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第4章 エキドナの遺跡
007【1】
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「おい……キョウスケ起きろ!」
「ぬぁっ!!えっ8時!……あれ?」
キョウスケが起き上がると、そこは八畳程の小さな小部屋だった。
「ほら夕方だ、そろそろ遺跡に向かうぞ」
「あっ……あぁそうか、ここは魔界か」
キョウスケ達がいたのは、シンアルにある小さな民宿のような所だった。
休憩をとるため、部屋を借りゆっくりと休んでいたのだが、どうやらキョウスケは意識しないうちに寝てしまっていたらしい。
「ふぁ~あ……さて銀貨20枚ふんだくりやがった詐欺市長をとっちめに行くかぁ」
「お前まだ言ってるのか……」
どうやらジャックも寝ていたようで、寝起きながらやる気満々であった。
「そうだね……よし、母さんを助けに行こう!」
キョウスケは立ち上がり、母親の用意してくれたバックパックを背負う。
魔界へ向かう前、必ず見つけ出すと彼は母親と約束した。そのために魔界全土を歩き回る覚悟ではいたが、こんなにも早く、都合良く見つかるとは思ってもいなかった。
だからこそ、このチャンスを逃すわけにはならない。必ず母親を助けださねばならない。
少年の意思は、一つのダイアモンドのように強固なものとなった。
キョウスケ達三人は民宿を出た後、再び遺跡へ向かうため市街地の南にある遊歩道に向かった。
遊歩道は昼間の人集りがまるで嘘だったかのように、魔物一体すらいない。
というのも、エキドナの遺跡は夕方前には閉められてしまうため、その遺跡へ向かうこの道も自然と人通りが少なくなるのだった。
「……おい、あれ昼間にマモンの両側にいた奴等じゃねぇか?」
すると遊歩道の真ん中に、二体の魔物が立っているのがジャックには見えた。
その魔物は、体は人身にして頭は牛と馬。どちらとも昼間に見たマモンと同じく、黒いスーツに身を包み、牛頭の方は二股の槍を馬頭の方は薙刀を持っていた。
三人は一度、二体の魔物に見つからないよう遊歩道の木の裏に潜み、周りの状況を確認する。
グレイは辺りを見渡し、更に耳を使って他に伏兵がいないかどうか探知した。
「そうだな……奴等はもしかしたらマモンの配下なのかもしれない。他には誰もいないようだし、奴等を倒せばここは抜けれそうだな」
「でも肝心のマモンがいないよね……?どこにいるんだろう……」
この場にマモンの姿は無い。ここを突破し、遺跡に辿り着いたとしても、マモンがいなければ石碑の封印を解くことは出来ない。
そしてもしこれでマモンをおびき出せなければ、この作戦は失敗に終わることになる。
すると三人が隠れて様子を見ていると、遊歩道の真ん中に立っていた牛と馬頭の鬼達が何か話をしているのが聞こえてきた。
「ところで馬頭よ、ケルベロスが遺跡に来たとて、今日石碑を狙いに来るとは限らないのではないか?」
「しかし牛頭よ、これは市長の考えだし、市長は遺跡で待ち伏せをしている。我らだけのこのこ帰ったりなんかしたら市長が可哀想でござる。それにもしかしたら残業代が貰えるかもしれないでござる」
「そうか!残業代か!よし頑張るぞ馬頭よ!」
「うむ!頑張ろうぞ牛頭よ!」
二人は二股の槍と薙刀を交じらせ、気合を入れ直す。
二人の目当てはケルベロス討伐よりも、後から貰える残業代の方にあった。
「……あいつら公務員が滅多に残業代出ないの知っててやってるのかね?」
「でもあの魔物達のおかげでこの先にマモンがいることが分かったし、一応おびき出し作戦は成功したみたいだね」
「あぁ……だが問題はあの二人を突破しないとマモンのところまで辿り着けないことだな」
三人は再び木陰に座り込み、敵前にて作戦会議を始める。
