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第5章 バベルの塔
001【2】
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「騎士団は俺が見る限りでは街の警備まではしていなかった。シンアルの街は広いから、検問だけで手一杯なんだろうよ」
「オイラも見なかったなぁ……だからこの抜け道まで行くのは簡単かもしれねぇな」
グレイとジャックの偵察から考えるに、街の中は手薄となっており、抜け道があると分かっている今、脱出に支障が出る心配は全く無かった。
だが、街を脱出するまではあくまで序章に過ぎず、本番はその先にあった。
「じゃあ問題はバベルの塔に入ってからってことになるわよね?」
「そう……やっぱりそこがネックだよね……」
バベルの塔……唯一魔界と天界を結ぶ天の扉が存在し、それは最上階である十階に設置されてある。
しかしその場所は騎士団の拠点となっており、つまりキョウスケ達は街から脱出したとしても、その後敵の本拠地に殴り込むという、何とも支離滅裂なことをやってのけねばならなかったのだ。
「キョウスケ、そのPMMでバベルの塔の内部の地図は出せないのか?そしたら作戦を組みやすいんだが」
「うぅ~ん……ちょっと待って」
グレイの提案でキョウスケはバベルの塔の地図を探し始める。
昨日マモンの教えられた通り、検索機能で探してみると、一枚の地図が検索に当てはまった。
「これだけど……あれ?バベルの塔って二つしかフロアが無いの?」
地図を開くと、地図は一階のフロアの図、そして塔を上るための螺旋状の階段が壁に添って設置してある図があり、最後に最上階のフロアの図の三つのみが出てきた。
「あぁ、バベルの塔は十階まであると言われているが、実際はフロアは一階と最上階しかない。あとは全部階段だからな」
「へぇ……本当に上るだけの塔なんだね」
「あぁ、なんせ天に昇るためだけに造られた塔だからな」
人は昔、天から地へ落とされ、再び天を目指そうと塔を造ったのがこのバベルの塔だった。
だからこの魔界に現存するバベルの塔もそれと同じであり、ただ天を目指すためだけに造られた巨塔だったのだ。
「ヘッヘッヘッ、でもシンプルな作りだからいいじゃねぇか」
「いやシンプルだからこそ手強いんだこの塔は。見てみろ、この塔出入口は一つしかないんだ。だから外から忍び込むとするなら一気に二階から入るしかない」
「じゃあ二階から入ればいいじゃねぇか?」
「……一階と二階の間の高さは12メートルもあるんだぞ」
「ゲッ!!?そんなにあるのかよ!!」
ジャックはグレイから聞いて、目を丸くする。
12メートルというと、マンションで考えるなら6階相当の高さに匹敵し、バベルの塔の階層の高さは普通の建物の倍高く造られており、縄ばしごで幾多の高い塀を乗り越えてきたジャックでも、これほど高い場所を乗り越えたことは無かった。
「しかし正面には騎士団の守りがある……シンプルながら厄介な塔だ」
グレイはキョウスケの持っているPMMに映るマップを覗きながら、頭を捻る。
やはり問題は、この一つしかない入口にあった。
「……ねぇ、入口をもう一つ作ることって出来ないのかしら?」
突如、カコの提案に全員が振り向く。
「もう一つ……入口を?」
「うん、だってこの塔って古いものなんでしょう?力を合わせたら壁だって壊せるかもしれないじゃない」
「そ……そうかその手があったか!!」
カコの何気無い一言で、グレイは閃く。
平面の地図だけを見ていると、その地図に記されている情報が全てだと思い込んでしまい、それこそが大きな見落としとなることがある。
出入口がここからしかない、ここからしか入れないと錯覚してしまうのだ。
「カコさんの言う通り……壁を破ればそこから入ることは出来る。だがバベルの塔の壁は分厚くすぐには壊せない。そこで一つ俺に策がある」
グレイは自らの考えた作戦を他の三人に伝える。
すると、真っ先に苦い表情をしたのはジャックだった。
「おいおいそんな作戦で大丈夫なのかよ?あまりにもリスキーじゃねぇか?」
「どちらにしろこの塔に入ったところで多少のリスクは関係ない。問題は12メートルの縄があるかどうかと、ジャックとカコさんで俺とキョウスケを引っ張る力があるかどうかだ」
「これだけの大都市だ、縄はあるだろうさ。それに重さって言ったって子供一人と犬一匹だろ?大丈夫だよなキョウスケのカーチャン?」
「えぇ!わたしとジャックさんに任せなさいっ!」
「犬じゃないケルベロスだ!……キョウスケこの案で大丈夫か?」
グレイがキョウスケに確認をとると、彼も黙って頷いた。
「僕もそれが一番いいと思う。まぁちょっと心配だけど……やってみる価値はあると思うよ!」
「よっしゃあ!じゃあ決まりだな!そうとなったら道具屋に縄を買いに行こうぜ!」
ジャックは意気揚々と先頭を切って歩き、その後ろに三人は着く。
「ねぇグレイ……縄を買うお金って誰が出すの?」
「先頭歩いてるアイツじゃないか?アイツが持ってる金が俺達の全財産だからな」
「ジャックさんには悪いけど……ここはさりげなく奢って貰いましょ?」
結局、道具屋で縄の代金を支払ったのはジャックだった。
だがジャックは奢らされたことにも気づかず、民宿の宿代同様、ただ自然とお金を払っていた。
