The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

文字の大きさ
64 / 71
間章2 天使を操る者

間章02【4】

しおりを挟む
天界の天使長ですら分からない不測の事態。
だがその理由はすぐに明らかとなった。

「あっ!何かこっちに来る!」

ミレイが天窓を指差すと、天窓から何かこちらに飛んで来るものが見えた。
それは穢れの全くない純白な翼を持ち、白銀の髪を靡かせた碧眼の女性の天使だった。

「っ!ま……まさか彼女は!!」

突如、その姿を見てミカエルは愕然とする。
そう、それはミカエルすらも不測も不測、全く予想出来なかった事態だったのである。

「ミカエルさん、あの天使とは知り合いなんですか?」

「えぇ……知り合いも知り合い、我ら神の御前に立つ四大天使の一人です。まさか……ミレイ様のパートナーは彼女なのかもしれません」

「あの人が……あたしのパートナー?」

直後白銀の髪の天使はミレイの前に降り立ち、その翼を閉じた。

「あのぅ……」

「な……なんですか」

すると白銀の髪の天使は屈み込み、ミレイに小さな声で確認をとった。

「私しっかり飛べていましたかね?そのぅ……久しぶりに飛んだので心配になっちゃって」

「……あたしは飛んだことすらないからどうか分からないけど、一応は良かったと思うわよ」

「あっそうですか!ならよかったぁ~……」

白銀の髪の天使はホッと溜息をつき、それからすっくと立ち上がった。

「んっん~……あーあー……私はガブリエル。神の子のあなたに仕えよと仰せつかりを受け、ここに来ま……じゃなくて……参上つかまつりました」

周りの天使はオーッと歓声を上げる中、ミレイはガブリエルに対しジトっとした視線を向ける。

「……天使達は褒めてるけど格好決まってないわよ」

「んぎっ!しーっ!上手くいってるから合わせて下さいよっ!!」

ガブリエルは人差し指を立て、口元に持っていく。
どうやらこれだけの天使を前に緊張をしているようだった。

「いやいや上手くいってないわよあなた。最初しゃがんでたのみんな見てたし、言葉をわざわざそれっぽくしたのも知ってるし……」

「ヒィ~やめてっ!そうやって蒸し返されると聞いてる私が恥ずかしくなるからっ!」

シーッシーッとガブリエルはミレイを制止しようとするが、その行為すらも周りには見えており、苦笑いする天使も幾らかいた。

「ガブリエル……まさかあなたが遣わされるとは思いもしませんでした」

ミカエルが言うと、ガブリエルはパッと明るく笑い、ミカエルに歩み寄った。

「ミカエル様お久しぶりです!いつ振りでしたかね?」

「……二日前くらいに天上世界に行った時会ったと思いますが」

「えっ!!?あっ!!あれっそうでしたかね?でも……でも二日前も気持ちで考えると久しぶりに……」

「なりません」

「ですよねぇ~……すいません」

すっかり肩を落とすガブリエルにやれやれと首を横に振るミカエル。

「気を落とさないでください、君はいつもそうだから私も慣れています」

「……今のが一番傷つきましたが」

更にしょげるガブリエルを見て、ミカエルも乾いた笑いをし、そしてミレイに紹介する。

「ミレイ様、彼女はガブリエルです。私達四大天使の一人にして、天上世界で直接神に仕える天使です。そしてガブリエル、彼女はミレイ様です。神の子の恩恵を受けたエンジェルサモナーです」

「はじめましてアキハバラミレイよ。なにしょげてるのよ、挨拶の時くらい元気になりなさいよ!」

相変わらずミレイはガブリエルにも、いつものように手を差し伸べる。
その手を見て、ガブリエルも自分の手を差し出した。

「元気……元気……は……はいっ!私はガブリエルです!天上世界から参りました四大天使の一人です!!よろしくお願いしまーす!!」

自己紹介なのに、まるで選手宣誓のように大声を張り上げるガブリエル。
そんなガブリエルを見て、ミカエルは愉快に笑った。

「ふふっ……ではお互いの軽い自己紹介は終わりましたし、ガブリエルの印を天使の書に記しましょう。ミレイ様天使の書を開いてください」

「えっと……これでいいのかしら?」

ミレイは天使の書の最初のページを開き、ミカエルに見せる。

「はいそこで結構です。ではガブリエル、天使の書に手をかざしてください」

「は……はいっ!」

ガブリエルは天使の書に自分の掌をかざす。すると天使の書は反応して、そのページにガブリエルの印が浮かび上がってきた。

「はいこれで契約終了です。ガブリエルはこれで晴れてミレイ様のパートナーとなりましたよ?」

「へぇ~結構簡単に終わるものなのね」

「うぅ~……初めての契約だったから緊張しましたが、痛くなくてよかったぁ~」

「……アンタはどんな契約を想像してたのよ」

「よくあるじゃないですかぁ……親指を口で噛み切ったり、ナイフで傷を付けたりして拇印をとるやつが。あれするのかと思ってたので恐くてなかなかこっちに来れなかったんですよねぇ」

「何処の世界の契約のこと言ってるのよアンタ……どうりで天窓が光ってたのにしばらく何も出てこなかったのね」

ミレイは大きな溜息をつく。
鈍臭いところといい、変に恐れるところといい、ガブリエルは何処かキョウスケに似ているような気がした。

「さて……では早速ですがお二人に一つお願いしたいことがありますので、天使長室に戻りましょう」

そう言うとミカエルは中央祭壇を後にし、通路を歩いて天使長室へと戻って行く。

「な……何でしょうかねミカエル様がお願いしたいことって?」

「血の契約かも……血がブッシャーって流れる恐ろしいやつかも」

ミレイはまるで怪談話をするかのように、恨めしい声色を出すと、ガブリエルの背筋が凍り付いた。

「ヒィッ!!そんな悪魔的な儀式私は嫌ですぅ~っ!!!」

「嘘よ、ほらっさっさと行くわよ」

ミレイは天使長室への通路のど真ん中をずかずかと先に大股で歩いて行き、ミカエルに追いつく。
周りで見ていた天使達も次々に持ち場へと戻って行き、祈りの間にはガブリエルだけが残された。

「ほらっ!ボサッとしないで歩きなさい!!」

「はっはい!」

言われるがまま、ガブリエルは真っ白なガウンの裾を上げて小走りする。

「……あの人本当に神の子なの?ガサツというか……怖いというか……」

「走れ走れぇ~!チンタラしてたら置いてくわよっ!!」

「はっ!はいぃっ!!」

急かされ、 ミレイに駆け寄った時にはガブリエルは息切れを起こしており、そんな二人の姿を見てミカエルは笑っていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

処理中です...