✡︎ユニオンレグヌス✡︎

〜神歌〜

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第三章〜戦士の国アグド〜

49話✡︎ピリアの反撃✡︎

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「水の舞姫よ無事か?」
 シェラドが駆けつけてくれ最初にカナへ声をかける。
 カナは痛みに耐えながら、不思議と絶望を超える喜びを感じ、苦しさを感じさせるが笑顔を見せた。
 エレナは必死に意識を保ちながら察した、カナはこのシェラドを愛し始めていると……


「そこのムーシカ!何をしている?弾け‼︎
水の舞姫よ……まだ舞えるか?」
シェラドは冷静に指示をだす。
「早くしろ、水の巫女が死ぬぞ‼︎」

 アヤは恐怖を抑え込み、震えながらも魔力を高めるが、既にカナは舞い始めていた。

 痛みに耐え辛さを乗り越えて……

 その姿を見てアヤは勇気を振り絞って弾き始めた。
 ムーシカは身を守る術がほとんどない。弾いてる時に襲われたらひとたまりもない……


「それでいい、水の舞姫言っただろ?
お前は舞う為に剣を振れ……
グリフ!我が兵よセレスの者達を守れ‼︎」

シェラドが指示を出すと、別の部隊をグリフが率いて玉座の間に入って来た。
「ジェネラル、お待ちしてました‼︎」

 グリフはシェラドの部下であった、その為にエレナ達に荒々しくも、親切にしてくれていたのである。

 シェラドはその声を聞き、玉座に向き
「魔法を封じられたエルフか」

はっきりとそう言ってから間を置き怒鳴り叫んだ!

「貴様ら何が嬉しいんだ‼︎
エルフを!
魔法を封じてただの女に同然にしてからいたぶって何が楽しいんだ⁈⁈

お前らは本当に戦士の一族か‼︎‼︎

お前らの誇りは何処に行った⁉︎⁉︎
水の巫女?エルフの英雄?
貴様らは勝つ為には何でもするのかぁぁぁ‼︎‼︎」


 シェラドの言葉は曲がった事は無く、ただ真っ直ぐに男らしさと気高く誇り高く強い意志を感じさせ、オークの兵士達を一括する。


「シェラド貴様‼︎王の命令が聞けないのか⁉︎⁉︎」

ベルガルが言うとシェラドが即座に答える。


「聞く必要は無い!
奴は我らの誇りよりも復讐を選んだ!
そんな奴を王と認める訳にはいかない‼︎」


「貴様は何様だ!どの種族であろうと王の命令は絶対だろ‼︎」
ベルガルが怒りシェラドに怒鳴った時、シェラドの肩に竜が現れた。

炎の守護竜ヴァラドだった。

 シェラドは炎神イグニスの祝福を持つ者だと言う事を無言で応えた。

 その姿を見てエレナ達は僅かな安心をやっと得た、そしてカナはより強くシェラド男気に惹かれていく……


「シェラドさんの言う通りです!
ウィースガルムは貴方達の王ではありません‼︎」
 ピリアが叫んだ。ピリアはじっと待っていたのだ、この時が訪れることを、そしてそれを逃さなかった!


 ピリアは直ぐにエレナと魂を繋げ眩い光を放ちエレナの姿になり、素早く弓で狙いを定める。
「エレナ様を騙した我が一族の者よ!
恥を知れ‼︎」

 ピリアは怒りを込めて叫びその矢を放つ!
オーク一族の時が間違った方向に動かない様に……
 ドッペルがオーク族を乗っていた暴挙、更にエレナを騙し追い詰めた怒り、様々な想いを込めていた。


 その矢は正にエレナの矢だった……
 ドッペル族はその姿をした者の魔力以外を写し取る、魂を繋げれば正に全てと言っても過言では無い、その矢は早く恐ろしく相手の動きを読んでいた。

 ウィースガルムがその矢を避けるが、頰を深く斬る……あえてそこに矢を放った。

 ウィースガルムの傷口から、紫の血が流れ近くに居たオークの兵は戸惑い始める。

そしてピリアがフェルミンから受け取ったナイフを持ち、元の姿に戻り魂を込めて叫ぶ‼︎

「私を見なさい!オークの戦士達‼︎
私の血を‼︎‼︎

漆黒の闇より生まれし!
闇の血を‼︎‼︎」

ピリアはそう叫び、そのナイフで自らの右手のひらを深く貫く……
そしてナイフを抜き、ピリアの傷から紫の血が溢れ流れ出す。

「クゥゥ……」

 余りの激痛に僅かな声を漏らすが、エレナは苦痛に耐えながらもその声を聞き逃さなかった。
 ピリアが変わろうとしている、エレナはそう感じていた。
 ピリアは熱い痛みに耐えてエレナを見る。


 その右手から紫の血が勢いよく流れ始める。
ピリアの血を見て玉座の間に動揺が走っていく……その右手を一人でも多くの者が見れるように高く上げる……


 雪の様に真っ白な美しい手を紫の血が流れ落ちる……
 それは異様で美しく、闇の眷属の誇りを守ろうとする、一人のドッペルの少女の決意を鮮明に表していた。


「オークの戦士達よ目を覚ましなさい‼︎
奴はウィースガルムでは無い‼︎‼︎

貴方達の王では無い!
私と同じドッペルです!

貴方達の国は……
奴に乗っ取られて居たんです!
目を覚ましなさい‼︎‼︎」
 ピリアは真剣な顔で力一杯叫んだ、全てを込めてエレナ達を守ろうとした!

 この後ピリアが責められるかも知れない、それも全て覚悟して叫んでいた‼︎

 ピリアが生まれて初めて、自ら手を伸ばし奇跡を生み出そうとした瞬間であった。



(ピリアさん……)
 その行動を見てカイナは自らに疑問を投げかけた……ピリアが生まれ変わろうとしている、後先を考えずに守りたい人の為にピリアは必死になっている。自分は?ネクロマンサーだと言う事を知られたくない、それだけで今まで動かなかった。

 カイナからすれば、カナよりもユリナよりもこの場では戦えるカイナは、自らの保身を考えていた事に気づかされた。

(お母様はカイナさんが望めば、いつでも暖かく迎えて下さります。

それはカイナさんだけでなく、誰でも……
例えこれから行くアグドのオーク達でも、共に生きようと思って下さるなら、どなたでもセレスに暖かく迎えて下さります。)

 カイナはカナが言った言葉を思い出し、自らの拳を力強く握った、余りにも強く握った為に赤い血がその拳から流れ出す。

「失いし魂よ……
死を賜り、死者となりし者よ……」

 カイナが涙を流しながら詠唱を始め、カイナの血が詠唱に合わせて、魔法陣を描き始める……

それはネクロマンサーの魔法だった……
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