32 / 71
第3章 アンダーグラウンド
011【4】
しおりを挟む
「ジャックさん!!」
「ヘッヘッ毒を抜くのに時間がかかちまった!」
ジャックは波動弾を受けきり、白弾は自然消滅する。
「それともう一人、動けないやつをおぶってたら出てくるタイミングを逃しちまった。なぁグレイさんよぉ?」
短剣を握るジャックの右脇には、グレイがぐったりとした姿で挟まっていた。
「フッ……さっきまで休んでいたやつが……よく言うぜ」
「グレイ!無事だったんだ!!」
キョウスケがグレイに寄り添うと、グレイは右の後ろ足に大きな傷を負っていた。
「直撃は免れたみたいだけど、どうやら右足をやられちまったらしい。そこから毒が回ってたんでオイラが毒抜きしてやったんだが、今はまともに歩くこともできない」
「でも良かった……グレイが生きててくれて」
「フン……あんなやつにやられたら……まともに成仏もできないだろうさ……」
グレイは強気に言ってみせるが、やはり怪我が酷いせいか弱っていた。
それでも、グレイの命は助かった。それだけでキョウスケは安堵できたのだ。
「ンンンン何故だ……何故殺したはずのケルベロスが生きてやがるんだああああっ!!」
アスタロトは自分の目を疑う。
今さっき、自らの全力を持って打ち倒したはずのケルベロスがまだ生き残っている。
その出来事へのショックと怒りの感情が、声に出して溢れたのだ。
「ジャックさん、実は僕一つ作戦があるんですけど、ジャックさんの短剣であの岩を切れます?」
アスタロトが騒いでいる中、キョウスケはジャックに問いかける。
「岩?岩ってまさかあれのことかい!?」
ジャックとキョウスケの目線の先にあるのは、異界の門の六芒星が刻まれた大岩だった。
「うぅん……まっぷたつは無理だけど少しずつ砕くんなら兜割りでできるかも……」
「よし……じゃあまず……」
キョウスケはジャックに端的に作戦を説明する。
その作戦を聞いたジャックは眉をひそめた。
「うまくいくかねぇそんなこと?」
「でもあのドラゴンの攻撃を封じるにはそれしかないと思うんだっ!」
「……ヘッヘッまぁそうだな。考えたって仕方ねぇ、ここまできたらやるしかねぇか!」
すると突然、キョウスケのポケットが黄色く光り始める。その光は、グレイの魔技を唱える時に出てくる光によく似ていた。
「こ……こいつぁもしかして!」
「あぁ……ジャックの魔技が解放された……キョウスケ魔札を」
キョウスケはカボチャの刻印が入った魔札を取り出す。キョウスケが魔札を握ると、黄色い光は増幅し、頭の中に魔技の呪文が浮かんでくる。
「ヘッヘッ!早速どんな技か実践投入だキョウスケ!」
ジャックはそう言うと、アスタロトのいる方へ走り出す。
「死に損ないどもめが!全員まとめてぶっ殺してやるぜええええ!!ヒャーハッハッハァァァァ!!!」
アスタロトは目を血走らせ、ドラゴンの腕を使って迎え撃つ。
「ジャックさん行くよ!!」
キョウスケは魔札を握りしめ、自分の魔力を注ぐ。
「パンプアップ・パンプキン!」
キョウスケが唱えると、ジャックの体はみるみるとパワーアップしていき、パワー、走力、その他諸々と上がっていくのが見てとれた。
「スゲェ!これがオイラの秘められた力か!!」
ジャックは走る。
通常でも足の速いジャックだが、更にその倍以上のスピードで大地を走り抜ける。
「ギィイイイ……このネズミめがぁ!」
アスタロトはドラゴンの腕を出し、唱える。
「ポイズンブレス!!」
ドラゴンは、先程よりかは小規模な毒の炎を吐き出す。しかしその威力は、規模が小さいとて強力。
炎を浴びた大地はその温度で溶け出し、更に毒によって汚染された。
「ヘッヘーン!そんなもん食らうかよ!!」
ジャックは飛び上がり、ドラゴンの炎を飛び越える。その跳躍力は五メートル程に達し、地面に着地すると再び走り出した。
「チキショオオオオオオオ!小癪なクソカボチャがあああああっっ!!!」
アスタロトは吠え、ドラゴンの腕をジャックの方へ向ける。
そして再びドラゴンは咆哮し、大地が揺れ始めた。
