The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

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第4章 エキドナの遺跡

010【1】

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「ゼーゼー……も……もう疲れたでござる」

「馬頭よ……我も立っているのが疲れた」

「オイラもぶら下がってるの疲れたよ……」

牛頭と馬頭、そしてジャックの戦いは続いていた。と言っても、戦況は全く変わらず、馬頭が振ってくる薙刀をジャックが避け、牛頭はただその場に突っ立っているだけ。
この場で圧倒的に楽なのは牛頭だった。

「なぁもう終わりにしねぇかこの不毛な戦い?どうせオイラ達の勝負が決まっても遺跡でやってる大将戦に勝った方が勝利だろ?」

ジャックは飽き飽きしながら、牛頭と馬頭に提案する。
所詮ここで行われているのは前哨戦に過ぎず、総大将が勝った方がどちらにせよ勝利を手に入れることになる。
まさに無駄な試合だった。

「ぬうう……一理あるな。馬頭よどうする?」

「ハァハァ……牛頭よ……そんなことより我は限界なのでござる」

その場で考えながら突っ立っている牛頭と、今にも膝から崩れ落ちそうな程疲れている馬頭。
二人がジャックの持ちかけた停戦に合意しようとしたその時だった。

「おいっ!そこで戦ってるの中止だ中止!もう決着は着いたぞ!」

マモンが手を振りながら、遺跡の方から歩いて来たのだ。

「ま……マモン市長!」
「無事ハァハァ……だったでござるか」

牛頭と馬頭はマモンの方に振り返る。
するとその後ろには、キョウスケとグレイ、そしてエキドナになったカコの姿もあった。

「おおっキョウスケ達も無事みてぇじゃねぇか」

ジャックは牛頭の背後から覗き見る。

「し……しかし市長、何故ケルベロス達と御一緒で?」

牛頭が尋ねると、マモンはフッフッフッと不敵に笑ってみせる。

「牛頭に馬頭よ、わたしは間も無く市長では無くなる。そして新たに商いを始め、彼らを支援していくことにしたんだ」

「支援……」
「でござるか?」

しかしその一言では、意味を理解出来ない牛頭と馬頭。
マモンは溜息をついて、理解力の無い部下に更に説明を付け加える。

「つまりわたしはこれから市長を辞め、新しく商売をするための会社を作るということだ。昔のようにな。ただ、今の状態では自由に商売は出来ないだろ?」

「自由に商売が出来ない……」
「魔王様の作った登録商人制度でござるか」

「……お前ら何故そんな難しい言葉は覚えていて、さっきの説明は分からんのだ?」

「頭が悪ければ悪い程」
「難しい言葉はカッコイイと思って覚えるのでござる」

「……そうか」

マモンは心底呆れた。
だが、こんな小馬鹿な部下が誰よりもマモンは好きだった。
マモンはゴホンと、一旦間を取るよう咳をし。

「兎にも角にも、登録商人制度がある限りわたし達は自由に商売が出来ない。だから彼らにベルゼブブを倒してもらい、彼らは世界を救え、我らは商売が自由に出来るようになる。だからこそ彼らを支援するということになったのだ」

「なるほど!」
「つまりウィンウィンの関係でござるな!」

「そういうことだ!」

牛頭と馬頭は納得し、持っていた二股の槍と薙刀を収めた。
するとジャックも牛頭の背中から下り、マモンに近づく。

「……ってことはあんたらも危険な目に遭うってことになり兼ねないが、それでもオイラ達を支えてくれるってことだな?」

「フッフッフッ……君も彼らの味方か。モチロンそのつもりだ。わたしにとってもベルゼブブは目の上のタンコブ……排除してもらいたいものなのでな」

「…………チッ、仕方ねぇ。銀貨20枚の恨みはチャラにしてやらぁ」

マモンの本気の目を見て、ジャックは恨みごと言葉を言い捨てた。
モチロンマモンには、何のことかサッパリ分からなかったが。
それからジャックはマモンの元を離れ、キョウスケ達の元へとやって来る。

「ジャックさんお疲れ様」

「おうキョウスケ、どうやらオイラの知らない間にマモンを抱き込んだみたいだな」

「まぁ……流れでこうなったんだけどね」

「ヘッヘッヘッそれでもスゲェよ!味方が多い方がこっちとしても動きやすくなるからな。それにアイツ、カネ持ってそうだし。旅は何かとカネがかかるからさ、それを工面してくれれば嬉しいんだけどな」

「ははは……それはどうだろう?」

キョウスケはジャックと共に笑い合う。とりあえずマモンの助けを借りるということに、ジャックが反対しなかったため、キョウスケはホッと肩を落とした。

「あらっ!そういえば一人多いと思ったらキョウスケ、かーちゃんを助けれたんだな」

「うん、マモンさんが石化を解いてくれたんだ」

キョウスケとジャックが話している間、カコはジャックの顔をまじまじと見ていた。

「……分かった!ハロウィン!ハロウィンの時のあのカボチャお化けだわっ!!何処かで見たことあると思ったのよねぇ~」

カコはパチンと両手の平を叩き、納得した表情をする。
一方のジャックは片眉を上げた。

「ハロウィン?オイラはカボチャお化けじゃなくて、ジャック・オー・ランタンのジャックだ。よろしくなキョウスケのかーちゃん!」

「キョウスケの母親カンダ カコです。よろしくお願いしますねジャックさん」

ジャックとカコは互いに握手を交わす。

「ヘッヘッヘッ……いやしかし男ばっかで旅してたから、こんなべっぴんさんが入ってくれると華があっていいなぁ!」

「あらっ!ジャックさんは口がお上手なんですねぇ華なんてそんな……ねぇキョウスケ?」

「ははは……」

「……むさ苦しくて悪かったな」

キョウスケは満悦した母親の笑みを見て、愛想笑いをし、グレイはジャックをひと睨みした。
キョウスケ一行はまた一人仲間が増え、益々賑やかさを増したのだった。
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