The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

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第4章 エキドナの遺跡

009【3】

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そしてカコは向き直り、マモンを見据える。

「あなたは……確かあの水の柱を出してた」

「マモンです。御子息には失礼を致しました。しかし、彼の力を見極めたかったのであのようなご無礼を……」

マモンはハットを片手で取り、カコに深く礼をする。するとカコは優しく笑い、首を横に振った。

「いえ……確かにキョウスケが苦しんでるのを見ていて心はいたたまれませんでしたが、それでもあれだけ強い方がキョウスケの味方になってくれるのなら、こんなに心強いものはありません。これからもよろしくお願いします」

カコもマモンに一礼を返す。これこそが大人の対応と言うべきだろうか、カコは決してマモンを責めるようなことはしなかった。

「そういえばこの岩場は何かやってるんですか?綺麗に通路があるみたいですけど」

カコは遺跡をぐるりと見回し、明らかに人工的に作られた通路を見つけてマモンに問う。
するとマモンはゾクッと背筋に悪寒が走った。

「あぁ……ハッハッハッこれはバベルの塔の遺跡跡でして、それを……」

「マモン……本当のことを言え」

これ見逃しと、グレイはマモンを睨みつけて口八丁のその口を封じる。

「あぁ……実はあなたを利用し観覧出来るようにしていたんです。エキドナというのは歴史的価値の高い魔物ですからね」

「歴史的価値の高い魔物……わたしがですか?」

カコはキョトンとする。
そもそもまず、カコは今まで魔物としての自分を見たことが無かったため、一体自分がどんな魔物なのか、それすらも分かって無かったのだ。

「母さんはエキドナっていう、魔獣の母って言われる程強力な魔物になってるんだ。なんか自分が強いなぁ~って思ったことない?」

キョウスケが尋ねると、カコには思い当たる節が幾つかあった。

「そういえばさっきの水の柱を防いだのもそうだけど、ダイミョウのお家に幻影を飛ばしてた時に思ったことなんだけどね。瓶が固くて開けられないことってあるじゃない?以前ならシュンジさんに開けてもらわないと開かなかったけど、あの姿になってからはすっかり自分で開けられるようになったのよね。それに下手に力を入れ過ぎたら瓶にヒビが入ったこともあったわ。あれってそういうことだったのねぇ~……」

カコは一人でに納得したような顔をする。
その分、周囲は困惑の表情に満ちていた。

「と……とにかくそういうことな……のかどうか分からないけど……。母さんは父さんの力で強力な魔物になったんだよ」

「そういうことなのねぇ……シュンジさんも色々考えてこの姿にしてたのね」

キョウスケは無理矢理まとめ上げ、カコはそれでも、その説明だけで納得した。

「あら……じゃあもしかしてこの遺跡……わたしの遺跡なの!?あらあらあら……こんな立派な遺跡勿体無いくらいだわ」

カコは謙遜しながらも、心なしか少し嬉しそうだった。

「母さん、なんかマモンさんに見世物にされてたのに嬉しそうだね?」

キョウスケの質問に、カコは笑みを浮かべながら答える。

「ん?だってこんな広い場所にいっぱいの人達がわたしを見に来てたんでしょ?そんな体験、アイドルにならないと味わえないことよキョウスケ。人に注目されるだけでも、歳をとると幸せなことなのよ」

軽い気持ちで尋ねたことだったが、深い答えが返って来てキョウスケは黙って首を縦に振ることしか出来なかった。
そしてそんなカコの姿を見て、怒ってないことを確信し、マモンはホッと胸を撫で下ろした。

「そうだキョウスケ魔札を!カコさん、キョウスケの力になれるよう、キョウスケと契約してくれませんかね?」

グレイの提案に、カコは快く頷く。

「えぇそうね!キョウスケ、今日からあなたの力になるわっ!!」

「うん、ありがとう母さん!」

キョウスケはポケットから白紙の魔札を取り出す。カコがそれに触れ、魔力を込めると、白紙だった魔札に蛇の刻印が刻まれた。

「フフッ!これでわたしも戦えるのね!魔法を使ったりするの昔から夢だったのよねぇ~……魔女じゃないのが少し残念だけど」

「ははっ……まあ無理はしないでね」

母親の生き生きしている姿に、キョウスケは苦笑いを浮かべる。
今度からはなるべく叱られるようなことはしないでおこうと、キョウスケは心の内でそう決めた。

「フッフッフッ……さてお母様も完全復活したようですし、少年……いやキョウスケ、君に渡したい物は市庁舎の市長室にあるんだ。着いて来てくれないかね?」

「市庁舎……分かりました行きましょう」

マモンの渡したい物とは何なのか、キョウスケには気になるところであった。
自分を強くするために、自分を見繕う。この言葉の意味がやっと分かるのだから。

「あら!あなた市長さんだったの!通りで遺跡を作れたり、こんな綺麗な格好なさってたんですね」

「フッフッフッ……お褒めに預かり光栄です。では市庁舎まで案内します」

マモンはカコに褒められ気を良くし、足早に三人の先を進んで行く。

「フフッ、市長さんだから本当に良いもの貰えるかもしれないわよキョウスケ?」

「そうなのかな?」

「フッ……まっ期待半分ってとこだな」

キョウスケとグレイとカコはマモンの後ろを横に揃って歩く。
四人が遺跡を後にすると、工事用の巨大なマジックバルブは消灯し、真っ暗になる。
エキドナの石碑が無くなった今、この場所は元の大穴の姿を取り戻したのだった。
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