「ケッケッケッケッケッケッ!こうなったら全部吹っ飛ばしてやる……残りカスも残らねぇくらいになぁっっ!!!」
キョウスケは一度目にしているから分かる。これはドラゴンがデス・ベノム・インパクトを放つための予兆だと。
「ジャックさん!急いで!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」
ジャックは走り、六芒星の刻まれている大岩にたどり着くと、それを飛び登っていく。
その間もドラゴンによる地鳴りが続き、大地のエネルギーは吸収され、蓄えられる。
「ギャーハッハッハッ!!死ねえええええええええええええええ!!!」
アスタロトが、ドラゴンの準備が整いかけているのを認識したその時。
「兜割りだあああああああああ!!」
ジャックは両手に短剣を持ち、短剣に魔力を宿らせ、そのまま大岩に振り下ろした。
直後、大岩はヒビ割れ、崩れ落ちる。
砕けて一つ一つの岩石に分離したものが目指す先には、アスタロトが立っていた。
アスタロトは岩石から逃げようとするが、体長二メートル程あるドラゴンの頭は早々動くはずもなく、ならば返り討ちにしようとしても、すんでの所でデス・ベノム・インパクトの準備は出来ていない。
完全に詰み。王手は取られた。
「何故だなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだああああああああああああ!!!!!!!」
その時、アスタロトはふと気づく。 あの人間、キョウスケがジャックに何かを伝えていたことを。
「……そうかあの人間、気づいてやがったのか。我が上手く身動きをとれないことを」
キョウスケはずっと見ていた。アスタロトは腕にドラゴンを召喚してから一度もその場を動いていなかったこと、そしてキョウスケにとどめを刺そうとした時、直接とどめを刺しに来ず、わざわざ放り投げていた蛇矛を拾って波動弾を使ったことを。
全ては読まれていた、あの少年に。
「……デビルサモナー、恐るべき人間だ」
最後にアスタロトは自我を取り戻し、呟く。
そして悪魔は、ドラゴンと共に岩石の中へと封じ込められた。
「ヘッヘッ毒を抜くのに時間がかかちまった!」
ジャックは波動弾を受けきり、白弾は自然消滅する。
「それともう一人、動けないやつをおぶってたら出てくるタイミングを逃しちまった。なぁグレイさんよぉ?」
短剣を握るジャックの右脇には、グレイがぐったりとした姿で挟まっていた。
「フッ……さっきまで休んでいたやつが……よく言うぜ」
「グレイ!無事だったんだ!!」
キョウスケがグレイに寄り添うと、グレイは右の後ろ足に大きな傷を負っていた。
「直撃は免れたみたいだけど、どうやら右足をやられちまったらしい。そこから毒が回ってたんでオイラが毒抜きしてやったんだが、今はまともに歩くこともできない」
「でも良かった……グレイが生きててくれて」
「フン……あんなやつにやられたら……まともに成仏もできないだろうさ……」
グレイは強気に言ってみせるが、やはり怪我が酷いせいか弱っていた。
それでも、グレイの命は助かった。それだけでキョウスケは安堵できたのだ。
「ンンンン何故だ……何故殺したはずのケルベロスが生きてやがるんだああああっ!!」
アスタロトは自分の目を疑う。
今さっき、自らの全力を持って打ち倒したはずのケルベロスがまだ生き残っている。
その出来事へのショックと怒りの感情が、声に出して溢れたのだ。
「ジャックさん、実は僕一つ作戦があるんですけど、ジャックさんの短剣であの岩を切れます?」
アスタロトが騒いでいる中、キョウスケはジャックに問いかける。
「岩?岩ってまさかあれのことかい!?」
ジャックとキョウスケの目線の先にあるのは、異界の門の六芒星が刻まれた大岩だった。
「うぅん……まっぷたつは無理だけど少しずつ砕くんなら兜割りでできるかも……」
「よし……じゃあまず……」
キョウスケはジャックに端的に作戦を説明する。
その作戦を聞いたジャックは眉をひそめた。
「うまくいくかねぇそんなこと?」
「でもあのドラゴンの攻撃を封じるにはそれしかないと思うんだっ!」
