異世界英雄!!

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異世界転移編

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「お、お待たせいたしました。この本かなり重くて……、お二人の守護神がロクサーヌ様でしたので、記載内容がとにかく多いんですよ」
「……えっと、守護神と本の重さに関係があるんですか?」
「ええっ! ガイさんは本当に知らないことが多いんですね。簡単に説明すると、守護神で職業や属性に得手不得手があるんです。ロクサーヌ様は謎の多い神様で、苦手な職業も得意な職業も無いんですよ」

 それだけ聞くと強く感じるが、実際は冒険者からするとハズレ神様らしい。得意な職業があればレベルとスキル熟練度とが上がりやすく、その道で大成できるらしいので転職時に悩まないで済む。得意な職業は効率2倍、苦手な職業は通常時の半分まで効率が落ちるとのこと。

「ですけど、悪いことばかりではないですよ。苦手な職業はスキル上限がありますけど、ロクサーヌ様は努力次第で他の神様と同じくらい強くなります! 反対属性も制限なしで使い放題なんですから!」

 ただでさえ効率悪いのに、色々上げていたら半端者になるのでは? と言うつっこみはしなかった。

「つまり、職業制限が無いから説明する本も分厚いってこと?」
「そのとおりです! あと、ギルドでは本を見ながら転職できますけど、ステータスの機能でも転職可能ですので、試してみてください」
「本当だ、でも選べる職業がたくさんありすぎて良く分からないや」
「はい、そのために最初の1回だけはギルドで本を見ながら転職することをオススメしております」

 ミチカに本を見せてもらうと、ゲームで見たことがあるような職業が並んでいた。戦闘職にも色々と階級があるようだ。下級職から始まり、中級職、上級職、超級職、神級職……スキルや魔法も同じだけ階級があった。扱えるのはその職業の階級と同じらしい。本に書かれているのは中級職までだが、上級職以上の概要だけは確認できる。
 上級職以上は下級と中級を複数習得すると転職可能になるらしく、上に行くほどに条件は厳しい。
 苦手な職業や属性は中級までしか習得できないけど、他は神級まで上げられる。神級まで上げるには得意職業でかつ、一生をかけて習得した場合でもなれるかは分からないそうだ。大前提として、守護神に愛されること……が必要らしい。
 ミチカも神級になった人はSSクラス以上の人くらいだって言っていた。

「下級職のスキルは無職でも使えますし、転職も簡単ですから悩まなくて良いと思いますけど」

 そう言われても、日本にいたせいなのか……転職って言葉に抵抗がある俺としては慎重になってしまうな。死んだら終わりの世界なんだから普通は悩むと思うんだけど、ここが異世界人との感覚の違いなのだろう。

 俺の武器は剣だから、職業は剣士で確定として……メイシスは後方支援をして欲しいからプリーストかメイジだな。セオリーで言えばプリーストなんだろうけど、倒せなければ話にならないからメイジにしよう。

「じゃあ、俺は剣士でメイシスはメイジにしようか」
「えっ? メイシスさんの職業をガイさんが決めるんですか?」

  ……しまったな、メイシスの意思を確認するのを忘れていた。聞いたところで従いますとしか言わないだろうけど。

「いえ、昔からメイジになりたいとガイには言っていたんです」

 ナイスフォローだメイシス!

「そうなんですか、仲が良いんですね……何だか妬けてしまいます」
「いやいやいや、仲が良いと言うか何と言うか……」
「ええ、私とガイは一心同体ですから、何でもわかります」

 おいー! 間違ってはいないけど、勘違いするからやめて!

