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第3章 アンダーグラウンド
011【3】
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「キョウスケ乗れっ!」
グレイはキョウスケに追いつき、催促する。
「うんっ!」
キョウスケもなりふり構わず、グレイの背中に乗る。キョウスケが背に乗ったことを知るやいなや、グレイは全速力で魔界の大地を蹴り、駆けた。
あと五メートル程でドラゴンの正面から逃れられる。もう少しという距離まで来ていた。
だがここで、ついにドラゴンの発射準備が終わってしまったのだ。
「キッシッシッ滅びろ……デス・ベノム・インパクトオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!」
アスタロトが叫ぶ。その刹那、ドラゴンは今まで溜め込んだエネルギーを吐き出すように、口から緑色の火炎のようなものを射出した。
しかしそれはただの火炎ではない。吸った者はどんな生物だろうと生き絶えてしまう、そんな猛毒を含んだ火炎だった。
猛毒の火炎の射程距離はおよそ五百メートル、範囲は半径六十メートルに達し、その中に入っていた生物はことごとく生き絶え、大地は一瞬にして汚染された。
「キョウスケ!お前だけでもっ!!」
「えっ!」
デス・ベノム・インパクトの射出直前、グレイは背中に乗っていたキョウスケを投げる。
あと僅かな距離が足りなかった。
このまま二人、共倒れになるわけにはならない。だったら責めてキョウスケだけでも助け、キョウスケとジャックに後は託そうとグレイは決めたのだ。
「後は頼んだぞ……キョウスケ」
「グレえええええええええええイッッッ!!!」
キョウスケは宙に身を投げ出されながら、叫ぶ。手を伸ばすが、グレイはどんどんと遠くなっていく。
やがてデス・ベノム・インパクトが射出されると、キョウスケの体は地面にぶつかった。
どうやらキョウスケは、デス・ベノム・インパクトの射出範囲を逃れたようだった。
「いっつつ……グレイは……っ!」
キョウスケは急いで振り向く。
目の前には汚染された大地が広がっており、蟻一匹とて生き物がいるような土壌の状態ではない。
そしてそこにはグレイの姿も無かった。
「グレイ……くそっ……くそおおおおおおおおおお
!!!」
キョウスケは地面を叩き、泣き叫ぶ。
仲間を失った悲しみと、自分のせいでグレイが犠牲になった悔しさ、その両方の感情が入り混じった叫び。
大粒の涙が一粒、二粒と地面に落ちる。
「ヒャーヒャッヒャッヒャッアアアアアアアア!!死んだ死んだケルベロスの野郎がくたばったああああ!!!」
狂ったように歓喜の声をあげるアスタロト。それと同時に腕のドラゴンも咆哮する。
「大体魔獣の分際が、悪魔である我に喧嘩を売ること自体がオカシイんだよ!犬は犬らしく門の前でワンワン吠えてりゃよかったのさぁ!!ギャハハハハッ!!!」
グレイを蔑み、馬鹿にして、トチ狂ったように笑い続ける。
そんなアスタロトを見て、キョウスケは拳を握る。自らの爪が手のひらに刺さって、流血をする程強く、固く握る。
「お前だけは……」
「あっ?まだ雑魚が一匹生き残っていたか」
心底馬鹿にした表情で、アスタロトはキョウスケの方を振り向く。
そんなアスタロトを睨みつけるキョウスケ。その瞳には復讐と殺意の念が映っていた。
「お前だけは絶対僕の手で殺してやるっっっ!!!」
だがそんなキョウスケの怒号を聞いて、アスタロトは更にゲラゲラと笑い始める。
「ギャーハッハッハッハッ!ヒッヒッヒッ……ふー……面白いねぇ今の一言!優勝!金メダル!お笑いチャンプだよアンタ!!」
アスタロトは爆笑し、目に涙を浮かべ、心底キョウスケを馬鹿にしていた。
「たかだか人間如きが何ができるっつーわけ?足もノロマ、魔法も使えない、仲間の魔物に頼らないとなーんにもできないポンコツにさぁ?ほれほれ言ってみてよ?おねーさんに聞かせてみせてよ生意気なクソガキ!」
笑ったかと思ったら、今度は怒りだす情緒不安定なアスタロト。
しかしキョウスケはアスタロトを睨んだまま、何も答えない。
「……そっかぁケルベロスが逝っちゃったから寂しいんだねボクぅ?だから我に構って欲しいんだぁ?
そっかそっか……じゃあ」
すると、アスタロトはドラゴンの腕ではない、左の腕で、落ちていた蛇矛を拾い上げる。
「みーんな仲良く我があの世へ送ってあげるね?キッシッシッシッ!!」
アスタロトはキョウスケに向け、蛇矛を一振りする。
「死ね……波動弾っ!!!」
冷めた声と共に、振られた蛇矛から波動の白弾が発射され、キョウスケを目掛けて飛んでいく。
弾丸の速さは百六十キロを優に超えており、キョウスケには避けきることができない。
「くっ……!」
反射的にキョウスケは腕でガードをしようと試みるが、意味は無い。
人間は魔物の攻撃が直撃して耐えしのげれるほど、頑丈な体をしていない。骨が折れるどころか、命も助かるかどうか危うい。
そんな中で魔物の中で上級の力を持ち、しかもその力のリミッターを解除しているアスタロトの攻撃など受けきれるはずもない。
キョウスケは目をつぶり、死を覚悟したその瞬間だった。
「ヘッヘッヘッ!みんなって、オイラのことを忘れてもらっちゃあ困るな!!」
知っている声が聞こえる。そして、最初にアンダーグラウンドで餓鬼に襲われた時と同じ状況……。
キョウスケが目を開くと、そこにはキョウスケに背を向けたジャックがアスタロトの波動弾を短剣二本をクロスさせ、受け止めていた。
グレイはキョウスケに追いつき、催促する。
「うんっ!」
キョウスケもなりふり構わず、グレイの背中に乗る。キョウスケが背に乗ったことを知るやいなや、グレイは全速力で魔界の大地を蹴り、駆けた。
あと五メートル程でドラゴンの正面から逃れられる。もう少しという距離まで来ていた。
だがここで、ついにドラゴンの発射準備が終わってしまったのだ。
「キッシッシッ滅びろ……デス・ベノム・インパクトオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!!」
アスタロトが叫ぶ。その刹那、ドラゴンは今まで溜め込んだエネルギーを吐き出すように、口から緑色の火炎のようなものを射出した。
しかしそれはただの火炎ではない。吸った者はどんな生物だろうと生き絶えてしまう、そんな猛毒を含んだ火炎だった。
猛毒の火炎の射程距離はおよそ五百メートル、範囲は半径六十メートルに達し、その中に入っていた生物はことごとく生き絶え、大地は一瞬にして汚染された。
「キョウスケ!お前だけでもっ!!」
「えっ!」
デス・ベノム・インパクトの射出直前、グレイは背中に乗っていたキョウスケを投げる。
あと僅かな距離が足りなかった。
このまま二人、共倒れになるわけにはならない。だったら責めてキョウスケだけでも助け、キョウスケとジャックに後は託そうとグレイは決めたのだ。
「後は頼んだぞ……キョウスケ」
「グレえええええええええええイッッッ!!!」
キョウスケは宙に身を投げ出されながら、叫ぶ。手を伸ばすが、グレイはどんどんと遠くなっていく。
やがてデス・ベノム・インパクトが射出されると、キョウスケの体は地面にぶつかった。
どうやらキョウスケは、デス・ベノム・インパクトの射出範囲を逃れたようだった。
「いっつつ……グレイは……っ!」
キョウスケは急いで振り向く。
目の前には汚染された大地が広がっており、蟻一匹とて生き物がいるような土壌の状態ではない。
そしてそこにはグレイの姿も無かった。
「グレイ……くそっ……くそおおおおおおおおおお
!!!」
キョウスケは地面を叩き、泣き叫ぶ。
仲間を失った悲しみと、自分のせいでグレイが犠牲になった悔しさ、その両方の感情が入り混じった叫び。
大粒の涙が一粒、二粒と地面に落ちる。
「ヒャーヒャッヒャッヒャッアアアアアアアア!!死んだ死んだケルベロスの野郎がくたばったああああ!!!」
狂ったように歓喜の声をあげるアスタロト。それと同時に腕のドラゴンも咆哮する。
「大体魔獣の分際が、悪魔である我に喧嘩を売ること自体がオカシイんだよ!犬は犬らしく門の前でワンワン吠えてりゃよかったのさぁ!!ギャハハハハッ!!!」
グレイを蔑み、馬鹿にして、トチ狂ったように笑い続ける。
そんなアスタロトを見て、キョウスケは拳を握る。自らの爪が手のひらに刺さって、流血をする程強く、固く握る。
「お前だけは……」
「あっ?まだ雑魚が一匹生き残っていたか」
心底馬鹿にした表情で、アスタロトはキョウスケの方を振り向く。
そんなアスタロトを睨みつけるキョウスケ。その瞳には復讐と殺意の念が映っていた。
「お前だけは絶対僕の手で殺してやるっっっ!!!」
だがそんなキョウスケの怒号を聞いて、アスタロトは更にゲラゲラと笑い始める。
「ギャーハッハッハッハッ!ヒッヒッヒッ……ふー……面白いねぇ今の一言!優勝!金メダル!お笑いチャンプだよアンタ!!」
アスタロトは爆笑し、目に涙を浮かべ、心底キョウスケを馬鹿にしていた。
「たかだか人間如きが何ができるっつーわけ?足もノロマ、魔法も使えない、仲間の魔物に頼らないとなーんにもできないポンコツにさぁ?ほれほれ言ってみてよ?おねーさんに聞かせてみせてよ生意気なクソガキ!」
笑ったかと思ったら、今度は怒りだす情緒不安定なアスタロト。
しかしキョウスケはアスタロトを睨んだまま、何も答えない。
「……そっかぁケルベロスが逝っちゃったから寂しいんだねボクぅ?だから我に構って欲しいんだぁ?
そっかそっか……じゃあ」
すると、アスタロトはドラゴンの腕ではない、左の腕で、落ちていた蛇矛を拾い上げる。
「みーんな仲良く我があの世へ送ってあげるね?キッシッシッシッ!!」
アスタロトはキョウスケに向け、蛇矛を一振りする。
「死ね……波動弾っ!!!」
冷めた声と共に、振られた蛇矛から波動の白弾が発射され、キョウスケを目掛けて飛んでいく。
弾丸の速さは百六十キロを優に超えており、キョウスケには避けきることができない。
「くっ……!」
反射的にキョウスケは腕でガードをしようと試みるが、意味は無い。
人間は魔物の攻撃が直撃して耐えしのげれるほど、頑丈な体をしていない。骨が折れるどころか、命も助かるかどうか危うい。
そんな中で魔物の中で上級の力を持ち、しかもその力のリミッターを解除しているアスタロトの攻撃など受けきれるはずもない。
キョウスケは目をつぶり、死を覚悟したその瞬間だった。
「ヘッヘッヘッ!みんなって、オイラのことを忘れてもらっちゃあ困るな!!」
知っている声が聞こえる。そして、最初にアンダーグラウンドで餓鬼に襲われた時と同じ状況……。
キョウスケが目を開くと、そこにはキョウスケに背を向けたジャックがアスタロトの波動弾を短剣二本をクロスさせ、受け止めていた。
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