その一方で、素知らぬ顔をする文無し三人。
ジャックの財布は本人の知らぬ内に、四人全員の財布と化していたのだった。
「オイラも見なかったなぁ……だからこの抜け道まで行くのは簡単かもしれねぇな」
グレイとジャックの偵察から考えるに、街の中は手薄となっており、抜け道があると分かっている今、脱出に支障が出る心配は全く無かった。
だが、街を脱出するまではあくまで序章に過ぎず、本番はその先にあった。
「じゃあ問題はバベルの塔に入ってからってことになるわよね?」
「そう……やっぱりそこがネックだよね……」
バベルの塔……唯一魔界と天界を結ぶ天の扉が存在し、それは最上階である十階に設置されてある。
しかしその場所は騎士団の拠点となっており、つまりキョウスケ達は街から脱出したとしても、その後敵の本拠地に殴り込むという、何とも支離滅裂なことをやってのけねばならなかったのだ。
「キョウスケ、そのPMMでバベルの塔の内部の地図は出せないのか?そしたら作戦を組みやすいんだが」
「うぅ~ん……ちょっと待って」
グレイの提案でキョウスケはバベルの塔の地図を探し始める。
昨日マモンの教えられた通り、検索機能で探してみると、一枚の地図が検索に当てはまった。
「これだけど……あれ?バベルの塔って二つしかフロアが無いの?」
地図を開くと、地図は一階のフロアの図、そして塔を上るための螺旋状の階段が壁に添って設置してある図があり、最後に最上階のフロアの図の三つのみが出てきた。
「あぁ、バベルの塔は十階まであると言われているが、実際はフロアは一階と最上階しかない。あとは全部階段だからな」
「へぇ……本当に上るだけの塔なんだね」
「あぁ、なんせ天に昇るためだけに造られた塔だからな」
人は昔、天から地へ落とされ、再び天を目指そうと塔を造ったのがこのバベルの塔だった。
だからこの魔界に現存するバベルの塔もそれと同じであり、ただ天を目指すためだけに造られた巨塔だったのだ。
「ヘッヘッヘッ、でもシンプルな作りだからいいじゃねぇか」
「いやシンプルだからこそ手強いんだこの塔は。見てみろ、この塔出入口は一つしかないんだ。だから外から忍び込むとするなら一気に二階から入るしかない」
「じゃあ二階から入ればいいじゃねぇか?」
「……一階と二階の間の高さは12メートルもあるんだぞ」
「ゲッ!!?そんなにあるのかよ!!」
ジャックはグレイから聞いて、目を丸くする。
12メートルというと、マンションで考えるなら6階相当の高さに匹敵し、バベルの塔の階層の高さは普通の建物の倍高く造られており、縄ばしごで幾多の高い塀を乗り越えてきたジャックでも、これほど高い場所を乗り越えたことは無かった。
「しかし正面には騎士団の守りがある……シンプルながら厄介な塔だ」
グレイはキョウスケの持っているPMMに映るマップを覗きながら、頭を捻る。
やはり問題は、この一つしかない入口にあった。
「……ねぇ、入口をもう一つ作ることって出来ないのかしら?」
突如、カコの提案に全員が振り向く。
「もう一つ……入口を?」
「うん、だってこの塔って古いものなんでしょう?力を合わせたら壁だって壊せるかもしれないじゃない」
「そ……そうかその手があったか!!」
カコの何気無い一言で、グレイは閃く。
平面の地図だけを見ていると、その地図に記されている情報が全てだと思い込んでしまい、それこそが大きな見落としとなることがある。
出入口がここからしかない、ここからしか入れないと錯覚してしまうのだ。
「カコさんの言う通り……壁を破ればそこから入ることは出来る。だがバベルの塔の壁は分厚くすぐには壊せない。そこで一つ俺に策がある」
グレイは自らの考えた作戦を他の三人に伝える。
すると、真っ先に苦い表情をしたのはジャックだった。
「おいおいそんな作戦で大丈夫なのかよ?あまりにもリスキーじゃねぇか?」
「どちらにしろこの塔に入ったところで多少のリスクは関係ない。問題は12メートルの縄があるかどうかと、ジャックとカコさんで俺とキョウスケを引っ張る力があるかどうかだ」
「これだけの大都市だ、縄はあるだろうさ。それに重さって言ったって子供一人と犬一匹だろ?大丈夫だよなキョウスケのカーチャン?」
「えぇ!わたしとジャックさんに任せなさいっ!」
「犬じゃないケルベロスだ!……キョウスケこの案で大丈夫か?」
グレイがキョウスケに確認をとると、彼も黙って頷いた。
「僕もそれが一番いいと思う。まぁちょっと心配だけど……やってみる価値はあると思うよ!」
「よっしゃあ!じゃあ決まりだな!そうとなったら道具屋に縄を買いに行こうぜ!」
ジャックは意気揚々と先頭を切って歩き、その後ろに三人は着く。
「ねぇグレイ……縄を買うお金って誰が出すの?」
「先頭歩いてるアイツじゃないか?アイツが持ってる金が俺達の全財産だからな」
「ジャックさんには悪いけど……ここはさりげなく奢って貰いましょ?」
結局、道具屋で縄の代金を支払ったのはジャックだった。
だがジャックは奢らされたことにも気づかず、民宿の宿代同様、ただ自然とお金を払っていた。
その一方で、素知らぬ顔をする文無し三人。
ジャックの財布は本人の知らぬ内に、四人全員の財布と化していたのだった。
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