The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

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間章2 天使を操る者

間章02【1】

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「ミレイ殿、ここが天使長室です。ミカエル様がお待ちです」

アークエンジェルに連れられ、ミレイが訪れたのは天使の大聖堂の祈りの間よりまだ奥にある、天使長室の扉の前だった。
天使長室の扉は特に装飾が為されている訳でもなく、特に大きいという訳でもなく、普通のサイズの片開きドアだった。

「失礼しまーす!」

ミレイがノックをすると、扉の中からまさに濁りの無い、透明だというに相応しい美しい男性の声が聞こえた。

「どうぞお入りください」

扉の先から聞こえると、ミレイは扉を開く。
扉の先には本棚が並んでおり、びっしりと本が詰まっている。
それ以外には天使長の机と、対談のために使う応接用の大机と椅子が置いてあった。

「ようこそいらっしゃいました神に選ばれし人間よ。わたしはミカエル、この天界を治めております」

「わたしはアキハバラミレイよ。あなたがこの天界の偉い人なんですね!よろしくお願いします!!」

「あっ!ミ……ミレイ殿!」

アークエンジェルがヒヤリと肝を冷やしたのは、ミレイがミカエルに、いつも通り手を差し伸べ握手を求めたことだ。
大天使の位であるアークエンジェルすら、ミカエルのその手に触れたことは一度たりとも無かった。

「ふふ……こちらこそよろしくお願いしますミレイ様」

ミカエルはミレイの握手に快く応じ、アークエンジェルもホッと胸を撫で下ろした。
その後、ミカエルとミレイは大机を挟んで対面になるようにして椅子に座った。

「さて……まずいきなりこの天界へあなたを連れ込んだことについて、礼を言わせてください」

「そんなのいいわよ!こんな綺麗な所に連れて来てもらって、さっきまで色んな場所をエンジェルの子に案内してもらってたの。すっごく楽しかったわ!」

「そうですか、それはお気に召して貰えたようで。この場所の長である私と致しましても嬉しい限りです」

相変わらずミレイはミカエルに対しても、いつも通りのラフな接し方を貫き、それを見てミカエルも微笑んでいたのだが、アークエンジェルはその間、ひと時も心を休める暇は無かった。

「さて、では本題に参りましょう。何故あなたがこの天界へ招かれたのか……そして何故私達があなたのことを神に選ばれたと言うのか」

「それあたしも気になってたのよね……何でみんなしてそう言うのか……もしかして交通事故の時に見たものが原因なのかなって思うんだけど……」

ミレイがボソリと言った一言に、ミカエルは一拍パンッと音を立てて、両手の平を合わせる。
その音を聞いて、ミレイもそしてアークエンジェルも肩をビクッと上げる。

「素晴らしい!あなたの言う通り、交通事故の時に見た白い羽……それこそがあなたが神に選ばれたという証拠なのです!!」

ミカエルは満面の笑みでミレイを褒め称える。

「あっ……あぁ!そういうことだったの!あたしてっきり手をパチンなんて叩くから、マズイこと言っちゃったのかと思ったわ!!」

ミレイは「なんだなんだ」と安堵し、上がっていた肩を下ろした。

「あら……これはビックリさせたようで申し訳ありません。しかしミレイ様がすぐに答えを当てましたので私もつい驚き、手を叩いてしまいました」

軽快に笑いながら、ミカエルは一言お詫びを入れる。
それを聞いて、側から見ているアークエンジェルもようやく安心することが出来た。

「さて……あの時あなたが見た羽は、我ら天使の羽にそっくりだったのではないでしょうか?」

「うん……確かにあの時見たものとそっくりだわ。でもちょっとなんだけど……わたしが思うに、ハーミィのも、アークさんのも、そしてミカエルさんの物とも違う気がするのよね」

「ほう……そこまで分かりますか。これは素晴らしい観察力をお持ちになっているようだ」

考え込むミレイを見て、ミカエルは感心する。
ほんの僅かな、一秒にも満たない瞬間であったはずなのに、ミレイの目にはその翼の細部までハッキリ見えていたのだ。

「そうです。その翼は天使の物に見えてそうではない……神に復活を許された者のみが見ることの出来る、神そのものの翼なのです」

「えっ……じゃああたしが見たのは……神様なの!?」

ミレイはそれだけでもギョッとしてしまうが、実はミカエルはそれよりも衝撃的なことを言っており、そのことに彼女はまだ気づいていないようだった。

「……その通りではありますがミレイ様、それよりも重大なことを私は言ったのですが……お気づきになりませんか?」

「えっ?そんなこと言ったかしら?」

ミレイはもう一度ミカエルの言ったことを思い出し、そして気になるもう一つのワードを探り当てる。

「そういえば……復活を許された者って言ってたけど、復活ってどういうことなの?」

復活という言葉の意味。
復活をするには、一度脱落する必要がある。しかしこの場に置いてその脱落とは何のことなのか、ミレイには分からず、ミカエルは先程までとは異なる冷ややかな微笑をしてみせた。

「あなたはあの時交通事故に遭われましたね?あの日、あなたの父親と母親は共に亡くなり、天に召して参りました。しかし、あなたは生き残った……と今まであなたは思っていたかもしれませんが、それは少し違うのです」

「少し違う?でもあたしはこうやって生きてるじゃない?」

ミレイは両手を広げて、左の指先から右の指先まで隅々と見て回る。
確かに自分の身体はここにあった。
だが、ミカエルは首を横に振り、変わらず微笑する。

「えぇ今は生きてます。しかしあなたはあの交通事故の際、間違いなく一度死んでいるのです」
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