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第5章 バベルの塔
001【1】
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「起きなさいキョウスケ」
声を聞き、キョウスケはパッと目を覚ます。目の前には母親カコの顔があり、朝の光が差し込んでいるような気がした。
「はっ!おはよう母さん!い……今何時?早く支度して家を出ないとミレイに怒られちゃう!!」
「あらあらキョウスケ、ここはお家じゃなくて民宿のお部屋よ?寝ぼけて学校と間違えてるのかしら?」
「えっ……あっ……またか」
キョウスケが起き上がると、そこは小さな小部屋の中。
間違いなく家ではなく、シンアルにある民宿の部屋の中だった。
「わたしが起こしたから余計そう思っちゃった?」
「そうかも……あれっ?グレイとジャックさんは?」
キョウスケはすぐに気づく。部屋にはカコはいたが、グレイとジャックの姿が何処にも見当たらなかった。
「二人なら騎士団の検問が始まってないかって先に街に出て行ったわよ。それにキョウスケがあまりにもぐっすり寝てるからもうちょっと寝かせてあげようって」
「そ……そうだったんだ」
ここ数日、魔界に来てからというもののキョウスケの身には初めて起こることや、命懸けの戦闘が重なり合い疲れ果て、疲労はピークを過ぎていた。
なので周りの音も聞こえない程爆睡をしていたという訳だった。
「さっ、支度してわたし達も行きましょ?今日は忙しくなるんでしょ?」
「うん……そうだね」
こうして母親と二人で居ると、人間の世界にいるような気がするキョウスケ。
早くこんな、元の日々が戻るよう切に願うばかりだった。
荷物をまとめ、民宿を出た二人は偵察から帰って来たグレイとジャックにバッタリと鉢合わせした。
「おうキョウスケ!ぐっすり眠れたか?」
「うん、久々にちゃんと寝れた気がしたよ」
「そうか、そりゃあ良かった!起きる気配が全く無かったからさ……まっそりゃあ見慣れない魔界にいるだけでストレス溜まるだろうに、戦った相手が相手だけに疲れるのは無理ないか!」
ヘッヘッヘッと相変わらず陽気に笑うジャック。そして隣では、それに反して難しい顔をしたグレイが立っていた。
「グレイ……検問の方はどうだった?」
「うむ……本格的に騎士団の奴ら検問を敷いている。あそこから抜け出すのはほぼ無理だな。更に観光客の出入りで列も出来てたから、検問口じゃ遺跡以上に大混雑さ」
「遺跡以上って……大渋滞なんだね……」
シンアルには四つの街と外の出入り口があり、それ以外の場所は外壁で行き来を封じられている。というのも、このシンアルの街全体が戦争時になると砦の役割を果たすため、このような防壁が成されていた。
「なんせ一人一人の荷物チェックから身分証の提示までしなきゃならないんだぜ?このシンアルの街が大都市ってのを知らないのかねぇ騎士団は」
「まぁ……でもそれだけやらないといけないってことはよっぽどわたし達を捕まえるよう指示されたんでしょうねぇ」
「ヘッヘッ……こりゃ捕まったら裁判に掛けられても魔王命令で即刻死刑だぜ。今の魔界の司法はあって無いようなものだからな」
薄笑いをするジャックだが、心の底ではカコと同じように恐怖を感じていた。
昨日までの生ぬるい魔界の旅は終わりを告げ、ついに重罪人としての厳しい逃亡生活が始まったのだ。
「フッ……それに朝の新聞には一面にマモンの突然辞任の記事が載っててな。それに怒った魔王はマモンを役職完全破棄の上、突如七つ程の罪をくっつけて罪人に仕立て上げやがったよ」
「そんな滅茶苦茶な……!!」
「ベルゼブブはそういう奴なのさ。自分の意に背く者は徹底的に潰す。そうやって今の政権を維持している」
「……今の魔界に自由なんて無いんだね」
「あぁ……無い」
キョウスケの表情が陰り、グレイも言い切る。
今の魔界は魔王第一主義の王政の世界。逆らう者は反逆分子として罪人に仕立て上げ消される。
そして革命を起こそうにも、ベルゼブブとその配下である軍団のその強さに圧倒され、跡形も無く革命は抹消される。
力もあり政治も支配する……完全なる絶対王政が確立されていた。
「……さあさあしみったれた話はここまでにしてさ、これからバベルの塔へ突撃するんだ。もっと元気出していかねぇとやられちまうぞっ!」
「そうだね……よしっ行こう!っとその前に行く準備をしないと」
「何だよキョウスケ……締まんねぇな」
「へへへ……ちょっと待ってね」
ジャックの励ましで気持ちも切り替わり、キョウスケは昨日マモンから受け取ったPMMのマップシステムを作動する。
シンアルの北の路地裏にある外への抜け道、その場所にマークが着いており、ここをまず目指すこととなる。
声を聞き、キョウスケはパッと目を覚ます。目の前には母親カコの顔があり、朝の光が差し込んでいるような気がした。
「はっ!おはよう母さん!い……今何時?早く支度して家を出ないとミレイに怒られちゃう!!」
「あらあらキョウスケ、ここはお家じゃなくて民宿のお部屋よ?寝ぼけて学校と間違えてるのかしら?」
「えっ……あっ……またか」
キョウスケが起き上がると、そこは小さな小部屋の中。
間違いなく家ではなく、シンアルにある民宿の部屋の中だった。
「わたしが起こしたから余計そう思っちゃった?」
「そうかも……あれっ?グレイとジャックさんは?」
キョウスケはすぐに気づく。部屋にはカコはいたが、グレイとジャックの姿が何処にも見当たらなかった。
「二人なら騎士団の検問が始まってないかって先に街に出て行ったわよ。それにキョウスケがあまりにもぐっすり寝てるからもうちょっと寝かせてあげようって」
「そ……そうだったんだ」
ここ数日、魔界に来てからというもののキョウスケの身には初めて起こることや、命懸けの戦闘が重なり合い疲れ果て、疲労はピークを過ぎていた。
なので周りの音も聞こえない程爆睡をしていたという訳だった。
「さっ、支度してわたし達も行きましょ?今日は忙しくなるんでしょ?」
「うん……そうだね」
こうして母親と二人で居ると、人間の世界にいるような気がするキョウスケ。
早くこんな、元の日々が戻るよう切に願うばかりだった。
荷物をまとめ、民宿を出た二人は偵察から帰って来たグレイとジャックにバッタリと鉢合わせした。
「おうキョウスケ!ぐっすり眠れたか?」
「うん、久々にちゃんと寝れた気がしたよ」
「そうか、そりゃあ良かった!起きる気配が全く無かったからさ……まっそりゃあ見慣れない魔界にいるだけでストレス溜まるだろうに、戦った相手が相手だけに疲れるのは無理ないか!」
ヘッヘッヘッと相変わらず陽気に笑うジャック。そして隣では、それに反して難しい顔をしたグレイが立っていた。
「グレイ……検問の方はどうだった?」
「うむ……本格的に騎士団の奴ら検問を敷いている。あそこから抜け出すのはほぼ無理だな。更に観光客の出入りで列も出来てたから、検問口じゃ遺跡以上に大混雑さ」
「遺跡以上って……大渋滞なんだね……」
シンアルには四つの街と外の出入り口があり、それ以外の場所は外壁で行き来を封じられている。というのも、このシンアルの街全体が戦争時になると砦の役割を果たすため、このような防壁が成されていた。
「なんせ一人一人の荷物チェックから身分証の提示までしなきゃならないんだぜ?このシンアルの街が大都市ってのを知らないのかねぇ騎士団は」
「まぁ……でもそれだけやらないといけないってことはよっぽどわたし達を捕まえるよう指示されたんでしょうねぇ」
「ヘッヘッ……こりゃ捕まったら裁判に掛けられても魔王命令で即刻死刑だぜ。今の魔界の司法はあって無いようなものだからな」
薄笑いをするジャックだが、心の底ではカコと同じように恐怖を感じていた。
昨日までの生ぬるい魔界の旅は終わりを告げ、ついに重罪人としての厳しい逃亡生活が始まったのだ。
「フッ……それに朝の新聞には一面にマモンの突然辞任の記事が載っててな。それに怒った魔王はマモンを役職完全破棄の上、突如七つ程の罪をくっつけて罪人に仕立て上げやがったよ」
「そんな滅茶苦茶な……!!」
「ベルゼブブはそういう奴なのさ。自分の意に背く者は徹底的に潰す。そうやって今の政権を維持している」
「……今の魔界に自由なんて無いんだね」
「あぁ……無い」
キョウスケの表情が陰り、グレイも言い切る。
今の魔界は魔王第一主義の王政の世界。逆らう者は反逆分子として罪人に仕立て上げ消される。
そして革命を起こそうにも、ベルゼブブとその配下である軍団のその強さに圧倒され、跡形も無く革命は抹消される。
力もあり政治も支配する……完全なる絶対王政が確立されていた。
「……さあさあしみったれた話はここまでにしてさ、これからバベルの塔へ突撃するんだ。もっと元気出していかねぇとやられちまうぞっ!」
「そうだね……よしっ行こう!っとその前に行く準備をしないと」
「何だよキョウスケ……締まんねぇな」
「へへへ……ちょっと待ってね」
ジャックの励ましで気持ちも切り替わり、キョウスケは昨日マモンから受け取ったPMMのマップシステムを作動する。
シンアルの北の路地裏にある外への抜け道、その場所にマークが着いており、ここをまず目指すこととなる。
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