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間章2 天使を操る者
間章02【4】
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天界の天使長ですら分からない不測の事態。
だがその理由はすぐに明らかとなった。
「あっ!何かこっちに来る!」
ミレイが天窓を指差すと、天窓から何かこちらに飛んで来るものが見えた。
それは穢れの全くない純白な翼を持ち、白銀の髪を靡かせた碧眼の女性の天使だった。
「っ!ま……まさか彼女は!!」
突如、その姿を見てミカエルは愕然とする。
そう、それはミカエルすらも不測も不測、全く予想出来なかった事態だったのである。
「ミカエルさん、あの天使とは知り合いなんですか?」
「えぇ……知り合いも知り合い、我ら神の御前に立つ四大天使の一人です。まさか……ミレイ様のパートナーは彼女なのかもしれません」
「あの人が……あたしのパートナー?」
直後白銀の髪の天使はミレイの前に降り立ち、その翼を閉じた。
「あのぅ……」
「な……なんですか」
すると白銀の髪の天使は屈み込み、ミレイに小さな声で確認をとった。
「私しっかり飛べていましたかね?そのぅ……久しぶりに飛んだので心配になっちゃって」
「……あたしは飛んだことすらないからどうか分からないけど、一応は良かったと思うわよ」
「あっそうですか!ならよかったぁ~……」
白銀の髪の天使はホッと溜息をつき、それからすっくと立ち上がった。
「んっん~……あーあー……私はガブリエル。神の子のあなたに仕えよと仰せつかりを受け、ここに来ま……じゃなくて……参上つかまつりました」
周りの天使はオーッと歓声を上げる中、ミレイはガブリエルに対しジトっとした視線を向ける。
「……天使達は褒めてるけど格好決まってないわよ」
「んぎっ!しーっ!上手くいってるから合わせて下さいよっ!!」
ガブリエルは人差し指を立て、口元に持っていく。
どうやらこれだけの天使を前に緊張をしているようだった。
「いやいや上手くいってないわよあなた。最初しゃがんでたのみんな見てたし、言葉をわざわざそれっぽくしたのも知ってるし……」
「ヒィ~やめてっ!そうやって蒸し返されると聞いてる私が恥ずかしくなるからっ!」
シーッシーッとガブリエルはミレイを制止しようとするが、その行為すらも周りには見えており、苦笑いする天使も幾らかいた。
「ガブリエル……まさかあなたが遣わされるとは思いもしませんでした」
ミカエルが言うと、ガブリエルはパッと明るく笑い、ミカエルに歩み寄った。
「ミカエル様お久しぶりです!いつ振りでしたかね?」
「……二日前くらいに天上世界に行った時会ったと思いますが」
「えっ!!?あっ!!あれっそうでしたかね?でも……でも二日前も気持ちで考えると久しぶりに……」
「なりません」
「ですよねぇ~……すいません」
すっかり肩を落とすガブリエルにやれやれと首を横に振るミカエル。
「気を落とさないでください、君はいつもそうだから私も慣れています」
「……今のが一番傷つきましたが」
更にしょげるガブリエルを見て、ミカエルも乾いた笑いをし、そしてミレイに紹介する。
「ミレイ様、彼女はガブリエルです。私達四大天使の一人にして、天上世界で直接神に仕える天使です。そしてガブリエル、彼女はミレイ様です。神の子の恩恵を受けたエンジェルサモナーです」
「はじめましてアキハバラミレイよ。なにしょげてるのよ、挨拶の時くらい元気になりなさいよ!」
相変わらずミレイはガブリエルにも、いつものように手を差し伸べる。
その手を見て、ガブリエルも自分の手を差し出した。
「元気……元気……は……はいっ!私はガブリエルです!天上世界から参りました四大天使の一人です!!よろしくお願いしまーす!!」
自己紹介なのに、まるで選手宣誓のように大声を張り上げるガブリエル。
そんなガブリエルを見て、ミカエルは愉快に笑った。
「ふふっ……ではお互いの軽い自己紹介は終わりましたし、ガブリエルの印を天使の書に記しましょう。ミレイ様天使の書を開いてください」
「えっと……これでいいのかしら?」
ミレイは天使の書の最初のページを開き、ミカエルに見せる。