「……ヘッヘッまぁそうだな。考えたって仕方ねぇ、ここまできたらやるしかねぇか!」
すると突然、キョウスケのポケットが黄色く光り始める。その光は、グレイの魔技を唱える時に出てくる光によく似ていた。
「こ……こいつぁもしかして!」
「あぁ……ジャックの魔技が解放された……キョウスケ魔札を」
キョウスケはカボチャの刻印が入った魔札を取り出す。キョウスケが魔札を握ると、黄色い光は増幅し、頭の中に魔技の呪文が浮かんでくる。
「ヘッヘッ!早速どんな技か実践投入だキョウスケ!」
ジャックはそう言うと、アスタロトのいる方へ走り出す。
「死に損ないどもめが!全員まとめてぶっ殺してやるぜええええ!!ヒャーハッハッハァァァァ!!!」
アスタロトは目を血走らせ、ドラゴンの腕を使って迎え撃つ。
「ジャックさん行くよ!!」
キョウスケは魔札を握りしめ、自分の魔力を注ぐ。
「パンプアップ・パンプキン!」
キョウスケが唱えると、ジャックの体はみるみるとパワーアップしていき、パワー、走力、その他諸々と上がっていくのが見てとれた。
「スゲェ!これがオイラの秘められた力か!!」
ジャックは走る。
通常でも足の速いジャックだが、更にその倍以上のスピードで大地を走り抜ける。
「ギィイイイ……このネズミめがぁ!」
アスタロトはドラゴンの腕を出し、唱える。
「ポイズンブレス!!」
ドラゴンは、先程よりかは小規模な毒の炎を吐き出す。しかしその威力は、規模が小さいとて強力。
炎を浴びた大地はその温度で溶け出し、更に毒によって汚染された。
「ヘッヘーン!そんなもん食らうかよ!!」
ジャックは飛び上がり、ドラゴンの炎を飛び越える。その跳躍力は五メートル程に達し、地面に着地すると再び走り出した。
「チキショオオオオオオオ!小癪なクソカボチャがあああああっっ!!!」
アスタロトは吠え、ドラゴンの腕をジャックの方へ向ける。
そして再びドラゴンは咆哮し、大地が揺れ始めた。
「ケッケッケッケッケッケッ!こうなったら全部吹っ飛ばしてやる……残りカスも残らねぇくらいになぁっっ!!!」
キョウスケは一度目にしているから分かる。これはドラゴンがデス・ベノム・インパクトを放つための予兆だと。
「ジャックさん!急いで!!」
「うおおおおおおおおおお!!!」
ジャックは走り、六芒星の刻まれている大岩にたどり着くと、それを飛び登っていく。
その間もドラゴンによる地鳴りが続き、大地のエネルギーは吸収され、蓄えられる。
「ギャーハッハッハッ!!死ねえええええええええええええええ!!!」
アスタロトが、ドラゴンの準備が整いかけているのを認識したその時。
「兜割りだあああああああああ!!」
ジャックは両手に短剣を持ち、短剣に魔力を宿らせ、そのまま大岩に振り下ろした。
直後、大岩はヒビ割れ、崩れ落ちる。
砕けて一つ一つの岩石に分離したものが目指す先には、アスタロトが立っていた。
アスタロトは岩石から逃げようとするが、体長二メートル程あるドラゴンの頭は早々動くはずもなく、ならば返り討ちにしようとしても、すんでの所でデス・ベノム・インパクトの準備は出来ていない。
完全に詰み。王手は取られた。
「何故だなぜだなぜだなぜだなぜだなぜだああああああああああああ!!!!!!!」
その時、アスタロトはふと気づく。 あの人間、キョウスケがジャックに何かを伝えていたことを。
「……そうかあの人間、気づいてやがったのか。我が上手く身動きをとれないことを」
キョウスケはずっと見ていた。アスタロトは腕にドラゴンを召喚してから一度もその場を動いていなかったこと、そしてキョウスケにとどめを刺そうとした時、直接とどめを刺しに来ず、わざわざ放り投げていた蛇矛を拾って波動弾を使ったことを。
全ては読まれていた、あの少年に。
「……デビルサモナー、恐るべき人間だ」
最後にアスタロトは自我を取り戻し、呟く。
そして悪魔は、ドラゴンと共に岩石の中へと封じ込められた。
0
あなたにおすすめの小説
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる