら遺跡の上からちっせぇ石のかけらまで見まくって銀貨20枚の元手をとってやる!!」

ジャックはヤケになり、早速遺跡の周りをじっくり見て回ろうとするが。

「おいジャック待て、これを見てみろ」

グレイが遺跡の注意書きのようなものを見つけ、指し示す。
そこには、来場者が多いため順路を止まらずに歩いて御観覧くださいという文字が書いてあった。

「……なぁグレイ、今ならカネ返してくれるかな?」

「無理だろ。それにあれだけ魔物がいる中を掻き分けて、チケット売り場のやつにカネ返せってお前言いきれるか?」

「……さすがのオイラでもそれは出来ねぇわ」

ガックシと、うな垂れるジャック。さすがのお調子者でも、越えてはならない一線は知っていた。

「こればかりは仕方ないよね……ジャックさん、出来るだけゆっくり回れるよう努力しよっ!」

ジャックは人間の大人程の身長があったため、小学生であるキョウスケには肩まで手は届かなかったが、代わりに腰の部分にポンと軽く手を触れた。

「……そうだ、過ぎ去ったことを悔やんでも仕方ねぇ!待ってやがれエキドナァ!頭の先から足の先まで見尽くしてやるぜええええ!!」

ぬおおおおっ!と絶叫しながら順路へと突っ走るジャック。

「……ジャックさんヤケになってるよね」

「あぁ、でないとやってられないんだろうよ」

「僕たちも行こっか」

「そうだな……あの状態のアイツを野放しにしてたら色々厄介になりそうだからな」

冷静なキョウスケとグレイは、自暴自棄になったジャックの後を追いかける。
一銭も払ってない二人だからこそ、この場を冷静でいられた。

「おおっ!ここが遺跡かぁ……広いなぁ」

キョウスケは歩きながら周りを見回す。
ジャックに追いついたキョウスケとグレイは、前の観光客のペースに合わせながら順路を歩いていた。
遺跡は屋外であり、幾つもの大きな岩の壁で覆われており谷のようになっている。そして順路はその壁に添って敷かれていた。

「そんでエキドナは何処にあるってんだ?」

ジャックは辺りを見回すが、そのようなものは見当たらない。順路ではない遺跡の真ん中の部分には発掘のために掘った土や岩なんかが積もっているだけだった。

「えっと、パンフレットによるとエキドナの石碑はこの順路の折り返しの地点にあるそうですよ?」

キョウスケは入場券を買った時に、一緒に付いてきたパンフレットを読みながら答える。
するとジャックは「はぁ?」と目をつり上げる。

「ふざけんな!これだけ並んで、あんだけカネ払ってそれだけしか見れねぇのかよ!!許せねぇ!!!」

するとジャックは順路とは逆の方を向く。

「おいジャック!何するつもりだ!!」

「決まってんだろ!ここを取り締まってる市長とやらの腹を探ってやるのさ!!」

「ジャックさん!!」

逆走しそうになるジャックを、キョウスケとグレイはしがみ付いて止める。

「ジャック待て!ここは大人しくしておけ!俺たちが今どんな身分か忘れたのか!!」

「身分?……そ……そうだった!」

グレイの一言でジャックは思い留まる。
三人は今や魔界から追われる身。そのことをジャックは怒りですっかり忘れていた。

「俺だって不満はあるさ……だけどここには多くの魔物がいる上に逃げ道は無い。目立つようなことはするな」

「ジャックさん、怒る気持ちは分かりますがここはこらえようよ!」

「……分かった」

ジャックは二人に諭され、怒りを鎮める。
運が良かったのは、順路に並んでいる長蛇の列はその進行が止まっていた。
もし進み続けていてこのようなことを起こしていたら、それこそ三人は目立って仕方なかっただろう。
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