「……そうですか。私は本を戻してきますね」

 心なしかミチカの元気がない気がする……まぁ、気のせいだろうけどね。

「マスターは鈍感ですね」
「何か言ったか?」

 メイシスから返事はなかった。ミチカとのやり取りで気がつかなかったが、周りの冒険者がメイシスのことをジロジロと見ている……前にも言ったがこの格好は出るところが出ているため目立つな。メイジになるんだからローブを新調するか。

「お待たせいたしました。初めての転職ですので、ガイさんには剣士の下級スキルであるスラッシュ、メイシスさんには下級魔法スクロールを1枚お渡しいたしますね。火、氷、雷のどれかを思い浮かべながら破いてください。何も考えずに破くとランダムになります」
「ありがとうございます」

 メイシスはお礼が言える子だったようだ。滅多に話さないので少し心配だったのだが、杞憂だったな。
 ステータスと身分証明書を確認してみると、職業欄が無から剣士に変わっていた。やっと無職を卒業できたぞ。

「見たところ杖をお持ちではないようですが、威力が下がるだけで魔法は使えますので安心してください。ですが、杖には詠唱時間短縮などのメリットがありますので、早めに買われる事をオススメします」

 たしかにメイシスは素手である。今はお金が無いので、少なくとも今日一日は杖なしでがんばるしかない。

「クエストはまだ精算しなくてもいいのかな?」
「はい、盗賊問題でゴブリンの討伐数が少ないです。報酬が1.5倍になるそうですので、がんばってください!」

 時間もまだ昼過ぎか、気持ち的には新しいおもちゃを与えられた子供のような感覚で、早く新しい力を試してみたいと思っている。

「じゃあ、もう一度ゴブリン退治に行ってきますね」

 言って立ち上がるとミチカに呼び止められた。

「お二人は一緒に狩りをするんですよね? パーティー申請をされたらいかがですか?」

 パーティー申請をすると取得経験値が均等に分配されるらしい。職業の経験値補正は分配後に発生するので、得意職業とパーティーを組んで楽をすることはできないとのことだ。メリットとしては、経験値の偏りが無くなる。デメリットはサボっている人にも経験値が入るってところかな。
 まぁスキル経験値は分配されないようなので、サボっている人はスキルが育たないらしい。
 パーティー申請はお互いの身分証明書を重ねるだけでできた。解除するときも同じ手順でできるので非常に簡単だ。
 ミチカに改めて礼を伝え、狩場に戻ることにする。本当はローブと杖を買いたいのだが、お金が無い。

「とりあえず、メイシスは氷魔法を覚えてくれ。火や雷だと森が火事になるかもしれないからな。その後にお互いのステータスを確認しよう」

 メイシスにスクロールの使い方を説明し、まずは自分のステータスから確認をする。

職業:剣士
Lv:1(-9)
HP:150/150(+55)
MP:15/15(-8)
ST:10/10(-90)
ATK:75《+60》(+30)
DEF:50《+15》(+18)
INT:15(-5)
AGI:45(+10)
LUK:40(-8)
パッシブスキル:下級剣術Lv5(+2) 危機感知Lv2 気配遮断Lv1 下級氷魔法Lv1
アクティブスキル:スラッシュ アイスニードル

 単純な戦闘力だけで言えば、無職のレベル10をすでに超えている。……あれ、何で俺も氷魔法が使えるようになっているんだ? メイシスのステータスを確認してみると何となく謎は解けた。

職業:メイジ
Lv:1(-9)
HP:80/80(-15)
MP:110/110(+87)
ATK:15(-30)
DEF:20《+15》(-12)
INT:100(+80)
AGI:25(-10)
LUK:30(-18)
パッシブスキル:下級剣術Lv5(+2) 危機感知Lv2 気配遮断Lv1 下級氷魔法Lv1
アクティブスキル:スラッシュ アイスニードル

「どうやら、お互いにスキルも共有できるみたいだな……もしかしたら職業レベルも共有できている可能性があるぞ」

 早い話が、取得経験値UPスキルで5倍の補正が入って更に2人で二倍の効率……つまり、10倍の速度で成長することが可能だ。本で見たのだが下級職の上限はレベル20、一般的な冒険者で半年もあればマスター可能らしいので、俺たちなら1ヶ月かからずに2つの職業をマスターできるだろう。

「俄然やる気がでてきた!」
「がんばりましょう、マスター」
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