The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

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第4章 エキドナの遺跡

010【4】

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「オイオイ!デビルサモナーとケルベロスとその一味って何でオイラだけ省略されてるんだよっ!……でもマズイ話になってきたな。これじゃあ天界にも向かえないし、何よりシンアルにいたら捕まるのも時間の問題だよな……」

ジャックは眉間にしわを寄せる。
モチロン、このままシンアルを封鎖されればバベルの塔へも向かえない上、更に街の内部の捜査など行われた時には完全に逃げ場を失う。
状況は彼らにとって、好ましくないものとなっていた。

「あなた達……デモンズスクエアに向かうのではなく、もしかして天界に向かうためこのシンアルに来たのですか!?」

ジャックの話を聞いて、マモンは呆気にとられる。
今までキョウスケ達は、ベルゼブブを倒すためデモンズスクエアに向かう最中なのだろうとマモンは勝手に思っていたからだ。

「は……はい、実は友達が天使に連れて行かれちゃったみたいで……それで天界に行くために僕達はシンアルに来たんです」

「お友達……ということは人間の子供ですよね?人間の子供を天使が連れて行く……一体何故……?」

考え込むマモン。
すると横からジャックが、更にマモンを混乱させるような情報を突っ込んでくる。

「オイラ連れて行かれるのを見てたんだが、ありゃあ天使の騎士団だったよ。しかも、一際目立つような鎧を着けてる奴がお嬢ちゃんを連れて行ってたよ」

「一際目立つ……もしや天界の騎士団長アークエンジェル!?あの大天使がわざわざ人間の子供を?!…………むむむ!!」

益々マモンの頭の中は混乱する。
一体天使が何を考えて人間の子供を連れ去ったりしたのか、その意図がマモンには分からなかった。

「……まあ並々ならぬ事情があって、天界へ向かうということですね」

天使でないマモンに天使の気持ちなど分かるはずもなく、彼は一旦考えることを投げ出した。

「キョウスケ……そのお友達ってまさかミレイちゃんのこと?」

カコはキョウスケに尋ねる。
キョウスケとは幼馴染のミレイ。モチロン、カコも彼女のことは今よりももっと小さい頃から知っていた。

「うん……魔界に一緒に行きたいって言われたから連れて来たんだけど、その途中ではぐれちゃって」

「そう……でもあの子キョウスケより根性あるし、ちょっとやそっとじゃ動じないと思うけど……それでもやっぱり心配ねぇ」

「僕より……否定出来ない」

好奇心旺盛で猪突猛進。
一度進めば後には引かず、持ち前の根性と元気でその場を乗り切って行く。それがミレイだった。
ただ、それ故に妙なことに首を突っ込んでないか、それだけが心配だった。

「分かりました……実はこのシンアルの街には地震で出来た騎士団も把握してない裏の出入口が存在しまして、この街の北にある路地の壁が壊れているんです。そこからなら検問を潜らずバベルの塔へ向かえるかと……と説明しただけじゃ分かりませんよね?」

「……そうですね」

シンアルの街は広く、マモンのようにこの街を知っている者ならともかく、キョウスケのように初めてこの街を訪れた者が路地のことまで把握しているはずもなかった。

「ではこれも渡しておきましょう。本来ならデモンズスクエアの高級階級の者しかまだ手に入っていない代物ですが、二台あるのであなたに一台お譲りします」

そう言ってマモンが懐から取り出し、キョウスケに手渡したのは、人間世界にあるスマートフォンのような機械だった。

「これって……スマートフォン?」

「いえいえ。これはPMM、パーソナルマジックメディアと言いまして、魔界の地図や情報、あと通話など他にも様々な機能のある便利な絡繰です」

要約すると、PMMは魔界版のスマートフォンであり、電気や電波といった概念が魔界にはないため、人間世界の携帯電話などは魔界では一切使えない。
現状、通信手段を持っていなかったキョウスケ達にとっては、まさに棚からぼた餅であった。

「ありがとうございますマモンさん!」

「いえいえ、これもあなた達への支援の一環だと思ってくだされば……さて、では北の抜け道の場所を地図でマーキングしておきましょう。操作は分かりますか?」

「いや……分からないです」

実はキョウスケ、見たことはあったが、これまで一度もスマートフォンに触れる機会が無かったため、このPMMどころかスマートフォンの操作も知らなかった。

「いいですか?ここがスイッチになってまして、そしたら機械が立ち上がります。画面は指で触れると動きますのでこう動かしまして……」

「おぉ……」

マモンはキョウスケの隣に来て、PMMの基本的な操作方法を教える。
そんな二人を囲むようにして、ジャックとグレイとカコは見ていた。

「はぁ~……便利な絡繰を貰ったもんだなぁ」

「フッ……月の石のブレスレットだけでも銀貨20枚なんて比にならないくらいなのに、こんな物まで貰ったらもう恨みなんてないだろ?」

「あぁっ!スッキリサッパリそんなもの忘れちまったぜ!!」

「?」

グレイとジャックは笑い合うが、未だにマモンには銀貨20枚のことが何のことかサッパリ分からなかった。

「それでこの地図機能を開きまして、シンアルの北部……ここに抜け道があります」

「なるほど……分かりました!」

マモンはキョウスケに粗方の操作方法を教え、抜け道の場所を地図でマーキングする。
その後もキョウスケはPMMの操作をしばらく振り返っていた。

「では……わたしももうこの街を離れなければなりませんのでこれで。何かありましたらPMMにわたしの番号を登録してますのでそちらで連絡ください」

「はい!何からなにまでありがとうございますマモンさん!!」

「フッフッフッ……では」

そう言ってマモンはキョウスケ達の元を去って行く。

「さて……また明日も大変な一日になりそうだし、そろそろ僕達も休もうか」

「あぁ……マモンから負った傷もこれくらいなら休めば治る。明日はベリトか……」

「ヘッヘッ……ベリトって言ったら魔界騎士団のトップ、ベルゼブブが最も信頼しているっていう部下じゃねぇか。また大変な相手になりそうだな……」

「まぁっそうなんですか……戦いなんてしたことないから、ちょっと不安ねぇ……」

交戦経験の無いカコにとって、最初の相手が魔界のトップに入る相手となると、不安になるのも当然であった。
だが、そんな母親の心配を真っ先に拭ったのが息子のキョウスケだった。

「母さんはマモンと戦ったじゃない?そのおかげで僕達は勝ったんだから、きっとベリトだってどうにか出来るよ」

「……フフッそうね。それにグレイさんもジャックさんも居るし、安心ね」

「おうっキョウスケのカーチャン!オイラ達に任せろいっ!!」

「フッ……張り切るのはいいが、空振りするなよ」

「ヘッ!お前もな!」

こうしてキョウスケの一行も、噴水の前を離れ、昼間に休憩のため使った民宿へと戻って行く。
シンアルの大都市は夜になっても未だマジックバルブの輝く建物が多く、人間世界の大都市と変わらない人工の光に包まれていた。
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