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第1章 伝説の勇者だった男
002【1】
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急に目の前が明るくなったように感じ、俺はその日目覚めた。
昨日の記憶はというと……オートクレールを背負って街を歩いていた所、生意気な若造から「まだ勇者なんてモンやってる奴がいるのかよ」と陰で笑われ、その腹いせに酒場のオヤジにラム酒をふんだくって、一気飲みし……そこから記憶が飛んでいる。
目を開くと、そこは酒場の前の建物の路地裏であり、俺はゴミ箱を隣にして眠っていた様だった。
女ではなく、ゴミ箱。
女と寝た事なんてまだ一度も無く、モテ期が来る前に無職になっちまったからなぁ……。
それが少し悔しい。
「そうだ……オートクレールは……」
俺は一応背中を確認する。触ると、背中にはいつもの様に愛剣のオートクレールはそこに収まっていた。
魔王を倒す際使った、思い出深い剣であり、俺にとってはこれが最後の勇者である事の証でもあった。
コイツが無くなった時、その時俺は本当に勇者で無くなってしまう。
そんな気がするんだ。
それからなんとか自力で立ち上がり、二日酔いのガンガンする頭を抱えて俺は朝日の射す王国の飲み屋街をとぼとぼと歩いた。
朝、王国の所謂、繁華街と呼ばれる場所に出て来たのだが、会社という場所ではこのくらいの時間が出勤時間であり、サラリーマンという輩はそれはそれは大そう忙しそうにあちらこちらを走り回っていた。
でも俺には関係ない。俺はサラリーマンじゃないからな。
それでも感じざるを得ない、背徳感。
俺がやっている事は本当に正しい事なのか?また、時代に見合う生き方をしなければいけないんじゃないのか?
そう思ってしまう事もふとある。
勇者であっても、俺は人間だ。
人間は一人で行きていくにはか細く、弱い生き物。
世界を旅してきた俺だからこそ分かってしまった。
「……チッ、また酒が飲みたくなってきちまったぜ」
昨日、それこそ十時間と満たない間に記憶が飛ぶ程飲んだというのに、また欲する。
今の俺には、酒でこの寂しさを紛らわす以外方法が無かった。
酒と剣だけが俺の友達さ。
目紛しい繁華街を抜け、次にやって来たのが王国の外れにある、大きな河川だった。
昔はここにも沢山の王国の人間が来て、釣りやら露天を出したりなんかで盛り上がったのだが、今は職を失った奴らの溜まるドブの様な場所になっていた。
まあ、俺もそのドブに身を埋めるザリガニの一匹だがな。
昨日の記憶はというと……オートクレールを背負って街を歩いていた所、生意気な若造から「まだ勇者なんてモンやってる奴がいるのかよ」と陰で笑われ、その腹いせに酒場のオヤジにラム酒をふんだくって、一気飲みし……そこから記憶が飛んでいる。
目を開くと、そこは酒場の前の建物の路地裏であり、俺はゴミ箱を隣にして眠っていた様だった。
女ではなく、ゴミ箱。
女と寝た事なんてまだ一度も無く、モテ期が来る前に無職になっちまったからなぁ……。
それが少し悔しい。
「そうだ……オートクレールは……」
俺は一応背中を確認する。触ると、背中にはいつもの様に愛剣のオートクレールはそこに収まっていた。
魔王を倒す際使った、思い出深い剣であり、俺にとってはこれが最後の勇者である事の証でもあった。
コイツが無くなった時、その時俺は本当に勇者で無くなってしまう。
そんな気がするんだ。
それからなんとか自力で立ち上がり、二日酔いのガンガンする頭を抱えて俺は朝日の射す王国の飲み屋街をとぼとぼと歩いた。
朝、王国の所謂、繁華街と呼ばれる場所に出て来たのだが、会社という場所ではこのくらいの時間が出勤時間であり、サラリーマンという輩はそれはそれは大そう忙しそうにあちらこちらを走り回っていた。
でも俺には関係ない。俺はサラリーマンじゃないからな。
それでも感じざるを得ない、背徳感。
俺がやっている事は本当に正しい事なのか?また、時代に見合う生き方をしなければいけないんじゃないのか?
そう思ってしまう事もふとある。
勇者であっても、俺は人間だ。
人間は一人で行きていくにはか細く、弱い生き物。
世界を旅してきた俺だからこそ分かってしまった。
「……チッ、また酒が飲みたくなってきちまったぜ」
昨日、それこそ十時間と満たない間に記憶が飛ぶ程飲んだというのに、また欲する。
今の俺には、酒でこの寂しさを紛らわす以外方法が無かった。
酒と剣だけが俺の友達さ。
目紛しい繁華街を抜け、次にやって来たのが王国の外れにある、大きな河川だった。
昔はここにも沢山の王国の人間が来て、釣りやら露天を出したりなんかで盛り上がったのだが、今は職を失った奴らの溜まるドブの様な場所になっていた。
まあ、俺もそのドブに身を埋めるザリガニの一匹だがな。
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