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第2部 青春の続き篇
第5話 七夕の日【1】
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織姫と彦星の話を知っているだろうか?
昔々、天の川の東に織物を織るのがとても上手い織女がいたそうだ。
しかしその織女は、年頃の娘であるのにもかかわらず、服も着飾らず、遊びもせず、せっせと織物を織って暮らしていた。
そんな娘を見た父親、天帝は織女の事を不憫だと思い、婿を取る事にしたそうだ。
その一方で、天の川の西には大そう真面目に働く牛飼いの青年、牽牛がおり、天帝は牽牛の噂を聞きつけ、「是非、娘と結婚して欲しいと」天帝は自ら、牽牛に願い出たのである。
牽牛は天帝の願い出を有り難く引き受け、織女と牽牛はめでたく結婚する事になったとさ。めでたしめでたし。
……と普通の昔話や、神話ならここで、幸せな内に終わっていくのがセオリーなのだろう。しかしこの物語にはまだ続きがある。
織女と牽牛は結婚し、仲睦まじい夫婦となったのだが、しかしあれだけ一生懸命働いていた二人だったのだが、結婚した途端一転、毎日天の川のほとりで話をするばかりで、全く働かなくなってしまったのだ。
これに激怒した天帝は二人を引き離し、「以前のように働くのならば、年に一度、七月七日の夜にだけは会っても良い」と二人に言い渡したのである。
それからというものの、天の川の西と東に離ればなれにされてしまった二人は、天帝に告げられた通りせっせと働き、そして七月七日、この一日にのみ天の川に掛けられる橋を渡り、一年に一度、この一日だけ、二人は出会い、愛し合っていると……。
これが織姫と彦星の話の真相である。
よく最後の部分、二人が天の川に橋がかけられ、年に一度会っているという、そこだけ切り取られて解釈している人がいるのだが、そうではない。
二人はなってしまうべくして切り離された、これは自業自得の物語だと。
しかし恋物語としては成り立っており、二人は年中互いを思い続け、この一日の為に、出会う為に働く。なんともロマンチックな話である。
俺はまだ、学生という身分であるがために、働くという経験をした事が無いし、意中の人に会いたいと思えばいつでも会える(というか背後の座席だから毎日会っている)ような環境に身を置いているがため、織姫と彦星の気持ちは、実のところ分からない。
しかしこの環境が永遠に続くわけではなく、俺もいつかは高校を卒業し、大学を出て、社会人となっていく。その時初めて、俺はあの二つの星の気持ちが、少しばかり理解できるようになるのかもしれない。
それに、天地がいつまでも俺と共に、俺と同じ道に進むとは限らない。天地の中の復讐でもあり、目標でもあり、野望でもある道は、俺のような覚悟の無い者が歩けるような道では無い。
天地電産を乗っ取る。最近は余り口にしなかったのだが、多分その志は今も変わっていないだろう。
父親を取り戻す為、そして縁を切った父親に復讐をする為の、険しく、茨だらけのその道。
俺だってその道を共に歩みたいと思っているが、今の俺には現実的に考えて難しい。それに、俺が足を引っ張る事によって、天地に迷惑が掛かってしまう。
俺のせいで天地の目標を妨げるような事になるのは、死んでも御免だ。
だったら多分、おそらく高校を卒業する時に、その時は来るのだろうけれど、俺とアイツは別々の道を歩む事になるだろう。
そしてお互いの道を歩き、その道の中で橋が掛けられ、そこで再会する。七月七日の織姫と彦星のように。
いつかはそんな日がやって来る。しかし、まだやって来てはいない。
今日はまだ、俺が高校一年生である年の、七月七日七夕の日。
夜に俺は、天地と共に星を見に行く約束をしている。
昔々、天の川の東に織物を織るのがとても上手い織女がいたそうだ。
しかしその織女は、年頃の娘であるのにもかかわらず、服も着飾らず、遊びもせず、せっせと織物を織って暮らしていた。
そんな娘を見た父親、天帝は織女の事を不憫だと思い、婿を取る事にしたそうだ。
その一方で、天の川の西には大そう真面目に働く牛飼いの青年、牽牛がおり、天帝は牽牛の噂を聞きつけ、「是非、娘と結婚して欲しいと」天帝は自ら、牽牛に願い出たのである。
牽牛は天帝の願い出を有り難く引き受け、織女と牽牛はめでたく結婚する事になったとさ。めでたしめでたし。
……と普通の昔話や、神話ならここで、幸せな内に終わっていくのがセオリーなのだろう。しかしこの物語にはまだ続きがある。
織女と牽牛は結婚し、仲睦まじい夫婦となったのだが、しかしあれだけ一生懸命働いていた二人だったのだが、結婚した途端一転、毎日天の川のほとりで話をするばかりで、全く働かなくなってしまったのだ。
これに激怒した天帝は二人を引き離し、「以前のように働くのならば、年に一度、七月七日の夜にだけは会っても良い」と二人に言い渡したのである。
それからというものの、天の川の西と東に離ればなれにされてしまった二人は、天帝に告げられた通りせっせと働き、そして七月七日、この一日にのみ天の川に掛けられる橋を渡り、一年に一度、この一日だけ、二人は出会い、愛し合っていると……。
これが織姫と彦星の話の真相である。
よく最後の部分、二人が天の川に橋がかけられ、年に一度会っているという、そこだけ切り取られて解釈している人がいるのだが、そうではない。
二人はなってしまうべくして切り離された、これは自業自得の物語だと。
しかし恋物語としては成り立っており、二人は年中互いを思い続け、この一日の為に、出会う為に働く。なんともロマンチックな話である。
俺はまだ、学生という身分であるがために、働くという経験をした事が無いし、意中の人に会いたいと思えばいつでも会える(というか背後の座席だから毎日会っている)ような環境に身を置いているがため、織姫と彦星の気持ちは、実のところ分からない。
しかしこの環境が永遠に続くわけではなく、俺もいつかは高校を卒業し、大学を出て、社会人となっていく。その時初めて、俺はあの二つの星の気持ちが、少しばかり理解できるようになるのかもしれない。
それに、天地がいつまでも俺と共に、俺と同じ道に進むとは限らない。天地の中の復讐でもあり、目標でもあり、野望でもある道は、俺のような覚悟の無い者が歩けるような道では無い。
天地電産を乗っ取る。最近は余り口にしなかったのだが、多分その志は今も変わっていないだろう。
父親を取り戻す為、そして縁を切った父親に復讐をする為の、険しく、茨だらけのその道。
俺だってその道を共に歩みたいと思っているが、今の俺には現実的に考えて難しい。それに、俺が足を引っ張る事によって、天地に迷惑が掛かってしまう。
俺のせいで天地の目標を妨げるような事になるのは、死んでも御免だ。
だったら多分、おそらく高校を卒業する時に、その時は来るのだろうけれど、俺とアイツは別々の道を歩む事になるだろう。
そしてお互いの道を歩き、その道の中で橋が掛けられ、そこで再会する。七月七日の織姫と彦星のように。
いつかはそんな日がやって来る。しかし、まだやって来てはいない。
今日はまだ、俺が高校一年生である年の、七月七日七夕の日。
夜に俺は、天地と共に星を見に行く約束をしている。
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