The Devil Summoner 運命を背負いし子供達

赤坂皐月

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第4章 エキドナの遺跡

004【3】

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「よし……オイラに一つ考えがある。多少目立つことになるかもしれないけど、いいかな?」

「……キョウスケどうする?」

ジャックの提案に、グレイはあえて答えず、リーダーであるキョウスケに判断を委ねる。
キョウスケは仲間を危険にさらすことを少し考えたが、二人の目を見れば迷うこと無く、答えは自ずと出てきた。

「分かった……やろう。このまま僕達も見て見ぬフリをしたら、それはマモンと同じだ。例え結果が偽物じゃなかったとしても、これはハッキリさせておかないといけない問題だと僕は思うんだ」

「その通りだぜキョウスケ!それにもし本物だったら、適当に見繕って誤魔化せばいいのさ!!」

「それはどうなのかな……」

ジャックは大笑いし、キョウスケは首を傾げる。
そんな光景を見て、グレイはキョウスケの父親であるシュンジのことを思い出していた。

「フッ……親子ってのはこんなにも似るものか。正義感どころか、言ってることまでそっくりだ」

「ん?グレイ何か言った?」

「いや……なんでもない。とにかくジャック、その考えっていうのはどんなもんなんだ?」

「ヘッヘッヘッ!ちょっとお耳を貸してくれ」

キョウスケとグレイはジャックの元に集まり、ヒソヒソとその作戦を聞く。

「……おいジャック、それ真面目に考えたのかお前」

作戦を聞くなり、グレイは白い目でジャックを見る。するとジャックは全く笑わず、大真面目な顔をする。

「真面目も真面目、大真面目だよ!一見ふざけたような作戦かもしれねぇが、あまり派手にならないし、そういうことが普通の出来事としてある可能性だってある!!」

ふんす、と鼻息を荒くして言い切るジャック。余程この作戦に活路を見いだしたようだった。

「キョウスケどう思う、この作戦?」

グレイがキョウスケに尋ねると、キョウスケも少し複雑な顔をしていたが、心は決まっていた。

「確かにわざとらしい作戦だけど、今の僕達にはうってつけの作戦かもしれないね。何よりも地味なのがいいかも」

「そうか……じゃあやるかその作戦」

キョウスケの最終判断により、ジャックの作戦は可決され決行することとなった。

「よっしゃあ!どうにかオイラが間を保たすから、グレイはその間に石碑の正体を見破ってくれよ!!」

「あぁ……必ず暴いてやる」

この作戦には、グレイの解読能力の速さと、キョウスケとジャックによる足留めをするための演技をする能力の二つが必要不可欠だった。
そしてついに彼らの目の前に問題の石碑が現われる。
石碑の大きさはやはり遠目で見た通り思ったよりも小さく、3メートルあるかないか程の大きさで、更にそこに刻まれているエキドナの姿は1.5メートル程と人間程度のサイズしか無かったのだ。

「よしキョウスケ……やるぞ!」

「うん……!」

ジャックの合図と共に、キョウスケは突然石碑の前で屈み込んだ。

「うわっ!まずい!!ジャックさんコンタクトレンズ落としちゃった!!」

オロオロと周囲を探すフリをするキョウスケ。ちなみに本当は裸眼であり、彼はコンタクトレンズなど一度も着けたことがない。

「ちょっ!マジかよキョウスケ~!あーちょっとすいませんコイツがコンタクトレンズ落としちゃったみたいで……ちょっと列止めますね~」

するとジャックは手を横に広げて、後ろに並んでいる魔物達の進行を妨げた。

「おい!止まるなって書いてあっただろ!進めよ!!」

「いやお兄さんすいませんねぇ……なんせ連れがコンタクトレンズ落としちゃってねぇ。よっぽど眼球ひん剥いて見てたんでしょうね石碑を」

「眼球ひん剥いてってどんだけジロジロ見てたんだよ」

「そりゃあなんせ女の魔物だからね?それにお年頃の男の子だ、色々想像しちゃうのよお兄さん」

「エキドナでか?そりゃあ大物だぜ!」

ガッハッハッハッとジャックとその後ろにいた魔物の観光客は大笑いする。まるで飲み屋のおっさんのような会話だった。
それを聞いていたキョウスケは、土の上を探りながら顔を真っ赤にしていた。

「グレイ……どうなの?」

キョウスケは周りに聞こえない声でグレイに尋ねる。

「とりあえずこれは俺達の先祖を生んだ魔獣の母でないのは確実だ。そして他の魔物かと思ったが、それは違った。これは間違いなくエキドナだ。ただそれよりこのエキドナ……何処かで見たことがある」

グレイはジロジロと石碑の隅々を見渡し、その顔を特に入念に見ていた。
石碑のエキドナは目を瞑っており、焦げ茶色にほど近い色をしているため、その輪郭を読み取るのは困難だったが、グレイには何処かで見た顔にそっくりのように見えた。

「キョウスケ、ジャックもう少し時間をくれ……答えが喉元まで出ている気がするんだ」

「……分かった!」

石碑に触れることは出来ないため、グレイは視覚だけでなく、嗅覚、聴覚などあらゆるものを全力で使って答えを探す。
キョウスケはそれに応えるよう、さらにコンタクトレンズを探すふりに念を集中させる。

「おいまだ見つからねぇのか!もう1分半も立往生してんだぞ!!」

ついに観光客からの不満が爆発し、多くの魔物達がキョウスケ達にクレームをぶつけ始める。

「おいまだかグレイ、このまま騒ぎが酷くなると職員が来ちまうぞ!!」

ジャックはそれでも両手を広げて、精一杯妨害する。流れを妨げるダムの決壊は、もうすぐそこまで来ていた。

「もう少し……この顔、このニオイ……そして……っ!!この耳元で跳ねている癖っ毛!!!シュンジのやつ……まさか!!!!」

すると突然、グレイは雷に撃たれたような衝撃を受ける。ついに分かった……石碑の正体。
それと同時に、観光客の流れをせき止めていたジャックがついに限界に到達し、魔物達が濁流の如く流れ込んでくる。

「クッソ……おいキョウスケ、グレイずらかるぞ!!」

ジャックの合図と共に、三人はその場から走って逃げ出す。

「ヒィ~!ごめんなさああああい!!」

さすがにキョウスケもこれにはビビリ上がり、涙を流しながら走る。
するとその隣をグレイが並走しながらキョウスケに言う。

「キョウスケ、とんでもないことが分かってしまった……お前にも関わることだ」

「僕にも関わる……こと?」

「そうだ」

そんな二人で話している中に、後ろから全速力で走って来たジャックが間に入った。

「お前らお喋りは後だ!このまま追いつかれたらオイラ達は全員無条件で八つ裂きだっ!!」

「八つ裂き!!?」

キョウスケはジャックの言葉に震え上がる。

「……そうだな。キョウスケ俺の背中に乗れ!一気に振り切る!!」

「う……うん!よろしくグレイ!!」

キョウスケはグレイの背中に乗っかり、グレイとジャックは全速力で遺跡を走り抜ける。
三人は遺跡を飛び出し、市街地の近くまで逃げ続けた。
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