「俺は逃げるのがベストだと思う。後からマモンと戦うことを考えると、奴等を相手にするのはあまりにも蛇足だ」
「オイラもそう思う!」
「うん、僕も無駄な戦いは避けたいかな……」
グレイの言う通り、マモンとの決戦を前に敵を、しかも二体をまともに相手にするのはあまりにも愚策である。
なので、ここは満場一致で逃げる作戦が採択された。
「よし……じゃあ逃げる作戦なのだが、手っ取り早い方法がどちらかが陽動で動き、その隙を突いて一方がマモンの元に向かうのがいいだろうと思う」
「まっよくある作戦だよなぁ……んで、オイラとグレイどっちが陽動やるんだ?」
「そりゃお前だろジャック」
グレイは真顔で答えると、ジャックは目を見開く。
「ちょっ!何で始めから決まってましたムード出してんだよ!オイラの出番は?マモンへの銀貨20枚の恨みは?」
「出番は今からある、カネの恨みは奴等に八つ当たりでもしてこい。はい完璧、行ってこい!」
グレイは頭を使ってグイグイとジャックを木陰から出そうとする。
「ちょっと!こんな中途半端な出番はやだっ!てか八つ当たりって適当過ぎるだろ!こ……ここはリーダーのキョウスケが決めるべきだろ?どっちがいいと思うキョウスケ?」
しかしキョウスケもこの選択には迷いはなかった。
「ジャックさん、陽動を頼むよ。父さんと母さんのことをよく知ってるのはグレイだし、もしかしたらってこともあるからさ」
「キョ……キョウスケまでも即答かよ!クソォ……分かったよやってやるよ!その代わりグレイ、オイラの分まで奴に銀貨20枚の恨みぶつけてこいよっ!!」
「あぁ、20枚だろうが40枚だろうがぶつけてきてやるよ」
ジャックはそうグレイに言い捨て、木陰から出て二人の鬼の元へ向かう。
「いいかキョウスケ、ジャックが奴等を引きつけ出したら俺の背中に乗れ。一気に駆け抜ける。それとジャックの魔技を一応使っておいてやれ、相手は二体いるからな」
「うん分かった!」
キョウスケとグレイはそのまま木陰からタイミングを伺う。
一方のジャックは二体の鬼の元へと接近していた。
「ぬぁっ!!えっ8時!……あれ?」
キョウスケが起き上がると、そこは八畳程の小さな小部屋だった。
「ほら夕方だ、そろそろ遺跡に向かうぞ」
「あっ……あぁそうか、ここは魔界か」
キョウスケ達がいたのは、シンアルにある小さな民宿のような所だった。
休憩をとるため、部屋を借りゆっくりと休んでいたのだが、どうやらキョウスケは意識しないうちに寝てしまっていたらしい。
「ふぁ~あ……さて銀貨20枚ふんだくりやがった詐欺市長をとっちめに行くかぁ」
「お前まだ言ってるのか……」
どうやらジャックも寝ていたようで、寝起きながらやる気満々であった。
「そうだね……よし、母さんを助けに行こう!」
キョウスケは立ち上がり、母親の用意してくれたバックパックを背負う。
魔界へ向かう前、必ず見つけ出すと彼は母親と約束した。そのために魔界全土を歩き回る覚悟ではいたが、こんなにも早く、都合良く見つかるとは思ってもいなかった。
だからこそ、このチャンスを逃すわけにはならない。必ず母親を助けださねばならない。
少年の意思は、一つのダイアモンドのように強固なものとなった。
キョウスケ達三人は民宿を出た後、再び遺跡へ向かうため市街地の南にある遊歩道に向かった。
遊歩道は昼間の人集りがまるで嘘だったかのように、魔物一体すらいない。
というのも、エキドナの遺跡は夕方前には閉められてしまうため、その遺跡へ向かうこの道も自然と人通りが少なくなるのだった。
「……おい、あれ昼間にマモンの両側にいた奴等じゃねぇか?」
すると遊歩道の真ん中に、二体の魔物が立っているのがジャックには見えた。
その魔物は、体は人身にして頭は牛と馬。どちらとも昼間に見たマモンと同じく、黒いスーツに身を包み、牛頭の方は二股の槍を馬頭の方は薙刀を持っていた。
三人は一度、二体の魔物に見つからないよう遊歩道の木の裏に潜み、周りの状況を確認する。
グレイは辺りを見渡し、更に耳を使って他に伏兵がいないかどうか探知した。
「そうだな……奴等はもしかしたらマモンの配下なのかもしれない。他には誰もいないようだし、奴等を倒せばここは抜けれそうだな」
「でも肝心のマモンがいないよね……?どこにいるんだろう……」
この場にマモンの姿は無い。ここを突破し、遺跡に辿り着いたとしても、マモンがいなければ石碑の封印を解くことは出来ない。
そしてもしこれでマモンをおびき出せなければ、この作戦は失敗に終わることになる。
すると三人が隠れて様子を見ていると、遊歩道の真ん中に立っていた牛と馬頭の鬼達が何か話をしているのが聞こえてきた。
「ところで馬頭よ、ケルベロスが遺跡に来たとて、今日石碑を狙いに来るとは限らないのではないか?」
「しかし牛頭よ、これは市長の考えだし、市長は遺跡で待ち伏せをしている。我らだけのこのこ帰ったりなんかしたら市長が可哀想でござる。それにもしかしたら残業代が貰えるかもしれないでござる」
「そうか!残業代か!よし頑張るぞ馬頭よ!」
「うむ!頑張ろうぞ牛頭よ!」
二人は二股の槍と薙刀を交じらせ、気合を入れ直す。
二人の目当てはケルベロス討伐よりも、後から貰える残業代の方にあった。
「……あいつら公務員が滅多に残業代出ないの知っててやってるのかね?」
「でもあの魔物達のおかげでこの先にマモンがいることが分かったし、一応おびき出し作戦は成功したみたいだね」
「あぁ……だが問題はあの二人を突破しないとマモンのところまで辿り着けないことだな」
三人は再び木陰に座り込み、敵前にて作戦会議を始める。
「俺は逃げるのがベストだと思う。後からマモンと戦うことを考えると、奴等を相手にするのはあまりにも蛇足だ」
「オイラもそう思う!」
「うん、僕も無駄な戦いは避けたいかな……」
グレイの言う通り、マモンとの決戦を前に敵を、しかも二体をまともに相手にするのはあまりにも愚策である。
なので、ここは満場一致で逃げる作戦が採択された。
「よし……じゃあ逃げる作戦なのだが、手っ取り早い方法がどちらかが陽動で動き、その隙を突いて一方がマモンの元に向かうのがいいだろうと思う」
「まっよくある作戦だよなぁ……んで、オイラとグレイどっちが陽動やるんだ?」
「そりゃお前だろジャック」
グレイは真顔で答えると、ジャックは目を見開く。
「ちょっ!何で始めから決まってましたムード出してんだよ!オイラの出番は?マモンへの銀貨20枚の恨みは?」
「出番は今からある、カネの恨みは奴等に八つ当たりでもしてこい。はい完璧、行ってこい!」
グレイは頭を使ってグイグイとジャックを木陰から出そうとする。
「ちょっと!こんな中途半端な出番はやだっ!てか八つ当たりって適当過ぎるだろ!こ……ここはリーダーのキョウスケが決めるべきだろ?どっちがいいと思うキョウスケ?」
しかしキョウスケもこの選択には迷いはなかった。
「ジャックさん、陽動を頼むよ。父さんと母さんのことをよく知ってるのはグレイだし、もしかしたらってこともあるからさ」
「キョ……キョウスケまでも即答かよ!クソォ……分かったよやってやるよ!その代わりグレイ、オイラの分まで奴に銀貨20枚の恨みぶつけてこいよっ!!」
「あぁ、20枚だろうが40枚だろうがぶつけてきてやるよ」
ジャックはそうグレイに言い捨て、木陰から出て二人の鬼の元へ向かう。
「いいかキョウスケ、ジャックが奴等を引きつけ出したら俺の背中に乗れ。一気に駆け抜ける。それとジャックの魔技を一応使っておいてやれ、相手は二体いるからな」
「うん分かった!」
キョウスケとグレイはそのまま木陰からタイミングを伺う。
一方のジャックは二体の鬼の元へと接近していた。
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