「はいそこで結構です。ではガブリエル、天使の書に手をかざしてください」
「は……はいっ!」
ガブリエルは天使の書に自分の掌をかざす。すると天使の書は反応して、そのページにガブリエルの印が浮かび上がってきた。
「はいこれで契約終了です。ガブリエルはこれで晴れてミレイ様のパートナーとなりましたよ?」
「へぇ~結構簡単に終わるものなのね」
「うぅ~……初めての契約だったから緊張しましたが、痛くなくてよかったぁ~」
「……アンタはどんな契約を想像してたのよ」
「よくあるじゃないですかぁ……親指を口で噛み切ったり、ナイフで傷を付けたりして拇印をとるやつが。あれするのかと思ってたので恐くてなかなかこっちに来れなかったんですよねぇ」
「何処の世界の契約のこと言ってるのよアンタ……どうりで天窓が光ってたのにしばらく何も出てこなかったのね」
ミレイは大きな溜息をつく。
鈍臭いところといい、変に恐れるところといい、ガブリエルは何処かキョウスケに似ているような気がした。
「さて……では早速ですがお二人に一つお願いしたいことがありますので、天使長室に戻りましょう」
そう言うとミカエルは中央祭壇を後にし、通路を歩いて天使長室へと戻って行く。
「な……何でしょうかねミカエル様がお願いしたいことって?」
「血の契約かも……血がブッシャーって流れる恐ろしいやつかも」
ミレイはまるで怪談話をするかのように、恨めしい声色を出すと、ガブリエルの背筋が凍り付いた。
「ヒィッ!!そんな悪魔的な儀式私は嫌ですぅ~っ!!!」
「嘘よ、ほらっさっさと行くわよ」
ミレイは天使長室への通路のど真ん中をずかずかと先に大股で歩いて行き、ミカエルに追いつく。
周りで見ていた天使達も次々に持ち場へと戻って行き、祈りの間にはガブリエルだけが残された。
「ほらっ!ボサッとしないで歩きなさい!!」
「はっはい!」
言われるがまま、ガブリエルは真っ白なガウンの裾を上げて小走りする。
「……あの人本当に神の子なの?ガサツというか……怖いというか……」
「走れ走れぇ~!チンタラしてたら置いてくわよっ!!」
「はっ!はいぃっ!!」
急かされ、 ミレイに駆け寄った時にはガブリエルは息切れを起こしており、そんな二人の姿を見てミカエルは笑っていた。
だがその理由はすぐに明らかとなった。
「あっ!何かこっちに来る!」
ミレイが天窓を指差すと、天窓から何かこちらに飛んで来るものが見えた。
それは穢れの全くない純白な翼を持ち、白銀の髪を靡かせた碧眼の女性の天使だった。
「っ!ま……まさか彼女は!!」
突如、その姿を見てミカエルは愕然とする。
そう、それはミカエルすらも不測も不測、全く予想出来なかった事態だったのである。
「ミカエルさん、あの天使とは知り合いなんですか?」
「えぇ……知り合いも知り合い、我ら神の御前に立つ四大天使の一人です。まさか……ミレイ様のパートナーは彼女なのかもしれません」
「あの人が……あたしのパートナー?」
直後白銀の髪の天使はミレイの前に降り立ち、その翼を閉じた。
「あのぅ……」
「な……なんですか」
すると白銀の髪の天使は屈み込み、ミレイに小さな声で確認をとった。
「私しっかり飛べていましたかね?そのぅ……久しぶりに飛んだので心配になっちゃって」
「……あたしは飛んだことすらないからどうか分からないけど、一応は良かったと思うわよ」
「あっそうですか!ならよかったぁ~……」
白銀の髪の天使はホッと溜息をつき、それからすっくと立ち上がった。
「んっん~……あーあー……私はガブリエル。神の子のあなたに仕えよと仰せつかりを受け、ここに来ま……じゃなくて……参上つかまつりました」
周りの天使はオーッと歓声を上げる中、ミレイはガブリエルに対しジトっとした視線を向ける。
「……天使達は褒めてるけど格好決まってないわよ」
「んぎっ!しーっ!上手くいってるから合わせて下さいよっ!!」
ガブリエルは人差し指を立て、口元に持っていく。
どうやらこれだけの天使を前に緊張をしているようだった。
「いやいや上手くいってないわよあなた。最初しゃがんでたのみんな見てたし、言葉をわざわざそれっぽくしたのも知ってるし……」
「ヒィ~やめてっ!そうやって蒸し返されると聞いてる私が恥ずかしくなるからっ!」
シーッシーッとガブリエルはミレイを制止しようとするが、その行為すらも周りには見えており、苦笑いする天使も幾らかいた。
「ガブリエル……まさかあなたが遣わされるとは思いもしませんでした」
ミカエルが言うと、ガブリエルはパッと明るく笑い、ミカエルに歩み寄った。
「ミカエル様お久しぶりです!いつ振りでしたかね?」
「……二日前くらいに天上世界に行った時会ったと思いますが」
「えっ!!?あっ!!あれっそうでしたかね?でも……でも二日前も気持ちで考えると久しぶりに……」
「なりません」
「ですよねぇ~……すいません」
すっかり肩を落とすガブリエルにやれやれと首を横に振るミカエル。
「気を落とさないでください、君はいつもそうだから私も慣れています」
「……今のが一番傷つきましたが」
更にしょげるガブリエルを見て、ミカエルも乾いた笑いをし、そしてミレイに紹介する。
「ミレイ様、彼女はガブリエルです。私達四大天使の一人にして、天上世界で直接神に仕える天使です。そしてガブリエル、彼女はミレイ様です。神の子の恩恵を受けたエンジェルサモナーです」
「はじめましてアキハバラミレイよ。なにしょげてるのよ、挨拶の時くらい元気になりなさいよ!」
相変わらずミレイはガブリエルにも、いつものように手を差し伸べる。
その手を見て、ガブリエルも自分の手を差し出した。
「元気……元気……は……はいっ!私はガブリエルです!天上世界から参りました四大天使の一人です!!よろしくお願いしまーす!!」
自己紹介なのに、まるで選手宣誓のように大声を張り上げるガブリエル。
そんなガブリエルを見て、ミカエルは愉快に笑った。
「ふふっ……ではお互いの軽い自己紹介は終わりましたし、ガブリエルの印を天使の書に記しましょう。ミレイ様天使の書を開いてください」
「えっと……これでいいのかしら?」
ミレイは天使の書の最初のページを開き、ミカエルに見せる。
「はいそこで結構です。ではガブリエル、天使の書に手をかざしてください」
「は……はいっ!」
ガブリエルは天使の書に自分の掌をかざす。すると天使の書は反応して、そのページにガブリエルの印が浮かび上がってきた。
「はいこれで契約終了です。ガブリエルはこれで晴れてミレイ様のパートナーとなりましたよ?」
「へぇ~結構簡単に終わるものなのね」
「うぅ~……初めての契約だったから緊張しましたが、痛くなくてよかったぁ~」
「……アンタはどんな契約を想像してたのよ」
「よくあるじゃないですかぁ……親指を口で噛み切ったり、ナイフで傷を付けたりして拇印をとるやつが。あれするのかと思ってたので恐くてなかなかこっちに来れなかったんですよねぇ」
「何処の世界の契約のこと言ってるのよアンタ……どうりで天窓が光ってたのにしばらく何も出てこなかったのね」
ミレイは大きな溜息をつく。
鈍臭いところといい、変に恐れるところといい、ガブリエルは何処かキョウスケに似ているような気がした。
「さて……では早速ですがお二人に一つお願いしたいことがありますので、天使長室に戻りましょう」
そう言うとミカエルは中央祭壇を後にし、通路を歩いて天使長室へと戻って行く。
「な……何でしょうかねミカエル様がお願いしたいことって?」
「血の契約かも……血がブッシャーって流れる恐ろしいやつかも」
ミレイはまるで怪談話をするかのように、恨めしい声色を出すと、ガブリエルの背筋が凍り付いた。
「ヒィッ!!そんな悪魔的な儀式私は嫌ですぅ~っ!!!」
「嘘よ、ほらっさっさと行くわよ」
ミレイは天使長室への通路のど真ん中をずかずかと先に大股で歩いて行き、ミカエルに追いつく。
周りで見ていた天使達も次々に持ち場へと戻って行き、祈りの間にはガブリエルだけが残された。
「ほらっ!ボサッとしないで歩きなさい!!」
「はっはい!」
言われるがまま、ガブリエルは真っ白なガウンの裾を上げて小走りする。
「……あの人本当に神の子なの?ガサツというか……怖いというか……」
「走れ走れぇ~!チンタラしてたら置いてくわよっ!!」
「はっ!はいぃっ!!」
急かされ、 ミレイに駆け寄った時にはガブリエルは息切れを起こしており、そんな二人の姿を見てミカエルは笑っていた。
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